2018年12月
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デュセック(1760-1812):
2台のピアノのための協奏曲と室内楽曲集
~古典派からロマン派へ、フォルテピアノの新時代~ [アレクセイ・リュビモフ(フォルテピアノ)、オルガ・パシチェンコ(フォルテピアノ)、フィンランド・バロック・オーケストラ、メタ4、シッカ=リーサ・カーキネン=ピルク(ヴァイオリン)、リイッタ・リーサ・リスティルオマ(ヴィオラ)、ユッカ・ラウタサロ(チェロ)、アンナ・リンタ=ラフコ(コントラバス)、トンミ・ヒューティネン(ホルン)]DUSSEK, J.L.: Concerto for 2 Pianos / Piano Quintet / Notturno Concertante (Kaakinen-Pilch, Lubimov, Pashchenko, Finnish Baroque Orchestra)
発売日:2018年12月19日 NMLアルバム番号:ALPHA416
CD国内仕様 日本語解説付価格:2,970円(税込)
11月の来日公演でも話題のアレクセイ・リュビモフは、ゲンリフ・ネイガウスとレフ・ナウモフの門下で学んだ正統派のロシア・ピアニズムの継承者でありながら、旧ソ連にあって早くから古楽器に関心を示し、チェンバロ奏者としての活躍をへて冷戦終結後は積極的に西側諸国をまわり、自ら愛奏する作曲家たちが知っていた理想のフォルテピアノを探し求めてきた名手。フォルテピアノの世界ではロシア、オランダ、フランスなどを拠点に、導師のごとく多くのすぐれた門弟を育ててきたことでも有名です。 その門下から颯爽と登場、いま躍進めざましくヨーロッパで最も注目を集めているフォルテピアノ奏者のひとりオルガ・パシチェンコとの理想的な連携アルバムが登場! J-L.デュセック(モーツァルトと同時代のウィーンで活躍したF-X.ドゥシェクとは別人)といえば、パリでマリー=アントワネットの愛顧を受け、革命期にはベルリンやロンドンにも渡りながら、すぐれた技量と桁外れの作曲センスでフォルテピアノという新型楽器(当時はまだチェンバロも根強く使われていました)の性能をよく引き出す傑作ソナタを多く書いた作曲家。いわばモーツァルトとシューベルトをつなぐミッシングリンクといってもよい存在ですが、当時の人々を熱狂させたその作品の真価は、当時の楽器の響きに立ち返ってこそわかるもの―― 作曲家でピアニストでもあったクレメンティが買収して伸ばした老舗鍵盤工房ロングマンの、あるいはウィーンの名工ヴァルターの残した歴史的楽器をモデルに、ポール・マクナルティとクリス・マーネという現代を代表する歴史的ピアノ復元製作家が作り上げた精巧な再現楽器から紡ぎ出される細やかな音色表現は、この種の楽器の扱いを知り尽くした二人のソリストの手によって最大限の魅力を発揮します(Pan Classicsの室内楽録音でも活躍してきた名技師フォクス=ガルのエンジニアリング)。 当時はその音量の弱さから、協奏曲にピアノを使うのは難しいとも言われていたところ、事実上の協奏曲といってもよいピアノ五重奏曲やピアノ入りの室内楽といった曲目との聴き比べができる点も本盤の魅力のひとつで、ピアノ史の展開を生々しく体感できる良い機会となるでしょう。
収録作曲家:
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トルリ(1660頃-1737):
オラトリオ『現世のむなしさ』 [バルバラ・シュリック、イングリット・シュミットヒューゼン、ディレク・リー・レイギン 、ロジャーズ・カヴィー=クランプ、ミヒャエル・ショッパー、ムジカ・アンティクヮ・ケルン、ラインハルト・ゲーベル]TORRI, P.: Vanità del mondo (La) [Oratorio] (Schlick, Schmithüsen, Ragin, Schopper, Cologne Musica Antiqua, Goebel)
発売日:2018年12月19日 NMLアルバム番号:MEW1890
CD 2枚組国内仕様 日本語解説付価格:2,970円(税込)
アレッサンドロ・スカルラッティやカンプラなどと同じ頃、つまりヴィヴァルディやバッハよりも一世代上に属するピエートロ・トルリは、ミュンヘンとブリュッセルで覇権を誇ったバイエルン選帝侯の宮廷作曲家として大いに活躍したイタリア人作曲家。基本的に、このトルリの作品で現代蘇演されたものはことごとく名作……といってもよいくらい、1700年前後のイタリア音楽の粋をあつめた旋律美とダイナミズム豊かな音楽ばかりを綴った天才でもあります。 南ネーデルラント〈のちのベルギー〉の音楽は17世紀末頃から、リュリの系譜をひくフランス音楽と、イタリアから来た音楽家たちが根付かせつつあったイタリア音楽とがせめぎあい、独特の発展をみせていました。その渦中にあって、同時代のイタリア人フィオッコとともにイタリア音楽の魅力を同地に根付かせたトルリの、1706年初演のオラトリオ『現世のむなしさ』は受難節を彩った端正な充実作。 オーボエひとつと弦楽器・通奏低音だけの器楽伴奏と数少ない歌手による室内編成で奏でられるのは、フランスの「ルソン・ド・テネブル」と同じく豪奢なことが許されない時期のために書かれた音楽だから。しかし本盤は1988年の記念碑的放送録音で、全盛期のムジカ・アンティクヮ・ケルンと名古楽歌手たちが居並ぶ演奏陣の豪華さは圧巻! 古楽器アンサンブルの機微を知り尽くしたうえでの「攻め」にあふれたスリリングな演奏で知られたグループが、その後それぞれのアンサンブルを結成することになる名手ぞろいの時期に刻んだ録音というのはまったく見逃せません。 バルバラ・シュリックやディレク・リー・レイギンら、バロックオペラ復興の立役者となってきたレジェンド級歌手たちの絶美の演奏表現にも着目したいところ。ブリュッセル音楽界が1700年前後にどれほどエキサイティングだったかも含め、解説(国内盤には日本語訳付)の充実度もありがたいところです。
収録作曲家:
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ガナッシ(1492-1565):
『ラ・フォンテガラと名づけられたる笛の教本』
~16世紀、巨匠たちの傑作による装飾音奏法の至芸 [ウィリアム・ドンゴワ、ル・コンセール・ブリゼー]Vocal and Instrumental Ensemble Music - CARA, M. / JOSQUIN DES PREZ / GOMBERT, N. (Sylvestro Ganassi: La fontegara) (Le Concert Brisé, Dongois)
発売日:2018年12月19日 NMLアルバム番号:RIC395
CD国内仕様 日本語解説付価格:2,970円(税込)
ガナッシの『フォンテガラ』といえば、リコーダーを本格的に学ぶ人が必ず通るといっても過言ではないルネサンス変奏技法の必携書。いわばリコーダー世界のチェルニーかバッハかショパンか……というような存在で、その教本のなかで縦横無尽に解説されている装飾技法を学ぶことは、リコーダー奏者のみならずルネサンス音楽を演奏するプロにとって欠かせない過程のひとつといってよいでしょう。 ただ観賞する側からすると、その著者ガナッシの存在感はいまひとつピンとこないところ。本盤の重要性はそこにあります。ラルペッジャータやエスペリオンXX、コンチェルト・パラティーノなど世界的なグループでの活躍をへて自らコンセール・ブリゼーを立ち上げた木管コルネット(ツィンク)の天才奏者ウィリアム・ドンゴワは、頼れる演奏仲間たちとともにガナッシの著作にあらためて立ち返り、そこに説明されている声楽作品を器楽で奏でる技法によって、ジョスカン、ビュノワ、ゴンベール.... など、ガナッシの時代からみた「古典」ともいうべき15~16世紀の巨匠たちの声楽作品をあざやかに演奏してゆきます。 装飾音を機微たくみに織り込みながら、さまざまな古楽器の音色を交錯させてゆく名手たちのなかには、Alphaレーベルでの数々の名盤で知られるバグパイプ&古楽笛奏者フランソワ・ラザレヴィチの名も……他にも欧州シーン最前線をゆく多忙な名古楽器奏者たちの名が続々。なにかと声楽偏重になりやすいのでルネサンスを敬遠してきた方々にも、この興奮必至の器楽合奏世界は是非お勧めしたいところ……ルネサンス名画の画集観賞にも合いそうです。国内盤は充実解説の日本語訳付。
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TAKE TWO - ヴァイオリニストとふたりで
~ヴァイオリンとさまざまな音の二重奏、中世から現代まで~ [パトリツィア・コパチンスカヤ、アリス・コパチンスカヤ、レート・ビエーリ、ロランス・ドレイファス、パブロ・マルケス、アントニー・ロマニュク、ホルヘ・サンチェス=チョン、マティアス・ヴュルシュ、 エルネスト・エストレリャ]Violin Recital: Kopatchinskaja, Patricia - SANCHEZ-CHIONG, J. / SOTELO, M. / FALLA, M. de / CAGE, J. / BACH, J.S. / BIBER, H.I.F. von (Take Two)
発売日:2018年12月19日 NMLアルバム番号:ALPHA211
CD国内仕様 日本語解説付価格:2,970円(税込)
2019年1月から2月にかけ、ソロ・リサイタルをへてテオドール・クルレンツィス指揮ムジカエテルナの初来日公演に協奏曲ソリストとしても登場するパトリツィア・コパチンスカヤ。両親はともに旧ソ連モルドヴァきっての民俗音楽奏者で、オイストラフとシェフチークに連なる中東欧の演奏伝統をひく教育を受けたあと、ファジル・サイやギドン・クレーメル、ハインツ・ホリガーといった大物たちと渡りあいながら、主に近現代作品での痛快にきわだった解釈で頭角をあらわしました。 その一方でフィリップ・ヘレヴェッヘとピリオド奏法でのベートーヴェン協奏曲を録音、バロック以前の音楽への思いがけない適性も披露。NAÏVEやECMでの録音も高い評価を受け、めざましい躍進が世界的に知れわたった2015年、満を持してAlphaレーベルに登場した最初のアルバムがこの「TAKE TWO ~ヴァイオリニストとふたりで」。 娘アリスへのプレゼントとして、自身が共演してきたさまざまな楽器の敏腕奏者たちとの二重奏ばかりを集めた小品集で、ブックレットは多くの一流奏者たちのアーティスト写真で知られるマルコ・ボルググレーヴェが全面協力した書籍風の仕様。収録作品それぞれが「娘アリスへの説明」という体裁できわめて明快かつ的確に解説されており(国内仕様は日本語訳付)、中世写本からバロックをへて現代にいたる数々の作品や作曲家たちの世界へ向かう、未知分野への格好のイントロダクションにもなる1枚に仕上がっています。 しかも個々の作品はその分野をよく知る人にとっても新鮮な解釈で、たとえばチェンバロとトイピアノを併用したマルティヌーや通奏低音即興が添えられたバッハ「シャコンヌ」など、よく知っていたはずの世界がまったく斬新に塗り替えられてゆく驚きも……冒頭数十秒の超・前衛的なイニシエーションを越えた先には、驚くほどなじみやすくもエキサイティングな音の冒険が待ちかまえています。 Alphaレーベル新時代を代表する傑作盤、堂々の国内仕様カタログ復活です。
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シューベルトの
弦楽四重奏曲「死と乙女」 [パトリツィア・コパチンスカヤ、セントポール室内管弦楽団]SCHUBERT, F.: String Quartet No. 14, "Death and the Maiden" (arr. P. Kopatchinskaja for string orchestra) (Saint Paul Chamber Orchestra)
発売日:2018年12月19日 NMLアルバム番号:ALPHA265
CD国内仕様 日本語解説付価格:2,970円(税込)
