「酒精強化ワイン」や「アルコール強化ワイン」とも呼ばれています。スティルワインのアルコール度を高めたワインと考えるとよいでしょう。度数は大体が16~20度。ワイン醸造の発酵前か発酵後に、蒸留酒のブランデーなどを加えてアルコール度数を上げます。
ポルトガルのポートワイン、同じくポルトガルのマディラワイン、スペインのシェリーが有名で、これらは「世界三大フォーティファイドワイン」といわれています。他にスペインのマラガ、イタリアのマルサラ、フランスのVDN(天然甘味ワイン)などがあります。
全体的に甘味が強く、コクがあって、アルコール度数が高いですから、食欲を促す食前酒(アペリティフ)や、消化を助ける食後酒(ディジェスティフ)として飲まれています。料理のソースにもよく使用されます。ポートは日本に最初に入ったワインといわれているのは有名ですね。ポートにはいくつかの種類がありますが、優良な年のぶどうから造られ、長い熟成を経たヴィンテージポートが最上です。マディラは原料のぶどうの種類によって、セルシアル(辛口)、ヴェルデーリョ(中辛口)、ブアル(中甘口)、マルムジー(甘口)に分かれます。シェリーは使用されるぶどうも醸造も「スペイン南部アンダルシア地方の限られた区域」にしか許されておらず、厳しい制約があります。
スティルワインに果汁や薬草、香辛料などを加えて香りづけをしたワインのことです。「アロマタイズドワイン」とも呼ばれ、よく知られているのは、イタリアのヴェルモット。ピエモンテ州で盛んに造られています。ニガヨモギやリンドウの根など数十種類の香草や薬草をワインにブレンドします。ピエモンテ産以外のヴェルモットには、バルベロ(イタリア)、マルティニ(イタリア)、ノイリープラット(フランス)などがあります。イタリアのカンパリもフレーヴァードワインのお仲間です。ビターオレンジやコリアンダーの香りが特長的です。スペインといえば、サングリアですね。ワインにオレンジやレモンなどの果汁と砂糖を加えて造った、スペインのホームパーティーに欠かせない国民酒です。赤ワインや白ワインをベースにしたものがありますが、両方ともよく冷やして飲むとおいしいですよ。
「果物から醸造されたお酒すべて」がワインと呼ばれます。ぶどうがよく使われるのは、あらゆう果物のなかで一番発酵が進みやすいからなのです。発酵が進みやすいということは、それだけ自然の流れに身を任せられるということ。「ワインの神様」にお任せということでしょう。ぶどう以外の果物では、ブルーベリー、ストロベリー、ミカン、梨、柿、リンゴ、イチジクなどのワインが造られています。桃のワインもあります。こうしたフルーツワインは、アルコールの弱い人には大歓迎のようですね。
ブランデーはワインと同様、その多くがぶどう(特に白)から造られます。ワインに使用されるぶどうに比べて糖分が少なく、酸味が強いものが選ばれるため、たくさんのぶどうが必要とされ、香りの強いお酒となるわけです。ブランデーとワインは発酵過程までは一緒ですが、その後が違います。アルコール分8~10%のワインができるブランデー(シャラント)発酵が終わって蒸留をすると、ブランデーになります。世界トップクラスのブランデー生産国はフランス。双璧の生産地はコニャックとアルマニャックですが、どちらも地域・ぶどう品種・蒸留法などがAOC法で厳しく規制されています。