2025年8月
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発売日:2025年08月22日
CD国内仕様 解説日本語訳付き価格:2,530円(税込)
第9回武蔵野市国際オルガンコンクール(2023年)の優勝者、
ニクラス・ヤーンの記念アルバム!1996年にドイツのフルダで生まれたヤーンは、マインツとフライブルクでオルガン即興演奏、教会音楽、合唱指揮などを学び、数々の国際コンクールに上位入賞・優勝。2024年からは由緒あるドレスデンの聖母教会のオルガニストに任命され、若くしてその実力が極めて高く評価されています。 当アルバムは武蔵野のコンクール終了後、メイン会場となった武蔵野市民文化会館小ホールのオルガンでセッション収録されたもの。演奏曲も当該コンクールで演奏した曲ばかりで、練りに練った解釈と演奏を聴くことができます。 ブックレットに掲載された解説もヤーン自身が書き下ろしたもの(国内仕様盤には日本語訳が付きます)。 -
発売日:2025年08月22日
CD国内仕様 日本語解説付き価格:3,300円(税込、送料無料)
俊英ガジェヴが描きあげる物語と伝説の世界2015年浜松国際ピアノコンクール優勝、2021年ショパン国際ピアノコンクール第2位など輝かしい経歴を持ち、日本でも高い人気を誇るイタリア出身のピアニスト、アレクサンダー・ガジェヴがFUGA LIBERAレーベルに登場。彼自身が練り上げた今回のプログラムは、不朽の伝説をテーマとする内容となっています。 幽玄な鐘の音が水没した大聖堂から響き渡りブルターニュの神話を蘇らせる「沈める寺」に始まり、スラヴの民間伝承とヨーロッパの情景が鮮やかなタペストリーのように繰り広げられる「展覧会の絵」、魂の旅路をイメージして崇高に歌い上げる「前奏曲、フーガと変奏曲」、墓の中でなお己の人生に思いを巡らせるという奇妙な連想を抱く「葬送」、光と影の魔法の物語を雄弁に語る「伝説」、異世界の風景に没入させるかのような「黒ミサ」など、それぞれの作品にガジェヴが強い思いを込め、隠された物語を巡る旅に聴く者を誘います。彼ならではの強い説得力を持つ表現を堪能する一枚。 原盤ブックレットではガジェヴ自身がプログラムについて解説を行っており(英・仏語)、国内仕様盤にはこれを踏まえた飯田有抄氏による日本語解説が付属します。
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発売日:2025年08月15日
SACD-Hybrid国内仕様 日本語解説付き価格:3,300円(税込、送料無料)
2018年浜松国際ピアノコンクール優勝者
ジャン・チャクムルによる「シューベルト+」シリーズ第5集第4作までは、シューベルトの作品と彼に影響を受けた作曲家の作品を組み合わせてきた「シューベルト+」シリーズですが、第5作ではついに偉大な先達ベートーヴェンとの継承と対比がテーマです。 シューベルトの初期のピアノ・ソナタにはベートーヴェンの作品を意識して書かれた形跡が見られますが、「旋律+伴奏」という歌曲のような形で開始されるソナタ第13番はベートーヴェンの影響を脱してシューベルトの独創性が発揮されたもの。続いて収録されたベートーヴェンの32の変奏曲における、この作曲家らしい激しい感情表現は、シューベルトのソナタ第19番にも見られるもので、チャクムルはそこにベートーヴェンへの敬意が込められている可能性を読み取っています。すぐれた演奏と相まって、各曲を個別に楽しめて、通して聴くことにより発見や思索へいざなわれる、このシリーズならではのアルバムとなっています。 ジャン・チャクムルは、2017年スコットランド国際ピアノコンクール優勝、翌2018年には浜松国際ピアノコンクールで第1位に輝きました。このとき、第1次予選から本選まで一貫して使用したのが、河合楽器製作所のフルコンサートグランドピアノSK-EXであり、以後も日本国内でのリサイタルやコンサートのほとんどでこのピアノを愛用しています。このアルバムでも、この楽器の豊かな響きを存分に引き出した演奏を聴かせています。 SACDハイブリッド・ディスクでのリリース。サラウンド再生では一層豊かな臨場感が味わえます。 ※国内仕様盤にはチャクムルによる解説の日本語訳が付属します。 -
モーツァルトのクラヴィコード
作曲者所有の楽器で聴く作品集 [アレクサンダー・ゲルゲリフィ、ゲオルク・ニグル]発売日:2025年08月08日
CD国内仕様 日本語解説・歌詞訳付き価格:3,520円(税込、送料無料)
モーツァルト自身が指伝いに感じた響きを通じ、傑作の素顔に迫る天才作曲家モーツァルトが生まれたザルツブルクの生家(現在は博物館として一般公開中)には、作曲家が晩年まで作曲に使っていたというクラヴィコードが保管されています。構造上きわめて小さな音量しか得られない楽器ということもあり、18世紀当時には作曲家周辺のごく限られた人しか耳にできなかったその響きを通じて、この楽器を用いて書かれたと考えられる晩期作を中心に聴くことが出来る好企画盤がALPHAから登場。 バロック初期から近現代まで幅広い演目で存在感を発揮するゲオルク・ニグルを歌い手に迎え、この貴重な楽器に秘められたニュアンス豊かな味わいを十全に活かした演奏を聴かせるのは、クラヴィコード&チェンバロ奏者として着実に注目されつつあるリンツ出身の俊才アレクサンダー・ゲルゲリフィ。《魔笛》序曲のファンファーレから最後の「涙の日」まで、クラヴィコードという楽器の音量の小ささを忘れさせるほど幅広い表現で綴られてゆく名作群はまさしく、作曲中のモーツァルトの心象を垣間見るかのよう。ニグルも楽器の特質を踏まえ、時に間近で語る囁きのような声で各作品の詩的・劇的特質を浮き彫りにします。 クラヴィコード録音を含む数々の古楽器名盤をZig-Zag Territoiresから世に送り出した名技師フランク・ジャフレスによる、楽器そのものを間近に感じられる丁寧なエンジニアリングも絶妙。ライナーノート(独、英、仏語)には両演奏家の言葉も収録されています(国内仕様盤は歌詞と共に日本語訳付)。
収録作曲家:
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山田和樹×モンテカルロ・フィル
はじめての交響曲
サン=サーンス(1835-1921):
交響曲 イ長調
ビゼー(1838-1875):
交響曲 ハ長調
グノー(1818-1893):
交響曲 第1番 [山田和樹、モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団]発売日:2025年08月08日
CD 2枚組国内仕様 日本語解説付き価格:3,960円(税込、送料無料)
山田和樹×モンテカルロ・フィルによる、
