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金属類毎に記載されている「強度」や「耐食性」の各種記号の意味は、以下の通りです。
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鉄は自然界において、化合物として土壌・岩石・鉱物などの中に存在します。 Fe(鉄)原子はそれ自体では非常に不安定なため、酸素と結びついた酸化鉄の状態で存在しています。 よって、製綱メーカーが鉄鉱石から鉄を取り出すときには、不純物と同時に酸化鉄から酸素も取り除いています。 取り出した鉄は放っておくと、安定した状態に戻ろうとして、すぐに酸素と結び付く特質があるため、錆びてしまうわけなのです。 鉄は、安価で比較的加工しやすく、入手しやすい金属であるため、ネジでも多く流通しています。 一般的に鉄と呼んでいるのは、実は鋼になります。 鋼とは、2%以下の C(炭素) を含んだ鉄の合金で、ほかにも Mn(マンガン) や P(リン)、S(硫黄) などを微量に含んでいます。 ネジもこの鋼から作られています。 また、含有する物質の量などの違いにより、名称や特性・強度が異なります。 |
材質名称 | 強度 | 耐食性 | 説 明 |
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鉄 | △ | × | 「橋、船舶、車両、その他の構造物に用いる一般構造用の熱間圧延鋼材」として「JIS G 3101」にて規定されており、一般的に「 SS材 」と呼ばれ、鉄鋼材の中でも最も使用頻度の高い材質です。 ネジもこれから作られ、一般的に多く流通している材質です。 |
S45C | △ | × | 機械構造用炭素鋼と呼ばれる高炭素鋼です。 「45」とは「炭素」の含有量(0.42〜0.48%)の代表値になります。 鉄よりも炭素を多く含んでいるため、焼き入れ性がよく、熱処理を施すことで機械的性質が向上し、鉄より強度があります。 炭素鋼の中では価格も高すぎず、市場に多く流通している材質です。 |
SNB | ○ | × | 高温で使用されるバルブ・フランジおよび、継手に使用する、耐熱、高温用のボルト・ナット材で、高温用合金ボルト材と呼びます。 繰り返し荷重に対して強度が高いボルト材で 、用途使用温度が約400〜450度になります。 鉄やS45Cよりも強度があります。 |
SCM435 | ◎ | △ | 機械構造用合金鋼において、炭素量0.33〜0.38%程度のクロムモリブデン鋼鋼材で、焼き入れ性を良くした合金鋼です。 焼き戻しに対する特性も良いので、熱処理(調質)をして高強度を出すことができます。 また、500度前後の高温下でも強度が低下しにくいといわれる材料で、高温高圧が前提となる箇所に使われることもあります。 Cr(クロム)が含まれるため、鉄よりも耐食性に優れていますが、ステンレス材の腐食耐性を持つに十分な量はない。 鉄の中では一番強度があります。 |
ステンレス(Stainless)とはステイン(Stain)汚れ、とレス(Less)無いの造語で、12%以上のクロムを含んだ錆びにくい金属のことです。 その主成分は 「鉄」 ですので絶対に錆びないということは有りません。 錆びにくいその秘密は、ステンレス内に含まれているクロムを主体に、ニッケルなどの合金元素の種類とその含有量とに応じて、その表面に形成される極く薄い(ナノメーター単位)酸素系不動態化被膜の作用効果によるものです。 鉄に12%以上のCr(クロム)を含ませると、鉄が酸化するよりも先にCr(クロム)が酸化し、表面全体に酸化クロムの膜ができます。 この膜は、無色透明でとても薄いので肉眼では識別できません。 この膜は化学的に安定(化学変化しにくい)しており、ち密でとても強固なため、酸素を通さず酸化鉄(さび)の発生を防ぎます。 この酸化クロム膜は加工・切断などでキズついても、Cr(クロム)が適量(12%以上)あれば空気中の酸素と結合してすぐ再生します。 ただし、この膜を再生するときにステンレス内部のCr(クロム)の含有率は低くなっていきます。 ニッケル(Ni)は、この不動態化被膜を形成しやすくする働きをします。 このようにクロム、ニッケルの量が多いほど錆びにくくなるということです。 |
