最近、一般的なソーイングだけではなく、刺しゅうができるミシンに注目が集まっています。 手刺しゅうよりも圧倒的に速く、さらに同じ模様を何度も縫製できて、手軽に量産が可能。
刺しゅうを施すことで、付加価値の高い作品作りができるということで、全国から刺しゅうミシンについての問い合わせが寄せられています。
当店のソーイングスタッフは、家庭用刺しゅうミシンだけではなく、業務用刺しゅうミシンや刺しゅうデータ作成ソフトなども使用し、様々な刺しゅう経験を積んでお客様の質問にお答えできるよう、日々研さんに努めています。
「刺しゅうミシンを使ってみたいけれども、使いこなす自信がないです…」
「どんな刺しゅうミシンを選んだらよいでしょうか…」
今回はそのようなお客様のお悩みを解決できたら、と考えています。是非最後までご覧ください!
ミシンでできる刺しゅうは、大きく次の2種類に分けられます。 ・ミシンに内蔵されている縫い目模様を使用したステッチ刺しゅう ・刺しゅう機と専用刺しゅう枠を使用し、広範囲に縫いこむデータ刺しゅう
ステッチ刺しゅうは、ミシンに内蔵されているステッチを自分で縫製していきますが、 データ刺しゅうは、専用刺しゅう機をミシンに取り付け、専用刺しゅう枠に布をセットした後、ミシンが自動縫製します。
「刺しゅうのできるミシン」という観点から家庭用ミシンの種類を大きく分けると、次の2種類になります。
・普通のミシン
・刺しゅう機能付きミシン
※以下、刺しゅう機能付きミシン=刺しゅうミシンとして説明いたします
普通のミシンと刺しゅうミシンは、どこが違うのでしょうか。 刺しゅうミシンにしかない特徴は、 1.専用刺しゅう機が付属している、または別売りされている 2.専用刺しゅう枠が付属している ということです。
このふたつが使用可能なミシンは「刺しゅうミシン」です。内蔵されているデータや、自分で作成したデータで刺しゅうができます。
専用刺しゅう機を使用しない時には、普通のミシンとしても使用できます。
※データ作成はパソコンやソフトが必要です。またメーカーによっては未対応です。
シンガーモナミヌウアルファ SC327
ハッピージャパン ミクリエFFH8000
ハッピージャパン ミクリエFFH6000
シンガー刺しゅう機能付きミシン専用
別売り刺しゅう機EU-2JSP
シンガーモナミヌウアルファ SC227
実は、刺しゅうミシンだけではきれいに刺しゅうすることができません。 布に絵を描くように、何度も糸を縫いこみ模様を仕上げるので、布を補強するアイテムや専用の糸が必要です。
これらを使わずに刺しゅうをすると、
・模様がずれる
・布や糸が切れる
などの不具合が発生します。
接着芯(下紙)
水溶性シート
ミシン刺しゅう用糸&下糸
それでは刺しゅうミシンの、基本的な使い方をご説明します。
「多機能で難しそう…」
「めんどうくさそう…」
「でも刺しゅうミシンを使ってみたい!」という方、安心してください。簡単ですよ!
一例として既製品のコットン素材バッグに刺しゅうしてみます。
1.枠よりひと回り大きく接着芯をカットする
2.刺しゅうを入れる部分を接着芯の中央に置き、
バッグ裏側をアイロンプレスする
3.枠にはめる
4.ミシンにセットして、縫製位置などを確認
5.枠の下に余計な布が入り込んでいないか
確認して、スタート!
6.枠から外し、余分な接着芯をはがして完成です!
ちょっとステップアップして、枠にはめられない布端にどのように刺しゅうするか、ご説明します。
(1枚だけ縫う場合と何枚も縫う場合では、枠への設置方法が変わってきます。いろいろな方法がありますが、今回は一例としてご案内しています。)
今回はタオルハンカチの端に刺しゅうしてみましょう。
1.枠よりひと回り大きく接着芯をカットする
2.刺しゅうを入れる箇所を接着芯の中央部に置き、
タオル裏側をアイロンプレスする
※弱粘着タイプ接着芯を使用します
3.上に水溶性シートを重ねて枠にはめる
4.ミシンにセットして縫製位置を確認。
枠の下に余計な布が入り込んでいないか確認して、スタート
5.枠から外し、余分な接着芯をはがして完成です!
水溶性シートは洗い流すと溶けてなくなります。
普通のミシンでも縫うのが難しい、Tシャツのような「伸縮性のある素材」に刺しゅうする方法です。
接着芯をきちんとはって布を固定することと、縫った後はがしやすい接着芯を使用することがポイントです。
1.枠よりひと回り大きく接着芯をカットする
2.刺しゅうを入れる箇所を接着芯の中央部に置き、
Tシャツ裏側をアイロンプレスする。
※弱粘着タイプ接着芯を使用します
3.水溶性シートを上に重ねて枠にはめる
4.ミシンにセットして縫製位置を確認。
枠の下に余計な布が入り込んでいないか確認して、スタート!
5.枠から外し、余分な接着芯をはがして完成です!
水溶性シートは洗い流すと溶けてなくなります。
どんな刺しゅうミシンでも、基本的な「芯をはる→枠をはめる→縫う」作業は同じです。
それではその他に、各機種どんな違いがあるのでしょうか?
大きく分けてみました。
これらの違いをご説明します。
1.刺しゅうできる範囲(使用可能な刺しゅう枠の大きさ)
2.渡り糸をカットするか、しないか
渡り糸カット機能があると、縫い上がった後の糸処理が楽になります。
もちろん、渡り糸カット機能がなくても大丈夫です。
刺しゅうの途中でミシンをストップし、渡り糸をハサミで切ってから再度縫い始めることもできますし、すべて縫い終わってから渡り糸をカットしてもOKです。作品の仕上がりには影響がありません。
当店取り扱い機種の中で、渡り糸カット機能付き刺しゅうミシンはソレイユCRWです
3.縫製スピード
4.画面操作
同じアイテムを複数作りたいという方は、組み合わせ可能な刺しゅうミシンを選んだ方がよいです。
一度組み合わせてデザインを作ってしまえば、縫うたびごとに組み直す必要がないからです。
そもそも組み合わせできる / できないってどういうこと?
必要な機能なの?
重要なポイントなので詳しくご説明します。
1.縫いたい模様を画面上に呼び出します
2.例えばイニシャルを組み合わせたい場合、追加を押します。
3.好きなフォントを選びます
4.好きな文字を選びます
6.文字の大きさや、文字の間隔を編集できます。
7.文字の間隔も調整できます。
このように、画面上に縫いたいものを追加して、位置、大きさ、角度、間隔などを編集することができます。
編集した後、設定画面を保存すれば、繰り返し縫うことが可能です。
保存できないので、同じものを作りたい場合には最初から設定をやり直します。
このように作業時間の違いだけで、作品の仕上がりには影響がありませんが 作品をスピーディーに仕上げたい方は多機能なミシンをおすすめします。
もちろんシンプル機能なミシンでも、設定や調整に時間をかければ、同じ仕上がりの刺しゅうを楽しむことができます。
また、刺しゅうデータソフト「刺しゅうプロ11」があれば、わざわざ画面上で組み合わせる必要がなくなります。
模様の組み合わせができないミシンでも、オリジナルのデータを1つ作ってしまえば、何度でも刺しゅうできます。
刺しゅうプロ11については次の項目でご説明します。