イーモン店長澤田です。

久しぶりに、カルバンクラインらしいファッションアンダーウェアが多数入荷いたしました。
最近のカルバンクライン・アンダーウェアは、ここ数年のつまらないCKから脱却するために、積極的にブランド再生に取り組んでいるようです。カルバンクラインのこうした流れが、世の中の下着との関わり方だけでなく、社会の環境問題なども巻き込みながら、少しずつ変えてくれるのではないかと期待しています。

そもそも、こういう下着でないとCKらしくない、というのは元々わかりきっていたことで、イーモンを含めCKファンの方はずっとそう思っていたのですけれど、当時の経営陣がダメダメだったのですよ(笑)。

その一番大きな理由は、世の中がファストファッションの流れだったので、カルバンクラインも低価格での大量販売路線に舵を切らざるを得なかったのでしょう。

真のCKファンがカルバンクラインに求めている真のニーズに目を向けないで、アメリカの大手デパートから、「ファストファッションに対抗するために低価格の複数枚セットをいっぱい作ってくれ。」だなんてどうしようもない意見にそそのかされて、大量にセット商品だけを熱心に作り始めてしまったのですよ。

昔は、誰もが憧れた、いつか大人になったら着てみたいハイブランドのCalvin Kleinロゴパンツでした。そしてカルバンクラインの下着を初めて着た時に、自分のウエストラインにCalvin Kleinのロゴが飾られていることに興奮を覚え、「俺は大人の男になったんだ。やっぱり1枚4千円の下着の穿き心地は素晴らしい!」ってちょっと誇らしく思えたりする大人の男への通過儀式的なイベント要素もありました。

それが、いつの間にか、CKを穿いていても

「あぁ、CKなんだねー。(・・・普通だね)」

なんて、思われるようになりました。

低価格のセット商品がブランドの中心になったことで、世の中の誰もが普通に手が届く◯枚セットを得意とする大衆パンツブランドとなりました。古くからのファッショニスタのアイコン的パンツとして愛用していたCKファンは少しずつ離れて行ってしまいました。

そもそもセット商品は廉価版ですから、実際には原料コストを削って安くしています。だから以前のCKみたいにドーンと原料費をかけて、下着1枚3000円、4000円の穿き心地よりも劣ってしまうのは当たり前なのです。そういう高級路線があってこその廉価版だったのに、廉価版がブランドの中心となってしまったため、最近ではイーモンも以前のように積極的に仕入れることはしていなかったのです。

それがついに、ブランドとしても、環境問題としてもダメだと気がついて、ブランド再生にやっと取り組み始めたということなんですね、はい

そう考えると、ファストファッションってやつは、大量消費で環境を壊しながら、優れたブランドを侵食し、クリエイターの才能を質よりも量に向かわせて、日本の縫製工場を廃業に追い込み、世の中から本当にいいものを奪うわで、何もいいことがありませんでしたね(笑)。でもそんな方向に行ってしまったことは、我々も売り手として反省して見直さないとなりません。

冷静に考えれば、ジーンズ1本を作るために環境に排出される汚染物質は、ジーンズの値段に関わらず1本であれば同量の1本分なのですよね。少なからず面積の小さな下着だって同じです。そういう影響も理解した上で作り手も良いものを作るように努力することや、大量消費ではない価値観を提供できるようにすることもこれからの時代は必要になっていくでしょう。

下着ブランドの王者であるカルバンクラインがそういう流れに戻るのは、下着クリエイターの端くれとしても歓迎したいところです。これからのカルバンクラインが、単なる下着デザインだけでなく、次なる未来をデザインしながらアンダーウェア業界を先導してくれることに期待したいと思います。