ポルトガル訪問
故郷とアルヴァリーニョを想う実業家が手掛けたユニークなプロジェクト
キンタス・デ・メルガッソ Quintas de Melgaco
(2018年10月)

2018年10月8日の訪問3社目は、ポルトガルミーニョ地方、最北エリア、メルガッソ村にある、キンタス・デ・メルガッソ。

訪問の二日前に収穫が終わったとのこと、忙しくて「床屋にも行けてないんだ」といいながら、エノロゴ(醸造家)のエーリオと、輸出担当のルイーシュがウェルカムしてくれました。

現在の概要は以下のとおりです。

・ぶどう農家500人
・ぶどう畑総面積100ヘクタール
・年間生産量は100万リットル
・輸出は全体の20パーセント

まずはこのワイナリーについて簡単に説明します。キンタス・デ・メルガッソ(Quintas de Melgaço)は、実はとてもユニークなプロジェクトで始まったワイナリーなのです。

20世紀の中頃、ブラジルの地に渡ったメルガッソ出身の実業家、アマデウ・アビリオ・ロペスさんが、故郷のために事業を起こしたいと考えました。そこで、メルガッソにとって「原石」とも言える「アルヴァリーニョ」に目を付け、アルヴァリーニョを育てる小さな農家たちからぶどうを買い、ワインを造り始めました。1991年のことです。小さな農家たちを大切にすることで、アルヴァリーニョ栽培、ワイン造りの産業が守られ、同時にメルガッソの村が発展するようにとの願いを込めて、500人の農家たちの出資からなるワイナリーの半分を村に寄付しました。今日現在も、ワイナリーの62.8%はメルガッソ村のものとなっています。

共同組合が存在しないメルガッソにとっては、共同組合のような役割も果たしています。

醸造家が「メルガッソがボトルに詰まっている」と表現するアルヴァリーニョのワインたち

左から、ルイーシュ、ヒロノ、エーリオ

今年のぶどうについて聞いてみると、

7月は雨が多く、気温は13から15度くらいで寒かった。
そのためぶどうが熟してないのに8月半ばに急に暑くなってしまい、生産量は昨年に比べ、10パーセントくらい減るだろうとのことでした。

しかし、ぶどうが早く熟しすぎた昨年に比べ、バランスの良いクオリティとの予測。
現時点ではまだわからないけれど、天然の酸(Acidez natural)とアルコールのバランスがよさそう、とのことでした。

メルガッソの特徴について聞いてみました。

メルガッソでは、冬は0℃、夏は50度近くまで気温が上がります。寒暖差が大きいのが特徴。

畑は北向きなので、川向いのスペインと比べると、スペインでは日が当たるのが朝10時からだとすると、メルガッソは早朝から夜までと日照時間が長くて有利。

ブドウ農家たちにもしっかりと賃金を払っているので、年間を通してきちんと畑をケアしてもらえているので、ブドウの質もよい。

標高が高いところのぶどうはミネラル感が豊かなのが特徴。

川の近くの粘土土壌はボリューミーでトロピカルな印象。


こういった土地の細かな違いがあり、ぶどう特徴がそれぞれで、それがすべて、つまり、「メルガッソがワインのボトルに詰まっている」と、熱く語っていました。

数日後テレビのニュース番組、メルガッソのアルヴァリーニョ特集に

ワインの造り手の熱い思いが聞けて、とても有意義な訪問となりました。

メルガッソは車がないと便が悪いですが、行く価値のあるすてきな場所です。アルヴァリーニョも美味しいですし、おすすめします!

→アルヴァリーニョにトラジャドゥーラを30%ブレンドした、トーレ・デ・メナージェン・ヴィーニョ・ヴェルデ
トラジャドゥーラがワインにフレッシュさ、グリーンな味わいを与えるそうです。香り豊かな微発泡。コストパフォーマンスの高さでびっくりされるイチオシワインです!

(アルヴァリーニョ100%で作られるQMは現在欠品中です。)