材質名称 | 強度 | 耐食性 | 説 明 | |
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オ ーステナイト系 |
ステンレス (SUS304相当) |
△ | ○ | 本材質はステンレス種の中でも、最も代表的なオーステナイト系のステンレス鋼です。 耐食性は優れていて、機械的性質も良好です。 家庭用品から工業用品まで広く利用されています。 冷間加工によって硬化し、磁性が発生することもあります。 また、本材質内には 「A2-50」 と 「A2-70」そして「A2-80」 の3種類が存在し、語尾の50、70、80が強度を表しており、「A2-80」 が一番強度が高い材質となります。 「A2-80」は、サンコーインダストリ株式会社の「プレミアムステンレス」になります。 「A2-70」や「A2-80」は、キャップボルトや六角ボルトで使用され、「A2-50」は「六角ボルト」や「小ねじ」で使用されることが多いようです。 「A2-50」の強度は 「鉄」 とほぼ同等と言われ、「A2-70」は「S45C」とほぼ同等と言われています。 |
SUS303 | △ | ○ | ステンレスは硬くて、熱膨張しやすく、さらに、ねばり気があるため切削加工しにくい材料です。 この切削性を改善するために、P(リン) と S(イオウ) を添加した切削加工用のオーステナイト系ステンレス鋼がSUS303です。 ステンレス(SUS304相当)よりも耐食性は劣ります。 また、溶接には向きません。 |
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SUS304L | △ | ○ | ステンレス(SUS304相当)よりも、炭素の含有量が少ない極低炭素鋼です。 ニッケルの含有量は多いため、より錆びにくく、耐粒界腐食性に優れています。 |
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SUS304N2 | ○ | ○ | ステンレス(SUS304相当)に窒素とNbを添加して、強度特性と耐力を改善した材質です。 耐食性についても、SUS304と同程度の性質をもっています。 |
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SUS310S | △ | ○ | 耐食性はステンレス(SUS304相当)より優れ、耐酸化性にも優れています。 高温での耐酸化性が高いため、耐熱網として使われることが多いオーステナイト系のステンレス鋼です。 |
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SUS316 | △ | ◎ | オーステナイト系のステンレス鋼のなかでも、特に耐食性の良い材質です。 SUS316は、ステンレス(SUS304相当)に耐食性のよいMo(モリブデン)を加えることで、海水や各種媒質への耐食性を向上させたステンレス鋼材です。 耐孔食材料として使われます。海水ポンプ、配管部材、船舶部品、バルブなどに用いられます。 |
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SUS316L | △ | ◎ | SUS316の極低炭素鋼で、さらに耐粒界腐食性を強化したオーステナイト系のステンレス鋼です。用途は海水をはじめとする耐食性、耐孔食性が必要な場所などに用いられます。 | |
SUS317L | △ | ◎ | SUS317の極低炭素鋼で、SUS317よりも耐粒界腐食性に優れたオーステナイト系のステンレス鋼です。SUS316よりも耐孔食性が優れたタイプで、染色設備などに使われます。 | |
SUS321 | △ | ○ | ステンレス(SUS304相当)にTi(チタン)を添加して耐粒界腐食性を高めたオーステナイト系のステンレス鋼です。400〜900℃の腐食条件で使われる部品、高温用溶接構造品。 | |
プレミアステン (A2-80 SUNCO) |