サン=サーンスのレア曲ほかフランスの交響曲集2025年6月12日、ベルリン・フィルへのデビューを見事に成功させた山田和樹。今一番波に乗っている指揮者の一人といえる彼が手兵モンテカルロ・フィルと共に、ビゼー、グノー、サン=サーンスが書き上げた初めての交響曲をテーマにしたアルバムを発表します。 サン=サーンスのイ長調は、パリ音楽院在学中の1850年に作曲家が初めて完成させた交響曲。あくまで習作という意味合いが強く、まだ過去の巨匠の影響下にあり未熟さが残る筆致とは言え、15歳の作品としては驚くべき完成度を備えていることも確か。冒頭の動機が、第3番「オルガン付」の後半で長調に変容した循環主題を思わせるのも興味深いところです。 グノーの第1番は彼が37歳の頃「若い芸術家協会」のために作曲したもので、歌劇《血まみれの修道女》が初演の成功にもかかわらずオペラ座のレパートリーから外されてしまった失望から作曲家を慰めたと言われます。ハイドン、ベートーヴェン、シューベルトらの影響を受けながらも、新鮮なインスピレーションと活気、グノーならではのオリジナリティによるドイツ音楽からの脱却といった観点で当時高い評価を得ました。 ビゼーのハ長調は山田和樹にとって再録音。今回の収録作品の中では耳にする機会の比較的多い曲ですが、17歳の頃作曲されたものの作曲家自身の意思で出版されず、レイナルド・アーンがパリ音楽院へ寄贈した資料から1932年になって発見されています。古典的な構成、ベートーヴェン的な力強さとロッシーニを思わせるクレッシェンドが特徴で、実はビゼーがグノーの第1番をピアノ連弾用に編曲した直後に作曲されており、その影響も強く受けています。 山田和樹はこれらの作品に深く寄り添い、作曲当時のフランスでは「ドイツ音楽のもの」とされ人気の低かった交響曲というジャンルに果敢に取り組み、見事に開花させたフランス独自の感性と、それぞれに潜む個性の萌芽を見事に引き出し、その魅力を十二分に伝えています。 -
ヴァンハル(1739-1813):
交響曲集 [イヴァン・レプシッチ、ミュンヘン放送管弦楽団]発売日:2025年08月22日
CD価格:2,775円(税込)
ヴァンハル(ヴァニュハルとも)は、ウィーンを拠点に作曲家として高い名声を得た人物で、音楽教師の活動を経て、作曲のみで生計を立てた最初の作曲家の一人とされています。彼の交響曲は短期間でヨーロッパからアメリカまで広まり、極めて高い需要に応じる形で交響曲73曲以上、弦楽四重奏曲100曲ほど、宗教曲90曲以上などを残しました。 この録音に収められた4つの交響曲は、構成の巧みさ、豊かな色彩感、劇的効果、記憶に残る旋律を兼ね備え、ヴァンハルの才能をよく示しています。作品番号を付した研究家ブライアンによると、ト短調とヘ長調の作品は1769年のイタリア渡航前、イ長調とイ短調はドイツに帰国した1770年以降の作品と推定され、これらはヴァンハルの作風の変化を検証する資料ともなります。特に短調の2作品は、ハイドンの「シュトゥルム・ウント・ドラング」期の作品と比較されてきました。 また、ヴァンハルのホルンの使用は非常に革新的であったことでも知られており、彼のオーケストレーションの柔軟性と響きの豊かさを際立たせています。彼の交響曲は、同時代のディッタースドルフやモーツァルトにも影響を与え、18世紀ウィーンの交響曲発展において重要な位置を占めています。
収録作曲家:
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スヴェーリンク(1561-1621):
ダヴィデ詩篇集 [マンフレート・コルデス、ブレーメン・ヴェーザー=ルネサンス]発売日:2025年08月22日
CD価格:2,775円(税込)
「アムステルダムのオルフェウス」と称賛されたスヴェーリンクの詩篇集をルネサンス音楽の泰斗が録音鍵盤音楽の歴史において大変重要な位置を占めるスヴェーリンクですが、教会音楽の分野においても重要な貢献を果たしました。その中でも有名な作品がカルヴァン派のジュネーヴ詩篇に作曲した全4巻に及ぶダヴィデ詩篇集です。1604年の第1巻を皮切りに、1613年に第2巻、1614年に第3巻、そして死後の1621年に第4巻が出版されました。ジュネーヴ詩篇集にはオランダ語訳が存在していたのですが、スヴェーリンクはおそらくその訳の不完全さを避けて、原典のフランス語訳に曲を付けました。各曲は詩篇の旋律を基にしながらも、最大8声部に至るさまざまな編成で作曲され、スヴェーリンクの精巧な作曲技法が発揮されています。 この録音には、スヴェーリンクが生涯の長い間に渡って作曲したラテン語による教会音楽集「カンツィオーネス・サクレ」から、詩篇をテキストとした作品も併せて収録されています。作曲家晩年の1619年に、当時カトリックの都市であったアントワープで、カトリック教徒の友人に献呈する形で出版した当曲集は、フランス語によるダヴィデ詩篇集とは言語が異なるだけでなく作曲技法も異なっており、聴き比べることでスヴェーリンクの教会音楽作曲技法の多様さを知ることができます。教会音楽の合間にはスヴェーリンクの鍵盤音楽の名曲が挿入されており、当時のオランダの礼拝における音楽のあり方を偲ばせるプログラムとなっています。 コルデス率いるヴェーザー=ルネサンスの精緻な歌唱は、楽曲の魅力を存分に堪能させてくれる上に、ダヴィデ詩篇とカンツィオーネス・サクレの作曲技法の違いも明快に示されているので、スヴェーリンクの教会音楽を多角的に知ることができます。当アルバムは、この録音で見事なオルガン独奏を披露しながらも、録音からわずか1ヶ月後の2022年の2月に急逝した歴史的オルガン演奏の名手エドアルド・ベッロッティに捧げられています。
収録作曲家:
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ベートーヴェン(1770-1827):
ヴァイオリン・ソナタ全集 [レーナ・ノイダウアー、パウル・リヴィニウス]発売日:2025年08月22日
CD 3枚組価格:7,800円(税込、送料無料)
ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲(777559)やシューベルトのヴァイオリン・ソナタ全集(555153)などのアルバムで高く評価されているヴァイオリニスト、レーナ・ノイダウアーが、満を持してベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲を録音。ドイツ古典派からロマン派作品を得意とする彼女の演奏は、初期の習作的な作品から有名な第5番「春」を経て、第9番「クロイツェル・ソナタ」で聴かれる力強さ、感情的な深さまで、それぞれの作品が持つ異なる特徴を描き出し、作曲された時代やベートーヴェンの心情を鮮やかに反映しています。 ノイダウアーはザルツブルク・モーツァルテウム音楽院でヘルムート・ツェートマイアーに師事。2006年、15歳の時にアウグスブルクで開催された「レオポルト・モーツァルト国際コンクール」で第1位を受賞した後、ソリストや室内楽奏者として幅広く活躍しています。共演するピアニストのリヴィニウスは、2004年からモーツァルト・ピアノ四重奏団のピアニストも務め、北米、南米、アジアでの大規模なツアーを通じて国際的な評価を得ています。
