人間は赤ちゃんを産んで初めて母乳が出るようになりますが、牛はどうなのでしょうか?
「“乳牛”というぐらいだから、成牛になると自然に乳を出すようになる 」と思っていませんか?



そこで、一般の牧場では搾乳量を増やすために、人工授精で妊娠と分娩を管理し、常に搾乳できる牛を作り上げています。搾乳量を最も重視する牧場にとって、生まれた子牛を母牛の乳で飼育する訳にもいかず、生まれてすぐに母牛から引き離し、哺乳バケツで人工飼育するのです。



種付けの雄牛が群れの中で交配を行い、分娩・出産は母牛の自力作業です。もちろん生まれてきた子牛への哺乳も2ヵ月ぐらいは母牛が行いますので、子牛は免疫成分を豊富に含んだ初乳を飲み、母牛の愛情をたっぷりと注がれて成長します。人間の子どもと同様、成長するに従って集団のルールや自然の生き方を学ぶのです。

中洞牧場では、出産後の1〜2ヵ月間、母牛から搾乳するのは子牛が飲み残した分だけです。その間、乳は基本的に子牛のもの。母乳の栄養と母牛の愛情を受けながら、野山を走り回った子牛は丈夫に育ち、成長後の十数年間、健康で美味しい生乳をもたらしてくれることになるのです。