■ 二枚の革に施す穴を狂いなく一致させる
スキンステッチでは、縫製をする前にまず針を通すための穴を開ける作業が必要になる。(左図:@)
良質なカーフはしなやかで柔らかな素材であるが、非常に強固な素材でもあるため、縫製をするような細い針では糸を通すことが困難になるからである。
僅か数ミリの革の内部を均一の間隔で縫製していく。一つ一つの穴の大きさ、位置が僅かでもズレてしまうと、釣り込みをする時にそこに負荷がかかり革が裂けてしまう。
また、ライトアングルステッチでは、“2枚の革を同時に縫製する”。そのため、それぞれの革に施す穴の位置がズレないよう、2枚の革に開ける全ての穴の位置を定めなくてはならない。スキンステッチを施す上で、最も神経を使う場面である。
この2枚の革を、予め固定した状態でズレなく縫製していく必要がある。
そこで、木型に仮留めをした状態で、縫製していく。この段階ではまだ釣り込みを行えないため、一点一点要所に固定のための釘を打っていく。(左図:A)最初にU字の内側を留め、その後内側の革に合わせて外側のアッパーを仮留めしていく。(左図:B)
この時、スキンステッチを施す穴の位置が狂いなく合うよう、“予め立体になった状態を想定して”二枚の革の穴を施しておくことが重要だ。重ねて言うが、どこか一点でもズレが生じれば、そこから靴は破綻してしまうからである。
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