収録作曲家:
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メラルティン(1875-1937):
交響曲 第5番・第6番 [アリ・ラシライネン、トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団]発売日:2025年08月22日
CD価格:2,775円(税込)
フィンランドの作曲家・指揮者・教育者メラルティンは、ヘルシンキ音楽院でシベリウスと同じくヴェゲリウスに学び、後にウィーンでロベルト・フックスにも師事しました。マーラー作品を北欧で初めて指揮するなど、先進的な芸術潮流を積極的に取り入れ、1911年から25年間はヘルシンキ音楽院の校長として後進の育成に尽力。ロマン派を基盤としながらも、フィンランド民謡、印象主義、モダニズムなどを融合させた個性的で多彩な作品群を残しています。 1914〜15年に作曲された交響曲第5番は、「brevis=短い」という副題に反して演奏時間33分、全4楽章の堂々たる作品。精緻で壮大な構造を持ち、メラルティンの交響曲中もっとも完成度が高いと評価されています。チェロによる抒情的な第1主題に始まり、各主題が対位法的に展開される第1楽章、ソロ・ヴァイオリンと鳥のさえずりを思わせるフルートの旋律が印象的な第2楽章、素朴な舞曲による民謡風の第3楽章、そして4つの主題が精巧に絡み合い壮大なクライマックスを築く終楽章で構成されます。 第6番はメラルティンが完成させた最後の交響曲。1918年末に構想され、1925年、作曲者の50歳の誕生日に初演されました。激動の時代に生まれたこの作品は、第5番とは対照的に、内面的・神秘的で悲劇的な色合いを湛え、智学や薔薇十字団の思想と関わりを持つとされています。第1楽章のモットー主題が全体を貫き、印象派的な第2楽章、五音音階に基づいた第3楽章、そして終楽章では主題が回帰し、勝利のようなクライマックスに至ります。緩緩急急という異色の4楽章構成で、調性感が希薄になり、メラルティンの新境地を感じさせます。 彼はこの後も交響曲の創作に取り組みますが、完成させることなく世を去りました。
収録作曲家:
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ヴェレス(1885-1974):
弦楽四重奏曲 第2番・第5番・第7番 [アロン四重奏団]発売日:2025年08月22日
CD価格:2,775円(税込)
アロン四重奏団が奏でるエゴン・ヴェレスの弦楽四重奏曲全集、第1集ウィーン生まれの作曲家・音楽学者エゴン・ヴェレスは、シェーンベルク門下で、後期ロマン派から現代音楽への架け橋となる重要な存在です。教師としても名高く、日本の作曲家・橋本國彦も彼の弟子の一人として知られています。 第一次世界大戦中に構想された弦楽四重奏曲第2番は、ヴェレス自身が「平和の崩壊」に深く影響を受けたと語り、調性感がギリギリのところで保たれた内面的で重厚な作品です。 第5番は、ナチスによる亡命を経験したヴェレスが5年間の沈黙を経て「故郷と過去への追悼」として書き上げたもの。第1楽章は不協和音を織り交ぜつつも調性感を保っていますが、第2楽章と第3楽章にはシェーンベルクの十二音技法が完全な形で用いられています。1948年に作曲された第7番は伝統的な形式を踏まえながらも、調性の限界に挑戦した意欲作です。対位法の技法が駆使された第1楽章が特徴的です。
収録作曲家:
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ボスマンス(1895-1952):
チェロ協奏曲 第1番・第2番
詩曲 [ラファエル・ウォルフィッシュ、エト・スパンヤールト、BBCスコティッシュ交響楽団]発売日:2025年08月22日
CD価格:2,775円(税込)
オランダの作曲家ボスマンスの世界初録音となる2曲のチェロ協奏曲を名手ウォルフィッシュが演奏!ピアニストの母と、コンセルトヘボウ管の首席チェリストであった父のもとに生まれたボスマンスは、幼い頃に父を亡くし、母やヤン・ヴィレム・ケルスベルゲン、さらにコルネリス・ドッパーに学んで作曲家としての基礎を築きました。1919年にコンセルトヘボウ管弦楽団の首席チェロ奏者マリックス・レーヴェンゾーンの依頼により、チェロとピアノのための「詩曲(ポエム)」を作曲。初演の成功を受けて1927年に管弦楽版を発表し、こちらはピエール・モントゥー指揮のもと初演されました。スペイン風の旋律とリズムが印象的なこの作品は高く評価されましたが、第二次世界大戦後は長く忘れられていました。 1922年に作曲されたチェロ協奏曲第1番も、レーヴェンゾーンが初演を務め大きな成功を収めました。批評家たちは、旋律の独創性、形式の巧みさ、管弦楽の扱い、そしてチェロの書法に高い評価を与えており、特に第2、第3楽章にはボスマンスが愛した歌劇《カルメン》の影響とされるスペイン風の要素が見られます。 一方、1923年作曲の《第2番》は若きチェリスト、フリーダ・ベリンファンテに献呈されたもので、第1番とは異なり、劇的な要素や物語的手法は控えめで、チェロの独奏による静かな序奏や田園的なスケルツォ、神秘的な中間部が特徴的ですが、終楽章でタンバリンを活躍させるところにボスマンスらしさが垣間見えます。
収録作曲家:
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コンティ(1682-1732):
セレナータ《名声の凱旋》 [ニコロ・バルドゥッチ、ゾフィー・レンメルト 他、オッタヴィオ・ダントーネ、ノヴォ・カント&ラ・スタジョーネ・アルモニカ]発売日:2025年08月22日
CD 2枚組価格:4,800円(税込、送料無料)
インスブルック古楽音楽祭2024年のハイライト、