2017年、クラシック室内楽&小編成アルバム部門でみごとグラミー賞に輝いたコパチンスカヤ近年の痛快ヒット作。シューベルトの四重奏曲「死と乙女」という数々の団体が演奏しつくしてきた傑作をとりあげながら、まったく新鮮な感覚でこの有名曲の知られざる美に驚かされつづけるプログラムは、まさに世界的な受賞に輝いただけのことはある充実度というほかありません。 ビザンティン聖歌(コパチンスカヤは幼少の頃、故郷モルドヴァで正教教会の礼拝を聴いて育ったそうです)やダウランドの「涙」、ジェズアルドの不協和音ぶくみのマドリガーレなどルネサンス期の傑作なども弦楽編成で演奏、さらに現代作曲家クルターグの小品も交えて、作品の前と楽章のあいだにさまざまな音楽をはさみながら弦楽合奏で演奏されてゆく『死と乙女』は、コパチンスカヤが首席奏者&ソリストとして共演するセントポール室内管弦楽団の精妙かつスリリングな演奏とあいまって、まるで今そこで作曲されたばかりの音楽のように感じられることでしょう。 ブックレット解説(国内仕様は日本語訳付)では冒頭にシューベルトが歌曲版の歌詞に用いたマティアス・クラウディウスの詩が掲げられ、死神と若き乙女という中世にまで遡るモチーフを話題の発端に、コパチンスカヤ自身がプログラムを語った解題を寄稿。セントポール室内管のメンバーへのインタビューもあり、多角的に音楽を解き明かしてゆく内容になっています。21世紀型のクラシック演奏の魅力がここに凝縮されているといってよいでしょう。
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DEUX - ふたり・ふたつ
~ヴァイオリンとピアノ、東のほうと西のほう~ [パトリツィア・コパチンスカヤ、ポリーナ・レシチェンコ]Violin and Piano Recital: Kopatchinskaja, Patricia / Leschenko, Polina - POULENC, F. / BARTÓK, B. / RAVEL, M. (Deux)
発売日:2018年12月19日 NMLアルバム番号:ALPHA387
CD国内仕様 日本語解説付価格:2,970円(税込)
2018年にリリースされたばかりのコパチンスカヤ最新版は、2019年1月の来日プログラムが続々収録されているだけでなく、共演者まで来日タッグ通りという注目必至の内容。テーマは「2」... 二重奏アルバムということもありますが、そこにはラヴェルとプーランクというフランス近代きっての作曲家にたいし、ドホナーニとバルトークというハンガリー屈指の作曲家たちの音楽が対置されている……つまり東と西のヨーロッパ両世界が交わるところ、というニュアンスも込められているようです。さらにはプーランク作品をオマージュとして捧げられたスペインの詩人ガルシア・ロルカのフラメンコ愛、ラヴェル「ツィガーヌ」でのロマ音楽への憧憬など、クラシック世界と民俗音楽世界という二つの世界の接点がここにある、といったメッセージ性も強く感じさせます。 実際コパチンスカヤは故郷モルドヴァでも指折りの民俗音楽プレイヤーを両親に、民俗的な音楽世界を深く感じながら育ってきた演奏家。かたやレニングラード(現サンクトペテルブルク)出身のレシチェンコはギロリフやマルグリスら名匠たちの薫陶を受けてきたあと、アルゲリッチの激賞による世界的注目をへて躍進つづきの活躍をみせてきた俊才。縦横無尽のピアニズムは、野趣あふれるコパチンスカヤの感性の向こうを張るにふさわしい存在感がきわだちます。 迫力と洗練のはざまをゆくバルトーク作品の存在感が、優美なフランス近代のイメージを一新するプーランクやラヴェルでの名演と絶妙なコントラストをなすプログラム、演奏史は塗り替わりつづけるのだとあらためて実感させられる1枚です。
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シャイデマン(1595-1663)
シャイト(1587-1654):
「運命の天使の歌」
~ チェンバロ作品集 [ヤン・ムーラン]Harpsichord Recital: Moulin, Yoann - SCHEIDEMANN, H. / SCHEIDT, S. (Cantilena Anglica Fortunae)
発売日:2018年12月07日 NMLアルバム番号:RIC394
CD国内仕様 日本語解説付価格:2,970円(税込)
19世紀以降「ドイツ三大S」と呼ばれてきたのは、バッハ以前の3人の作曲家、シャイト、シャイン、そしてシュッツ。しかし同じくS(ch)で始まる綴りの名を持ちながら、シャイデマンという偉大なオルガン芸術家にいまひとつ光が当たらないのは、単なる歴史の偶然としか思えません。16世紀の英国ヴァージナル作曲家たちに連なる、ルネサンス期の鍵盤音楽の伝統をふまえながら、17世紀のドイツ北方におけるオルガン芸術の基礎を築いたこの作曲家の技芸がいかに偉大だったか、本盤はそれを端的に示しています。 オルガン音楽こそがハンブルクの大家シャイデマンの真骨頂だったとすれば、17世紀当時のドイツ人作曲家たちにはオルガン曲とチェンバロ曲を厳密に区別して考える発想はあまりなく、私たちはシャイデマンの鍵盤音楽世界がどれほど精巧かつ雄弁だったかを、オルガンよりもむしろチェンバロの演奏で深く知ることになるでしょう。比較例にもなるシャイトの鍵盤曲もやはりチェンバロ演奏で、欧州古楽界の新世代を担うヤン・ムーランの奏でる17世紀初頭モデルの銘器の響きが、Ricercarの自然派録音とあいまって作品の魅力を(そして、シャイトをはじめとする同時代のドイツ三大Sにも負けぬほどの書法の確かさを)しめやかな演奏で静かに伝えてくれる逸品です。存在感が立っていながら、伝記的記述も少ない作曲家のひとりであるシャイデマンですので、解説も貴重(国内仕様盤では詳細訳付)。
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A.スカルラッティ(1660-1725):
「心折れる遠さ」
~ 室内カンタータ集 [デボラ・カシェ/ニコラ・アクテン/スケルツィ・ムジカーリ]SCARLATTI, A.: Cantate da Camera (O penosa lontananza) (Cachet, Achten,Scherzi Musicali)
発売日:2018年12月07日 NMLアルバム番号:RIC396
CD国内仕様 日本語解説付価格:2,970円(税込)
自身テオルボやバロックハープ、チェンバロやオルガンなどを弾きこなす通奏低音奏者としても活躍しながら、同時にバリトン歌手として自ら歌い伴奏することもある、ニコラ・アクテン率いるベルギーの精鋭古楽集団スケルツィ・ムジカーリ。これまでにもRicercarで数多く17世紀音楽のアルバムを作ってきましたが、満を持してイタリア後期バロック最大の作曲家のひとりアレッサンドロ・スカルラッティのカンタータと向き合いました。 のちに欧州を席巻することとなるナポリ楽派の立役者的巨匠にして、かの鍵盤音楽の大家ドメニコ・スカルラッティの父でもあるアレッサンドロは生前イタリア随一といってもよい名声を誇りましたが、その躍進の過程で大きな意味を持ったのが室内カンタータ。恋する者たちの想いを優美な言葉で綴った詩の魅力をたくみに伝える旋律美あざやかな歌の数々は、イタリア半島各地の有力者たちのあいだで大いに求められ、ローマの「アルカディアのアカデミア」(コレッリやボノンチーニも連なった知識人サークル)で披露された名品群を含め数多くの作例が残っています。 本年(2018年)に急逝した同団のリローネ&ガンバ奏者、仙波恵理子氏の思い出に捧げられた本盤において、スケルツィ・ムジカーリは作曲当時のイタリアの演奏習慣にならい充実した通奏低音編成でその演奏に臨み、同時に何挺もの撥弦楽器やバッソ・ダ・ヴィオリーノ(チェロ以前からあった低音弦楽器)を駆使しながら、詩句をよく活かした歌唱で色彩感豊かに作品の魅力を伝えてくれます。国内仕様盤には訳詩・解説訳付。
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シューベルト(1797-1828):
ピアノ作品集 [川口成彦(フォルテピアノ)]SCHUBERT, F.: Wanderer Fantasy / Impromptus, D. 899 / Piano Pieces (Naruhiko Kawaguchi)
発売日:2018年12月07日 NMLアルバム番号:FUG744
CD国内仕様 日本語解説付価格:2,970円(税込)
20歳の時に “アントン・ヴァルター”(18世紀後半から19世紀にかけて活躍したウィーンの鍵盤楽器製作者)のフォルテピアノの精巧な再現楽器に出会い、この時代の楽器のすばらしさに開眼したというピアニスト、川口成彦。ピリオド楽器の持つ繊細かつ多彩な音色に魅入られた彼は、楽器の魅力と性能を極限まで研究し、19世紀の音の再現に力を尽くしています。 2017年に録音されたこのシューベルトは、当時の彼の思いを伝えるものであり、新たな飛躍の幕開けともなった 1 枚です。ピアノの歴史は「発掘」ではなく「変容」であり、作品が生まれた当時の楽器によってようやく表現できる微妙なニュアンスというものが多々あると語る川口の演奏。その美しく変幻自在な響きをお楽しみください。
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ヴォイルシュ(1860-1944):
交響曲 第4番&第5番他 [ニコライ・シュナイダー(チェロ)/トーマス・ドルシュ(指揮)/ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団]WOYRSCH, F.: Symphonies Nos. 4 and 5 (North German Radio Philharmonic, Dorsch)
発売日:2018年12月21日 NMLアルバム番号:555063-2
CD価格:2,475円(税込)
ドイツの忘れられた作曲家ヴォイルシュの交響曲集。若い頃からオルガニストとして活躍、作曲家としては生涯保守的な作風を守り、以前リリースされた第3番(777923)と第2番(777744)と同じように、ドイツ・バロック期の音楽からの影響と、ロマン派特有の和声を融合させた作品を書き“ブラームスの後継者”と言われた人です。 とはいえ、このアルバムに収録された後期から晩年の2曲の交響曲、とりわけ第4番の第1楽章と最終楽章では、新しい作風を模索したかのような、新古典派風の挑戦的な旋律が現れます(調性を逸脱することはありません)。第5番にも、ブラームス風の雄大な作風の中に、時折前衛的な響きを聴くことができます。ヴォイルシュ最晩年に書かれたチェロ協奏曲風の“ゲーテの「ファウスト」より庭園の情景”もロマンティックで美しい旋律に満ちています。
収録作曲家:
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クーナウ(1660-1722):
宗教作品全集 第4集 [グレゴール・マイヤー(指揮)/オペラ・ムジカ/カメラータ・リプシエンシス]KUHNAU, J.: Sacred Works (Complete), Vol. 4 (Opella Musica, Camerata Lipsiensis, G. Meyer)
発売日:2018年12月21日 NMLアルバム番号:555190-2
CD価格:2,640円(税込)
ライプツィヒで法学を学んだ後、ツィッタウでオルガニストとして活躍、やがてライプツィヒに戻り、聖トーマス教会のオルガニストに就任。1701年にはシェッレの後任としてトーマスカントルの地位に就いたヨハン・クーナウ。鍵盤音楽作曲家としては「聖書ソナタ」のような先鋭的な作品を書きましたが、教会音楽の分野では保守的な立ち位置を守ったとされています。しかし、作曲年代が不明な作品も多く、時には彼の真作ではないとされるものもかなりあり、本当の姿を知ることは今のところ不可能です。 このアルバムに収録されている曲の中で、彼の真作である可能性が高いのは「Ach Gott, wie lässt Du mich verstarren」と「Gott hat uns nicht gesetzt zum Zorn」の2曲の葬送歌ですが、他の曲もバッハ、ヘンデルやテレマンと並ぶ、当時の教会音楽の典型的な様式による華やかさを備えています。
収録作曲家:
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《Oh, Christmas Tree!》
おお、クリスマスツリー! [ジングフォニカー(ヴォーカル・アンサンブル)]OH, CHRISTMAS TREE (Die Singphoniker)
発売日:2018年12月21日 NMLアルバム番号:555236-2
CD
通常価格:1,800円→ 特価!:690円(税込)クリスマスのひと時、それは喧噪であったり冥想であったり。この神聖かつ喜ばしい時にふさわしい音楽は、やはり美しいハーモニー。ドイツを代表するヴォーカル・アンサンブル“ジングフォニカー”はルネサンス期から現代のポップスまで見事に歌いこなすことで知られ、このアルバムでも伝統的な民謡にはじまり、バッハ作品や有名な「オー、ホーリーナイト」、プーランクの静かなモテットなど独自のアレンジを施した色とりどりのクリスマス曲を披露しています。カウンターテナーで歌われる「赤鼻のトナカイ」も聴きどころで、楽しい一夜をお約束します。
