仕入担当コータローが行く!
ピカイチ野菜くん生産者取材記
2021年7月 レモン産地 佐賀県 吉森さん
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今回はピカイチ野菜くんでお届けしているレモンの産地、九州の佐賀県にある吉森さんの農場へお伺いし、仕入担当コータローがお話を伺いました。
※今回の取材では、マスクをして距離を取り、感染症対策をしっかりと行い取材をさせていただいております。
※掲載の内容は2021年7月時点のものです。
吉森さんの会社、産地について
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コータロー -
まずは会社の紹介をお願いします。
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吉森さん -
昭和39年に創業した会社でありまして、柑橘、主にみかんからスタートした会社です。
年間1番多い時で4万8千トン販売していました。それがピークでだんだん減ってきたわけなんですが、その間にみかんがない季節に玉ねぎを扱ったり馬鈴薯を扱ったりしていました。でも柑橘が主体ですね。
玉ねぎの選果場は長崎県と佐賀県にあります。
玉ねぎや柑橘などの選果場
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コータロー -
佐賀県は玉ねぎで有名なんですか?
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吉森さん -
そうですね。佐賀県が全国第2位の生産量です。
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コータロー -
そうなんですね。ちなみにレモンは何位でしょうか?
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吉森さん -
レモンは何位ですかね?(笑)
把握していないですけど、佐賀県のレモンは新しい産地になりますね。
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コータロー -
佐賀県の吉森さんの地域はなぜ柑橘類の生産量が多いのですか?
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吉森さん -
私がこの会社に入った時から、柑橘の生産量は多かったんですけど。みかんが増え始めた頃、他の産地は山間部にみかんを植えていたんです。
この地域は水田にもみかんを植えて増やそうという試みがあって、平野にも植えたのでそこからガーっと柑橘の生産量が増えていきました。いろんな品種が出てきたところで、こちらの土地に合った品種を植え替えてきたというところですね。
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コータロー -
水田っていうのはどんなイメージですか?
静岡ですと圧倒的に山間部にみかんの木を植えているんですよね。
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吉森さん -
田んぼに水をはらないでみかんの木を植えたって感じですね。みかんであれば売れたという時代があったんですが、だんだん美味しいみかん…糖度が問題になりました。水田のみかんっていうのは地下水が多いので、やっぱり糖度が低いんですね。それで、おいしくないというイメージが付いたのかな。
水田のところのみかん園をのちにハウスにしたんです。それで、この地域にハウスみかんが増えたんです。だから、佐賀県のこの地域は全国一のハウスみかんの産地なんです。
路地で一番多いのは静岡県の三ケ日町です。
ハウスが並んでいる様子
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コータロー -
だからハウスで育てているレモンもあるんですね。レモンは年間どのくらいの量を取り扱っていますか?
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吉森さん -
レモンは私どものほうでも15年ほどでして、今現在扱っているのが年間100トン~130トンですね。レモンは年々増えています。
特別栽培農産物レモンについて
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コータロー -
特別栽培農産物のレモンを取り扱うきっかけはなんでしょうか?
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吉森さん -
農薬とか化学肥料とか減らすという事が消費者に向けてのキーワードになってきました。レモンは皮まで使う商材ですから、特に農薬あたりは気をつけないといけないということで、やっぱり特別栽培農産物を選んできました。今までは窒素肥料、化学肥料じゃなくても窒素を使うと硝酸体窒素(しょうさんたいちっそ)とういうものが果実の中にも残りますから、えぐみのない果実を取るために肥料というものを極力減らします。
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コータロー -
土の状態がわからないと肥料をどんどんあげて硝酸体窒素が増えて味も悪くなるし、あんまり体にもよくないという話ですよね。野菜でも肥料を多く入れると育つと思って、たくさん肥料を入れる方が多くて、硝酸態窒素の値がどんどんあがって、有機栽培でも野菜に苦味が出ることがあるんですよ。土を調べると硝酸態窒素が多く検出される場合もありますよ。また、硝酸態窒素が多い野菜は加熱しないと体にもよくないと言われていますよね。
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吉森さん -
日本は地下水の硝酸体窒素濃度の基準がありますが、果物にはないですものね。ヨーロッパはあるんですがね。硝酸体窒素のことを気にしていない生産者さんが多いですね。
ご自身で栽培されている無肥料レモン
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コータロー -
吉森さんご自身でもレモンを栽培されていますね。
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吉森さん -
そうです、6年肥料をあげていないです。
ハウス栽培の無肥料レモン畑
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コータロー -
6年!柑橘でも6年肥料をあげていなくて育つんですか?
それはすごい。
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吉森さん -
社員が心配して肥料をあげましょうって言うんですよ。(笑)
1本枯れたりすると、肥料やってないから枯れるとか言うんですよ。
そうじゃない、別の原因で枯れているんですよ。
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コータロー -
土の勉強をしていないとそうゆうのってわからないですよね。
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吉森さん -
人間が余計なことをするとよくないんですよね。
肥料入れないと虫が来ないんです。最初に植えた頃はダニが来て、葉っぱが白くなるんです。
ほったらかしているとだんだん来なくなって3年目になると全然こなくなりました。
でも、6月ぐらいにカミキリムシっていうのがきて木にたまごを産むんです。そうすると、木が枯れるんです。だから、カミキリムシ対策で最初だけ1回農薬を散布するんです。
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コータロー -
柑橘は野菜と違って動かせないので、大変ですよね。
レモンの栽培や取り扱いで難しいところはなんですか?
