索引   Index

   A

甘口  【あまくち】  sweet

甘く感じる酒のことであるが、日本酒には糖分の他にもアルコールはもちろん、アミノ酸や酸類など非常に多くの呈味(ていみ)成分が含まれており、それらの総合された味を感じることになる。
したがって、糖分の量だけでは判断できないが、一般的には酒中に3%以上の糖分が含まれると甘く感じるようになる。また同じ糖分でも酸(乳酸、コハク酸、リンゴ酸など)が少ないと甘さが引き立つ。

甘酒  【あまざけ】  amasake

発酵させたもので、でんぷん質を糖化させるため甘い飲み物になり、アルコール分は含まれていない。日本酒と原料が同じで、長時間発酵させると日本酒になるので、「甘酒」という名がついた。
別名「一夜酒」、「なめ酒」ともいう。 江戸時代では、甘酒は夏の飲み物として売られていた。俳句の季語を調べると、甘酒は夏の季語となっている。

アミノ酸度  【あみのさんど】  amino acid degree

酒に含まれるアミノ酸量のこと。
この量が多いほど濃醇で雑味を感じやすくなり、少ないときれいで淡麗な味になるといわれている。

荒走  【あらばしり】  arabashiri

酒袋に醪(もろみ)を詰め、それを槽の中にいくつもならべて積み重ね、自重で自然にしぼられて出てくる最初のお酒がを「荒走」という。もともとは新米(その年に収穫されたお米)で醸造したお酒のことで「新走」と書かれる。
白く濁っていて、炭酸ガスが残っていることから、ほどよい酸味があって、新酒独特の新鮮な香りが漂う。

男酒  【おとこざけ】  otokozake

硬水を用い、発酵を強く進めた短期醪から醸出される辛口酒。酸はやや多め。これに対して「女酒」がある。

女酒  【おんなざけ】  onnnazake

男酒」に対する言葉で、軟水を用い、穏やかに発酵させた長期醪から醸出される甘口酒。なめらかで、比較的酸は少なめ。

   KA

活性酒  【かっせいしゅ】  active sake

酵母菌が生きているために、酵素が活性化している酒。多くは発酵中の酸のような炭酸ガスを含んだにごり酒で、口に含むとぱちぱちとした心地よい刺激がある。

寒造り  【かんづくり】  kandukuri

11月頃から3月頃までの寒い時期を選んで行われる酒造りのこと。寒い季節は酒造りには理想的な条件が揃っており、醸出される酒の品質も最良である。

辛口  【からくち】  karakuchi

甘口の対の表現で、糖分含量が少な目の酒。日本酒度(酒の比重を表現する日本酒の用語)で表示した場合に、(+)符号(純水の比重より軽い酒)の付いた数字の大きいものほど辛口となり、逆に(−)符号の数字が大きくなるほど甘い酒となる。

生一本  【きいっぽん】  ki-ippon

米、米麹、および水を原料とし、一カ所の製造所だけで造られた純米酒。「混じり気のない酒」という意味。

利き酒  【ききざけ】  kikizake

お酒を口に含み、その良し悪しを人の感覚で評価すること。判断基準は色、香り、味などで、通常口に含んだ酒は、味わった後に吐く。

利き猪口  【ききちょく】  kikichoku

「きき猪口」とは、日本酒を「きき酒」する際に使う、本来は業務用の器。白い磁器製で内側の底に青い輪が2つ描かれている(蛇の目模様)。この蛇の目の部分でお酒の透明度(サエ・テリ)を判断する。

貴醸酒  【きじょうしゅ】  kijou-shu

酒を仕込む際、仕込み水の半量、または、その一部に清酒を用いて造られるお酒。濃厚な甘口の風味が特徴で、通常食前酒として飲まれる。

生もとづくり  【きもとづくり】  kimotodukuri

酒母(しゅぼ。もとともいう)を造る際、、蒸米、水の仕込物料を櫂(かい)ですりつぶす「山卸し(やまおろし)」という作業を行い、天然の硝酸還元菌や乳酸菌を育てて雑菌を殺し、アルコール発酵に必要な優良酵母だけを純粋に大量培養する方法。出来上がるまでに30日ほどを要する手間と時間をかけた手法である。
現在はもっと短期間で出来る普通速醸酒母、高温糖化酒母等が考案され広く使用されている。