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テレマン(1681-1767):
〈クリスマス・カンタータ集 第3集〉
クリスマスのオラトリオ [モニカ・マウフ(ソプラノ)/ニコレ・ピーパー(アルト)/ゲオルク・ポプルッツ(テノール)/クラウス・メルテンス(バスI)/ライモンズ・シュポーギス(バスII)/マンフレート・ブール(バスIII)/ヨエル・ウルフ(バス IV)ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ(指揮)/ケルン・アカデミー]TELEMANN, G.P.: Christmas Oratorios - TWV 1:745, 1:926, 1:1251, 1:1431 (Mauch, Pieper, Poplutz, K. Mertens, Kölner Akademie, Willens)
発売日:2018年12月21日 NMLアルバム番号:555254-2
CD価格:2,475円(税込)
1730/31年のクリスマス・シーズン用にテレマンがハンブルクの教会のために作曲した3曲のオラトリオと、1744年にニュルンベルクで出版されたカンタータ1曲を収録したアルバム。ハンブルクの教会には8人の声楽家と約20人の器楽奏者がいたといい、テレマンは彼らの持てる力を縦横に駆使、贅沢な響きを持つオーダーメードの作品を書くことができました。 このオラトリオもその恩恵を存分に受けており、大きな想像力と巧みな芸術的手腕による大作として仕上がっています。歌い手たちは人間や神だけでなく擬人化された“真実”や“愛”などの多彩な役割を受け持ち、生き生きとした言葉を駆使して壮麗な音楽を創り上げています。テレマンを得意とするヴィレンズとドイツ屈指のバロック歌手たちによる素晴らしい演奏です。
収録作曲家:
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ブルッフ(1838-1920):
歌劇《ローレライ》 [ミカエラ・カウネ(ソプラノ)/トーマス・モール(テノール)/セバスティアン・カンピオーネ(バス) 他 クリスティアン・ブレムベク(オルガン)/シュテファン・ブルニエ(指揮)/プラハ・フィルハーモニー合唱団/ミュンヘン放送管弦楽団]BRUCH, M.: Loreley (Die) [Opera] (Kaune, Hinterdobler, Mohr, Campione, Prague Philharmonic Chorus, Munich Radio Orchestra, Blunier)
発売日:2018年12月21日 NMLアルバム番号:777005-2
CD 3枚組価格:4,400円(税込、送料無料)
ライン川の巨大な岩の上に住む「ローレライ」。不実な男に捨てられ、川に身を投げた乙女が水の精となり、美しい声で漁師を誘惑するとされています。古くからの伝承物語であり、ハイネが書いた詩にジルヒャーが付けた曲は日本でも良く知られています。 このブルッフの歌劇は、ブルッフより少し前の世代に属する詩人ガイベルの台本に基づいていますが、本来この詩はメンデルスゾーンのために書かれたもの。残念なことにメンデルスゾーンは台本に手を付けず、1861年にこの詩を読み感激した若きブルッフがガイベルに「私が作曲したい」と許可を求め、若干のテキスト変更を行い、4幕の歌劇として完成されました。 古典派風の端正な響きとワーグナー風の重厚な響きが織り交ぜられた聴きごたえのある仕上がりで、これまでに録音されたことのないことが不思議なほどの作品です。主役レノーレを歌うミカエラ・カウネの魅惑的な声が聴き手を魅了します。
収録作曲家:
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ツェルニー(1791-1857):
ヴァイオリン・ソナタ集 [コーリャ・レッシング(ヴァイオリン)/ライナー・マリア・クラース(ピアノ)/アントン・クエルティ(ピアノ)]CZERNY, C.: Grand Sonata for Pianoforte and Violin / Sonata Concertante for Violin and Piano (K. Lessing, R.M. Klaas, A. Kuerti)
発売日:2018年12月21日 NMLアルバム番号:777822-2
CD価格:1,800円(税込)
バッハやテレマンなど古典派作品も得意としながら、近現代の作品でも素晴らしい才能を発揮しているヴァイオリニスト、コーリャ・レッシング。研究熱心な彼は新しいレパートリーの発掘に意欲的で、これまでにもヤルナッハやゲンミンゲンなど、ほとんど演奏されることのない作品を次々と録音し、話題を提供してきました。 今回は近年注目が高まっているツェルニーのほとんど知られていないヴァイオリン・ソナタを録音。ツェルニー研究家として知られるピアニスト、アントン・クェルティの協力を得てツェルニーの作品番号が付されていない2つのレアな作品を演奏し、カタログに華を添えています。1807年に作曲されたとされる(1850年の説もある)流麗な大ソナタ、1848年に作曲された円熟のソナタ・コンチェルタンテの2曲は、「ピアノ練習曲の作曲家」として知られるツェルニーのイメージを塗り替えるほどのインパクトを持っています。
収録作曲家:
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デ・マック(1548-1614):
5声のマドリガル 第6巻より(ヴァネツィア 1613)
+独奏オルガンのためのカプリッチョとカンツォーナ [マンフレート・コルデス (音楽監督)/ブレーメン・ヴェーザー=ルネサンス]MACQUE, G. de: Madrigals, Book 6 (Sesto libro de madrigali, 1613) / Organ Works (Bellotti, Bremen Weser-Renaissance, Cordes)
発売日:2018年12月21日 NMLアルバム番号:777977-2
CD価格:2,640円(税込)
フランドル楽派の最後の世代に属する作曲家ジョヴァンニ・デ・マック。生涯のエピソードはほとんど知られていませんが、幸いにも数多くの作品が残されています。なかでも生前高く評価されたのがマドリガル集であり、初期の作品は保守的なローマスタイルで書かれていますが、晩年になるにしたがって半音階的な手法が目立つかなり実験的な作品も書かれています。 このアルバムに収録されているのは、彼が死去する1年前にヴェネツィアで出版された曲集から採られたマドリガルであり、多くのテキストはアルカディア神話によるもので、人間の悲しみや絶望、喜びなどの感情が豊かに表現されています。曲間には独奏オルガンのための小品が組み入れられており、アルバムとしてのまとまりも追求されています。
収録作曲家:
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ランゴー(1893-1952):
〈ヴァイオリンとピアノのための作品全集 第2集〉
ヴァイオリン・ソナタ 第1番「ヴィオール」
アンダンテ・レリジオーソ
日曜日のソナタ [ゴンヴォ・シーム/ベーリト・ヨハンセン・タンゲ/ペル・サーロ/トーマス・セナゴー/デンマーク国立交響楽団]LANGGAARD, R.: Violin and Piano Works (Complete), Vol. 2 (Sihm, Tange, Salo, Danish National Radio Symphony, Søndergård)
発売日:2018年12月21日 NMLアルバム番号:8.226131
CD価格:2,325円(税込)
後期ロマン派の作曲家ランゴーのヴァイオリン作品全集第2集。2曲の世界初録音を含む3つの作品が収録されています。1915年に書かれたヴァイオリン・ソナタ第1番は、若きランゴーの思いがほとばしるかのような情熱的な楽想に満たされたロマンティックな作品。1918年に初演されたものの、出来栄えに満足できなかったランゴーは作品を封印、その後は演奏されることがありませんでした。しかし彼は決してこの曲を見捨てたのではなく、1945年になって改訂を加え現在の形にしています。その際、フランス語の「Viole=ヴィオラ・ダ・ガンバ」がタイトルに付されましたが、これは恐らく辞書の誤りで、ランゴー自身は「ヴィオラ」の音色を想定していたと考えられています。 「アンダンテ・レリジオーソ」はランゴーの最後のヴァイオリン作品。またオルガンとオーケストラを必要とする「日曜日のソナタ」は予測不能な展開を持つユニークな曲。ヴァイオリンとピアノは途中で姿を消し、最終楽章ではオルガンとオーケストラのみが混沌とした世界の終末を描き出します。現代社会へのランゴーの怒りが込められているという最後のオーケストラの激しい一撃が極めて印象的な作品です。
収録作曲家:
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ヴォルサーエ(1980-):
Wesenheit ab Wesenheit [シ-ネ・アムスセン/イェルク・マイヤー/フィグラ]WORSAAE, N.: Wesenheit ab Wesenheit / WaWV (Asmussen, Figura Ensemble)
発売日:2018年12月21日 NMLアルバム番号:8.226140
CD価格:2,325円(税込)
デンマーク王立音楽大学でソレンセン、アブラハムセンといったデンマークを代表する作曲家たちから指導を受けた作曲家ヴォルサーエ。活動の初期には古典的な楽器を用いた作品を書いていましたが、最近はエレクトロニクスを多用したモダンな作風へと変化、ミュージック・コンクレート(日常的な音を素材とし、電子的な加工を加え再構成すること)の手法を用いた一連の作品は、北欧内外で高く評価されています。 このアルバムに収録された2つの作品は、1970年代にデンマークの刑務所に収監されていたドイツの諜報員イェルク・マイヤーの詩からインスピレーションを受けたもの。この刑務所の牧師を務めていた父を通じてマイヤーの詩を知ったヴォルサーエは、マイヤー自身の声も効果的に用いながら、その孤独な心境と思想を最小限の楽器と歌で描き出しています。
収録作曲家:
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ワーグナー(1813-1883):
楽劇《ニーベルングの指輪》全曲 [ズヴェーデン/香港フィルハーモニー 他]WAGNER, R.: Ring des Nibelungen (Der) [Operas] (Goerne, O'Neill, DeYoung, Skelton, Hong Kong Philharmonic, van Zweden) (14-CD Box Set)
発売日:2018年12月21日
CD 14枚組価格:8,625円(税込、送料無料)
香港フィルハーモニーとヤープ・ヴァン・ズヴェーデンによる《ニーベルングの指環》ツィクルス全曲が完結。2015年から2018年まで、毎年1作ずつを大切に温めながら、考えられる限りの最高の歌手によって上演。その素晴らしい演奏は1作発表されるごとに話題となり、全曲の完成が待ち望まれていました。ヴォータン(さすらい人)役にはマティアス・ゲルネを配し、ジークフリート役はサイモン・オニールとダニエル・ブレンナが担当、ブリュンヒルデは物語の進行に伴い、3人のソプラノが受け持つという豪華な配役。聴き手は常に新鮮な感覚を持って、神々の物語を楽しむことができます。 ツィクルス進行中にニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督に就任することが決定したズヴェーデン、香港フィルとは2021/22年のシーズンまで契約を延長するなど、オーケストラとの良い関係が伺える熱気に満ちた指揮がオーケストラから素晴らしい響きを紡ぎ出しています。
収録作曲家:
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〈HAYDN 2032 第6集〉
ハイドン(1732-1809):
交響曲集
ラメンタツィオーネ - 哀歌、およびグレゴリオ聖歌
[LP 2枚組] [ジョヴァンニ・アントニーニ指揮/バーゼル室内管弦楽団]発売日:2018年12月21日
LP 2枚組価格:4,800円(税込、送料無料)
