木をあるがままの色で透明塗装をするのも良いですが、着色をすることで木もまた一味違った表情を見せてくれます。
着色作業は一回の作業でも結構ですが、2〜3回行う事で希望の色味に近づけ易くなり、色も安定して深みのある表情となります。
◇水性ステインを効果的に使う
オイル着色塗装では、希望の色合いが出せなかったり、濃色にするのが難しかったりする事があります。
そのような場合に効果的な解決方法が、水性ステインを下に塗る方法です。
水性ステインは乾くと水にも溶剤にも溶けなくなりますので、上に別のカラー塗料を重ねる事で色の重なりが生まれ、深みのある濃い着色が可能となります。
また、水性ステインは無臭で引火性もありませんので安全です。
1.水性ステイン
希望の仕上がりに近い色を選択して塗る 刷毛塗後布で拭き取っても可(乾燥時間1時間)
2.リボス/カルデットやオスモカラー/ウッドワックスといったカラーオイルの希望色を塗装
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リョウビS3600サンダーでの素地研磨重量のあるサンダーならではの快適な研磨です。 |
水性ステイン/ダークブラウンを水で20%薄めて塗り込み |
1〜2分放置後布で拭き取ります。
時間が経ち過ぎるとネバルので注意。
1時間乾燥 |
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水性ステインを塗っていない部分の境目に
カルデット/ウォルナット を塗って着色差を見る |
カルデット/ウォルナット を塗布15分後拭き取って色の差を見ます。
左は水性ステイン無し。 |
水性ステイン/ダークブラウンを下塗り後、カルデット/ウォルナットで仕上げた状態。 |
ウレタン塗装のページでご紹介していますが、水性ステインで着色を施してからウレタン塗装で仕上げることで、より深みのある色合いが表現できます。
ここでは、代表的な工程をご紹介しましょう。
1.水性ステイン
希望の仕上がりに近い色を選択して塗る 刷毛塗後布で拭き取っても可(乾燥時間1時間)
2.ハンディーウレタン
RZ100サンジング(中塗り)
乾燥後研磨をして表面を整える
3.ハンディーウレタン スーパーストロン艶有〜100%艶消し(仕上げ)
OFステインを添加して着色しながら仕上げ
さらに上記工程で1と2の間に、ワイピング(目止め)着色を行う事もできます。
この着色方法はRフィラーという目止めベースにリベラカラー(顔料系着色剤)やOFステイン(染料系着色剤)等を配合し、刷毛塗後直ちにウエス(布)で拭き上げる作業を言います。
着色と共に目止め効果を持たせ、上に塗装する塗料の吸い込みを低減し、滑らかな塗膜を作る事が出来ます。
配合例をご紹介します。
Rフィラー(目止め剤)・・・・・・100g
リベラカラー又はOFステイン (両者の混合でも可)・・・・・5〜50程度(着色濃度による)
ストロンTXLシンナー・・・・・30〜40程度
また、別な組み合わせとして、3の工程をカシュー塗料の透明塗料4種 ネオクリアー・クリアー・淡透・透 のいずれかに置き換えることにより、仕上げのみカシュー塗料を使った簡便で木目の引き立ったカシュー塗りができます。
◇水性ウッドステインとクラフトカラーオイル・クイックカラードライ の組み合わせ
水性ウッドステインを下塗り(左写真)
1時間乾燥後にエシャ クラフトカラーオイル又はクイックカラードライで仕上げています(右写真)
水性ウッドステインの詳しい説明は >>> こちら
エシャ クラフトカラーオイル、又はクイックカラードライ単独での色調と比較すると、色の深みが増しているのがわかります。
下色と上色を重ねることにより色に深みが生まれ、独特のオリジナルカラーを表現することが出来ます。
左のウッドステインの配合
・水性ウッドステイン#13チーク又は#22レッドエルム・・・・・100
・水道水・・・・・300
水性刷毛で塗りっぱなし 乾燥時間は1時間 水性ウッドステインのご注文は >>> こちら
◇水性ステイン(水性ウッドステイン)/白を使って白色塗装の提案
着色顔料の中でも酸化チタンのような白色顔料は光を透過せず不透明ですので、素地の色が透けて見えにくくなります。
しかし、その隠蔽力は強い方ではありませんので、希望する白味の程度によって工夫が必要です。
下の表は、パイン材無垢に3通りの方法で白い着色塗装を試みています。(写真クリックで拡大)
リボス自然塗料のカルデット・タヤエクステリアは、それぞれ刷毛塗り後に拭き取りをしています。
水性ステインの配合は下記の通りで、塗りっぱなし塗装をしています。
・水性ステイン/白・・・100g
・水道水・・・100g
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パイン無垢材 |
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カルデット白1回目 |
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カルデット白2回目 |
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タヤエクステリア白1回目 |
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タヤエクステリア白2回目 |
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水性ステイン白 |
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タヤエクステリア白 |
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仕上げとメンテナンスについて
このように、水性ステインを下塗りしてからの白のオイル塗装(タヤエクステリア)は、白く仕上げる事において大変効果的です。
しかし、白味が増すにつれて、当然ながら杢理の微妙なコントラストが無くなり、白く平均した色合いとなります。
カルデット又はタヤエクステリアのコントラストの効いた白い仕上がりと、好みが分かれるところだと思います。
▼オイル白色塗装の色押さえ仕上げ又はメンテナンスはどうしたら良いのか?