吟醸酒  【ぎんじょうしゅ】  ginjou-shu

使用原料は精米歩合60%以下の米(白米)、米麹、水、醸造アルコールと製造条件に規定のある酒の1つで、しかも吟味(突破精麹、の低温長期発酵、粕歩合が多い、長めの熟成期間)して造られた、いわゆる吟醸造りの手法で醸された酒のこと。独特のフルーテイな香りと、淡麗な味わいが特徴。

吟醸造り  【ぎんじょうづくり】  ginjoudukuri

製造過程において特別に吟味して醸造すること。 通常よりも更に精米歩合を高くした白米を、優秀な酵母を使って低温でゆっくり発酵させ、特有な芳香(吟醸香)を有するように醸造することを言う。

蔵人  【くらびと】  kurabito

清酒醸造場にあって酒の製造に従事する人々。蔵子ともいう。

k−9号酵母  【け-ないんきゅうごうこうぼ】  k-9goukoubo

「協会9号」「熊本9号」。短期もろみで華やかな吟醸香が高い。
吟醸酒の誕生に大きな役割を果たした酵母で、その意味ではむしろ協会7号よりも香りは高い。芳香を持つ酒を醸すのに非常に適しており、今日でも吟醸酒の多くに用いられている。「熊本9号」と呼ばれる所以は、熊本県の『香露(こうろ)』の醪から分離されたため。またこれから派生した「9号系酵母」も多く存在する。

原酒  【げんしゅ】  genshu

醪(もろみ)をろ過することで出来る生まれたままの日本酒で、ろ過後アルコール度数調整などの目的で割り水(加水)の操作を行っていない酒。アルコール度数は18〜20度と高めなのが普通。

  【こうじ】  kouji

蒸米に麹菌(黄こうじカビ)を育成させたものが麹で、蒸米のでんぷんをぶどう糖に変えてくれる糖化酵素や、米に含まれている蛋白質をアミノ酸に変える蛋白質分解酵素などを大量に生成する。
日本酒造りに使用する総白米重量の約20%を麹にして使用するが、“1、2酒母、3もろみ”のことわざにもあるように、の出来不出来によってお酒の味が大きく左右される。

麹菌  【こうじきん】  kouji-kin

カビの一種で生長すると黄緑色の胞子(種)を大量に造るので黄麹カビともいう。
清酒はもちろん、醤油、味噌、みりん造りの有用菌として古くから広く用いられ、蒸米のデンプンをブドウ糖に変える糖化酵素を造るだけでなく日本酒特有の芳香の生成にも大きく係わっている。

硬水  【こうすい】  hard water

硬度の高い水。カルシウムイオンやマグネシウムイオンが多量に含まれている。アメリカやヨーロッパの水に多い。
逆のものは軟水という。語源については、欧米の【hard water】がそのまま和訳されたというもの、物を硬くする成分を含んでいるため硬水といわれる(『豆を煮ると豆が固くなる水』、『絹を精錬するとき絹が固くなる水』)というものがある。

硬度  【こうど】  hardness

水の硬水軟水の程度を硬度という数字の大小で表現したもの。硬度の程度を表現する数字で3以下の水を超軟水、3〜6を中程度の軟水、6〜8を軽度の硬水、 8〜14を中等度の硬水、14〜20を硬水、20以上を高度の硬水という(国税庁所定分析法注解による)。

酵母  【こうぼ】  yeast

によって生じた糖分をエタノール(アルコール)と、炭酸ガスに分解する性質を持つ単細胞微生物。日本酒固有の風味、香味は酵母によって造られる。

古酒  【こしゅ】  koshu

一般的には3年以上熟成させた日本酒のことをいう。ただし、酒造現場では酒造年度(7月1日〜翌年6月30日)が変わると、それ以前に造られた酒はすべて古酒と呼ぶ。

五百万石  【ごひゃくまんごく】  gohyakumann-goku

昭和32年(1957年)に新潟県で命名された日本酒造り専用品種の一つで、用途区分からは醸造用玄米と呼ぶのが正式であるが、酒造業界では酒造好適米と呼び、もち米やご飯用の品種(酒造業界では飯米と呼んでいる)と区別している。全国の最大産地が新潟県で淡麗タイプの日本酒造りに適しており、新潟県では平成15酒造年度で、麹米用を中心に約14万5千俵(8,700トン)が使用されている。

