へそくりがなくなる恐怖?! 自覚のない鉄欠乏のはなし

生命に関わる働きをする重要な鉄は、欠乏することのないように、全身に貯蔵鉄(フェリチン)として鉄をキープしています。まるで 家中にへそくりを隠しているみたい。

食生活の偏り等で鉄分が不足し始めると、体は貯蔵鉄を使ってなんとか体を維持しようとします。へそくり貯金を使っているので、一見何も問題がなさそうに見えるのですが、 なぜか疲れやすい。やる気が 起きない。一日体が持たない。気持ちが塞ぐ、などの理由のわからない調子の悪さが現れはじめます。しかも、一見貧血じゃないし、血液検査も問題ないのです。

全身に酸素を運ぶという非常に重要な働きをするヘモグロビン。鉄が不足し始めると、ヘモグロビンの数を一定に保つために、へそくり貯金の貯蔵鉄(フェリチン)を使い始めます。鉄が補給されればすぐにストックも戻るのですが、最初は多少の減りにも自覚がなく、ちょっとした疲れ程度にしか感じません。しかし、自覚のないうちに貯蔵鉄の使い込みは進行し、だんだん精神面や体調にも不調が現れ始め、貯蔵鉄さえすっからかんになってしまいます。こうなると、ついにヘモグロビンが減少し赤血球が減少し、やがて本当に貧血症状が始まってしまうのです。この貯蔵鉄(フェリチン)値は普通の健康診断や血液検査ではチェックできず、最初は貧血などの症状にはならないこともあり、なかなか「鉄不足」を自覚することができない人が多いのです。

現代の日本人に増えている「潜在性鉄欠乏」。かくれ鉄分不足。気付かない間に進行する貯蔵鉄の欠乏に注意が必要です。何だか無性にお肉が食べたいのは鉄欠乏の兆候かも?!焼肉に行くと盛り上がる人が多いのは、ヘム鉄を補給できるからかもしれません。