神聖ローマ皇帝カール6世を称える華やかなるセレナータ!フィレンツェに生まれたフランチェスコ・バルトロメオ・コンティは、10代からテオルボ奏者として名声を博し、1701年、弱冠20歳でその腕を見込まれハプスブルクの宮廷楽団に雇われました。また作曲家としてもメキメキと頭角を現し、1713年には宮廷作曲家に任命されるなど、同楽団で重要な地位を確立しました。 トランペットとティンパニが加わる祝祭的な合唱で始まる1幕のセレナータ《名声の凱旋》は、1723年にプラハで行われたカール6世聖名祝日の祭典で上演されました。一般的な歌劇に含まれる登場人物たちの対話や重唱がほとんどなく、名声、栄光、才能、運命、剛勇といった擬人化された登場人物たちが順番に現れてはカール6世の偉大な功績を称える内容となっており、当時のハプスブルク宮廷が擁していた世界最高の実力を持つ歌手たちが代わる代わる登場し、皇帝を称えて歌いに歌った壮麗な舞台が偲ばれます。 若き実力派カウンターテナーのバルドゥッチをはじめとする今をときめく実力派歌手たちが揃った当録音の陣容は、往時のハプスブルクの宮廷歌手もかくやと思わせるもの。指揮のオッタヴィオ・ダントーネ率いるアカデミア・ビザンチナは、長年に渡り古楽演奏を牽引してきたオーケストラで、オペラやオラトリオなどバロック時代の劇作品の復活上演も数多く手がけ、2024年からはインスブルック古楽音楽祭のレジデントを務めています。この録音ではダントーネが音楽学者ベルナルド・ティッチと共同で作成した批判校訂版を使って演奏し、18世紀のハプスブルク家の威容を示した華やかな祝祭音楽を彷彿させます。収録作曲家:
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ピエール・モントゥー
生誕150年記念ライヴ録音集(1961)
ドビュッシー(1862-1918):
管弦楽のための映像
ストラヴィンスキー(1882-1971):
詩篇交響曲 [ピエール・モントゥー、BBC交響楽団]発売日:2025年08月15日
CD価格:2,250円(税込)
ピエール・モントゥーの生誕150年を記念したライヴ復刻CD。1961年10月18日のコンサートからモントゥーゆかりの2人の作曲家による作品を選び、BBC提供の放送音源からCD化しました。 ドビュッシーもストラヴィンスキーもモントゥーと親交のあった作曲家たち。管弦楽のための映像はドビュッシー自身の指揮で初演されましたが、当CDの解説によれば、この時のリハーサルはモントゥーによって行われたとのこと。モントゥーはまたストラヴィンスキーと「春の祭典」の初演に限らず数多くの作品を指揮し、アドバイスを送っています。なお、詩篇交響曲とイベリアはBBC LegendsからBBCL 4096-2として他で出ていましたが、「ジーグ」と「春のロンド」は当盤が初出となります。
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イギリス近現代のピアノ五重奏曲集
ゴドフリー、ホジソン、ウォルシュー、マッケイブ [ドノホー、イ・ムジカンティ]発売日:2025年08月15日
CD価格:2,250円(税込)
このアルバムは、イギリス近現代の作曲家によるピアノ五重奏曲を集めたものです。 ゴッドフリーは1902年の「エドワード7世戴冠式行進曲コンクール」などで受賞歴があり、この五重奏曲は彼の代表作のひとつ。後期ロマン派の様式で書かれた美しい作品です。ウォルシューの「幻想」五重奏曲は単一楽章で、多彩な旋律が次々に現れる流麗な曲。マッケイブの作品は、彼が作曲した人気TVシリーズ「Sam」のテーマによる変奏曲ですが、主題はコーダで暗示されるだけで、そのままの形で聞こえることはなく、近代的な響きと相まって謎めいた印象を残します。ホジソンの五重奏曲は、ダービーシャーにある4つの宿からインスピレーションを得た4楽章で構成されています。 演奏は、レオン・ボッシュが芸術監督を務める「イ・ムジカンティ」とピアニスト、ピーター・ドノホーが担当しています。
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ダンシング・イン・ウィーン
ロベルト・シュトルツ、 J. シュトラウス二世
ヨーゼフ・シュトラウス 他 [イアン・サザーランド、フィルハーモニック・コンサート・オーケストラ]発売日:2025年08月15日
CD価格:2,250円(税込)
軽音楽や映画音楽、ミュージカルで高い評価を得ているイアン・サザーランドがウィーンゆかりの舞曲を指揮したライヴ音源を集めたアルバム。彼はかつてロベルト・シュトルツの未亡人から「テンポとルバートに関する独特な感性を持ち、ウィーン音楽を奏でるためのウィーンの心と黄金の腕を併せ持つ偉大な指揮者」と称賛されました。収録曲はすべてライヴで拍手入り。客席のざわめきも感じられます。 イアン・サザーランドは1936年生まれ。BBC関連のオーケストラを中心に、クラシックから映画音楽まで幅広いレパートリーで活躍する経験豊かな指揮者です。少年時代からヴァイオリンの才能を発揮し、グラスゴーやロンドンで研鑽を積んだ後、自身のオーケストラを率いて放送や録音の分野で注目を集めました。その演奏はClassic FMやScala Radioでも頻繁に取り上げられ広く愛されています。
収録作曲家:
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ミュンヘン・ギター協会の手稿譜
シュメルツル、シュルツ、ダール、
キューネル、カンベルガー:
ギター作品集 [ダニエル・ヴァレンティン・マルクス(ギター)]発売日:2025年08月08日
CD価格:1,900円(税込)
2009年、ミュンヘンの屋根裏部屋で膨大なギター曲の楽譜が発見されました。現在、ミュンヘン・ギター協会(Gitarristische Vereinigung München)が所蔵するこのコレクションには、長らく忘れられていながらギター音楽史的に重要な作品が多く含まれています。ここではその中から5人の作曲家の作品を紹介。 シュメルツルは、アウクスブルク出身の作曲家・ギタリスト。「Solo-Steyrer Jodler」による序奏と変奏曲は、古典派とロマン派の境界に位置する様式を持っており、マウロ・ジュリアーニの影響が色濃く感じられます。 シュルツはウィーン生まれのギタリスト・作曲家。若くして天才と評され、ジュリアーニの影響を受けながら、リストとの共演経験やイギリス王室の前での演奏歴もあります。「サヴォワ風ロンド」はこの譜面が唯一の資料であり、実演における効果を重視した作品です。 ダールは、バイエルン州シュヴァインフルト出身。ヴァイオリンやフルートを学んだ後、18歳でギターに転向しました。晩年に作曲された「ギター・ソナタ ニ長調」は、オーケストラを思わせる重厚なテクスチャなどが特徴で、第3楽章ではアルプスの民俗音楽の影響が見られます。 キューネルの「タールベルクによる異国の思い出」は、タールベルクがベッリーニのオペラ《異国の女》を基にしたピアノのための編曲をギター用に再構成したものです。 カンベルガーの「大幻想曲」は、フロトウのオペラ《アレッサンドロ・ストラデッラ》を中心に、多くのオペラ主題を引用しながら、独自の旋律と構成を交えて展開する意欲的な作品です。 ダニエル・ヴァレンティン・マルクスは、ドイツ出身。幼少期よりギターを始め、ミュンヘンやケルン、ロサンゼルスで著名な指導者のもと研鑽を積んだギタリスト。現在はサリー大学でスティーブン・ゴス教授とともにミュンヘン・ギター協会に関する研究に取り組んでいます。