ハイドン生誕300年にあたる2032年。この年までにハイドンの交響曲全曲を録音しよう! と2013年から始まったプロジェクト「HAYDN 2032」。イル・ジャルディーノ・アルモニコとジョヴァンニ・アントニーニの演奏で録音が開始されましたが、第5集からはバーゼル室内管弦楽団が演奏を担当、更に刺激的なハイドンを楽しむことができます。 第6集に収録されているのは、アルバム・タイトルにもなっている第26番「ラメンタツィオーネ」を始めとした、第3番、第30番、第79番の全4曲。グレゴリオ聖歌の旋律が用いられた第26番はシュトゥルム・ウント・ドラング(疾風怒濤)期の始まりを告げる作品とされ、ドラマティックな構成が愛されています。他の3曲も含めアントニーニのきめ細やかな解釈が光る闊達な演奏が素晴らしく、聴きどころもたっぷりです。
収録作曲家:
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ラング(1957-):
mystery sonatas [アウグスティン・ハーデリッヒ(ヴァイオリン)]LANG, D.: Mystery Sonatas (Hadelich)
発売日:2018年12月21日 NMLアルバム番号:CA-21142
CD価格:2,240円(税込)
2014年、カーネギー・ザンケル・ホール(リサイタルホール)において、名ヴァイオリニスト、アウグスティン・ハーデリッヒがデヴィット・ラングの「ミステリー・ソナタ」を初演しました。この曲はタイトル通り、バロック時代の作曲家ハインリヒ・イグナツ・ビーバーの「ロザリオのソナタ(別名ミステリー・ソナタ)」の旋律がモティーフとして使われていますが、デヴィット・ラングは作品の核である「聖母マリアへの祈り」に心を配りながらも、全く違う独自の世界を描きだしています。 作品は「喜び」「哀しみ」「栄光」の3つの部分に分かれ、ヴァイオリン独奏のみで奏されます。演奏者が自身の内面と対話しながら無限に美しい旋律を紡ぎ出していく、厳しさと陶酔を併せ持つ21世紀の「祈り」の音楽と言えるでしょう。
収録作曲家:
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ラング(1957-):
mystery sonatas[LP] [アウグスティン・ハーデリッヒ(ヴァイオリン)]LANG, D.: Mystery Sonatas (Hadelich)
発売日:2018年12月21日 NMLアルバム番号:CA-21142
LP価格:3,920円(税込、送料無料)
2014年、カーネギー・ザンケル・ホール(リサイタルホール)において、名ヴァイオリニスト、アウグスティン・ハーデリッヒがデヴィット・ラングの「ミステリー・ソナタ」を初演しました。この曲はタイトル通り、バロック時代の作曲家ハインリヒ・イグナツ・ビーバーの「ロザリオのソナタ(別名ミステリー・ソナタ)」の旋律がモティーフとして使われていますが、デヴィット・ラングは作品の核である「聖母マリアへの祈り」に心を配りながらも、全く違う独自の世界を描きだしています。 作品は「喜び」「哀しみ」「栄光」の3つの部分に分かれ、ヴァイオリン独奏のみで奏されます。演奏者が自身の内面と対話しながら無限に美しい旋律を紡ぎ出していく、厳しさと陶酔を併せ持つ21世紀の「祈り」の音楽と言えるでしょう。
収録作曲家:
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Music from the Acoustic Neighbourhood
「どこから来たのか、山の女たち」
~ 古今スペインのラヴソング [アンチェ・リュクス/リー・サンタナ/アンドレアス・ワール/マルテ・パール]Vocal and Chamber Music - SALINAS, F. de / SANTANA, L. / VALDERRÁBANO, E. de (Dónde son estas serranas) (A. Rux, L. Santana, M. Wahl, M. Perl)
発売日:2018年12月21日 NMLアルバム番号:CD-16319
CD価格:2,475円(税込)
ギター、リュート奏者リー・サンタナと、ヒレ・パールとの間の愛娘マルテ・パールなどのユニット「Music from the Acoustic Neighbourhood」による、16世紀スペインのラヴ・ソングをメインとしたアルバム。ビウエラなどのスペイン系撥弦楽器とガンバの響きの中にエレキ・ギターの参加が異彩を放ち、電気的な振動で弓によるボウイングに似た効果を出す「e-bow」なども駆使して、ポップスからアヴァンギャルドまで世界を大きく広げています。 収録作品の中ではよく聴かれる「どこから来たのか、山の女たち」は、ワールとサンタナによる2種の編曲を収録しています。
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モレッティ(1774-1856頃):
独奏ギターのための作品集 [マルチェッロ・ファントーニ]MORETTI, L.: Solo Guitar Works - Overture for Solo Guitar / Variazioni per la Chitarra / Corrente for Solo Guitar (M. Fantoni)
発売日:2018年12月21日 NMLアルバム番号:CDS7828
CD価格:2,325円(税込)
19世紀イタリアの作曲家ルイージ・モレッティ。弟フェデリコも作曲家でソルにも影響を与えるほどの人物でしたが、兄ルイージについては没年も含め、その生涯はほとんど知られていません。彼の作品のほとんどはギターのために書かれていますが、これらはどれも忘れられており、唯一「モーツァルトの“フィガロの結婚”による序奏と変奏」が時折コンサートで演奏される程度でした。しかし21世紀になって彼の作品の複写譜が数多く発見され、その機知に富む作風が注目されています。 名ギタリスト、ファントーニもモレッティ作品に魅了された一人。世界初録音となるこのアルバムでは、変奏曲形式で書かれた作品を中心に、楽しく華麗な曲を次々と披露し、その魅力を多面的に伝えています。
収録作曲家:
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ET MANCHI PIETÀ - 喪失の嘆き
アルテミジア・ジェンティレスキと彼女の同世代の音楽
[シルヴィア・フリガート/アレッサンドラ・ロッシ・リューリヒ//アカデミア・ダルカディア]Vocal and Chamber Music (Italian Baroque) - ROSSI, L. / MONTEVERDI, C. / STROZZI, B. (Et manchi pietà) (Frigato, Accademia d'Arcadia, Lürig)
発売日:2018年12月21日 NMLアルバム番号:CDS7829
CD価格:2,325円(税込)
17世紀、カラヴァッジオ派に属した女性画家ジェンティレスキ。工房を営む父から絵画を学び、幼少時から優れた才能を開花させました。しかし18歳の時に、父が彼女のための教師として雇った画家アゴスティーノ・タッシから性暴力を受けたことで生活が一変。タッシは有罪判決を受けたものの、裁判の流れでジェンティレスキは心に深い傷を負い、その心理は代表作「ホロフェルネスの首を斬るユーディット」として描き出されたことでも知られています。その後はフィレンツェ芸術院で初の女性会員として受け入れられ、多くの芸術家と親交を結び数多くの作品を残しましたが、彼女の成功の根源には若い頃の苦しい経験があったことは想像に難くありません。 このアルバムには彼女の13枚の絵画を掲載、その絵にふさわしい作品をアカデミア・ダルカディアが演奏しています。愛、涙、戦い・・・これらのタイトルが彼女の生涯を端的に表現しているかのようです。
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マーラー(1860-1911):
交響曲 第2番「復活」 [ピア・パーション/サラ・コノリー/ベンジャミン・ザンダー フィルハーモニア管弦楽団]発売日:2018年12月21日
CD 2枚組価格:3,975円(税込、送料無料)
2013年、それまでのTELARCからLINNへとレーベルを移してリリースされた、ザンダーとフィルハーモニア管によるマーラー・シリーズ第7弾。プロデューサーは引き続きエレーヌ・マートンが務めています。シリーズの魅力の一つであった、細部まで行き届いた表現と優秀な録音にはますます磨きがかけられ、豊かなフレージングと振幅の大きな表現をダイナミックな音で楽しむことが出来るアルバム。またソリスト2人の素晴らしさは特筆すべきものです。 初出時はSACDハイブリッドにザンダーの解説がついた3枚組でしたが、今回解説を省いた通常CD2枚組として再リリースとなりました。
収録作曲家:
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ユーディ・メニューイン
モーツァルト(1756-1791):
ヴァイオリン協奏曲
第1番・第2番・第3番・第4番・第7番 [ユーディ・メニューイン(ヴァイオリン)、サー・マルコム・サージェント(指揮)、アルフレッド・ウォーレンスタイン(指揮)、ハリー・ブレック(指揮)、BBC交響楽団、ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ]MOZART, W.A.: Violin Concertos Nos. 1-4 / Violin Concerto, K. 271a (Menuhin, BBC Symphony, London Mozart Players, Sargent, Wallenstein, Blech) (1956)
発売日:2018年12月21日 NMLアルバム番号:ICAC5153
CD 2枚組価格:3,525円(税込、送料無料)
英国音楽の録音を積極的に行い、知られざる作曲家の発掘にも貢献した「Lyrita Recorded Edition」レーベル創立者、リチャード・イッター(1928-2014)。彼が当時最先端のプロ用機材を用い、1952年からエアチェックしていたというBBC放送の音源を集めた、貴重なコレクションからCD化するシリーズ第5弾。 モーツァルトの協奏曲を得意とし、偽作を含む全7曲をレパートリーとしていたメニューインが、1956年1月BBCに於いてスタジオ・ライヴ形式で行った全曲連続演奏会の記録が、BBCの正式なライセンスを受けて初登場。残念ながら第5番「トルコ風」と第6番(偽作)は紛失してしまいましたが、ポール・ベイリーによる丁寧なリマスターも相まって、39歳のメニューインの至芸を驚くほど瑞々しい音質で堪能することが出来ます。
収録作曲家:
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ベートーヴェン(1770-1827):
ピアノ協奏曲 第4番・第5番「皇帝」 [ロベール・カサドシュ (ピアノ)、サー・トーマス・ビーチャム (指揮)、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、サー・マルコム・サージェント (指揮)、BBC交響楽団]BEETHOVEN, L. van: Piano Concertos Nos. 4 and 5 (R. Casadesus, BBC Symphony, Royal Philharmonic, Beecham, Sargent) (1952, 1956)
発売日:2018年12月21日 NMLアルバム番号:ICAC5154
CD価格:2,175円(税込)
英国音楽の録音を積極的に行い、知られざる作曲家の発掘にも貢献した「Lyrita Recorded Edition」レーベル創立者、リチャード・イッター(1928-2014)。彼が当時最先端のプロ用機材を用い、1952年からエアチェックしていたというBBC放送の音源を集めた、貴重なコレクションからCD化するシリーズ第5弾。 交流のあったラヴェルの作品など、フランス音楽の巨匠として知られるカサドシュですが、モーツァルトやベートーヴェンにおいても、その抑制の効いたタッチを生かした美しい演奏で高い評価を得ています。今回初登場となる2つの演奏は、いずれもコロムビアへ正規録音される数年前に行われたライヴ。「皇帝」では、弱音部でヒス・ノイズが若干目立つ個所もありますが、ポール・ベイリーによる丁寧なリマスターの効果もあってたいへんクリアな音になっており、カサドシュならではの美音と、英国のオーケストラらしく折り目正しい中にメリハリの効いたベートーヴェンを堪能することが出来ます。