○ | ◎ | ステンレス鋼製品の強度区分は「A2-80」で、800N/平方ミリの引張り強さがある、SUNCOの非磁性・高強度ステンレスボルトです。 耐食性はSUS316Lと同様で、耐熱性は600度。 焼き付き防止コートが塗布されています。 |
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254SMO | ○ | ◎ | 海水や塩化物溶液中での使用を目的に開発された極低炭素オーステナイト系ステンレス鋼です。高耐食ステンレス鋼材で、海水など高濃度塩化物環境における、耐孔食性、耐応力腐食割れ性は、SUS316よりも優れています。 また、一般のオーステナイト系ステンレス鋼より高強度であり、優れた溶接性もあります。 |
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BUMAX (BUMAX 88 BUMAX 109) |
◎ | ◎ | ステンレス鋼でありながら鋼製ボルトと同じ強度クラス8.8および10.9を満足するBUMAXは、一般ステンレスボルトであるSUS304(A2-50)と比較して4倍、及びSUS316(A4-70)と比較して2倍の強度(耐力)を有します。 沿岸地域における10年間の大気暴露ではSUSに比べ良好な結果を得ており、20%硫酸腐食試験でもSUS316と比べ3倍の耐食性を証明し、海中に露出する船舶使用でも30年の耐食性を保証しています。 更に、SUS304・SUS316は通常400℃まで使用可能ですが、BUMAXは50%アップの600℃まで使用可能です。 ステンレスの中では、一番の材質です。 |
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二相系 | SUS329J4L | ○ | ◎ | 二相組成(オーステナイト・フェライト)を持った高耐食ステンレス鋼材で、海水など高濃度塩化物環境において優れた耐孔食性、耐SCC性(耐応力腐食割れ性)に優れているため、塩化物を含む環境下に適した材料です。 また、従来孔食に強いとされていたSUS316よりはるかに優れた耐孔食性、耐隙間腐食性をもっており、耐孔食性を必要とする海水プラント・化学プラント向けに使用されています。 また、高い強度を持っています。 |
フ ェライト系 |
SUS405 | △ | △ | SUS410にAl(アルミ)を添加し、溶接性、加工性を改善した、フェライト系ステンレス鋼材です。 耐食性はステンレス(SUS304相当)より劣り、磁性があります。 |
SUS430 | △ | △ | 耐食性がステンレス(SUS304相当)ほどはないものの、そこそこにあり、磁性があるフェライト系のステンレス鋼です。クロムの組成比から18Crステンレス(18クロムステンレス)とも呼ばれます。SUS410と比較すると、耐食性、耐熱性には優れています。価格も低廉なので広く使用されています。特に、建築内装や業務用厨房、水回りなどに使用されることが多いとされています。また、溶接性も良好です。 | |
マルテンサイト系 | SUS403 | △ | △ | マルテンサイト系で熱処理後の靭性(材料の粘り強さ)を改良した耐熱鋼です。Ni(ニッケル)を含むCr(クロム)鋼であり、SUS410、SUS430より耐食性が向上しています。硝酸などに比較的強く、磁性があります。 |
SUS410 | △ | △ | 熱処理するためのマルテンサイト系のステンレス鋼です。熱処理により焼き入れが可能な反面、耐食性は低く、磁性も強くなっています。 通常のステンレスと比較して、鉄が約87%と多く、その中に含まれるC(炭素)も多いため熱処理が出来ます。その組成から、13Crステンレス(または13クロムステンレス)とも言われます。 ステンレスの中でも安価な材質です。 |
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YUS550 | ◎ | ○ | パーフェクトステンレスと呼ばれています。ステンレスの中で強度のあるSUS410は表面の硬さはあるものの心部硬度が低いが、パーフェクトステンレスは、心部まで十分な硬度があります。耐食性は、SUSXM7と同等以上であり、塩害・酸性雨など、SUS410では対応できなかった環境にも使用することができます。 | |