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プライス(1887-1953):
〈合唱作品集〉
エイブラハム・リンカーンは真夜中に歩む
希望の歌他 [ジョン・ジーター、マルメ歌劇場合唱団、マルメ歌劇場管弦楽団]発売日:2025年08月08日
CD価格:1,900円(税込)
「黒人女性初の交響曲作曲家」と呼ばれるフローレンス・プライス。近年はその作品がBBCプロムスで演奏されたり、グラミー賞を受賞するなど、大いに注目されています。 プライスは詩や文学への深い関心を持ち、自作の歌詞を用いた作品を含む100曲以上の声楽曲を残しました。彼女が曲を付けた詩人には、ラングストン・ヒューズやバイロン卿、ロバート・フロストなど、多様な人物が含まれます。 このアルバムに収録された「エイブラハム・リンカーンは真夜中に歩む」は、黒人霊歌やバロック音楽の影響を受けたプライス最大の合唱作品。詩は第一次世界大戦勃発時の詩人ヴェイチェル・リンゼイによるもので、作品全体は重厚さと希望を兼ね備えた構成により、平和を願うリンカーンの姿を描いています。 「希望の歌」はプライス自身の詞による神への祈りで、五音音階や調性の大胆な変化を通じて、信仰と深い内省が表現されています。併せて収録された短い合唱曲では、フローレンス・プライスの詩的感性とユーモアが際立っています。 「ウェザーズ」「賛美の詩」「夏の雲」「夜」などでは自然の魅力が生き生きと描かれ、「雪のための歌」でも温もりと安らぎを表現。「牧草地の魔女」や「月の橋」には遊び心が、「放浪と渇き」には冒険心と神秘が感じられます。「諦め」と「主を讃えよ」は宗教的な主題を扱い、とりわけ「諦め」は「希望の歌」と似た雰囲気を持ち、プライスが深く心を寄せた文学的テーマが反映されています。
収録作曲家:
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ペトラッシ(1904-2003):
管弦楽のための協奏曲 第7番・第8番
室内ソナタ [フランチェスコ・ラ・ヴェッキア、ローマ交響楽団]発売日:2025年08月08日
CD価格:1,900円(税込)
ペトラッシの「管弦楽のための協奏曲」シリーズ完結編。ゴッフレード・ペトラッシはイタリアの作曲家、教育者、指揮者で、ローマのサルヴァトーレ教会で聖歌隊員を務めた後、サンタ・チェチーリア音楽院で学び、教師としても活動、1937年から1940年にかけては、ヴェネツィアのフェニーチェ劇場の監督を務め、現代音楽のフェスティバルを主宰しました。 第7番は、ポートランド・ジュニア・オーケストラの委嘱で書かれた作品。1962年の初演は成功しませんでしたが、ペトラッシ自身が新たに書き直し1965年に再演されています。6つの連続するセクションで構成され、バロック音楽の構造とイタリア・アヴァンギャルドの手法が見事に融合した多彩な管弦楽の響きと緊張感あふれる表現が特徴です。特に、第3セクションで聴かれるシロリンバ(大型の鍵盤打楽器)のソロや、終結部で静寂から再び高揚する展開が印象的。 第8番は、1972年にシカゴ交響楽団の委嘱によって生まれ、カルロ・マリア・ジュリーニの指揮で初演されました。3楽章構成のこの作品は、第7番を凌ぐほどの強いインパクトを持ち、聴きやすさに妥協することなく、高度な技巧と表現力を要する緊迫感あふれるサウンドが展開されます。 さらに、アルバムには1949年作曲の「室内ソナタ」も収録。こちらもジュリーニが初演を手掛けた作品で、ペトラッシの作風の新古典主義からモダニズムへの重要な転換点を示すものと位置づけられています。チェンバロを中心に、軽快な対話や抑制された語り口、そして活気に満ちた終楽章が聴きどころとなっています。
収録作曲家:
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ソレール(1729-1783):
ソナタ 第99番-第111番 [ジェイデン・アイジク=ズルコ (ピアノ)]発売日:2025年08月08日
CD価格:1,900円(税込)
NAXOSのソレール・ソナタ・シリーズに大注目のアイジク=ズルコが登場!1999年カナダ生まれのジェイデン・アイジク=ズルコは2022年にマリア・カナルスとサンタンデール、2024年にはモントリオールとリーズという国際コンクールで第1位を獲得して大きな注目を浴びています。2025年6月に日本で行ったリサイタルでは、整った様式感と多彩な音色、楽想に応じて弾けるような躍動感で聴衆を魅了しました。このアルバムでもソレールの持ち味であるイベリア的な色彩を見事に伝えてくれます。 ソレールはスペインの鍵盤音楽の礎を築いた作曲家の一人で、44歳上のスカルラッティと共に、そのソナタ群は今も鍵盤楽器奏者のレパートリーとなっています。このアルバムには晩年の作品を収録。多楽章形式の曲からは古典派へ向かう流れも感じ取れます。
収録作曲家:
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ボーイト(1842-1918):
歌劇《ネローネ》 [ミヘイル・シェシャベリゼ、 ロベルト・フロンターリ 他、フランチェスコ・チッルッフォ、カリアリ歌劇場管弦楽団&合唱団]発売日:2025年08月08日
CD 2枚組価格:2,900円(税込)
《メフィストーフェレ》で知られるアッリーゴ・ボーイトの2作目のオペラ《ネローネ》がCD初登場。作曲者の死により未完のまま残された《ネローネ》は、ズマレリアとトンマジーニによって補作され、1924年にトスカニーニの指揮で初演されました。その後は長らく再演されませんでしたが、初演から100年にあたる2024年にカリアリ歌劇場で上演され大きな注目を集めました。これはその時の録音です。 タイトルロールのネローネを演じたのは、ジョージア出身のテノール、ミヘイル・シェシャベリゼ。ファヌエル役には、日本でも数多くの舞台で知られる名バリトン、ロベルト・フロンターリが登場。シモン役には、暗い情念に満ちた表現で高く評価されるフランコ・ヴァッサッロ、アステリア役には、イタリア各地の歌劇場で活躍するリリコ・スピント、ヴァレンティーナ・ボーイが起用されるなど、実力派キャストが揃いました。 指揮はフランチェスコ・チッルッフォが務め、ボーイトの濃密な音楽をドラマティックかつ繊細に描き出し、高い評価を受けました。
収録作曲家:
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〈HAYDN 2032 第12集〉
~遊びと愉しみ~
ハイドン(1732-1809):
交響曲 第61番・第66番・第69番
作者不詳:
おもちゃの交響曲 [ジョヴァンニ・アントニーニ、バーゼル室内管弦楽団]発売日:2025年08月08日
LP+CD+音源DL付価格:5,175円(税込、送料無料)
金管・打楽器の華々しい活躍と、あの謎の名曲