収録作曲家:
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ポール・トルトゥリエ・アット・ザ・BBC
英BBC放送製作ドキュメンタリー
(2014年1月17日放送) [ポール・トルトゥリエ]発売日:2018年12月21日
DVD日本語字幕なし価格:3,525円(税込、送料無料)
フランスの偉大なチェリスト、ポール・トルトゥリエ(1914-1990)の生誕100年にあたる2014年、英BBCで放送されたドキュメント番組のDVD化。壮年期から晩年までの映像を使用し、その深い技術、骨太で力強い音色、そして高い精神性を感じさせる奥行きのある表現など、巨匠の魅力を存分に味わえます。 また、技術や表現だけでなく、音楽に対する姿勢をユーモアも交えて説くレッスン、夫人を含む20人のチェロ・オーケストラで自作を指揮する姿、家族との室内楽、自ら考案した曲がったエンドピン、親密なリハーサルなど、様々な映像からその芸術の多面性、大きな人間性を見せてくれる好企画。1984年に出演したテレビ番組で、チェロを掻き鳴らしながら自作の歌を高唱する姿など、たいへん貴重といえるでしょう。 現在は指揮者としても活躍する長男ヤン・パスカルのヴァイオリンを始め、家族全員がすぐれた音楽家という点も聴きもので、最晩年に夫人と娘と共に演奏するパガニーニは、彼が生涯を通じて一流のヴィルトゥオーゾであり、良き家庭人であったことを明らかにしています。誰もが巨匠に魅了されること間違いなしの、素晴らしいドキュメンタリーです。
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ワーグナー(1813-1883):
楽劇《神々の黄昏》 [ズヴェーデン香港フィルハーモニー 他]発売日:2018年12月21日
Blu-ray AUDIO価格:2,850円(税込)
ワーグナーの壮大な楽劇《ニーベルングの指環》の最後を締めくくる《神々の黄昏》が遂に登場。香港フィルハーモニーとヤープ・ヴァン・ズヴェーデンの《ワーグナー:ニーベルングの指環》ツィクルスはこれまでに2015年の《ラインの黄金》、2016年の《ワルキューレ》、2017年の《ジークフリート》と一年ごとに一作が発表されており、この2018年の《神々の黄昏》には大きな期待が寄せられていました。舞台装置を使うことなく、最小限の演技のみで物語が繰り広げられる演奏会形式だからこそ味わえる高い求心力に裏打ちされたこの演奏、絶大なパワーを伴ったズヴェーデンの指揮は香港フィルから究極の演奏を引き出すとともに、ソリストたちの個性を生かしながら、複雑な愛憎劇を丁寧に描き出しています。 ジークフリートを歌うのはアメリカのテノール、ブレンナ。現代最高のジークフリート歌手の一人として世界的に活躍が期待されている歌手で、この上演でも張りのある美しい声で聴衆を魅了しました。ブリュンヒルデはドイツ出身、注目の歌手グン=ブリット・バークミン。強靭な声が魅力です。他の歌手陣の顔ぶれも圧巻です。
収録作曲家:
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デュセック(1760-1812):
2台のピアノのための協奏曲と室内楽曲集
~古典派からロマン派へ、フォルテピアノの新時代~ [アレクセイ・リュビモフ(フォルテピアノ)、オルガ・パシチェンコ(フォルテピアノ)、フィンランド・バロック・オーケストラ、メタ4、シッカ=リーサ・カーキネン=ピルク(ヴァイオリン)、リイッタ・リーサ・リスティルオマ(ヴィオラ)、ユッカ・ラウタサロ(チェロ)、アンナ・リンタ=ラフコ(コントラバス)、トンミ・ヒューティネン(ホルン)]DUSSEK, J.L.: Concerto for 2 Pianos / Piano Quintet / Notturno Concertante (Kaakinen-Pilch, Lubimov, Pashchenko, Finnish Baroque Orchestra)
発売日:2018年12月19日 NMLアルバム番号:ALPHA416
CD
通常価格:2,475円→ 特価!:1,790円(税込)11月の来日公演でも話題のアレクセイ・リュビモフは、ゲンリフ・ネイガウスとレフ・ナウモフの門下で学んだ正統派のロシア・ピアニズムの継承者でありながら、旧ソ連にあって早くから古楽器に関心を示し、チェンバロ奏者としての活躍をへて冷戦終結後は積極的に西側諸国をまわり、自ら愛奏する作曲家たちが知っていた理想のフォルテピアノを探し求めてきた名手。フォルテピアノの世界ではロシア、オランダ、フランスなどを拠点に、導師のごとく多くのすぐれた門弟を育ててきたことでも有名です。 その門下から颯爽と登場、いま躍進めざましくヨーロッパで最も注目を集めているフォルテピアノ奏者のひとりオルガ・パシチェンコとの理想的な連携アルバムが登場! J-L.デュセック(モーツァルトと同時代のウィーンで活躍したF-X.ドゥシェクとは別人)といえば、パリでマリー=アントワネットの愛顧を受け、革命期にはベルリンやロンドンにも渡りながら、すぐれた技量と桁外れの作曲センスでフォルテピアノという新型楽器(当時はまだチェンバロも根強く使われていました)の性能をよく引き出す傑作ソナタを多く書いた作曲家。いわばモーツァルトとシューベルトをつなぐミッシングリンクといってもよい存在ですが、当時の人々を熱狂させたその作品の真価は、当時の楽器の響きに立ち返ってこそわかるもの―― 作曲家でピアニストでもあったクレメンティが買収して伸ばした老舗鍵盤工房ロングマンの、あるいはウィーンの名工ヴァルターの残した歴史的楽器をモデルに、ポール・マクナルティとクリス・マーネという現代を代表する歴史的ピアノ復元製作家が作り上げた精巧な再現楽器から紡ぎ出される細やかな音色表現は、この種の楽器の扱いを知り尽くした二人のソリストの手によって最大限の魅力を発揮します(Pan Classicsの室内楽録音でも活躍してきた名技師フォクス=ガルのエンジニアリング)。 当時はその音量の弱さから、協奏曲にピアノを使うのは難しいとも言われていたところ、事実上の協奏曲といってもよいピアノ五重奏曲やピアノ入りの室内楽といった曲目との聴き比べができる点も本盤の魅力のひとつで、ピアノ史の展開を生々しく体感できる良い機会となるでしょう。
収録作曲家:
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トルリ(1660頃-1737):
オラトリオ『現世のむなしさ』 [バルバラ・シュリック、イングリット・シュミットヒューゼン、ディレク・リー・レイギン 、ロジャーズ・カヴィー=クランプ、ミヒャエル・ショッパー、ムジカ・アンティクヮ・ケルン、ラインハルト・ゲーベル]TORRI, P.: Vanità del mondo (La) [Oratorio] (Schlick, Schmithüsen, Ragin, Schopper, Cologne Musica Antiqua, Goebel)
発売日:2018年12月19日 NMLアルバム番号:MEW1890
CD 2枚組価格:2,475円(税込)
アレッサンドロ・スカルラッティやカンプラなどと同じ頃、つまりヴィヴァルディやバッハよりも一世代上に属するピエートロ・トルリは、ミュンヘンとブリュッセルで覇権を誇ったバイエルン選帝侯の宮廷作曲家として大いに活躍したイタリア人作曲家。基本的に、このトルリの作品で現代蘇演されたものはことごとく名作……といってもよいくらい、1700年前後のイタリア音楽の粋をあつめた旋律美とダイナミズム豊かな音楽ばかりを綴った天才でもあります。 南ネーデルラント〈のちのベルギー〉の音楽は17世紀末頃から、リュリの系譜をひくフランス音楽と、イタリアから来た音楽家たちが根付かせつつあったイタリア音楽とがせめぎあい、独特の発展をみせていました。その渦中にあって、同時代のイタリア人フィオッコとともにイタリア音楽の魅力を同地に根付かせたトルリの、1706年初演のオラトリオ『現世のむなしさ』は受難節を彩った端正な充実作。 オーボエひとつと弦楽器・通奏低音だけの器楽伴奏と数少ない歌手による室内編成で奏でられるのは、フランスの「ルソン・ド・テネブル」と同じく豪奢なことが許されない時期のために書かれた音楽だから。しかし本盤は1988年の記念碑的放送録音で、全盛期のムジカ・アンティクヮ・ケルンと名古楽歌手たちが居並ぶ演奏陣の豪華さは圧巻! 古楽器アンサンブルの機微を知り尽くしたうえでの「攻め」にあふれたスリリングな演奏で知られたグループが、その後それぞれのアンサンブルを結成することになる名手ぞろいの時期に刻んだ録音というのはまったく見逃せません。 バルバラ・シュリックやディレク・リー・レイギンら、バロックオペラ復興の立役者となってきたレジェンド級歌手たちの絶美の演奏表現にも着目したいところ。ブリュッセル音楽界が1700年前後にどれほどエキサイティングだったかも含め、解説の充実度もありがたいところです。
収録作曲家:
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ガナッシ(1492-1565):
『ラ・フォンテガラと名づけられたる笛の教本』
~16世紀、巨匠たちの傑作による装飾音奏法の至芸 [ウィリアム・ドンゴワ、ル・コンセール・ブリゼー]Vocal and Instrumental Ensemble Music - CARA, M. / JOSQUIN DES PREZ / GOMBERT, N. (Sylvestro Ganassi: La fontegara) (Le Concert Brisé, Dongois)
発売日:2018年12月19日 NMLアルバム番号:RIC395
CD価格:2,475円(税込)
ガナッシの『フォンテガラ』といえば、リコーダーを本格的に学ぶ人が必ず通るといっても過言ではないルネサンス変奏技法の必携書。いわばリコーダー世界のチェルニーかバッハかショパンか……というような存在で、その教本のなかで縦横無尽に解説されている装飾技法を学ぶことは、リコーダー奏者のみならずルネサンス音楽を演奏するプロにとって欠かせない過程のひとつといってよいでしょう。 ただ観賞する側からすると、その著者ガナッシの存在感はいまひとつピンとこないところ。本盤の重要性はそこにあります。ラルペッジャータやエスペリオンXX、コンチェルト・パラティーノなど世界的なグループでの活躍をへて自らコンセール・ブリゼーを立ち上げた木管コルネット(ツィンク)の天才奏者ウィリアム・ドンゴワは、頼れる演奏仲間たちとともにガナッシの著作にあらためて立ち返り、そこに説明されている声楽作品を器楽で奏でる技法によって、ジョスカン、ビュノワ、ゴンベール.... など、ガナッシの時代からみた「古典」ともいうべき15~16世紀の巨匠たちの声楽作品をあざやかに演奏してゆきます。 装飾音を機微たくみに織り込みながら、さまざまな古楽器の音色を交錯させてゆく名手たちのなかには、Alphaレーベルでの数々の名盤で知られるバグパイプ&古楽笛奏者フランソワ・ラザレヴィチの名も……他にも欧州シーン最前線をゆく多忙な名古楽器奏者たちの名が続々。なにかと声楽偏重になりやすいのでルネサンスを敬遠してきた方々にも、この興奮必至の器楽合奏世界は是非お勧めしたいところ……ルネサンス名画の画集観賞にも合いそうです。
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MARISS JANSONS & BRSO
SPCIAL EDITION ASIA TOUR 2018 [ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団]発売日:2018年12月14日
CD 4枚組価格:3,375円(税込、送料無料)
円熟の極みにある巨匠ヤンソンスの来日公演は残念ながら幻となってしまいました。今はマエストロの早期の回復を祈り、近い将来の手兵との来日を楽しみにしたいと思います。 「アジア・ツアー 2018 特別盤」には、ヤンソンス&バイエルン放送交響楽団の当初のメイン・プログラムを収録。深い信頼関係で結ばれた両者ならではの名演奏をお楽しみいただけます。BOXを構成するのは、両者の組み合わせとして最初に発売されたマーラーの第7交響曲(SACDではなく通常CDとなります)、ヤンソンスが得意とするリヒャルト・シュトラウスの「英雄の生涯」、滋味あふれるドヴォルザークの交響曲第8番、今回のツアーの目玉でもあったストラヴィンスキーの「春の祭典」の全4枚。充実の内容となっています。 完全限定盤ですのでこの機会をお見逃しなく!