オイル白色塗装は汚れの目立つ塗装ですが、安易にクリアーオイルを上塗りすることは出来ません。
白色の上では白以外のわずかな色差も際立って見えますので、オイルの薄いあめ色や経時で変わる色変化も変色として見えます。
お好みの白に仕上がった状態を汚れから守る為、仕上げオイルをしたいとお考えの場合のご提案です。
カルデット/白とクノスを半々に混合したもので仕上げ |
タヤエクステリア/白とクノスを半々にしたもので仕上げ |
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殆ど白色は付きませんので、仕上がりのイメージを変えない仕上げコーティング。
拭き取り後は着色されません(右写真) |
うっすらと白色を補いながらの最終コーティング。
拭き取り後、うっすらとした着色が見られます(右写真の上半分)
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ご紹介した2種類のご提案は、クノスを使い、色付きを防ぎながら汚れ防止のコーティングを行う方法です。
オイル白色塗装の仕上げとして、またメンテナンス塗装の際にも有効な塗装手段だと思います。
木目や木味が残った白色塗装にはカルデットと半々、白味の際立った塗装にはタヤエクステリアと半々の配合が適す思います。
お好みによって、クノスをメルドスハードオイル又はアルドボスに置き換えても結構です。
Q:オイルのクリアーはどうして色が付くのでしょうか?
A:植物オイル塗料は、それ自体に薄くあめ色が付いており、塗装後は時間の経過と供に黄色く色が増してきます。
これは油の酸化反応によるもので、オイルフィニッシュで塗られた木材が年月と供に色合いを増し、良い風合いとなっていく事でよく知られています。 |
◇アルコール系顔料着色剤「コンビステイン」と
アルコール系染料着色剤「パイルステイン」を効果的に使う
水性ステインと同じように木の素地を着色し、上に塗る塗料とのコンビネーションにより深みのある着色塗装をするのに効果的な着色剤として、アルコール系着色剤があります。
メタノールというアルコール溶剤を主体として使用している為、水性ステインよりも乾燥が速く、乾燥後の毛羽立ちも少ない特徴があります。
顔料タイプのコンビステインと、染料タイプのパイルステインの2種類があり、それぞれ特徴があります。
コンビステインは色ムラの少ないやわらかで導管の引き立った着色に向いています。
→ コンビステインのご注文
パイルステインは着色力を効かせた鮮やかな木味の着色塗装に向く素地着色剤です。
→ パイルステインのご注文
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←左の写真は、杉板にパイルステイン/P01ブラック100ccに対しコンビシンナー350ccで配合したもので刷毛塗り着色した後に、メルドスハードオイルで仕上げをした状態です。
木目の引き立ったオイル塗装になっています。 |
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右→の写真は、同じ杉材にコンビステイン/イエロー10g・ブラウン12g・ホワイト100gの配合に対し、コンビシンナーを2リットル配合したもので、刷毛塗り着色した後にメルドスハードオイルで仕上げをした状態です。
色ムラの無い柔らかな雰囲気の仕上がりが実現します。 |
このように着色剤と塗料を組み合わせる事で、普通ではなかなか出しえない色合いを表現し、オリジナリティー溢れる仕上がりが可能となります。
また、着色剤を素地に塗る事は、あらかじめ樹脂と着色剤が混じった状態のカラー塗料を塗るよりも色ムラが少なく、均一な着色が可能である言えます。
上でご紹介したアルコール着色剤の写真の様に、素地着色を施してから透明オイルを塗るといった塗装工程は、吸い込みムラによる色ムラの発生が少ないカラーオイル塗装の一案だと思います。
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