カランカラーン (ドアの開く音・・・)


『ようこそ BAR 文房具カクテル へ』

私は、本業がBARの経営者ですが 文房具好きが高じて文房具を語る事で有名な
マスターです。文房具を愛してはや30年が過ぎようとしています。
ここに毎夜 お越し頂くお客様は、それはそれは文房具の愛好家の方ばかりです。

さて文房具好きの皆様が揃ったところで『私の出番かな?』

今宵も文房具の話に花を咲かせ美味しいお酒の肴にして下さい。


23drink 横打ちシャープペンシルってご存知ですか?


昭和48年発売の懐かしい『横打ちシャープペンシル』と聞かれてこれだとお分かりの方はどのくらいおられるでしょうか?多分相当な文房具好きな方だと思います。

当時マスターは、小学6年生で学校が終わるとまっすぐにグランドに向かう野球小僧でした。以前も触れましたがマスターは、テレビコマーシャルには非常に敏感で、放送された商品が欲しくて、すぐに近所の文房具店に商品が入荷しているのか?足しげく通っていました。

今回ご紹介する『横打ちシャープペンシル』は、三菱鉛筆から昭和48年頃に発売さたPECKER(ペッカー)です。テレビコマーシャルで堺正章さんが啄木鳥に扮して木をつつく姿はまだ鮮明に目に焼きついています。シャープペンシルのボディー中央部にノック機構があるタイプで、今でこそ多くのメーカーより出ていますが、当時小学生のマスターには何故?何故?横にノックしているのに前からシャープ芯が出てくるのか?不思議で不思議で仕方のないシャープペンシルでした。当時通っていた学校前には、不思議なことに2件同じ程度の大きさの文房具店が正面玄関を出て左右にありました。マスターは、単純に家の方に近いM文房具店をよく利用していました。ここの店主は、子供(お客さん)には、購入しない商品に絶対に触る事を許してもらえず「触ると買ってもらうよ・・・」という非情?に厳しい文房具店でした。もちろんマスターも例外ではなかったのですがしかし、そこは野球で鍛えた盗塁魂で一瞬の隙を見つけノックだけさせてもらい『これはすごいシャープペンだ!!』と感動を覚え、ものすごく欲しくなり一回お店を出てどうしようか?思案していました。
そう言えば『今いくら?持っていたかな?』と財布を見ると2〜30円しかないのに気がつきようやく自分に戻りました。ノックをすることしか頭になかったマスターは、いくらなのか?まで気が回らず欲しい欲しいと思いながらもその日は帰る事にいたしました。

それからもテレビコマーシャルを見るたびにあの不思議なシャープペンシルの事は気になっていました。当時としは色使いもシルバーと黒のコンビ等が主流の時代に真っ赤なシャープやイエローのシャープ・ブルーのシャープは子供心に鮮烈なイメージが残っています。手持ちのお金がなく仕方なく諦めかけていた時に、親友がそれを学校に持って来ました。それもペッカーのイエローシャープでした。マスターの文房具探究心に再び火がつき『欲しい!! ペッカーシャープが欲しい』毎日のようにどうしたら購入出来るだろうかと思案しておりました。当時1日のお小遣いが両親から10円、祖父から10円の20円を頂いており、そのお小遣いの半分を毎日貯金し、2ヶ月ほどかかりましたがようやく500円を貯める事が出来ました。

学校が終わると真っ直ぐM文房具店に向かい『おばちゃん ペッカーシャープ頂戴』と元気良く店主に言うと『僕これか?』と差し出してくれました。『これ下さい』迷わず青色のペッカーシャープを選び購入いたしました。お店を出て様々な角度からペッカーシャープを眺めて家路に着きました。今思うと本当に単純な性格はこのころに形成されていったのかとしみじみ思い出すサイドノックならぬ横打ちシャープペンシルでした。




・2008.01.15 23drink 〜横打ちシャープペンシルってご存知ですか?〜