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セーチェーニ家のピアノ曲
ハンガリー貴族のピアノ作品 1800-1920 [イシュトヴァーン・カッシャイ、ジョルジュ・ラーザール]SZÉCHÉNYI - PIANO MUSIC FROM A HUNGARIAN DYNASTY, 1800-1920 (Kassai, Lázár)
発売日:2018年12月14日 NMLアルバム番号:GP786
CD価格:1,950円(税込)
19世紀から20世紀のハンガリーにおける政治と音楽の歴史は、有力貴族のセーチェーニ家を抜きにして語れません。自由主義の指導的な地位に立つ人材を多く輩出した彼らの理想は、シュトラウス一家を思わせる親しみやすいメロディ・ラインを持ったその舞踏音楽の中にも表れているといえ、一族の中でも音楽家として最も成功したイムレによる「ワルツ」は、その典型とも言える作風です。高い完成度を誇るエデンの作品は洗練された機知に富み、フランツィスカは歴史に残るハンガリー初の女性作曲家であり、ギシャは世界で初めての女性映画音楽作曲家と、それぞれ音楽史の中でも大きな仕事を残しています。 演奏は、ハンガリー出身の2人のピアニスト、カッシャイとラーザールが分担。二人ともハンガリーが誇るこの音楽一族の作品を、世界に広める役割を積極的に担って活動しています。
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ポーランド ピアノ小品の100年 [アンナ・シャウツカ]
Piano Recital: Szałucka, Anna - BACEWICZ, G. / GÓRECKI, H.M. and M. / PADEREWSKI, I.J. / SZYMANOWSKI, K. (A Century of Polish Piano Miniatures)
発売日:2018年12月14日 NMLアルバム番号:GP793
CD価格:1,950円(税込)
第一次世界大戦終結後にポーランド共和国が誕生して2018年で100年であることを記念し、当時から今日までに生まれたピアノ小品を集めたアルバムが登場しました。それは奇しくもポーランド音楽の黄金時代といえ、首相も務めたパデレフスキによる有名な「メヌエット」、シマノフスキ、バツェヴィチ、グレツキといった、ショパン後を代表する作曲家が次々と登場する豪華さです。 ムィキェティンは1997年にフレデリック・ショパン音楽院を卒業した新世代の作曲家。律動的和声的なアクセントを巧みに用いて、美しく、また沸き立つような曲想で楽しませてくれます。さらに、グレツキの息子ミコワイによる、父の持ち味を引継ぎながらもリズムの要素も際立たせて発展させた作品や、アンジェイ・パヌフニクの声楽とオルガンのための作品を娘のロクサーナがピアノ用にアレンジした美しい作品なども収録し、これからの100年にも期待を持たせる内容となっています。 ポーランド出身のアンナ・シャウツカはワルシャワとロンドンで学び、多くのコンクールで入賞するほか世界中でリサイタルを行っています。
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クーラウ(1786-1832):
ピアノ・ソナタ
ソナチネ [イェンス・リュール]KUHLAU, F.: Piano Sonatas, Opp. 8a and 127 / Piano Sonatina, Op. 20, No. 1 (Lühr)
発売日:2018年12月14日 NMLアルバム番号:GP797
CD価格:1,950円(税込)
ドイツに生まれ、デンマークで活躍したクーラウ。デンマークでは初期ロマン派の最も重要な作曲家とされ、今日ではフルート作品が最も親しまれていると共に、「デンマークのベートーヴェン」の異名を持ちます。またこのアルバムにも収録された「ソナチネ」Op.20-1は、「ソナチネ・アルバム」第1番として世界中のピアノ学習者に親しまれているものです。しかし、ショパンのエチュードを思わせる深い表情を湛えたOp.127のソナタを聴くと、その非常に洗練された内容にこの作曲家に対する認識を新たにすることでしょう。また今回が初録音となるOp.8のソナタでは、技巧的には未完成ながらも、より静かで奥深い側面を垣間見ることが出来ます。 ピアニストのリュールはクーラウと同じくドイツ北部の街ユルツェンの生まれ。彼自身幼いころに親しんだ「ソナチネ」の作曲家に深い共感を持って臨んでいます。
収録作曲家:
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横山幸雄
ドビュッシー(1862-1918):
前奏曲集(全曲) [横山幸雄(ピアノ)]DEBUSSY, C.: Préludes, Books 1 and 2 (Yukio Yokoyama)
発売日:2018年12月12日 NMLアルバム番号:MECO-1052
SACD-Hybrid価格:3,300円(税込、送料無料)
透徹したドビュッシー美学の発露と昇華パリ国立音楽院直系の系譜を引き、今や巨匠の域に到達しつつある横山幸雄のドビュッシー前奏曲集第1集、第2集全24曲です。一切の虚飾を排した透徹した 美学の結晶である本ディスクは、まさにドビュッシー没後100年の最後を飾るに ふさわしい名盤となりました。 DSD11.2MHz(DSD256)フォーマットの超ハイレゾ・レコーディングにより、横山幸雄の美音を余すところなく捉えたそのハイ・フィデリティは、まさに聴くものを圧倒します。数あるドビュッシーのディスク・ストーリーにおいて、今ここに新たな歴史が誕生しました。
収録作曲家:
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ドイツのクリスマス
17世紀のアドヴェントとクリスマスの音楽集 [マリト・ブレークレートフ/マルガレータ・コンソート]Instrumental Ensemble Music (Baroque) (A German Christmas) (Margaretha Consort, Broekroelofs)
発売日:2018年12月07日 NMLアルバム番号:8.551398
CD価格:1,900円(税込)
16世紀、オルガンは礼拝の開始時と終了時に演奏されるか、礼拝中に合唱隊の伴奏を務める程度の役割を担うのみでした。しかしマルティン・ルターは、礼拝に来た人々が共に歌えるような賛美歌を作曲、やがて17世紀になると人々の生活にオルガンは不可欠なものとなりました。この「ドイツのクリスマス」のアルバムでは、17世紀初頭に活躍したミヒャエル・プレトリウスの作品を中心に「オルガンを伴うクリスマスのための賛美歌と教会音楽」を収録、この当時の荘厳かつ心浮き立つクリスマスの雰囲気を味わうことができます。 録音場所となったオランダの「Helenakerk Aalten=オールド・ヘレナ教会」は音響の素晴らしさで知られる広々とした大聖堂様式の建物。小型マイク2本のみを設置して行われた録音により、まるで教会内部で聴いているような臨場感に満ちた音がたのしめます。
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ヴィレーン(1905-1986):
弦楽四重奏曲 第2番-第5番 [ヴィレーン弦楽四重奏団]WIRÉN, D.: String Quartets Nos. 2-5 (Wirén Quartet)
発売日:2018年12月07日 NMLアルバム番号:8.573588
CD価格:1,900円(税込)
スウェーデンの作曲家ヴィレーンの弦楽四重奏曲集。第1番が破棄されたため、第2番から第5番までの4曲が全曲となります。1935年に書かれた第2番から、およそ35年を経て1970年に作曲された第5番まで、時代に伴うヴィレーンの作風の変化がよく表れている曲集です。 洗練された音のタペストリーとも言える豊かな響きを備えた第2番、戦争中の不安が反映されつつも、時折優しい肌触りが感じられる第3番、彼の代表作の一つ「交響曲第4番」と同時期に書かれた5楽章で構成された第4番、老境に入りつつある作曲家の人生の闘争と諦観が表現されたかのような劇的かつ神秘的な第5番。シベリウスやショスタコーヴィチを思わせる興味深い作品群です。
収録作曲家:
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サティ(1866-1925):ピアノ作品集
ユスピュ/星の息子
官僚的なソナチネ他 [ハオ・ドゥアン・ドゥアン]SATIE, E.: Piano Works (Duanduan Hao)
発売日:2018年12月07日 NMLアルバム番号:8.573796
CD価格:1,900円(税込)
サティの音楽…それはミニマリズムであり、シュールレアリズムであり、突発的な動き、そして奇妙なタイトルなどの言葉に集約されるでしょう。これらの要素が凝縮された彼のピアノ曲はどれも謎めいており、とても魅力的です。 このアルバムに収録されているのは、サティ作品の中でもとびきりの個性を持つ曲ばかり。中でもこれまでNAXOSでリリースされていなかった「官僚的なソナチネ(クレメンティの作品の完全なるパロディ)」は待望の録音。曲名をみているだけでも想像力が掻き立てられる1枚です。
収録作曲家:
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The Versailles Revolution -
ヴェルサイユの革命
(リュリ/ムッファト/マレ) [バルトルト・クイケン/インディアナポリス・バロック管弦楽団]Orchestral Music (Baroque) - LULLY, J.-B. / MUFFAT, G. / MARAIS, M. (The Versailles Revolution) (Indianapolis Baroque Orchestra, Kuijken)
発売日:2018年12月07日 NMLアルバム番号:8.573868
CD価格:1,900円(税込)
もともとはイタリア人であったリュリですが、フランスでの活躍を機に、ジョヴァンニ・バッティスタから「ジャン=バティスト」とフランス風の名前に変え、1661年には国籍も取得。ルイ14世の宮廷楽長としてフランスの貴族社会を席捲しました。彼はダンサーとしても優れた才能があり、やはり踊り手であったルイ14世としばしば同じ舞台に立つために、数多くのバレエ=バレ音楽を作曲し聴衆を魅了、王と密接な関係を保つとともに自身の発言力も強めていったのです。 王の寵愛を一身に受けたリュリは自らのオーケストラを結成し、ヴェルサイユ宮殿で行われる舞踏会での演奏を行うなど、17世紀の宮廷音楽に大革命を起こしました。代表作の一つである《ロラン》はリュリが確立した「抒情悲劇」の1曲であり、初演時から高い人気を獲得するとともに、周辺の作曲家たちに強い影響を与えた作品です。このアルバムで聴くことのできるムッファトとマレの組曲からも影響は感じられます。バルトルト・クイケンは各々の曲の特徴を捉え、華やかな解釈を施しています。
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ロッシーニ(1792-1868):
〈老いのいたずら 第11集〉
ピアノ作品全集-室内楽と秘曲集 第3集 [アレッサンドロ・マランゴーニ 他]ROSSINI, G.: Piano Music, Vol. 11 (Marangoni) - Péchés de vieillesse: Chamber Music and Rarities, Vol. 4
発売日:2018年12月07日 NMLアルバム番号:8.573964
CD価格:1,900円(税込)
イタリアのピアニスト、マランゴーニによって2007年から録音が続けられてきたロッシーニの作品集「老いのいたずら」。11年の年月をかけて遂に全曲録音が完成しました。 これまでほとんど顧みられることのなかったこの「老いのいたずら」は、その名の通り、37歳で最後のオペラ「ウィリアム・テル」を発表し、44歳で悠々自適な引退生活に入ったロッシーニの独白のようなものであり、プライヴェートな目的のために書かれた曲であるために出版も禁じられていたという秘曲集です。 ピアノ・ソロあり、彼が愛したメゾ・ソプラノのための歌曲あり、ちょっとした室内楽や宗教曲、オペラの断片など、ロッシーニが折りに触れ書き溜めていた小品をまとめて聴けるシリーズの完結編、もちろんここにも世界初録音が含まれています。
収録作曲家:
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ドメニコーニ(1947-):
地中海協奏曲/シャコンヌ
三部作/青のトッカータ/舞曲 [アマデウス・ギター・デュオ/マーク・ピオレット/シュターツカペレ・ハレ/イルジ・マラット/マンハイム・クルプフェルツィシェ室内管弦楽団]DOMENICONI, C.: Concerto Mediterraneo / Chaconne / Trilogy / Toccata in Blue / Oyun (Amadeus Guitar Duo, Piollet, Malát)
発売日:2018年12月07日 NMLアルバム番号:8.573977
CD価格:1,900円(税込)
イタリアの作曲家、クラシックギター奏者カルロ・ドメニコーニの作品集。13歳でギターを始め、17歳でペーザロの音楽院を卒業、1966年にベルリン音楽大学(現ベルリン芸術大学)で作曲を学び、教授として20年間後進を育てたというドメニコーニですが、3年間滞在したトルコの文化からも大きな影響を受けており、このアルバムは地中海の文化から生まれた作品と、トルコ文化に触発された作品がバランス良く収録されたドメニコーニの資質を良く表す1枚になっています。 タイトルに「地中海」と銘打たれた協奏曲は、北アフリカや中東の雰囲気が漂うエキゾチックな作品。アマデウス・ギター・デュオが初演を担っています。トルコのメロディが使われた「Oyun」、独奏ギターのための即興的な「Triogy」、哀愁漂う「青のトッカータ」、バッハのシャコンヌから創造された「シャコンヌ」と様々な作品をお楽しみいただけます。