ASL516 | ◎ | ◎ | ミラクルステンレスと呼ばれています。ミラクルステンレス(ALS516)は耐食性と硬さを両立させることを目的に開発された、マルテンサイト系ステンレス鋼です。耐食性の面でもSUS304やSUSXM7に比べて頭部、ねじ部ともに良好で、充分な硬さと引っ張り強さがあり、しかも適度な靭性があります。 | |
折出硬化系 | SUS630 | ◎ | ○ | 折出硬化(熱処理によって元素・化合物を折出させて硬化させる)系のステンレス鋼です。耐食性はステンレス(SUS304相当)には劣るものの、SUS410、SUS430等より良好で、強度が高いステンレス鋼です。そのため、シャフト類、シリンダー、スポーツ器具などに使用されることが多いです。 |
チタンは、耐食性に優れているが、特に海水中では白金(プラチナ)に匹敵するほどの耐食性を発揮します。 よって、特に海水に常にさらされるような場所で用いられたりしています。 チタンの比重は4.51と、鉄の7.85に比べて小さく、鉄とアルミの中間となります。 そのため、比強度(重さあたりの引張り強さ)に優れているが、実際には、ステンレスと純チタンを同じネジサイズで比較すると、強度は同等程度に過ぎません。 また、チタンは非磁性の金属でもあります。 |
材質名称 | 強度 | 耐食性 | 説 明 |
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純チタン | △ | ◎ | 純チタンには、JIS1種〜JIS4種まであります。ねじに使用される純チタンの多くは、JIS1種または、JIS2種を使用しており、ねじの種類や、サイズ、メーカーによって変わってきます。 純チタンは比重4.51で、銅の約50%、ステンレス鋼の約60%という軽さのうえ、比強度(引張り強さ/比重)が高くなっています。しかし、純チタンはステンレス鋼や鉄よりも強度があるというわけではなく、若干弱い程度で、ほぼ同等と考えてください。 耐食性ではステンレス鋼や銅合金に比べ、多くの場合に優れ、特に海水中では白金(プラチナ)に匹敵する耐食性をもちます。 なお、摩耗に弱く、焼きつきかじりなど発生することがあります 航空、原子力、建築・土木、海洋開発などに使用されています。 |
チタン合金 | ○ | ◎ | 現在、一般市場に流通しているチタンのほとんどが純チタンです。純チタンは強度的に十分満足できない部分があります。そこで、純チタンの強度を高めたものがチタン合金です。 当社が扱うチタン合金には、DAT51(Ti-4AL-22V)、β153(Ti15-3-3-3)と、64チタン(Ti-6AL-4V)の3種類があります。 |
アルミは軽量で腐食に強いという特徴があります。 ただし、「鉄」や「ステンレス鋼」と比較すると強度は劣っています。 そのため、軽量化を目的としてラジコンなどホビー関連で使用されます。 また、サッシ戸のアルミ枠留めは一般的にステンレス鋼のねじが使われますが、電蝕でアルミ枠が腐食してしまう場合など、同材質アルミ製のねじを採用することで電蝕の防止になります。 |
材質名称 | 強度 | 耐食性 | 説 明 |
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アルミ | × | ◎ | アルミ(アルミニウム)の比重は2.7です。鉄は7.8、銅は8.9ですので、比較すると約1/3です。 実際に、同一サイズの鉄やステンレスのねじと、持ち比べただけでも違いが分かるぐらい軽いです。 アルミニウムは、安定した酸化皮膜を生成しており、この皮膜が腐食を自然に防止(皮膜の自己補修作用)するため、耐食性は非常に良い材質です。 ただし、「鉄」や「ステンレス」などと比較すると、強度が低いという特徴があります。 |
アルミ合金 A7050 |