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吉森さん -
そうですね、1回植えちゃうとそこでやっていかなくてはいけない。
難しいところは、レモンはデリケートなので、ちょうど尖っているところがあるじゃないですか、あそこは身がなくて空洞なんです。収穫時にあそこに、衝撃をあたえると傷むので、収穫してカゴや箱に入れるときは結構気をつかいます。
あとは、レモンは木にトゲがあります。危ないので刺さらないように注意しなきゃいけない。やはり、新鮮なものを出したいので収穫の時に丁寧に気を使っています。
レモンが美味しい季節は?
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コータロー -
レモンが美味しい季節はいつですか?
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吉森さん -
やはり一番美味しいのは完熟になった時、マイヤーで言えば12月後半、普通のレモン(リスボンやビラフランカ)で言えば2月ですね。
マイヤーとリスボンの違い
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コータロー -
始まりは緑ですもんね。それから緑と黄色が混じったような色で、次に黄色になって、オレンジっぽい色になるのが完熟ですよね。やっぱり樹上完熟ですか?
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吉森さん -
樹上完熟が一番味がいいですね。糖ものって酸は若干下がるんですけどね。ですから、グリーンの時は少し刺すような酸味があると思うんですが、完熟になったものは酸味もあるんですが、コクというか味が濃いような感じになってきます。
完熟したものを出すと、毎年、一人か二人、これはみかんじゃないかという問い合わせがあります。
特にマイヤー系はまるいじゃないですか、丸い上にオレンジになってきて甘くなってくるとみかんみたいな。
マイヤーはリスボンとかビラフランカよりも糖度が高くなるんです。そして酸味がちょっと下がってくるんで甘みが勝ってくるんじゃないかな?
レモンといえば尖っているリスボン系のイメージが強いですよね。
グリーンからイエローへの移り変わり
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コータロー -
レモンが出始めのグリーンレモンのおすすめの食べ方ってありますか?
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吉森さん -
グリーンレモンって季節的にあったかい時季なので、皮の香り、フレッシュさがあうのかなと思いますね。
季節によっての色と味の移り変わりを楽しんでもらえたらなと思いますね。でも、置いていても色はぐーっと黄色くなってきますよ。
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コータロー -
置いておいても完熟するのですか?
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吉森さん -
追熟といって色だけ変わります。熟成という意味では木にならしておかないと完熟にはならないですね。
グリーンレモンはグリーンレモンという品種ではなくて、黄色いレモンを早く収穫しているものなんです。それが、季節と共に寒くなると色が黄色くなっていく、一番味がのってきてほんとのレモンの香りがでます。そうゆうところを知らない方が多いから知ってもらいたいですね。
レモンを長く保存するコツ
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コータロー -
家庭でできるレモンを長く保存するコツはありますか?
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吉森さん -
保存するにはやっぱり鮮度保持袋に入れることですかね。数多く入れない方がいいですよ。2、3個入れて野菜室で保存するとけっこうもちます。
わたしどももテストしたんですけど、収穫して1か月ほどのレモンを4、5個入れんです。そうすると中で結露するんです。半分以上ダメになった。だから、2個とか鮮度保持袋に入れて保存するのがいいですね。入れすぎると水滴がたまります。
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コータロー -
なぜ、結露するんですかね?
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吉森さん -
やっぱりレモンが呼吸するから。鮮度保持袋で酸素を止めてもらうといい。
鮮度保持袋がない場合はビニール袋にいれてあげると乾燥しにくい。レモンは冷蔵保管がいいですけど、冷やし過ぎるのも良くないです。9℃か10℃前後が一番いいです。
レモンを鮮度保持袋で保存
レモンやレモンの皮を使用したレシピ
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コータロー -
レモンやレモンの皮を使用したレシピを教えてください。
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吉森さん -
皮ですと、香りづけなのでサラダなんかに入れたらいいかな。レモンってポリフェノールが多いので、レモンのはちみつ漬けなんて皮ごと使えますのでおすすめです。レモンの実もいいのですが、皮も体にいいのでまるごと使えたらいいですね。
吉森さんからのメッセージ
【番外編】びっくりエピソード!
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ある日、デコポンのハウスで作業をしていたら、上から視線を感じました。急いでハウスの外に出てみると、ハウスの上に30匹ものサルが! サルがデコポンを持って歩いてたんです。恐ろしくなって逃げました。(笑)
次の日に恐る恐るハウスに行ったら、またサルがいて、今度は子ザルがハウスを滑り台にして遊んでたんです。あれにはたまげました!
お問合せなどございましたら、下記フリーダイヤル・LINE・メールアドレスまでお気軽にご連絡ください。
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