絶好調の全曲録音シリーズ第12巻に高音質アナログ盤登場2032年の作曲家生誕300周年に向け、100曲以上が現存しているハイドンの交響曲の全てを録音してゆくジョヴァンニ・アントニーニのHAYDN 2032プロジェクト。今回はハイドンがエステルハージ侯爵家での作曲経験を充分に積み、ひときわ充実した楽器編成のために交響曲を書く機会が増えてきた1775~76年の作品3曲に、「おもちゃの交響曲」を加えた選曲。20世紀にヨーゼフ・ハイドン作ではないと判明して以降、レーオポルト・モーツァルトかエドムント・アンゲラーかなど、異説が多く提唱されながらも今なお作曲者が確定していない「おもちゃの交響曲」ですが、少なくとも1760年代には楽譜が存在していた真正の18世紀作品であることだけは間違いなく、滅多になされない古楽器での録音を俊才アントニーニによる技ありの指揮で聴けるのは画期的です。 ハイドン作の3曲のうち比較的知られている第69番は、晩年まで戦果を上げ続けた老将軍ラウドン(ロウドン)にちなんだ作品。トランペットとティンパニが響きに華やぎを添えます。第66番は比較的小ぶりの編成ながら、豊かな音作りにハイドンの芸術性の充実が感じられるもの。 イル・ジャルディーノ・アルモニコやゼフィーロでも活躍する名手エミリアーノ・ロドルフィ(オーボエ)や、引く手あまたのカルレス・クリストバル(ファゴット)など俊才古楽器奏者も加わるバーゼル室内管弦楽団の機動力も頼もしく、音楽学者クリスティアン・モーリッツ・バウアーによる最新研究を踏まえた恒例の解説(英・仏・独語)とともにハイドン作品の奥深さを十全に伝えてくれます。 豪華版アナログが登場です。収録作曲家:
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Breaking Waves - 砕ける波
グレース・ウィリアムズ(1906-1977)
バツェヴィチ(1909-1969)
ミュラー=ヘルマン(1868-1941):
弦楽のための作品集 [マリン・ブロマン、オストロボスニア室内管弦楽団]発売日:2025年08月08日
SACD-Hybrid価格:2,850円(税込)
異なる国籍を持つ3人の女性作曲家の弦楽のための作品を集めたアルバム。 グレース・ウィリアムズは、ウェールズ生まれ。カーディフ大学とロンドン王立音楽大学で学び、ウィーンではエゴン・ヴェレシュに師事、ワーグナーやマーラーの影響も受けながらも独自の作風を確立しました。第二次世界大戦中に健康を崩し、一時は作曲をやめることも考えた彼女ですが、戦後に故郷に戻り、作曲と教育活動を続けました。「海のスケッチ」は彼女の代表作の一つで、故郷グラモーガンシャーの海岸にインスピレーションを得た5楽章からなる作品です。 ポーランドのグラジナ・バツェヴィチは、作曲家・ヴァイオリニスト・指揮者として活躍。ワルシャワ音楽院とパリで学び、戦後も創作を続けました。弦楽四重奏曲を7曲作曲し、なかでも第4番は特に有名で、民族的要素と親しみやすい新古典主義的語法が特徴の3楽章構成で書かれています。今回は弦楽オーケストラ編曲版で演奏されます。 ヨハンナ・ミュラー=ヘルマンはツェムリンスキーに師事し、20世紀初頭のウィーンで活躍した女性作曲家。唯一の弦楽四重奏曲はツェムリンスキーに献呈され、半音階的な和声と後期ロマン派の緊張感ある語法が印象的です。 オストロボスニア室内管弦楽団(OCO)は、1972年にユハ・カンガスによって設立され、1989年からプロとして活動。現代フィンランド音楽に注力し、200作以上の新作を初演、80枚以上の録音を発表しています。2019年より芸術監督を務めるマリン・ブロマンは、指揮者・ヴァイオリニストとして国際的に活躍し、ノーベル賞授賞式でも演奏経験を持つ実力派です。
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Sparks from Ashes - 灰から散る火花
ドヴォルザーク、バルトーク、
カプラーロヴァー、クシチカ:
歌曲集 [ニッキー・スペンス、ディラン・ペレス]発売日:2025年08月08日
CD価格:2,850円(税込)
ロイヤル・オペラでアスミク・グリゴリアンと共演した《イェヌーファ》の映像や、ラトル指揮ロンドン響と共演した同曲のCD、更にHyperionのヤナーチェク歌曲集に参加するなど、ヤナーチェク歌いとして評価の高いニッキー・スペンスの歌う東欧歌曲集。 中心となるのはドヴォルザークの「糸杉」。1860年代に書かれたこの歌曲集は当時ドヴォルザークが恋心を寄せていた女優ヨゼフィナ・チェルマーコヴァーへの思いが反映されたと考えられています。詩はグスタフ・プフレガー=モラフスキーによるもので、つかの間の愛の幸福、拒絶、別れ、そして自然への慰めといったテーマが描かれています。この歌曲集はドヴォルザークにとって重要な創作の源泉でもあり、彼は後に12曲を弦楽四重奏用に編曲し、さらに1888年には8曲を改訂して「愛の歌」作品83として出版しました。ドヴォルザークの若き日の情熱が凝縮された美しい作品をスペンスは優しく歌い上げています。 他には、バルトークが1915年に出版されたスロバキアの民謡集から5曲を選び、田舎の結婚式の様々な様相を描いた「村の情景」や、チェコ・フィルハーモニー合唱団の指揮者やプラハ音楽院の作曲教授などを歴任した作曲家ヤロスラフ・クシチカによるおとぎ話を題材とした寓話的な歌曲、カプラーロヴァーの愛を主題とした歌曲集「灰から散る火花」などが収録されています。「別れとハンカチ」は、カプラーロヴァー自身の人生の転機を反映した作品として知られます。
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King of Kings - 王の中の王
J.S.バッハ(1685-1750):
アンドルー・デイヴィス編曲による管弦楽作品集 [BBCフィルハーモニック、アンドルー・デイヴィス、マーティン・ブラビンズ]発売日:2025年08月08日
CD価格:2,850円(税込)
1989年から2000年までBBC交響楽団の首席指揮者を務め、紳士的な気品と情熱のある音楽作りによって人気のあったアンドルー・デイヴィスの遺作と呼ぶべきアルバムが登場。ストコフスキーばりに、バッハのオルガン曲をオーケストラ・アレンジした壮大な作品集です。 アンドルー・デイヴィスはセント・オールバンズでピーター・ハーフォード氏にオルガンを師事し、ケンブリッジではデイヴィッド・ウィルコックスに就いて4年間にわたりオルガンの研究と演奏を専門的に深めました。忙しい指揮活動の傍らオルガンへの関心を生涯持ち続け、バッハのオルガン曲の管弦楽編曲は彼のライフワークとなっていたようです。 このアルバムは彼の80歳の記念として企画されたものでしたが、病を得て録音を完結できずに世を去ってしまいました。その遺志を継いだマーティン・ブラビンズによってアルバムが完成し、ここに追悼盤としてリリースされます。ブックレットには当録音のプロデューサーで、長年にわたりBBCフィルのプロデューサーを務めてきたマイク・ジョージによる故人の回想と感謝のこもったコメントと各曲の解説が記されています(英語)。 アンドルー・デイヴィスは編曲に際してストコフスキーのものを意識していたようです。デイヴィス版の特徴の一つは、グロッケンシュピール、ヴィブラフォン、マリンバなどの打楽器を巧みに用いて響きに煌めきを与えている点。また、管楽器が効果的に活躍する場面も多く、これは原曲のオルガンの響きを意識したものといえるでしょう。おなじみの「トッカータとフーガ ニ短調」はストコフスキー版とは全く違う風情の味わいを楽しめます。
