お年賀コラム:初日の出 一年の始まりを告げる「初日の出」。その年の最初の日の出のことを言います。初日の出を見るために眠い中早起きした経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか?早起きして新年への思いを新たにしたり、風景の美しいところへ出かけて、初日の出の写真を撮影したりするのもいいですよね。 ところで初日の出を見る意味とは何なのでしょう?ご来光と初日の出は違うのでしょうか? |
「ご来光」とは、高山や山頂などで、尊いものとして望む日の出のこと。現在では山頂の日の出の意味に使われることが多いですが、もともとは御来迎(ごらいごう)と書き、山頂近くの高い雲に自分の影がうつされると,色の付いた光の輪を背負った仏の像に見えることをいいました。有名なところでは富士山のご来光があります。 なぜ富士山のご来光が有名なのかというと、山が高ければ高いほど早くご来光を拝むことができ、ご利益があると考えられているからです。もちろん富士山以外の山から見る日の出も「ご来光」です。 一方「初日の出」とは、元旦の日の出のことです。元旦に見る日の出は、どこから見ても初日の出ですが、高山から見たものでなければご来光ではありません。 日の出が話題になるのは元旦の初日の出くらいなため、ご来光と初日の出は同じと思われがちですが、ご来光は元日に限った表現ではなく、前述したとおり高山から見た日の出です。 初日の出を見ながら手を合わせる文化もありますが、何に対して拝んでいるのか知っていますか?実は同じ日に同じ場所で見る太陽であったとしても「ご来光」というか「初日の出」というかによって、手を合わせて拝む信仰の対象は全く異なるんです。 ご来光はお釈迦様が光を背負って來迎するのになぞらえたものですから、信仰の対象は仏教。 対して初日の出は、豊作の守り神である年神が、初日の出とともに降臨すると信じられていたことから拝むようになったもので、信仰の対象は神道です。 |
日本では古来より、初日の出とともに年神様(毎年お正月に各家にやってきて豊作や幸せをもたらすとされる神様)が現れるとされ、おめでたいと考えられていました。 初日の出を拝むことで、年神様にその年の豊作や幸せを祈る意味があります。 元旦に天皇陛下が天地・四方・山稜を拝礼する「四方拝」にならい、庶民の間でも初日の出を拝むことが習慣になり浸透していったと考えられています。 (※四方拝とは…元日の午前5時半に、皇居の宮中三殿の西にある神嘉殿の南にある庭に設けられた施設に入り、国家・国民の安寧と五穀豊穣を祈るもの) |
初日の出の前に、新年最初の夜空も眺めてみてはいかがでしょうか。 天気がよければ時間の経過とともに現れる様々な明るさと色の星を観察することができます。 そして、星々の光が空の中にとけて消えていくと、間もなく初日の出です。 |
①日の出とは、太陽の上端が見かけ上の地平線・水平線に一致した時刻を指します(日の入りも同様)。 ②地平線近くに位置した太陽は、大気の影響によって実際よりも浮き上がって見えます。このため、実際にはまだ地平線の下にある太陽が、大気の影響がないと考えた場合と比較して4分ほど早く日の出を迎えます(同様に日の入りも約4分遅くなります)。 ③日本で最も早く初日の出が見られるのは、日本の東端である「南鳥島」です。本州では「富士山山頂」、平地に限れば千葉県の「犬吠埼」です。なお、日の出が最も早い場所は一年のうちの時期によって変わります。 日本の西端である「与那国島」の初日の出は東端である「南鳥島」と実に2時間以上の差があります。 ④日の出の時刻は標高が高いほど早くなります。また当然ながら、日が昇ってくる方向に山やビルがあり視線が遮られればそれだけ遅くなります。 |