△ | ◎ | アルミは軽量で腐食に強い特長があるが、強度が低いという欠点もあります。 この欠点である強度を向上させた材質が、アルミ合金のA7050です。 A7050材は、強度的にはAL6(JIS B 1057)相当の強度があり、鉄に例えると5T相当の強度を持つと言われています。 チタンに比べ耐食性は劣るものの、安価で軽量化という面では優れています。 |
材質名称 | 強度 | 耐食性 |
---|---|---|
黄銅 | △ | △ |
低カドミウム黄銅 | △ | △ |
銅は耐食性、電気伝導性、熱伝導性、展延性などがきわめてよく、非常に優れた性質をもっているので、そのままでも広い範囲に利用されています。 さらに色沢が美しく、めっき性に優れており、また磁性をおびないこと、はんだ付が容易なことなど大きな特性があります。 強度は基本的に弱いという特徴があり、「鉄」よりも弱いです。 |
材質名称 | 強度 | 耐食性 |
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銅 | × | ○ |
燐青銅は、銅を主成分として、錫と少量のりんを加えた合金です。 「銅」と比較して、強度、耐食性、耐摩耗性が増大します。 これらの性能は錫の量が多いほど向上します。 「銅」、「錫」、「リン」 は、いずれも有害成分を含まないことから、環境にやさしい合金と言えます。 ばね性に優れており、強度が高い、曲げ・絞り加工性が良いといった機械的性質に加えて、電気伝導率が高いことから、各種コネクタ、リレー(継電器)端子、ベアリングフレーム、ブレード材などの工業製品の素材として広く利用されています。 |
材質名称 | 強度 | 耐食性 |
---|---|---|
燐青銅 | × | ○ |
ハステロイは、ニッケルを主体にクロム、モリブデンなどを添加した耐食性や耐熱性を高めたニッケル合金です。 ステンレス材では使用に耐えない過酷な環境下においても、高い耐食性を発揮します。 また、高温での耐酸化性にも優れ、高温下でも耐食性が損なわれにくいという特徴を持ちます。 酸洗設備、空気余熱装置、硫黄溶解タンク、熱処理炉用部品、ジェットエンジン部品、タービンブレードなどに使用されているような材質です。 添加する成分の違いにより、主に「ハステロイB」、「ハステロイC」等の種類に分けられます。 |
材質名称 | 強度 | 耐食性 | 説 明 |
---|---|---|---|
ハステロイ C276 | △ | ◎ | 酸化性、還元性の両方に耐える万能型耐食合金です。 広範囲の化学プロセス環境に対して、優れた耐食性を示します。 |
ハステロイ C22 | △ | ◎ | ニッケル合金の中でも最も優れた耐食性をもちます。 複数の産業用の化学薬品に曝される環境下でも高い耐食性を保持し、中でも局部腐食性については特に優れています。 |
インコネルは、ニッケルを主体にクロム、鉄、炭素などを添加したニッケル合金です。 耐熱性、耐蝕性、耐酸化性、耐クリープ性などの高温特性に優れています。 インコネルは高温強度が大きく熱伝導率が低いため、もっとも切削加工が困難な合金としても知られています。 スペースシャトル、原子力産業、産業用タービンの部品、航空機のエンジン、自動車の高級マフラーなどに使用されているような材質です。 添加するクロム、モリブデン等の成分の違いにより、主に「インコネル600」、「インコネル718」等の種類に分けられます。 |
材質名称 | 強度 | 耐食性 | 説 明 |
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インコネル600 | △ | ◎ | 高温における耐酸化性が極めて優れ、1180℃までの耐酸化性があります。 高温下での高強度と高耐蝕性を保持するため熱処理産業を始め、多くの化学産業で広範に使用されているようです。 また、低温においても優れた機械的性質と耐食性をもちます。 |
材質名称 | 説 明 |
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インコネル | ニッケル合金で、加工材料や鋳物材料としても使われる耐熱、耐食合金です。ハステロイと似た組成を持ちますが、インコネルはクロムを12〜15%程度含みます。市場に出ているものにはいくつかグレードの違うものがあります。耐熱性、耐蝕性、耐酸性、耐クリープ性に優れるため、タービンブレードなどにも使われます。 |