   SA

酒粕  【さけかす】  sakekasu

清酒のを搾った時に出る固形分。
酒にならなかった米粒や、の残りかす、酵母菌、少量のアルコール分が含まれている。
酒米を醸造すると重量比で25%ほどの酒粕が取り出され、その成分は日本食品標準成分表によると、水分51%・炭水化物23%・蛋白質13%・脂質・灰分となっており、他にもペプチド・アミノ酸・ビタミン・酵母(酒母)などが含まれているので栄養的には優れており、健康食品としての観点から価値が見直されているが、近年は日本酒の生産量が減少していることから、副産物である酒粕も流通量が減少傾向にある。

三段仕込み  【さんだんじこみ】  sandanjikomi

醪(もろみ)を仕込む際、あらかじめ造っておいた酒母(しゅぼ)の全量に水、、蒸米を3回にわけて全体を仕上げる仕込みの方法。1回で全量を仕込んでしまうと酒母で純粋培養された優良酵母の濃度や酸濃度が薄まり、もろみを腐敗させる雑菌の侵入を許すことになるので、雑菌汚染に対する免疫力を高めるため少しづつ仕込み、酵母数や酸度を増やしながらの仕込法である。
各段の仕込量の割合を白米換算量(白米量は蒸米とに分けられているので)は、酒母が白米全体量の約7%でこれを1とすると、1日目に仕込む一段目“初添え”(はつぞえ)は2倍の14%位、2日目は仕込みを休んで酵母数を増やす日で“踊り”という。
3日目の2回目の仕込みが“仲添え”で4倍の28%位。4日目の3段目が“留添え(とめぞえ)”で残り全部の50%前後量を仕込んで仕込み終了となる。

酸度  【さんど】  acid degree

酒の中の有機酸の総量を表した数字。酸度が高いと辛く、低くなると甘く感じられる。

仕込み水  【しこみみず】  shikomimizu

酒の味を左右するのが米と水。特に水は日本酒の八割以上を占める重要な成分となる。
水には硬水軟水があり、雨、雪は軟水。土にしみ込んで硬水になる度合いを硬度とう。硬度0が超軟水。日本の水道水の平均は硬度60。
リンやカリウムの多い硬水で仕込むと辛口の酒に、軟水で仕込むと甘口の酒になりやすく、有名な仕込み水として灘の「宮水」(硬水)、伏見の「伏水」(軟水)などがある。

搾り/上漕  【しぼり/じょうそう】  shibori/joushou

熟成させたを酒袋に入れて槽で、または連続搾り機で搾ること。搾って出てきたものが清酒、残ったものが酒粕

酒造好適米  【しゅぞうこうてきまい】  shuzoukoutekimai

酒造りに適している米。米粒が大きく、心白(米粒の中央部の白く濁った塊)の発現率が高く、蛋白質が少ないことなどが条件。山田錦五百万石、雄町をはじめ、20数種類ある。

酒母/もと  【しゅぼ/もと】  shubo/moto

醪(もろみ)の発酵のもとになる種のこと。含糖質物を発酵させることができる酵母、あるいは、培養されたもので、含糖物質を発酵させることができる酵母に麹を混和したもの。

純米酒  【じゅんまいしゅ】  junmai-shu

「清酒の製法品質表示基準」という法律の定めにより、製造方法と品質がその条件を満たしている場合に付けることの出来る名称を“特定名称”と呼び、8種類の酒が決められている。そしてこの特定名称8種類すべてに、使用原材料等の表示の他に精米歩合の表示が新規に義務付けられた。
そのうちの一つ“純米酒”と表示してもよい条件として「白米、米こうじ、及び水を原料として製造した清酒で、香味及び色沢が良好なもの」とあるように、ただの純米酒には精米歩合の基準がない。もちろん“純米”の2文字のつく酒は、醸造アルコールや糖類の使用はできない。純米酒は味が濃く、芳醇な味わいを特徴とする。

純米吟醸酒  【じゅんまいぎんじょうしゅ】  junmaiginjou-shu

純米酒は白米の精米歩合についての基準がないが、吟醸という文字の入る純米吟醸酒は60%以下の条件があり、かつ「吟醸造りで固有の香味、色沢が良好」の条件を満たしている酒のことである。醸造アルコール、糖類は無添加。

純米大吟醸酒  【じゅんまいだいぎんじょうしゅ】  junmaidaiginjou-shu

精米歩合50%以下で、「吟醸造り、固有の香味、色沢が特に良好」が条件で、醸造アルコール、糖類は無添加の酒。

醸造酒  【じょうぞうしゅ】  jouzou-shu

原料を発酵、および糖化発酵させてそのままのもの、またはこれを単に濾過する程度で飲む酒類のことで、これに対するのが「蒸留酒」。

醸造アルコ-ル  【じょうぞうあるこ-る】  jouzou alcohol

でんぷん質物や、含糖質物から醸造されたアルコール。にこれを適量加えると、香りが高く、スッキリした味わいになる。さらに、アルコールを添加することにより、清酒の香味を劣化させる乳酸菌(火落菌)の増殖を防止することもできる。