収録作曲家:
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バツェヴィチ(1909-1969):
〈管弦楽作品集 第2集〉
交響曲 第2番
ピアノ協奏曲
大交響楽団のための協奏曲 [サカリ・オラモ、ピーター・ドノホー、BBC交響楽団]発売日:2025年08月08日
SACD-Hybrid価格:2,700円(税込)
2013年よりBBC交響楽団の首席指揮者を務めるサカリ・オラモ。2023年にリリースされて好評を得たバツェヴィチ作品集に続編が登場します。 「ピアノ協奏曲」はショパン没後100年を記念してポーランド作曲家連盟が主催した「フレデリック・ショパン作曲コンクール」の応募作。ベテランのピーター・ドノホーがソリストとして参加し、巧みなピアニズムを聴かせています。 「交響曲第2番」は実質的には3作目の交響曲ですが、最初の作品が破棄されたため「第2番」とされています。彼女はこの作品について、「偉大な古典の巨匠たちの伝統を参照しつつ、自身の音楽的発見を盛り込んだ」と述べています。 「大交響楽団のための協奏曲」は、バツェヴィチ自身が創作活動の新たな段階へ移行する過程の一部と位置づけた重要な作品。 SACDハイブリッド盤での発売です。
収録作曲家:
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ウカシェフスキ(1968-):
夜想曲集 [マチェイ・ザグルスキ]発売日:2025年08月08日
CD価格:2,175円(税込)
パヴェウ・ウカシェフスキは、ポーランドを代表する宗教音楽作曲家の一人です。ワルシャワのショパン音楽大学でチェロと作曲を学び、1995年に作曲科を首席で卒業。博士号取得後、同大学では2016年から2024年まで副学長を務めました。 『夜想曲』は15曲からなる連作小品集で、それぞれの曲には星の名前が冠されており、ロマン派の夜想曲の伝統(ショパンやシマノフスカなど)を受け継ぎながらも現代的な音楽となっています。静かで穏やかな響きの中に、重なり合う音の層がテンポを微妙に変化させてゆく様は、夜の静けさや星々の神秘さを連想させます。 第6番「ハッサレー」(ぎょしゃ座)と第14番「ピピリマ」(さそり座)では、歌うようなメロディと美しい和音の融合がとくに印象的。曲集の最後を飾るのは、第15番「ヘゼ」(おとめ座)。音は次第に静かに消え入り、広大な宇宙の深淵へと吸い込まれていくような印象を与えます。この作品に強く魅了されているというポーランドのピアニスト、マチェイ・ザゴルスキが丁寧な演奏を聴かせます。
収録作曲家:
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ベートーヴェン(1770-1827):
〈フルートとピアノのための後期作品集〉
民謡主題と変奏曲集 [ヨハネス・フーシュテッド、ソントラウト・シュパイデル]発売日:2025年08月01日
CD価格:2,850円(税込)
18世紀末から19世紀のヨーロッパでは、民族意識の高まりを背景に民謡ブームが起こり、各地でフィールドワークによる民謡の収集が進みました。イギリスでは楽譜商人ジョージ・トムソンが、スコットランド、ウェールズ、アイルランドの民謡の収集と出版に尽力し、スコットランド文化の形成に貢献しました。 トムソンは、収集した民謡に洗練された詩をつけ、ハイドンやベートーヴェンといった著名な作曲家に編曲を依頼、ベートーヴェンには、スコットランドやチロルの民謡を主題とした変奏曲の作曲を依頼し、華麗で親しみやすい作品を求めました。ベートーヴェンはこれに応じ、1818年に作業を開始し、作品105と作品107を完成させています。これらの作品は短い主題と変奏が続く形式で、ヴァイオリンでもよいとされるフルートパートは任意となっており、ピアノ独奏でも演奏可能。作品105の第4曲は、日本では「庭の千草」として親しまれているメロディが元になっています。 ヨハネス・フーシュテッドは、ブレーメンとカールスルーエで学び、著名な演奏家のマスタークラスで研鑽を積んだフルート奏者です。彼は世界各地で演奏、録音、初演を行い、現代作品の献呈者としても知られています。現在、カールスルーエ音楽大学で教鞭を執っており、2022年にはゲオルク・メッツガー作品の初録音がドイツ・レコード批評家賞にノミネートされました。この演奏では、同じくカールスルーエ音楽大学の教授として後進の指導にあたるソントラウト・シュパイデルがピアノを担当しています。
収録作曲家:
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Echoes of Exile - 亡命者のこだま
無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ集 [スーイエ・パク(ヴァイオリン)]発売日:2025年08月01日
SACD-Hybrid価格:2,850円(税込)
2025年5月に開催されたシベリウス国際ヴァイオリン・コンクールで優勝したスーイエ・パク(第2位は吉田南)。本作『Echoes of Exile 亡命者のこだま』は、追放というテーマを軸に、1920年代から1950年代にかけて書かれた作品を集めたアルバムです。政治的あるいは内面的な理由から故国を離れざるを得なかった作曲家たちの視点をたどるもので、エネスクとイザイの作品でバルトーク、ベン=ハイム、B.A.ツィンマーマンの重厚な作品を挟む形に配置されています。故郷への郷愁や大戦後の不安といった感情が、パクの鋭敏な感受性と深い共感を通して鮮やかに描き出されています。SACDハイブリッド・ディスクでのリリース。 韓国出身のスーイエ・パクは、4歳でヴァイオリンを始め、9歳でベルリンのハンス・アイスラー音楽大学に入学。その後、ウィーン国立音楽大学、ジョンズ・ホプキンズ大学ピーボディ音楽院で研鑽を積みました。これまでにヨーロッパ、アジア、中東など各地で演奏し、エイドリアン・ブレンデルやローランド・ペンティネンら著名な音楽家と共演。2017年にパガニーニの「カプリース」(BISSA2282)でCDデビューを果たし、2021年の『Journey through a Century 世紀を越える旅』(BISSA2492)は『グラモフォン』誌の「今月の録音」に選ばれるなど高い評価を受けました。その後も、尹伊桑のヴァイオリン協奏曲第3番や、シマノフスキのヴァイオリンとピアノのための全作品(いずれもBISレーベル)を録音し、国際的な注目を集めています。
