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フランゴ・ノ・シュラスコ~ポルトガル風焼き鳥~
海のクリーム―プレミアムシーソルトのお話―
塩田の表面に最初にできる塩の結晶は、逆ピラミッド型をしており水面に浮いています。フランスではフルール・ド・セル(塩の花)と呼ばれていますが、ポルトガルでは水面に白い膜がはる様子から、ナッタ・デ・マル、別名「海のクリーム」とも呼ばれています。
プレミアムシーソルトは、ポルトガル南部のオリャンとファロの中間にある天日塩田で作られています。アレンテージョ地方から北東の乾いた風が吹くとき、太陽と風の一定の条件がそろったときに現れます。この地方では5月から9月までほとんど雨が降らないため、1日に2回もとれることがあるそうです。塩はそのまま放っておくと結晶が大きくなり、重みで沈んでクリスタル状の透明な塩になります。
昔から塩田で働く人々は、塩の花を持ち帰って使っていたそうですが、天日塩を作るためには割って沈めていました。フランスでは70年代に入ってから伝統的な塩作りが見直され、貴重な塩として高値で売られていたのに。粒状の天日塩は、ゆっくり溶けて素材の味を引き出しますが、溶けにくいという性質もあります。ですから淡雪のように粒が小さくて採取するのに手間のかかる塩の花は珍重されたのです。
一昨年ネクトン社の塩田を訪れて、自分の手で生まれたての塩をすくったときは感動しました。
私は卵料理やマリネ、おにぎりや玄米ご飯などに使っていますが、先日、山菜の天ぷらにふりかけたら、塩の甘みがとてもよくわかりました。
今回は、塩とニンニクと赤唐辛子でピリ辛ソースを作って、フランゴ・ノ・シュラスコを作りました。これは開いた鶏をマリネして炭火で焼くものですが、ポルトガルではシュラスコ専門店やレストラン、屋台でも見かける庶民の味です。
作り方
- ニンニクはすりおろして一味唐辛子、オリーブオイル、塩とよくまぜる。
- 1と鶏肉をビニール袋に入れてよくもみこみ、1時間以上おく。一晩おいてもかまわない。
- 魚焼きグリルに皮を上にして置いて、中まで火が通って皮がカリカリになるまで中火で焼く。オーブンの場合は、網の上にのせて220度で15~20分焼く。
*写真の付け合せは、焼きパプリカとモロッコインゲン。
パプリカは皮が真っ黒になるまで焼いて皮をむき、オリーブオイルとビネガー、塩で味付けします。魚焼きグリルで焼くときはそのままだと入らないので、半分に切って下さい。モロッコインゲンは塩ゆでしました。
レシピ提供者:丹田いづみ (Tanda Izumi)さん
【プロフィール】
1983年に初めてポルトガルを旅して以来、料理や風土、人に惹かれて度々訪れるようになる。会社勤務のかたわらヨーロッパ、アメリカ、アジアなど各国を旅してその食のイメージを元に料理教室を主宰。
2006年から京都で週末だけのポルトガル料理店「レストランBoaBoca」を開く。2017年、長年暮らした京都を離れ地産地消の徳島に移住。現在はレシピ制作やケータリング、各地で不定期に移動レストランを開いている。