ヘナ

(1)「ヘナ」とは

ヘナ(ヘンナ)は、ミソハギ科の植物で学名はLawsonia inermis。日本では「指甲花(シコウカ)」または「ツマクレナイノキ」と呼ばれてきました。インドでは古来から薬草として親しまれて、アーユルヴェーダ(伝承医学)の代表的なハーブとされてきました。

インド、北アフリカなどの乾燥した地域に育ち、木は高さ3〜6メートルほどにまで成長します。芳香のある白や薄紅色の花を咲かせるのも特徴です。

ヘナは多年生の植物なので秋の収穫時期には根元の株の部分を残し、そこから上を鎌で刈り取ります。株を残しておくと枝葉が伸びてきて、翌年も収穫することができます。女性の親指の太さまである枝や幹を刈り取るのは大変力が要る仕事です。

ヘナは、学術的にはこのミソハギ科の植物を指しますが、ヘナを配合した天然原料の白髪染めの総称を「ヘナ」と呼ぶのが一般的です。

世界各地でボディーペイントや染毛料、マニキュアや女性の髪のトリートメントなど、古くから利用されてきました。




(2)ヘナの歴史

ヘナの歴史は古く、紀元前5000年前から宗教的なペイティングや染毛料、薬や防腐剤として使われてきました。
古代エジプトのクレオパトラがヘナで爪や髪を染めていたという話や、旧約聖書のなかにもヘナに関する記述が残されており、歴史の深さを窺い知ることができます。

ヒンズー教では、美と豊饒と幸運の女神であるラクシュミー(仏教では吉祥天と言われる)が、ヘナをとても好んで使っていたと伝えられていますが、そのため結婚式などのお祭りの行事に、手や足などにヘナタトゥー(メヘンディアート)を施してお祝いをする習慣が今でも伝えられています。
5000年前から現在にいたるまで、途絶えることなく、人類は、ヘナという染料を選んできたことがわかります。
その歴史は、「ヘナが身体にやさしく安全な染料である」ことを、強く証明していると言ってもいいでしょう。



(3)アーユルヴェーダ(伝承医学)のヘナ

ヘナは世界三大伝統医学のひとつ、インド古来の伝承医学である「アーユル・ヴェーダ」において、自然がもたらす万能薬と位置づけられています。
ヘナは古来から、皮膚病予防、止血、おでき、やけど、打撲症、防腐剤、皮膚炎等殺菌効果があるとされてきました。
葉を煎じたものは軟膏や抗炎症薬として使われたり、今でもインドでは、水虫に悩むとヘナを塗って癒したりする習慣があるそうです。またその他にもヘナには、体温を下げる作用があります。真夏日には40度以上に達するインドの人々は、ヘナを頭に塗って暑さを凌ぐこともあるそうです。



(4)ヘナが髪を染める仕組み

ヘナは草木染めと同じ仕組みで染まります。植物の色素で染めるので、優しい染め上がりです。ヘナの葉には、ローソンという赤色酵素色素が含まれています。ローソンはタンパク質に反応してからみつき発色する性質があります。人の髪はもちろん、肌や爪も染まります。
古来では、クレオパトラが爪に塗っておしゃれを楽しんだり、ウールで出来たペルシャ絨毯などの赤い染色にも使われてきました。

このローソンが、髪のキューティクルのすき間から浸透し、毛髪の97%を構成するケラチンというタンパク質(毛皮質)にアメ状に絡みつくことで髪が染まります。
ヘナの葉を乾燥・粉末にしたものをお湯に溶いて髪に塗ります。ヘナのみだと白髪はオレンジ色にしか染まりませんが、藍色の色素をもつインディゴ(ナンバンアイ葉)などを加えることで2種類の色素が重なり、濃いブラウンに染まるようになります。

(5)ヘナの効果

ヘナの魅力は、髪を傷めずに染めることができる点ですが、それだけでなく、髪の毛に艶・コシ・ハリを与えるトリートメントとしても優れています。
ヘナ自体が持つ収れん作用でキューティクルを引き締めることで髪の毛の潤いを保ち、摩擦を起こしにくくします。
また頭皮にやさしく作用し、毛穴を掃除したり、頭皮をみずみずしい状態に導く効果があります。