新酒  【しんしゅ】  shin-shu

その年(7月1日から翌年6月30日まで)に造られた酒。まだ熟成が進んでいないため特有の若い香り(新酒ばな)が残っている。新酒は12月から2月くらいの冬季に販売されることが多い。これに対するのが「古酒」。

精米  【せいまい】  seimai

米粒の外側のヌカや胚芽の部分(この部分には、製成酒の香りや味を劣化させるたんぱく質や、脂質が多くふくまれている)を削り落とし、磨き上げること。磨けば磨くほど良い酒ができるといわれている。

精米歩合  【せいまいぶあい】  seimaibuai

玄米を精米すると白米と米ぬかが出来るが、玄米の重量に対する白米の重量割合を%で表わしたもの。例えば、精米歩合60%の白米とは、100kg の玄米を精米した場合、白米が60kg、米ぬかが40kg出来た場合をいう。精米歩合の小さな白米を使用すると雑味の少ないスッキリした味わいのお酒になる。

増醸酒  【ぞうじょうしゅ】  zoujou-shu

白米1トンにつき、2.400l(アルコール分30%に換算した数量)の調味アルコールを添加したお酒で、第2次世界大戦後、酒造用米が不足したために造られた。収量が約3倍になることから3倍増醸酒とも呼ばれている。

   TA

大吟醸酒  【だいぎんじょうしゅ】  daiginjou-shu

精米歩合50%以下の白米使用で、「吟醸造り、固有の香味、色沢が特に良好」であり、醸造アルコールも規定量以下の使用の酒のこと。一般的には、原料米は最良の酒造好適米を使用し、吟醸香が高く優雅で気品にあふれた風味を特徴としている。

貯蔵  【ちょぞう】  storing

火入れされたお酒を出荷時の瓶詰めまで貯蔵タンクで寝かせておくこと。この期間に香味の熟成がおこるため、新酒の荒々しい香味が丸く、穏やかになる。通常は15〜20度、吟醸酒生酒は2度くらいで保管する。

杜氏  【とうじ】  toji

酒を造る技能者の長。その他の技術者は蔵人と総称して区別する。杜氏は、酒造技術面に長けているだけでなく、統率力、判断力、管理能力に秀でた人格者であることが要求される。

特定名称酒  【とくていめいしょうしゅ】  tokuteimeishoushu

本醸造酒純米酒吟醸酒を総称した呼び方で高品質酒のことを指す。原料、製造方法の違いによって8種類に分類される。

特別純米酒  【とくべつじゅんまいしゅ】  tokubetujunmaishu

精米歩合60%以下の白米、米麹、および水を原料として製造した清酒で、香味および色沢が特に良好なもの。

特別本醸造酒  【とくべつほんぞうじょうしゅ】  tokubetuhonzoujoushu

精米歩合60%以下の白米、米麹醸造アルコール(重量は白米重量の10%以下)、水を原料とした清酒で香味および色沢が特に良好なもの。

   NA

生酒  【なまざけ】  namazake

出荷までに2回(貯蔵時・瓶詰め時)の火入れ殺菌を行う清酒に対し、2回とも火入れを行わない酒のことをいう。搾りたての新鮮な味と香りがあり、通常冷やして飲む。

生貯蔵酒  【なまちょぞうしゅ】  namachozou-shu

火入れをしないで低温貯蔵した清酒を、出荷の直前に一度だけ火入れするもの。本来の酒の生としての旨みが生きている生酒に最も近い状態の清酒。

軟水  【なんすい】  soft water

硬水とは逆にカルシウム、マグネシウム分の少ない水。

にごり酒  【にごりさけ】  nigorisake

を目の粗い布や網で搾ったときに出る白く濁った酒のこと。生酒活性酒)であることが多いが、原材料によって、純米酒本醸造酒などの種類もある。

日本酒度  【にほんしゅど】  nihonshudo

日本酒の比重を表すために定められた単位。一般的に糖分が多く比重が大きいと(-)に傾き、逆の場合は(+)に傾くので甘辛の目安にもなるが、酒の甘辛は、酸の多寡によっても変わってくるので、あくまでも一応の目安である。