マグネシウム | マグネシウムの比重は1.78でアルミニウムの2/3、鉄の1/4と実用金属中最も軽量です。その合金は、比強度、電磁シールド性、振動吸収性、放熱特性に優れ、マグネシウム合金との接触による電食が生じないため、マグネシウム合金製筐体などの締結に適しており、情報、家電、自動車、航空機分野など広範囲な用途へ対応します。 |
ZAM | 高耐食性の溶融亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金めっき鋼板です。マグネシウムとアルミニウムの効果により、強い保護被膜を形成し、優れた耐食性があります。また、めっき層が硬く、耐疵付き性にも優れています。 |
D2052 | 高い制振性能、抜群の強度をもち、これらの全てを高次元で実現し、コスト面や汎用性に優れ、高性能を実現した制振合金です。 |
樹脂(プラスチック)は、金属と比較して、比重は約1/5〜1/6と軽量で、電気抵抗が大きく絶縁性にも優れ、錆、腐食の心配がありません。 また、磁気を帯びることがなく、熱伝導率も小さいため断熱性に優れています。 このように、金属製のネジと比較して軽量・絶縁・耐蝕・断熱・非磁に優れています。 そのため、樹脂製のネジは、半導体分野、自動車分野、宇宙産業分野やインテリア分野など様々な分野で使用されています。 さらに、樹脂の中には多くの材質が存在します。 一般的に幅広く用いられている 「ポリカーボネート」 をはじめ、最高級性能を誇る 「PEEK」 など数多くの材質でネジが作られています。 |
樹脂内の各種材質毎に記載されている「強度」や「耐熱性」や「耐薬性」の各種数字の意味は、以下の通りです。
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材質名称 | 強度 | 耐熱性 | 耐薬性 | 説 明 |
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ポリカーボネート (PC) |
3 | 2 | 2 | ポリカーボネート(PC)は、非晶性のエンジニアリングプラスチックです。抜群の耐衝撃性を有し、機械的特性、電気的特性などをバランスよく備え、かつ透明で自己消化性を示すことから、電気・電子分野から自動車、医療分野にいたるまで、幅広く用いられています。 |
PPS (ポリフェニレンサルファイド) |
4 | 4 | 4 | PPS(ポリフェニレンサルファイド)は、結晶性のスーパーエンジニアリングプラスチックです。優れた耐熱性を有し、高温度雰囲気中で長時間使用しても物性劣化はほとんどありません。また、耐薬品性、機械的特性、電気的特性、および寸法安定性にも優れ、電気・電子部品、自動車部品、化学機械部品などに用いられています。 |
レニー (RENY) |
5 | 2 | 2 | レニー(RENY)は、ポリアミドMXD6をベースポリマーとし、ガラス繊維50%で強化した結晶性のエンジニアリングプラスチックです。エンプラの中で最も大きい強度・弾性率を有し、耐油性や耐熱性にも優れることから、金属の代替材料として自動車等輸送機部品、一般機械、精密機械部品、電気・電子機器部品、土木建築用部材などに用いられています。 |
ピーク (PEEK) |
4 | 4 | 5 | ピーク(PEEK[ポリエーテルエーテルケトン])は、半結晶性の最高級性能を有するスーパーエンジニアリングプラスチックです。エンプラのなかでも最高レベルの耐薬品性を有し、PEEKを溶解する唯一の汎用化学品は濃硫酸だけです。また、耐熱性、耐摩耗性、難燃性、耐加水分解性にも優れ、OA機器分野、自動車分野、ICウェハキャリア、LCD製造用治具などで用いられています。 |
オーラム (AURUM) |
4 | 4 | 5 | オーラム(AURUM)は、非結晶性のスーパーエンジニアリングプラスチックです。卓越したクリーン特性を持ち、高温下でのアウトガスが他のスーパーエンジニアリングプラスチックに比べて少なく、半導体をはじめとするクリーンな用途への使用が可能です。また、耐熱性・耐薬品性にも優れ、電気・電子部品・OA機器部品・産業機器構造部品・自動車ATF部品などに用いられています。 (AURUMは三井化学(株)の登録商標です。) |
