しかも、乳脂肪分が一定基準を超えるいわゆる “ 濃い牛乳 ” であることが必須条件です(乳脂肪分が 3.5%以下になると、原乳の買取価格が半分になってしまいます!) 。その要件を満たすために、牛を狭い牛舎に閉じ込めて、輸入トウモロコシ主体の濃厚飼料・配合飼料を与える " 舎飼い " といわれる酪農が普及したのです。



夏も冬も屋外で放牧します。もちろん昼夜の区別なく。夏はまだしも冬は寒さで凍えるのでは?と思われるかもしれませんが、意外と牛たちは平気なのです。体を寄せ合って寒さをしのぎ、日中太陽が昇ると元気に乾草を食 ( は ) む。

むしろ夏の暑さの方が苦手のようです。牛たちは、広大な放牧地を 1日中歩きながら草を食べ、夕方 5時ぐらいになると麓の牛舎に搾乳のために集まってきます。そして搾乳が終わるとまた放牧地へと帰って行くのです。



牛たちは、自然の中で本来の生理・生態にそったストレスのない生活を営みます。それは牛たちにとって最高の環境でありながら、酪農従事者にとってもさまざまなメリットをもたらすのです。



運動量が多いのでひづめが自然に擦り減ります
(野生の動物と同じです)。


山林を歩くことによる強靭な足腰は消化器系や呼吸器系を強くし、多様な種類の草を食べることで自然の栄養素が補われ、丈夫な牛が育ちます。


牛は動物。本来は受精も分娩も人間の手を借りなくてもできます。


冬季の乾草やサイレージの給餌作業以外、餌を与えるという作業はない。


牛が一年中外にいるため、寝泊まりのための牛舎は必要ありません。


搾乳目的以外の牛舎がないということは、糞尿の処理の手間や設備も不要ということ。


食性と本来行動がまもられている健康な牛は、安全で美味しい本物の牛乳をもたらしてくれます。