収録作曲家:
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カステルヌォーヴォ=テデスコ(1895-1968):
ヴァイオリン協奏曲 第3番
弦楽三重奏曲他 [ダヴィデ・アローニャ/フィオレンツォ・パスカルッチ/ロベルト・トライニーニ/フェデリコ・スタッシ]CASTELNUOVO-TEDESCO, M.: Violin Concerto No. 3 / String Trio / Sonata for Violin and Cello (Alogna, Pascalucci, Trainini, Stassi)
発売日:2018年12月07日 NMLアルバム番号:8.574003
CD価格:1,900円(税込)
イタリア系ユダヤ人作曲家カステルヌオーヴォ=テデスコ。一頃までの日本では「ギター作曲家」として認知されていましたが、近年はピアノ曲やオーケストラ曲などの作品が注目され始め、色彩豊かな曲を耳にする機会が多くなってきました。とはいえ、このアルバムに収録された3つの曲はどれも世界初録音。まだまだ知られざる作品が数多く眠っているようです。 この3曲は彼がイタリアを離れ、アメリカに渡ってから書かれたもの。「ヴァイオリン協奏曲 第3番」は友人ハイフェッツに依頼された作品であり、オーケストラではなくピアノ伴奏を伴う珍しい編成です。しかし、ハイフェッツは第3楽章に満足しなかったといい、作曲家も何度かの改訂を試みましたが、結局は未発表に終わってしまいました。彼の人気を高めた映画音楽にも通じる甘いメロディと、爆発的なエネルギーが特徴です。その後に書かれた三重奏曲とソナタは親密な雰囲気と成熟した作風を持ち、演奏には高い技巧が要求される魅力的な作品です。
収録作曲家:
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4 Woods + 1 Sax(4本の木管と1本のサックス)
Play ~ ラモー、モーツァルトとラヴェル [ウィーン・リード五重奏団]Reed Quintet Arrangements - RAMEAU, J.-P. / MOZART, W.A. / RAVEL, M. (4 Woods + 1 Sax Play Rameau, Mozart and Ravel) (Vienna Reed Quintet)
発売日:2018年12月07日 NMLアルバム番号:8.579021
CD価格:1,900円(税込)
ウィーン・リード五重奏団はサクソフォンを交えたユニークな楽器の組み合わせにより、従来の管楽五重奏とは大幅に異なる新鮮で爽やかなサウンドを生み出します。このアルバムでは、ラモーとラヴェルという2人のフランスの大作曲家の作品を中心に演奏。ラモーの組曲「勝ち誇った女」の原曲は鍵盤曲ですが、ヘッケマの編曲は作品の持つ軽やかさと生き生きとした対位法を丁寧にくみ取り、管楽器のための新たな作品に生まれ変わらせています。 そのおよそ200年後のラヴェルの「クープランの墓」は古典的な様式の中にフランス近代の響きを織り込んだ作品。原曲はピアノ曲で、管弦楽編曲版もありますが、ここで聴けるのはやはり軽やかで洒脱な響きです。間に置かれたモーツァルトの幻想曲の端正かつ荘厳な響きも聴きどころです。
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ギリシャの管楽五重奏曲集 [アエロス木管五重奏団]
Chamber Music (Woodwind Quintets) - ANTONIOU, T. / BALTAS, A. / CONSTANTINIDIS, Y. (Greek Wind Quintets) (Aeolos Woodwind Quintet)
発売日:2018年12月07日 NMLアルバム番号:8.579037
CD価格:1,900円(税込)
20世紀から21世紀にかけて、ギリシャではどのような音楽が生まれているのか・・・。そんな好奇心を刺激するこのアルバムには、名前も聞いたことのないような作曲家たちの作品が7曲収録されています。冒頭に置かれているのは「10のギリシャの良く知られた旋律」。印象派風の響きの中に、ギリシャの旋律が聞こえてくる親しみやすい作品です。 「クロニクル」はギリシャの伝統的な旋律と現代の融合。「小組曲」は1分程度の5つの曲で構成された作品。短いながら強い印象を残します。民族音楽の要素が一切入っていない「五重奏曲」は十二音が用いられた前衛的な作品。アルバムの中でも異質な光を放っています。地中海の動植物からインスパイアされた「クリケットの峡谷のブラックバート」、即興的なモティーフで構成された「木管五重奏曲 第2番」、最後は新古典派の作風とギリシャの伝統音楽が組み合わされた楽しい「木管五重奏曲」で締めくくられます。硬軟ありの楽しいアルバムです。
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ヒメネス(1965-):
ピアノ独奏曲・ピアノとチェロのための作品集 [マティアス・ビジャファーニェ/ドーラ・デ・マリニス]JIMÉNEZ, G.: Piano Solo Works / Cello and Piano Works - En los ojos de las llamas / 3 Pieces / La luz de enero / Mediterráneo (Villafañe, Marinis)
発売日:2018年12月07日 NMLアルバム番号:8.579040
CD価格:1,900円(税込)
アルゼンチン出身の女性ピアニスト、グラシエラ・ヒメネスは作曲家としても活躍しています。アルゼンチンの風景や民謡からインスパイアされた彼女の作品は、活発な舞曲や、穏やかな旋律を持つ曲など、様々な表情を持っています。 アルゼンチンの北部地方のイメージが宿る「炎の目の中で」は色とりどりな幻想曲。彼女の愛好する詩から想起された「3つのピアノのための小品」や、アルゼンチンの民族音楽による「ベグアラ」と「ウマワカ峡谷にて」も独創的です。またチェロとピアノのデュオ「光の旅」はジャズ風の味わいを持った美しい組曲。最後に置かれた「地中海」にはタンゴや古典作品などの様々な要素が複雑に取り込まれており、彼女の幅広い世界観が表出されています。
収録作曲家:
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ロッシーニ(1792-1868):
歌劇《マオメット2世》 [ミルコ・パラッツィ/メルト・ジュンギュ/エリサ・バルボ/ヴィクトリア・ヤローヴァヤ/コンドゥルミエロ/セリモ…パトリック・カボンゴ・ムベンガ アントニーノ・フォリアーニ/ポズナン・カメラータ・バッハ合唱団/ヴィルトゥオージ・ブルネンシス]ROSSINI, G.: Maometto II [Opera] (Palazzi, Balbo, Süngü, Yarovaya, Mubenga, Poznań Camerata Bach Choir, Virtuosi Brunensis, Fogliani)
発売日:2018年12月07日 NMLアルバム番号:8.660444-46
CD 3枚組価格:3,900円(税込、送料無料)
15世紀の物語。マオメット2世が率いるオスマントルコの軍勢に包囲されたヴェネツィア共和国のネグロポンテ島で会議が開かれています。司令官はパオロ・エリッソ。指揮官コンドゥルミエロは降伏を検討していましたが、その意見に反対するのは若き指揮官カルボでした。カルボはエリッソの娘アンナに思いを寄せており、エリッソは娘とカルボを結婚させようと考えています。しかし、アンナは他に好きな人がいました。それは若き領主ウンベルトと名乗る男ですが、実はその正体こそ敵であるマオメット2世でした。もつれた愛の行方は、逃れる術のない悲劇へと突き進みます・・・ 1820年に作曲された《マオメット2世》はロッシーニの円熟期の作品で、全作品中最も長大かつ重々しい雰囲気を持っています。しかしヴェニスでの初演は大失敗を期したため、ロッシーニは6年後に作品をフランス・グランドオペラ風に編曲・編纂。序曲を変更し、セリフをフランス語に変え、物語の舞台をネグロポンテ島からコリントに移すなど大きな改編を加え「コリントの包囲」として新たに世に問いました。こちらは大成功を収め、後にイタリア語に翻訳されるなど大人気となったことで知られています。《マオメット2世》としての改訂版は最後がハッピーエンドになる1822年版も存在しますが、2017年のヴィルトバート ロッシーニ音楽祭での上演は、初演版が用いられており、当初の構想通りの美しいアリアや悲劇的な結末など、ロッシーニの最初の構想がそのまま表現されています。歌手たちの熱演、バランスの取れたヴィルトゥオージ・ブルネンシスの演奏など、注目の公演の記録です。
収録作曲家:
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ストラデッラ(1644-1682):
「ラ・ドリクレア」 [アンドレア・デ・カルロ /イル・ポモ・ドーロ/ドリクレア/エメーケ・バラート /ジュゼッピーナ・ブリデッリ/シャヴィエル・サバタ/ガブリエッラ・マルテラッチ/ルカ・チェルヴォーニ /リッカルド・ノヴァロ]STRADELLA, A.: Doriclea (La) [Opera] (Baráth, Bridelli, Sabata, Martellacci, Cervoni, Novaro, Il Pomo d'Oro, A. de Carlo)
発売日:2018年12月07日 NMLアルバム番号:A454
CD 3枚組価格:4,425円(税込、送料無料)
ストラデッラの作品を体系的に録音するプロジェクト第5弾。1670年代前半にローマで作曲された「ラ・ドリクレア」は、ストラデッラ最初の歌劇とされていますが、彼の作品の中であまり知られているとは言えません。当時一世を風靡していた17世紀スペイン黄金時代演劇の伝統を継いでおり、優雅にして楽しく、深く心に沁みる抒情性も持ち合わせたもの。またジラルドに表れるバリトンによる道化役の愉快な雰囲気は、その後ロッシーニまで受け継がれていきます。 演奏陣は今のヨーロッパ古楽界を牽引する錚々たる古楽器奏者が居並び、ヴェルサイユ旧王室歌劇場での活躍もめざましいエメーケ・バラートや世界を騒がす新世代カウンターテナーのひとりシャヴィエル・サバタなど現代の大物歌手も続々、さらに器楽陣の多くがソロ・アルバムもリリースしている俊才揃い(たとえばヴァイオリンのゼフィラ・ヴァロヴァはAlphaでヴィヴァルディの協奏曲集を、スヴィリドフはRicercarでタルティーニのソナタ集を録音していますし、撥弦のダニエル・ザピコは来日公演も好評、シモーネ・ヴァッレロトンダもArcanaにソロ名義の名盤があります)という点からも期待感はいや増すのではないでしょうか。
収録作曲家:
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発売日:2018年12月07日
CD
通常価格:2,475円→ 特価!:1,790円(税込)若きアンサンブル「プリスマ」による、17世紀イタリアのソナタ、タランテッラ、チャコーナなどの小品にメンバーによるオリジナル作品やシャンソン「枯葉」までも取り混ぜた小品集。季節を感じさせる内容別に配置し、リコーダー、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュートといったメンバーが、高音2声と通奏低音によるトリオ、あるいは四重奏、ソロなどの形で編成にも変化を付け、たいへん魅力的に聴かせてくれます。 それぞれの季節の最初には、楽器ごとに各メンバーが作曲、あるいは編曲を手掛けたソロ曲も収録。一見有名ではない曲が多いですが、いずれも親しみやすく美しい作品ばかりで、例えばトゥリーニによるソナタ「なんと長い間、まったく」は、映画「めぐり逢う朝」でサント・コロンブの娘二人が愛らしいデュエットを聴かせた(実際はフィゲーラスとキールが幼い声を模して歌っています)ことでも知られる「若い娘」をもとにした変奏曲。新しい世代の感性が400年の時を越えて音楽に新たな命を吹き込む、楽しいながらもスリリングなアルバムとなっています。
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フランツ・ドップラー(1821-1883)&
カール・ドップラー(1826-1900):
〈フルート作品全集 第9集〉 [クラウディ・アリマニー/ウカシュ・ドウゴシュ/ゲルゲイ・イッツェーシュ/クレマン・デュフォー/クリスティアン・キーヴ/ペーテル・コヴァチュ/マグダレーナ・クリステア/ミシェル・ワーヘマンス/ジョン・スティール・リッター/フランチェスコ・ニコロージ/ホアン=ルイス・モラレダ指揮/コルドバ交響楽団]DOPPLER, F. and K.: Flute Music (Complete), Vol. 9 (Arimany)
発売日:2018年12月07日 NMLアルバム番号:C5303
CD価格:2,400円(税込)
CD10枚のリリースを予定しているドップラー兄弟のフルート作品全集第9弾。今回も多くの世界初録音を含む意欲的な選曲となっています。 生前はフルート奏者、指揮者として活躍し、作曲家としてもオペラやバレエなど幅広い作品を残したドップラー兄弟ですが、ハンガリーの歌劇も多く紹介するとともに、いくつかの作品から美しいアリアをフルート用に編曲したことでも知られており、ここでもチャーサールの作品から選んだ「7つの好きな歌」など珍しい曲を聴くことができます。プロジェクトの中心は、師であるランパルの信頼篤いクラウディ・アリマニー。彼を中心とした親密なアンサンブルが聴きどころです。
