オルゴールの源流は、教会の鐘の音にあります。まだ時計が発明されていない中世ヨーロッパでは、朝・夕方・夜に人の手で鳴らされる鐘の音で、人々は時間を判断していました。この頃は鐘を四つ使っており、「四つの組んだ鐘」を意味するラテン語をもとにカリヨンと名付けられました。 やがて、カリヨンを鳴らす作業が自動化されていきます。突起の付いた大きな木の筒が回転すると木の棒が持ちあげられ、木の棒は鐘を叩くハンマーと繋がっていて、鐘を鳴らします。この仕組みが、オルゴール誕生の元になりました。 後の1500年頃にぜんまいが発明され、時計はどんどん小型化していきます。時計が小さくなるにつれて、中に組み込まれた音源である鐘はベルへと変化していき、やがてピンの長さが異なる金属棒を弾くことで音を出す仕組みへと変わっていきました。やがて金属を弾いて音楽を演奏する構造は。小型化する時計から独立して、オルゴール自体も大型化と小型化の二つの道を歩み始めます。この小型化された構造が小さなアクセサリーの中に組み込まれた時、音楽を持ち運んで楽しむ道具であるオルゴールは誕生したのです。 固定した金属棒を弾く仕組みでは単純なメロディしか奏でられなかったのですが、後に今でもよく見られる、櫛の歯状にした金属板を使うようになりました。こうして複雑なメロディも奏でられるようになり、現在のようなオルゴールはできたのです。