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 > 知れば知るほど奥深い 磧本ソムリエのワイン講座 > LESSON#023 ワインの知識エトセトラ

ワインの知識エトセトラ
 今回は、ワインを楽しむときにぶつかる様々な疑問のなかから、いくつかをご紹介します。飲み残したワインはどうしよう?食物は冷蔵庫で鮮度を保つから、ワインも同じようにしたほうがいい?アルコール類は栓をあけてしばらくおくと揮発して気が抜けたようになるけれど、ワインの場合はどう?さあ、一緒に学んでいきましょうね!
コルクを抜く時にいつも失敗してしまうという方は… 栓を開けるのに自信がない方は、ダブルハンドルやスクリュープル型のオープナーが簡単なのでおすすめです。

 ワインオープナーにはいろいろな種類がありますが、みなさんは、コルクがうまく抜けなかったり、途中で折れてしまったことはありませんか?
 原因のひとつが、コルクの乾燥。ワインを開ける前に1時間程ボトルを横にしておくと、コルクが適度に湿って抜けやすくなりますよ。また、コルクスクリューが垂直に入っていなかったり、栓抜の力が垂直方向に加わっていないためスムーズに抜けないこともありますから、注意しましょうね。
 栓を開けるのに自信がない方は、ダブルハンドルやスクリュープル型のオープナーが簡単なのでおすすめです。運悪くコルクが中に落ちた場合には、デキャンタに移し替えたり、茶漉しを利用したりするとよいですよ。

ヴィンテージワインはいつの間にか量が少なくなる!? ワインの目減りの量の目安

 長い熟成を経たワインでは、ワインの量が年月とともに少しずつ目減りする場合があるんですよ。決してボトリングの量を間違えているわけではないんですよ(笑)。
 ワインはコルクで密閉されていて外気を遮断していますので、ワインが外気と呼吸することはまずないと最近では言われています。でも酸素分子の半分ほどの大きさである水の分子は、年を経て弾力を失ったコルクの隙間を、時間をかけてすり抜けて蒸発しているんです。また、ワイン自体も徐々にですがコルクに染み込んでいきます。こうしてワインの量がごくわずかずつ目減りしていくんです。
 目減りの量はワインの保存環境やコルクの質によって異なるので、オールドヴィンテージの状態をチェックする基準のひとつともなっています。
1.ハイ・フィル(HF)
 瓶詰め時のワイン充填レベルです。比較的若いワインの場合多くみられます。10年以上経過したワインがこの液面レベルであれば極上品といえます。
2.イントゥ・ネック(IN)
 熟成年数によらず、理想的な液面レベルです。10年以上経過したワインがこの液面レベルであれば特上品といえます。
3.トップ・ショルダー(TS)
 15年以上またはそれ以上経過した赤ワインに見られる液面レベルです。
4.ミッド・ショルダー(MS)
 30年以上経過した赤ワインに見られる液面レベルです。

ワインを美味しくするデキャンタージュとスワリング スワリングでグラスをくるくるする際はやりすぎないように!

 ワイン好きのみなさんは、レストランなどでワインをデキャンタに開けたり、ソムリエがテイスティングの際にグラスをくるくる回すシーンを見たことがあるかもしれませんね。ふたつとも、「ワインを空気と接触させて開かせるため」なんですよ。
 栓を抜いた直後より、時間が少し経ったワインの方が美味しかったという体験は、多くの方がお持ちかと思います。あれは、ボトルの中で眠っていたワインが、“空気と触れることによて目覚めた”からなんですね。ご家庭でも、ワインを目覚めさせて、より美味しく味わってみてはいかがですか?デキャンタがあれば理想ですが、ない場合はグラスをくるくる回して、ワインを空気と触れさせてみてくださいね。ちなみに、グラスを回すことをスワリングというんですよ。

開けてしまったワイン残っている場合はどうしよう? ワイン開栓後はなるべく早めに飲み切りましょう!

 ワインがどうしても残ってしまった場合には、きっちり栓をして3日ほどで飲んでくださいね。それ以上になるときは、ボトル内の空気を抜いて保存できるワインストッパー(ワインセーバー)や、不活性ガス(体に無害でワインにも溶けない)で空気と触れさせないようにする保存グッズを使うといいですよ。
 スパークリングワインに対応したものもあります。とは言っても、開けたての状態を保てるわけではないですから、半月くらいまでには飲み切りましょうね。
 ちなみに、フランスでは、コルクにマッチを刺して火をつけ、そのまま栓をする方法があります。ボトル内の空気を使い切って酸化を防ごうというわけですね。でも、燃えさしが落ちないか心配ですね。またイタリアでは、ワインにオリーブオイルを1滴たらして膜を作り、飲む時にオイルを布に吸わせたいもするんですよ。

ワインは冷蔵庫に入れてはいけない? ワインセラーがあると安心ですが、ない場合は、ボトルを新聞紙に包んで、比較的温度変化の少ない床下の収納庫や押入に寝かせておきましょう。

 ズバリ、保存目的でワインを冷蔵庫に入れるのは控えてくださいね。冷蔵庫の中は温度が低すぎるうえ、乾燥しているので、コルクの空気穴が広がってしまい酸化が進むんです。その上、頻繁に開閉するため温度が不安定になりやすく、振動も大きいので、これも参加を進行させたり、せっかくの熟成香味が崩れてしまいます。食物からの移り香も心配ですね。
 ご家庭でのワインの保存はワインセラーがあると安心ですが、ない場合は、ボトルを新聞紙に包んで、比較的温度変化の少ない床下の収納庫や押入に寝かせておくといいですよ。
 また、ワインを冷やす際は、飲む1時間程前に冷蔵庫に入れてくださいね。ワインクーラーに入れて冷やすのもいいですね。見た目がおしゃれで、しかもコルクも湿って開けやすくなるので、一石二鳥です。