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ソレール(1729-1783):
知られざる教会音楽
~ラテン語による宗教作品集~ [アルベルト・レカセンス/ラ・グランド・シャペル]発売日:2018年12月07日
CD価格:2,475円(税込)
18世紀スペインの作曲家アントニオ・ソレール(「ソレール神父 Padre Soler」としても有名)は、マドリード近くにあるエル・エスコリアル王室修道院で聖職者として30年以上生活しながら、スペイン王室の大先輩スカルラッティの作品も数々筆写する一方、自らも曲を書き、鍵盤楽器のための数々のソナタを含む多くの作品で歴史に名を残しました。しかし演奏の場ではオルガニストとしての活躍のみならず礼拝堂の指揮者もつとめ、多くの宗教合唱曲も残していたことはあまり知られていません。 ここに収録された、ラテン語で書かれた2群の合唱と器楽合奏のための作品は全て世界初録音で、ロココ期の鍵盤作曲家としてばかり知られてきたソレールの、古い伝統をひく教会音楽にも通じた思わぬ一面を明るみに出してみせました。スペイン古楽界を牽引する音楽学者レカセンス率いるラ・グランド・シャペルは今回も欧州最前線の実力派古楽プレイヤーを集め(フルートのマルク・アンタイ、弦首席のミラ・グロデアヌなどソリストとしても有名な名手多数)、故郷の偉人に深い畏敬の念をもった奥行きのある表現を堪能させてくれます。 また本盤唯一の器楽作品であるオルガンのためのラルゴは、録音会場となった教会にあるスペイン18世紀製の貴重な歴史的オルガンでの演奏となっています。
収録作曲家:
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シェークスピア
「コリオレイナス」5幕の悲劇 [ソープ・ディリス/ジェームズ・コリガン/ポール・ジェッソン/ヘイドン・グウィン/チャールズ・エイトキン/ベン・ホール/マルティナ・レアード/ハナー・モリッシュ/キャサリン・トイ]発売日:2018年12月07日
DVD価格:3,825円(税込、送料無料)
シェークスピア後期の戯曲「コリオレイナス」は、古代ローマの伝説的将軍を題材に当時の政治的な背景を踏まえた悲劇で、ベートーヴェンが「コリオラン」序曲の下地とした戯曲と基本的に同じ話。民衆の反感を買いながら戦で功績を上げたコリオレイナスですが、民主化する政局の流れの中で追放され、敵に助力を求めるも結局祖国と家族を捨てられず、裏切り者として暗殺されるという物語です。 英国でも随一の歴史と規模を持つ劇団ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名優たちによる、ストーリーの要所を心得た演技でどうぞ。
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バーンスタイン・セレブレーション
「幽玄」 「不安の時代」
「コリュバンテスの遊戯」 [フェデリコ・ボネッリ/ウィリアム・ブレイスウェル/ハリー・チャーチーズ/メリッサ・ハミルトン/フレンチェスカ・ヘイワード/桂千里/ポール・ケイ/サラ・ラム/カルヴァン・リチャードソン/ジョセフ・シセンズ/高田茜/アレクサンダー・キャンベル/ベネット・ガートサイド/トリスタン・ダイアー/マシュー・ボール/ウィリアム・ブレイスウェル/ローレン・カスバートソン/ティエニー・ヒープ/平野亮一/マヤラ・マグリ/マルチェリーノ・サンベ/ヤスミン・ナグディ/ベアトリス・スティックス=ブルネル/コーエン・ケッセルス/バリー・ワーズワース]発売日:2018年12月07日
DVD価格:4,650円(税込、送料無料)
2018年に生誕100年を迎えたバーンスタインを記念して企画され、「バーンスタイン・センテナリー」というタイトルで上演されたトリプルビル(3つの演目を一晩に上演する公演)をパッケージ化。シリアス・ミュージックの作曲家としてのバーンスタインによる代表作を、ウェイン・マグレガー、リアム・スカーレット、クリストファー・ウィールドンという3人の人気振付家がそれぞれに解釈し、仕上げたプログラムです。 「幽玄(YUGEN)」という日本語のタイトルが付けられた演目には、管弦楽と少年合唱を含む合唱団のために作曲された「チチェスター詩篇」が使用され、次々と登場するダンサーたちが音楽を抽象的に表現したダンスを繰り広げます。ピアノ独奏を伴う協奏曲風の交響曲第2番「不安の時代」では、バーや街中を舞台としてストーリー性のある世界が表現されています。プラトンの「饗宴」をモチーフにしたヴァイオリンと管弦楽のための協奏作品「セレナード」による「コリュバンテスの遊戯」では、古代ギリシャを舞台に激しく踊る男女を描いており、肉体的な動きを前面に出したプログラムです。 プリンシパル高田茜をはじめ、桂千里、平野亮一といった日本人ダンサーの演技が観られることも魅力。
収録作曲家:
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シェークスピア 「コリオレイナス」 [ソープ・ディリス/ジェームズ・コリガン/ポール・ジェッソン/ヘイドン・グウィン/チャールズ・エイトキン/ベン・ホール/マルティナ・レアード/ハナー・モリッシュ/キャサリン・トイ]
発売日:2018年12月07日
Blu-ray価格:3,750円(税込、送料無料)
シェークスピア後期の戯曲「コリオレイナス」は、古代ローマの伝説的将軍を題材に当時の政治的な背景を踏まえた悲劇で、ベートーヴェンが「コリオラン」序曲の下地とした戯曲と基本的に同じ話。民衆の反感を買いながら戦で功績を上げたコリオレイナスですが、民主化する政局の流れの中で追放され、敵に助力を求めるも結局祖国と家族を捨てられず、裏切り者として暗殺されるという物語です。 英国でも随一の歴史と規模を持つ劇団ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名優たちによる、ストーリーの要所を心得た演技でどうぞ。
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バーンスタイン・セレブレーション
「幽玄」 「不安の時代」
「コリュバンテスの遊戯」 [フェデリコ・ボネッリ/ウィリアム・ブレイスウェル/ハリー・チャーチーズ/メリッサ・ハミルトン/フレンチェスカ・ヘイワード/桂千里/ポール・ケイ/サラ・ラム/カルヴァン・リチャードソン/ジョセフ・シセンズ/高田茜/アレクサンダー・キャンベル/ベネット・ガートサイド/トリスタン・ダイアー/マシュー・ボール/ウィリアム・ブレイスウェル/ローレン・カスバートソン/ティエニー・ヒープ/平野亮一/マヤラ・マグリ/マルチェリーノ・サンベ/ヤスミン・ナグディ/ベアトリス・スティックス=ブルネル/コーエン・ケッセルス/バリー・ワーズワース]発売日:2018年12月07日
Blu-ray価格:4,650円(税込、送料無料)
2018年に生誕100年を迎えたバーンスタインを記念して企画され、「バーンスタイン・センテナリー」というタイトルで上演されたトリプルビル(3つの演目を一晩に上演する公演)をパッケージ化。シリアス・ミュージックの作曲家としてのバーンスタインによる代表作を、ウェイン・マグレガー、リアム・スカーレット、クリストファー・ウィールドンという3人の人気振付家がそれぞれに解釈し、仕上げたプログラムです。 「幽玄(YUGEN)」という日本語のタイトルが付けられた演目には、管弦楽と少年合唱を含む合唱団のために作曲された「チチェスター詩篇」が使用され、次々と登場するダンサーたちが音楽を抽象的に表現したダンスを繰り広げます。ピアノ独奏を伴う協奏曲風の交響曲第2番「不安の時代」では、バーや街中を舞台としてストーリー性のある世界が表現されています。プラトンの「饗宴」をモチーフにしたヴァイオリンと管弦楽のための協奏作品「セレナード」による「コリュバンテスの遊戯」では、古代ギリシャを舞台に激しく踊る男女を描いており、肉体的な動きを前面に出したプログラムです。 プリンシパル高田茜をはじめ、桂千里、平野亮一といった日本人ダンサーの演技が観られることも魅力。
収録作曲家:
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NOW
ジャズとルネッサンス -
詩と絵画にインスパイアされたインプロヴィゼーション [アクセル・ヴォルフ/フーゴ・ジーグメト]SIEGMETH, Hugo / WOLF, Axel: Now - Jazz and Renaissance Improvisations
発売日:2018年12月07日 NMLアルバム番号:OC1897
CD価格:2,475円(税込)
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CANTAI - 私は歌った
21世紀におけるデリアン四重奏団の
“バッハ : フーガの技法” [デリアン四重奏団/クラウディア・バラインスキー/ミリアム・プランデ]BACH, J.S.: Kunst der Fuge (Die) (The Art of the Fugue) / PIERINI, S.: Cantai un tempo (Cantai) (Barainsky, Delian::Quartet)
発売日:2018年12月07日 NMLアルバム番号:OC468
CD 2枚組価格:2,475円(税込)
エーゲ海・キクラデス諸島に所在するギリシャの「デロス島」から名前を採ったという「デリアン四重奏団(正式名称 delian::quartettの「::」は彼らのこだわり)。古典派から現代まで幅広いレパートリーを持つ彼らの最新作はバッハの最晩年の名作「フーガの技法」。演奏楽器の指定がないため、これまでにもさまざまな楽器で演奏されており、いくつかの弦楽四重奏団による名演も知られています。 デリアン四重奏団は作品を演奏するにあたって「4つの楽器の対話」に重点を置き、フーガの芸術的価値を追求、アルバムタイトルに「Cantai=私は歌った」とすることでその意図を表現しています。アルバムの曲順は綿密に計算されており、途中には現代作曲家のピエリーニが「モンテヴェルディの作品からインスパイア」された曲を挿入、最後には2台の鍵盤楽器用のフーガ2曲が添えられています。「全曲を通して聴き、自らの人生にも思いをはせてほしい」と奏者たちが語る渾身の2枚組です。
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VARIATIONS SERIEUSES
- 厳格な変奏曲 [リリト・グリゴリアン]Piano Recital: Grigoryan, Lilit - BACH, J.S. / BEETHOVEN, L. van / MENDELSSOHN, Felix / BIZET, G. / SZYMANOWSKI, K. (Variations sérieuses)
発売日:2018年12月07日 NMLアルバム番号:ORC100088
CD価格:1,950円(税込)
アルメニア、イェレヴァンのピアニスト、リリト・グリゴリアン。7歳でピアノを始め、ロストック音楽・演劇大学を卒業後、ベルギーのエリザベート王妃音楽大学のアーティスト・イン・デジデンスを務めるなど活発な活動をしています。世界中のコンサートホールで演奏を重ね、室内楽にも積極的に参加。2018年にリリースされたNAXOS:ヴィオラとピアノのための作品集(8.573730)では日本の若手ヴィオラ奏者、戸川ひよりとともに古典派の曲を中心に素晴らしい演奏を披露しています。 今回のソロ・アルバムは“変奏曲”に焦点が当てられており、バッハ=ブゾーニのシャコンヌからシマノフスキまで6曲の変奏曲が演奏されています。ひとつひとつのメロディを大切に弾いていくグリゴリアンの手により、作曲家たちの創意工夫が描かれています。なかでもメンデルスゾーンの「厳格な変奏曲」は、作曲家自身が削除してしまった“4つの変奏”も収録。自作をしばしば改訂したことで知られるメンデルスゾーンの姿が浮かび上がります。
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シャイデマン(1595-1663)
シャイト(1587-1654):
「運命の天使の歌」
~ チェンバロ作品集 [ヤン・ムーラン]Harpsichord Recital: Moulin, Yoann - SCHEIDEMANN, H. / SCHEIDT, S. (Cantilena Anglica Fortunae)
発売日:2018年12月07日 NMLアルバム番号:RIC394
CD価格:2,475円(税込)
19世紀以降「ドイツ三大S」と呼ばれてきたのは、バッハ以前の3人の作曲家、シャイト、シャイン、そしてシュッツ。しかし同じくS(ch)で始まる綴りの名を持ちながら、シャイデマンという偉大なオルガン芸術家にいまひとつ光が当たらないのは、単なる歴史の偶然としか思えません。16世紀の英国ヴァージナル作曲家たちに連なる、ルネサンス期の鍵盤音楽の伝統をふまえながら、17世紀のドイツ北方におけるオルガン芸術の基礎を築いたこの作曲家の技芸がいかに偉大だったか、本盤はそれを端的に示しています。 オルガン音楽こそがハンブルクの大家シャイデマンの真骨頂だったとすれば、17世紀当時のドイツ人作曲家たちにはオルガン曲とチェンバロ曲を厳密に区別して考える発想はあまりなく、私たちはシャイデマンの鍵盤音楽世界がどれほど精巧かつ雄弁だったかを、オルガンよりもむしろチェンバロの演奏で深く知ることになるでしょう。比較例にもなるシャイトの鍵盤曲もやはりチェンバロ演奏で、欧州古楽界の新世代を担うヤン・ムーランの奏でる17世紀初頭モデルの銘器の響きが、Ricercarの自然派録音とあいまって作品の魅力を(そして、シャイトをはじめとする同時代のドイツ三大Sにも負けぬほどの書法の確かさを)しめやかな演奏で静かに伝えてくれる逸品です。存在感が立っていながら、伝記的記述も少ない作曲家のひとりであるシャイデマンですので、解説も貴重。