PE (ポリエチレン) |
2 | 1 | 4 | PE(ポリエチレン)は、日用品〜工業用まで幅広く用いられ、容器や包装用フィルムなど様々な用途に利用される樹脂です。 高温には弱く、マッチの火で煙を出して燃えてしまいますが、低温特性(低温環境でも脆くなりにくい)は優れています。 吸水性がほとんどなく、防水性は抜群です。 電気の絶縁性には強いが、太陽光線や紫外線に弱い特性があります。 |
PP (ポリプロピレン) |
2 | 1 | 4 | PP(ポリプロピレン)は、結晶性の代表的な汎用プラスチックです。比重が0.9と汎用プラスチック中最も軽く、耐薬品性、耐加水分解性、電気的特性にも優れ、応用範囲の広いプラスチックとして幅広い分野で用いられています。最近では、ダイオキシン発生で問題になっているPVC(ポリ塩化ビニル)の代替材としてもよく用いられています。 |
PVC (ポリ塩化ビニル) |
2 | 1 | 4 | PVC(ポリ塩化ビニル)は、優れた耐水性・耐酸性・耐アルカリ性・耐溶剤性を持つ持ち、配管に使われます。 耐熱性に劣り、燃焼時には塩素ガス等の有害物質が発生します。 |
PTFE (四フッ化エチレン樹脂) |
1 | 5 | 5 | PTFE(四フッ化エチレン樹脂)は、フッ素系の代表的な樹脂です。ほとんどの化学薬品・溶剤に対して不活性です。さらに優れた電気特性、非粘着性と潤滑性をあわせもち、化学・電気・機械・宇宙開発など幅広い分野での使用が期待できます。 |
ETFE (熱可塑性フッ素樹脂) |
2 | 3 | 5 | ETFEは熱可塑性フッ素樹脂で、テトラフルオロエチレン(C2F4)とエチレン(C2H4)の共重合体。ETFEは代表的なフッ素樹脂である PTFE、PFA、FEPに匹敵する耐薬品性、電気的性質を保持しつつ、準フッ素樹脂であるECTFE、PVDFに対しては改良された機械的特性と極めて容易な成型加工性を兼ね備えることで一歩進んだ、フッ素樹脂の中では丁度中間的でバランスのとれたフッ素樹脂。 |
PFA (パーフルオロアルコキシアルカン) |
1 | 5 | 5 | PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)は、優れた化学的・電気的・機械的特性を示す熱可塑性フッ素樹脂です。ほとんどの薬品に対して侵されることのない、化学的に安定性の高い材料です。また、強活性の化学薬品に定常的に接触する半導体分野向け部材に最適です。 |
PVDF (ポリビニリデンフルオライド) |
3 | 3 | 4 | PVDF(フッ化ビニリデン樹脂)は、フッ素系樹脂としての優れた性能と汎用樹脂並みの成型加工性をもつバランスのとれたエンジニアリングプラスチックです。耐薬品性と耐候性に優れており、リチウムイオン電池用バインダーなどの電子材料、釣り糸、各種弦楽器の弦、電解用バルブやライニングとさまざまな分野で使用されています。 |
セラミック | 4 | 5 | 4 | セラミック(アルミナ96%)は、一般的なセラミックスとして広く使用されており、耐摩耗性、高硬度、寸法安定性を活かし大型機器部品、精密機械部品として使用されております。更に金属との接着接合焼きばめを施すことができます。又、耐食性にも優れ、高温ガス中でのアウトガスが無いために、半導体装置内に多く使用されています。 |
ナイロン | 1 | 1 | 1 | ナイロンは、結晶性のエンジニアリングプラスチックです。強靭な材料で摩擦係数が小さく、しかも耐摩耗性で、自己潤滑性に優れています。耐油性、耐薬品性もよいので機械材料に最適な材料でありますが、吸湿性が高いので設計上配慮しなければならないという問題点もあります。また、ナイロンには6ナイロン、66ナイロン、12ナイロン、46ナイロンなど細かく分類され、耐熱性、物理・機械的性質なども異なり、それぞれに特性がある。 |
POM (ポリアセタール) |
