ヘム鉄と非ヘム鉄の違い

一口に鉄、と言っても、実は鉄には種類があります。主にヘム鉄と非ヘム鉄の2種類に分けられ、肉や魚など 動物性食品に多く含まれるのがヘム鉄、野菜や穀類など 植物性食品に含まれるのが非ヘム鉄です。


赤血球の中にはヘモグロビンが存在しています。ヘモグロビンは血液のあの赤い色を構成する赤い色素で、ヘム鉄とグロビン(たんぱく質)から構成されています。 ヘム鉄は酸素を身体のすみずみまで運ぶ役割を担っています。このため、ヘム鉄を摂る方が効率的で吸収力も5倍以上高いのですが、日本人の食生活上は非ヘム鉄を摂る場合が多く、獣肉の消費量も比較的少ない為、どうしても鉄が欠乏しがちな日本人が多くなってしまいます。



非ヘム鉄は腸管から吸収される際に食物繊維やタンニンなどからの吸収阻害を受けてしまいます。しかも、むき出しのまま吸収された鉄が胃壁や腸管を荒らすことも。それに対し、ヘム鉄はポルフィリン環に囲まれているおかげで胃壁や腸管を荒らしにくく、食物繊維やタンニンなどからの吸収阻害も受けにくい優しい素材です。

日本では昔から鉄分補給に鉄卵や鉄のフライパンなどを使うことがありましたが、このような鉄器の鉄は非ヘム鉄であり、元々酸化しやすい鉄なので、体はますます酸化しやすくなってしまいます(活性酸素の増加)。体に優しく、かつ、効率的に鉄分補給をするなら、ヘモグロビンの構成物質であるヘム鉄を補給することがポイントです。