(6)ヘナの香り

ヘナは草木のような抹茶のような少し独特な香りがします。
香りが気になる場合は、ヘナを使用前または使用後にエッセンシャルオイルをヘアオイル入れて髪なじませると軽減されます。
お勧めの香りはオレンジ系。



(7)ヘナ染めに必要なもの

ヘナパウダー
手袋
お湯(45℃くらい)
ボウル
スプーンまたは泡だて器
ケープ(または大きなタオル)
ラップ
乾いたタオル(洗髪用)
シャワーキャップ(保温性の高いアルミ製キャップ)
ティッシュ
ゴミ袋
はけ(手でヘナを付ける場合は必要なし)
さいばし(髪を分ける時に必要な場合のみ)
新聞(床の汚れ防止)

など。

(8)ヘナの染め方

ヘナの使い方(染め方)はブランド毎に違うので、商品ページまたは商品に入っている説明書をご確認ください。

(9)ヘナを上手に染めるコツ

ヘナは冷ますと染まりにくくなるので、ヘナペーストは45℃くらいのぬるま湯を使いましょう。
また、ヘナを頭に塗ってラップまたはタオルを巻いた後、ドライヤーで温めると発色しやすくなります。
髪質によって染まりにくい場合は、使用料の目安より少し多めにし、たっぷり使うと染まりやすくなります。

(10)ヘナの選び方

ヘナは、オレンジ系の色〜黒茶系の色の種類があります。
白髪が少ない方は明るい色(オレンジ系)、白髪が多い方は暗い色(黒茶系)をお選びいただくと自然に仕上がります。

(11)2度染めの方法

髪をより黒くしたい場合は2度染めがお勧めです。
最初オレンジ系の色で染めてから、黒茶系の色で染めます。
2度目の黒茶系の色は、オレンジ系で染めた後、2日以内に染めてください。

(12)ヘナ【よくある質問】

Q ヘナで染めた後、シャンプーは使わない方が良いですか?

A シャンプーを使っては駄目ということはありませんが、素洗いをオススメしています。
シャンプーや石けん類で洗いますと、せっかくのヘナが落ちやすくなります。
1日はシャンプーをお控え頂いたほうが良いかと思います。

Q 頭皮についても大丈夫ですか?
A 全く問題ありません。むしろ頭皮の状態は良くなります。

ただし肌に若干色は入りますが、髪と違って数日で抜けていきます。
生え際など色が付きたくない部分には、ワックスやオイル類、ティッシュペーパーなどでカバーしておくと良いです。

Q ヘナは何度やっても大丈夫ですか?
A はい、大丈夫です。
髪や身体に負担になることはなく、むしろ髪質は向上しますし、頭皮の状態も良くなります。
ただしヘナは、身体を冷やす性質があるので、特に寒い時期には、中からも外からもよく温めてから行うようにするのがオススメです。
(一般的には2〜4週間おきに染める方が多いです。)

Q パッチテストは必ずしたほうが良いですか?
A 使用3日前にパッチテストをしてください。
食べ物でも「そば」や「卵」のアレルギーの方がいらっしゃるように、ヘナも植物100%であっても稀に植物アレルギーを起こされる方がいらっしゃいます。今までにひどいアレルギーを経験された方は、お医者様にご相談の上、パッチテストを行ってからご使用ください。

Q 使用後、髪のきしみを感じます。どうしてですか?
A きしみは髪を傷めているのではなく、ヘナの収れん作用によるものです。数日後には落ち着いていきます。気になる方はヘアオイルなどを毛先になじませると落ち着きます。

Q 黒髪を茶髪にしたいのですが・・・
A 黒髪を茶髪にすることは出来ません。

Q 妊娠していますが、ヘナを使用することはできますか?
A ヘナは植物成分100%なので基本的には問題ありません。しかし妊娠中は体が敏感に反応しやすく、急な体調の変化も考えられますので、ご使用はお控え下さい。授乳中の方は、ご使用いただいても問題ありません。

Q 緑色に染まってしまいました…
A 染めた直後に緑色に発色するのは、植物で染める草木染め特有の現象で、特に濃い色のヘナに見られます。2〜3日のうちに濃いブラウンに変化しますのでご安心下さい。
大切なお出かけの前には、日にちに余裕をもってお染めになることをおすすめいたします。

 

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