2 | 2 | 1 | POM(ポリアセタール)は、結晶性のエンジニアリングプラスチックです。バランスのとれた機械的性質を有し、かつ優れた耐疲労性、耐クリープ性、摩擦摩耗特性、耐薬品性を備えていることから、金属の代替材として電機・自動車・各種機械・建材などの分野において広く用いられています。 |
ジュラコン (POM) |
2 | 2 | 1 | ジュラコン(DURACON)は、ポリプラスチック社が市販する 「POM(ポリアセタール)」 材料です。 基本的には、上に記載の 「POM(ポリアセタール」 と同等の特性を持ちます。 |
FRP (繊維強化プラスチック) |
5 | 2 | 3 | FRPとは、Fiber Reinforced Plastics の略で、「繊維強化プラスチック」 のことです。 ガラス繊維(グラスファイバー)などの繊維をプラスチックの中に入れて強度を向上させた複合材料になります。 よって、強度を著しく向上し、宇宙・航空産業をはじめバイク、自動車、鉄道、建設産業、医療分野等さまざまな分野で用いられています。 FRPは、軽量かつ強度的に大変優れており、耐電性、耐候性、耐熱性、耐薬品性にも優れすぐれています。 |
ファイバー | 2 | 2 | 2 | ファイバーには、コットンパルプや木材パルプを原料とする一般的なファイバーと、ガラス繊維(グラスファイバー)などがあります。 本材料は、ワッシャーに使用され、電気関係の絶縁として使用されています。 |
テフロン (PTFE) |
1 | 5 | 5 | テフロンとは、フッ素樹脂の一つです。フッ素樹脂の代表的なPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を、アメリカのデュポン社によって商品化されたものが「テフロン」です。 耐熱性・耐薬品性・難燃性・非粘着性にすぐれ、半導体・情報機器・自動車・建材などの原材料や製造工程に用いられます。なかでも、食材が焦げついたり汚れがこびりついたりしにくいことからフライパン、鍋、ガスレンジ、炊飯器の内釜などの調理器具、また、撥水(はっすい)性・防汚性を高めるために防寒着、雨具、靴などの繊維製品のコーティングに多用されています。 |
ポリイミド (PI) |
2 | 5 | 2 | ポリイミドは優れた耐熱性、高圧・高速擦過時の優れた耐摩耗性・摩擦性能、高真空状態での低アウトガス性、優れた対薬品性・機械特性、非常に優れた寸法安定性(融点・ガラス転移点がない)、低い導電性にも優れています。 |
シリコン | 2 | 5 | 4 | ケイ石(SiO2)を原料に造られ、シロキサン結合 (-Si-O-Si-) を骨格構造にもつ合成樹脂のゴム状のものです。 耐熱性が高く、電気的特性(絶縁性、耐アーク性など)も良好です。 引裂き・引っ張り・摩擦性などの性能が劣ります。 ワッシャー(座金)に使用します。 |
EPDM (エチレンプロピレンゴム) |
3 | 4 | 4 | エチレン・プロピレンゴム(EPDM)は、エチレンとプロピレンに第三成分として、非共役ジエンを導入して三元共重合体したもので、耐オゾン性、耐候性、耐熱性に優れています。 ワッシャー(座金)に使用します。 |
ウレタン | 5 | 1 | 2 | ウレタンゴムは合成ゴムの弾性(柔らかさ)とプラスチックの剛性(固さ)を併せ持った弾性体です。 色んな合成ゴムの中で耐摩耗性が一番あります。 ゴムの強度や耐摩耗性は他のゴムを寄せ付けないほどに優れており、硬いわりには弾性がよい材質です。 ただし、耐熱・耐水性は劣ります。 ワッシャー(座金)などに使用します。 |
ガラスエポキシ | 5 | 3 | 4 | ガラスエポキシは、ガラス繊維にエポキシ樹脂をしみ込ませ熱硬化処理を施し板状にしたもので、難燃性と低導電率を両立している優れた材質です。 強度・熱伝導率・耐熱温度・電気特性に優れた材質であり、ワッシャー(座金)に使用します。 |
PSF (ポリサルホン) |
1 | 3 | 3 | ポリサルホンは医療や食品関連の各種規格をクリアし長期間にわたる採用実績があり、安全性の高い樹脂として認知されています。 耐熱性に優れ、耐加水分解性(水または温水などによる耐食性)にも優れて、耐薬性も良い。 |