収録作曲家:
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ノスコフスキ(1846-1909):
交響曲 第3番
交響詩「大草原」 [アントニ・ヴィト、ラインラント=プファルツ州立フィルハーモニー管弦楽団]発売日:2025年08月01日
CD価格:2,475円(税込)
ポーランド交響楽の記念碑、ノスコフスキの交響曲全集が同郷の巨匠ヴィトの指揮で完結「ポーランド人作曲家による初の本格的な交響曲」と評価されるノスコフスキの3曲の交響曲。第1番と第2番を収めたディスク(C5509)に続き、アントニ・ヴィトの指揮で全集完結です。 交響曲第3番「春から春へ」は、ドイツ風のスタイルを留めていた前2作よりも一層民族色が強く、4楽章構成で演奏時間40分ほどの大作。躍動的な春に始まり、夏は白夜の季節を思わせるロマンティックなアダージョ、秋が収穫の祭りのにぎやかな描写なのはヴィヴァルディを思わせます。終楽章は沈鬱な冬の描写で始まり、雪嵐を思わせる盛り上がりを見せた後、浄化されたように澄んだ響きを経て春の回帰を喜ばしく讃えて結ばれます。当時のポーランドは独立を失い、ロシアとプロイセンに分割支配されていました。祖国の独立回復を願う「若きポーランド」と呼ばれた芸術思潮では、「冬を越えて再び巡り来る春」は祖国の再興を象徴する表現で、この作品のワルシャワでの初演も好評で迎えられました。 併録の交響詩「大草原」は演奏時間20分ほどの作品で、ポロネーズのリズムやウクライナの民俗楽器トルバンの模倣といった民族的要素を随所に織り込み、ポーランドとコサックの対立と自然を大きなスケールで描いたもの。ボロディンの「中央アジアの草原にて」に通じる趣があります。
収録作曲家:
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ドメニコ・フェラーリ(1722-1780):
6つのヴァイオリン・ソナタ Op.3 [アルテム・ジェガノフスキー、レオナルド・ガッティ、ソニア・フレクホロヴィチ]発売日:2025年08月01日
CD価格:2,475円(税込)
バロックと古典派をつなぐ作曲家ドメニコ・フェラーリの作品に捧げられた希少な作品集。フェラーリはタルティーニの教え子の中でも特に高く評価され、ウィーンとシュトゥットガルトの宮廷で称賛を浴びたのち、パリのコンセール・スピリチュエルへのデビューで大成功をおさめました。パリではフランス国内で10年間にわたり自作を出版する勅許を得て、没するまで演奏家・作曲家として活躍。その作品は通奏低音の使用や語法にバロックのスタイルを残しつつも、急緩急の3楽章構成や低音の扱いなどに古典派様式の萌芽が感じられます。これまでにまとまった録音がほとんどなかったので、このアルバムは貴重と言えるでしょう。 ヴァイオリンのジェガノフスキーはキーウに生まれ、ウクライナの国立劇場のオーケストラなどで演奏したのち、イタリアに移ってステーファノ・モンタナーリやアントン・シュテックにバロック・ヴァイオリンを学びました。アッカデーミア・デラヌンチアータ、ラ・リゾナンツァ、アカデミア・モンティス・レガリス、インスブルック音楽祭管弦楽団などで演奏し、バロックと古典派のレパートリーに特化したアンサンブル「アート・オッフェルトリウム」を主宰しています。
収録作曲家:
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J.S.バッハ(1685-1750):
〈カンタータ 第50集〉
第205番・第196番・第19番 [ルドルフ・ルッツ、バッハ財団管弦楽団・合唱団]発売日:2025年08月01日
CD価格:5,175円(税込、送料無料)
ルドルフ・ルッツとバッハ財団管弦楽団によるカンタータ第50集。 第205番は世俗カンタータで、1725年にライプツィヒ大学の講師アウグスト・フリードリヒ・ミュラーの命名日を祝して作曲されました。全15曲からなるギリシャ神話を題材にした劇的・オペラ的な作品で台本はピカンダー。風神アイオロスに対して、西風ゼビュロス、果実の女神ポモナ、知恵の女神パラスが地上の破壊を思いとどまるよう説得するという筋書きで、最後には風の神が和解し、祝祭的な合唱で締めくくられます。冒頭の多彩な管弦楽による嵐の猛威の描写が見事です。この作品は後に、ザクセン選帝侯フリードリヒ・アウグスト2世の誕生日のための祝賀カンタータ「敵どもよ、騒ぎ立て(BWV205a)」に改作されましたが、そちらの音楽は現存せず歌詞のみが伝わっています。 第196番はミュールハウゼン時代のカンタータ。初演は1708年6月5日でテキストは詩篇115篇を使用。神の祝福を祈願し、また感謝する内容が歌われています。恐らく内輪の結婚式で演奏されたとされており、音楽はくつろいだ雰囲気と祝賀の気分が見事に溶け合ったものです。 第19番は1726年9月29日。大天使ミカエルの記念日のためのカンタータで、バッハの時代にはとりわけ輝かしく祝われていたといいます。「巨大な竜や蛇、悪魔」と大天使ミカエルの軍勢が戦うという内容で、冒頭の合唱から乱戦を表すような激しさ。2本のオーボエ・ダモーレと通奏低音を伴う美しいソプラノのアリアを経て、テノールのレチタティーヴォとシチリアーノのリズムが用いられたアリアが続きます。ソプラノのレチタティーヴォをはさみ、最後は輝かしいコラールで締めくくられます。
収録作曲家:
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レーガー(1873-1916):
アルノルト・ベックリンによる4つの音詩
ロマンティックな組曲 [ハイメ・マルティン、イェヴレ交響楽団]発売日:2025年08月01日
CD価格:2,475円(税込)
レーガーの晩年の管弦楽作品2篇を収めたアルバム。「アルノルト・ベックリンによる4つの音詩」は画家ベックリンの絵画に想を得た作品。レーガーには珍しい標題音楽的作品ですが、4つの楽章からなり、彼が構想していたという交響曲への志向もうかがわれます。「ロマンティックな組曲」は詩人アイヒェンドルフの詩に触発された作品。両曲ともドビュッシーを思わせる官能的で情感豊かな響きがあります。 ハイメ・マルティンはスペイン生まれ。ロイヤル・フィルやロンドン・フィルの首席フルートを歴任した後に指揮に転じ、2013年から22年までイェヴレ交響楽団の首席指揮者を務めました。
収録作曲家: