保護帽とは、頭部損傷、あるいは頭部感電による危険を防止または軽減するために使用される保護具で、 厚生労働省が定める労働安全衛生法第42条の規定に基づく「保護帽の規格」に適合したもので、 以下の検定基準に基づいて製造されています。
■耐貫通性試験
項目 | 試験方法 | 性能 |
---|---|---|
(1)飛来・落下用 | 保護帽のヘッドバンドが人頭模型に密着しない状態で装着し、60度の角度をなす円すい形で、重さ3kgのストライカを1mの高さから保護帽の頂部を中心とする直径100mmの円周内に自由落下させる。 | 当該円すい形ストライカの先端が人頭模型に接触しないこと。 |
(2)墜落時保護用 | 帽体を試験用ジグの頂部リングに落下点が帽体の前頭部・後頭部及び両側頭部になるようにかぶせ1.8kgの円すい形ストライカを0.6mの高さから自由落下させる。 | 当該試験用ジグの頂部リングの上端から帽体内面のくぼみの最下降点(円すい形ストライカの先端が帽体を貫通した場合にあっては円すいストライカの先端)までの垂直距離が15mm以下であること。 |
■耐貫通性能
<前処理条件>
試験を行なう場合は下記に示した前処理を完成品のまましなければならない。
・高温:温度が48℃以上52℃以下の場所に2時間置く。
・低温:温度が零下12℃以上零下8℃以下に2時間置く。
・浸せき:温度が20℃以上30℃以下の水中に4時間置く。
■耐貫通性試験
項目 | 試験方法 | 性能 |
---|---|---|
(1)飛来・落下用 | 高温、低温、浸せきした完成品の装着体(ヘッドバンド)が人頭模型に密着しない状態で装着し、5kgの半球形ストライカを1mの高さから頂部に落下させる。試験は、前処理後1分以内に終了すること。頂部すき間を調節することができる保護帽については、頂部すき間を最短にして行なう。 | 最大衝撃荷重が4.9kN以下であること |
(2)墜落時保護用 | 高温、低温、浸せきした完成品を、中心線が水平に対30度傾斜している人頭模型に衝撃点が保護帽の前頭部及び後頭部となるように装着し、重さ5kgの平面形ストライカを1mの高さから落下させる。装着体は人頭模型に密着しない状態で装着して行なう。試験は前処理後3分以内に終了すること。 | 前頭部・後頭部共に (1)衝撃荷重が9.81kN以下 (2)7.35kN以上の衝撃が加わった場合その継続時間は3/1000秒以下 (3)4.9kN以上の衝撃が加わった場合その継続時間は4.5/1000秒以下 (4)保護帽に著しい損傷が生じないこと |
■保護帽の耐電圧試験
絶縁用保護具は、常温において試験交流(50ヘルツ又は60ヘルツの周波数の交流で、その波高率が、1.34から1.48までのものをいう。)による耐電圧試験を行ったときに、次の表に掲げる種別に応じ、それぞれの電圧に対して1分間耐える性能を有するものでなければならない。(電気用保護帽とは、7,000V以下での頭部感電による危険を防止するためのものである。)
保護帽は、帽体の材質によって特性が異なります。 作業内容に合わせて、適切な材質の保護帽を選択してください。
耐用年数を過ぎた保護帽は、安全のため、異常が認められなくても使用しないでください。 (日本ヘルメット工業会「保護帽の取扱いマニュアル」に基づく)
材質 | 廃棄・交換規準 |
---|---|
ABS、PC、PE製(熱可塑性樹脂) | 異常が認められなくても3年以内 |
FRP製(熱硬化性樹脂) | 異常が認められなくても5年以内 |
装着体 | 異常が認められなくても1年以内 |
保護帽とは、頭部損傷、あるいは頭部感電による危険を防止または軽減するために使用される保護具で、厚生労働省が定める労働安全衛生法第42条の規定に基づく「保護帽の規格」に適合したもので、以下の検定基準に基づいて製造されています。
・保護帽を使用する際には、この取扱説明をお読みいただき、十分理解した上でご使用ください。
保護帽は、法律(労働安全衛生法)で定められている危険な作業場所や、これに準ずる場所での作業で、頭部を保護するために使用するものです。
・保護帽は、労働省の「保護帽の規格」に適合するもので、型式検定合格品には「労・検」のラベルが貼付されています。
・「労・検」のラベルに記載されている「飛来・落下物用」とは、上方からの物体の飛来、または落下による危険を防止、または軽減するためのものです。「墜落時保護用」とは、倉庫に積まれた荷の上、車両の上等、足場または安全帯が使用できない場所からの墜落による危険を防止あるいは軽減するためのものであって、構築物や電柱等のような高所からの墜落による危険までも防止できるものではありません。「電気用」とは、使用電圧7,000V以下で頭部感電による危険を防止するためのものです。
・厚生労働省の「保護帽の規格」は、頭部の安全を確保するための最低限度の規準を定めたものであって、自ずから保護性能には限界があります。従って「労・検」のラベルは絶対的に安全性を保障するものではありません。ご使用にあたっては最大限の注意を払い、常に安全な作業ができるように、この取扱説明に従ってご使用ください。
保護帽は、帽体、装着体、アゴひも、衝撃吸収ライナー(KP)等の部品によって構成されています。これらの部品の一部でも性能が低下したり、または不足しますと、危険を防止または軽減することができなくなります。
1.警告・注意の意味(安全上、大切なお知らせ)
この取扱説明の内容通り正しく守らないと、保護帽の性能を損ない、生命または頭部に重大な傷害を及ぼすことを意味します。 | |
この取扱説明の内容通り正しく守らないと、保護帽の性能や機能に影響を与え、頭部に傷害を及ぼすことを意味します。 |
1.警告・注意の意味(安全上、大切なお知らせ)
生命または重大な傷害を及ぼします。
1.「労・検」ラベルが貼付されていない保護帽は使用してはなりません。
2.ラベルを確かめて、作業に合った区分の保護帽を使用してください。
3.
一度でも大きな衝撃を受けたら、外観に異常がなくても使用しないでください。(衝撃を受けた保護帽は、性能が低下しているので、次に衝撃を受けたとき、頭部を十分に保護することができません)
4.
絶縁保護帽は、6ヶ月毎に耐電圧性能の定期検査を行ってください。(安全衛生規則 第351条)
5.
アゴひもは必ず正しく締めて着用してください。(事故のときに保護帽が脱げて、頭部に重大な傷害を受けます)
6.
保護帽を改造あるいは加工したり、部品を取り除かないでください。(保護帽は、各部品の全体のバランスで性能を発揮できるように設計されています。改造したり部品を取り除くと、頭部を保護できなくなります。)
7.
保護帽を使用する際には「保護帽点検 20のチェックポイント」に従い、その都度必ず点検し、チェックポイントと符合するものは、ただちに交換してください。
8.
保護帽の使用期限について、帽体の材質がABS、PC、PE等の熱可塑性樹脂製の保護帽は、異常が認められなくても3年以内、またFRP等の熱硬化性樹脂製の保護帽は5年以内に交換してください。
9.着装体は1年位で交換してください。構成される部品に劣化、異常が認められた場合は、ただちに交換してください。
10.
バイク等の乗車時には、絶対に使用しないでください。
11.
ヘルメットの着脱は、ホックでは行わず、ワンタッチバックルで行ってください。ホックの着脱を繰り返すと、ホックの保持力が低下して、本来の機能が失われる可能性があります。
保護帽は、使用することによって性能が低下します。また過酷な条件下において使用されるために、見た目以上に劣化が進んでいることがあります。性能が低下している保護帽は、緊急の危険に際して、保護性能を発揮することができません。
保護帽の性能や機能に影響を与え、頭部に傷害を及ぼします。
1.ヘッドバンドの調節が悪いと、使用中ぐらついたり脱げやすく、保護性能を十分に発揮することができません。
2.
メーカー指定以外の部品・付属品を取付けないでください。(機能が低下したり、性能が損なわれます。)
3.
着装体および部品の交換は、メーカーに相談の上、行ってください。
4.
着装体、アゴひも等が汚れたときは、交換してください。交換するために保護帽を分解したときは、完全に元通りに組立ててください。
5.
交換のために部品を取外したときは、部品類を紛失しないように注意してください。部品類を紛失したときは、他の部品で代用したり、部品不足のまま使用してはなりません。(性能が損なわれます)
6.
炉前、乾燥炉内、投光器のすぐ近く等、高温な場所での長時間作業には使用しないでください。(材質が変質し、変色や変形を起こし、性能が低下します。)
7.
夏期自動車内や暖房機の近くなど、50℃以上の高温になる場所や、直接日光の当たる場所に長時間放置しないでください。(材質が変質し、変色や変形を起こし、性能が低下します。)
8.
冷凍庫等、低温な場所での長時間作業には使用しないでください。(材質が変質し、性能が低下します。)
9.
保護帽に腰掛けたり、物を入れて運んだりしないでください。(保護帽が変形し、着装体、衝撃吸収ライナー、帽体等を傷つけ、性能が低下します。)
10.
保護帽を床等に放り投げますと、衝撃で帽体の材質を傷め、性能が低下しますので、丁寧に扱ってください。
11.
メーカー指定以外の塗料を用いて帽体の塗装をしないでください。(帽体の材質が侵され、性能が低下します。)
12.
メーカー指定以外のラベル、ステッカー類の貼付をしないでください。(薬品、粘着剤等によって、帽体が侵されたり、耐電圧性能が低下します。)
13.
帽体の汚れは、中性洗剤を湿した布で拭取り、清水ですすいだ布で拭いてください。(ベンジンまたはシンナー等の有機溶剤の使用は、帽体の破損、クラック、表面の溶け、シール剥がれの原因となり、また衝撃吸収ライナーの材質を傷めます。)
・「労・検」ラベルを確かめて、作業に合った区分の保護帽を使用してください。
・
「保護帽点検 20のチェックポイント」で点検し、少しでも異常が認められる保護帽は、使用しないでください。
・
部品類に異常が認められた場合は、ただちに交換してください。(修繕をしないでください。)
↓ このような保護帽は使用しないでください。
↓ このような場合、部品を交換してください。
1.かぶり方
保護帽はまっすぐに深くかぶり、後ろに傾けてかぶらないようにしてください。(あみだかぶりをしないでください。)
2.ヘッドバンドの調節
ヘッドバンドは、頭の大きさに合わせて調節し、確実に固定してください。(ヘッドバンドの調節が悪いと、使用中にぐらついたり脱げやすく、保護性能を十分に発揮することができません。)
3.アゴひも
アゴひもは緩みがないようにしっかりと締めてください。着用中は、ゆるめたり外さないでください。(事故のとき、保護帽が脱げて重大な傷害を受けます。)
※脱げ防止機構付耳ひも
耳ひもからアゴバンドを取外したときは、アゴバンドを脱げ防止テープに必ずくぐらせて、耳ひも本体に取付けてください。
保護帽は、その使用区分(作業内容)によって、機能、構造が異なります。
使用区分のマークを参照しながら、必ず適切な保護帽をお選びください。
使用区分 | 構造 | 機能 |
---|---|---|
飛来・落下物用 |
帽体、着装体、およびアゴひもを持つもの | 上方からの物体の飛来、または落下による危険を防止、または軽減するためのもの |
墜落時保護用 |
帽体、着装体、衝撃吸収ライナー、およびアゴひもを持つもの | 墜落による危険を防止、または軽減するためのもの |
電気用(使用電圧7000V以下) |
帽体が充電部に触れた場合に感電から頭部を保護するもの | 頭部感電による危険を防止するためのもの |
飛来・落下物用 |
帽体、着装体、およびアゴひもを持つもので、帽体が充電部に触れた場合に感電から頭部を保護するもの | 上方からの物体の飛来、または落下による危険を防止、または軽減し、頭部感電による危険を防止するためのもの |
墜落時保護用 |
帽体、着装体、衝撃吸収ライナー、およびアゴひもを持つもので、帽体が充電部に触れた場合に感電から頭部を保護するもの | 上方からの物体の飛来、または落下による危険、および墜落による危険を防止、または軽減し、頭部感電による危険を防止するためのもの |
●保護帽の着用規定は、労働安全衛生規則等により、以下のように定められています。
●労働安全衛生法では、着帽に関する義務・規則を事業者と労働者双方に定めています。
※関連規則を抜粋してあります。条文をご確認ください。
第151条の52 | 不整地における5トン以上の運搬車の荷の積み下ろし作業 |
第151条の74 | 5トン以上の貨物自動車の荷の積み下ろし作業 |
第194条の7 | 建設工事でジャッキ式つり上げ機械を用いて行う、荷のつり上げ、つり下げ等の作業 |
第247条 | 型わく支保工の組立作業 |
第327条の52 | 腐食性液体を圧送する作業で、腐食性液体の拡散、漏えいまたは溢流による身体の危険があるとき |
第360条 | 地山の掘削作業 |
第366条 | 明り掘削作業 |
第375条 | 土止め支保工場 |
第383条の3 | ずい道等の掘削作業 |
第383条の5 | ずい道等の履工作業 |
第388条 | ずい道等の建設施行 |
第412条(第404条) | 採石作業 |
第435条(第429条) | はいの上における作業(床面から2m以上) |
第451条 | 船内荷役作業 ※保護具として着用を規定。 |
第464条 | 港湾荷役作業 |
第484条 | 造林等の荷役作業 |
第497条 | 木馬又は雪そりによる運材の作業 |
第516条 | 林業架線作業 |
第517条の5 | 鉄骨の組立等作業 |
第517条の10 | 鋼橋架設等作業 |
第517条の13 | 木造建築物の組立等作業 |
第517条の19 | コンクリート造の工作物の解体または破壊作業 |
第517条の24 | コンクリート橋架設等の作業 |
第518条 | 2m以上の高所作業 |
第538条 | 物体の飛来のおそれのある場合 |
第539条 | 船台の付近、高層建築物等で、その上方から物体が飛来または落下するおそれのある作業 |
第566条 | 足場の組立等作業 |
第341条(第348・351・352条) | 高圧活線作業 |
第342条 | 高圧活線近接作業 |
第346条 | 低圧活線作業 |
第347条 | 低圧活線近接作業 |
第33条 | クレーンの組立・解体作業 |
第75条 | 移動式クレーンのジブ組立・解体作業 |
第118条 | デリックの組立・解体作業 |
第153条 | 屋外に設置するエレベーター昇降路塔またはガイドレール支持塔の組立・解体作業 |
第191条 | 建設用リフトの組立・解体作業 |
S.50.4.10 基発第218号 |
荷役、運搬機械の安全対策について コンベヤ、フォークリフト、ショベルローダ、移動式クレーン、ダンプトラック等の機械を使用する作業。 |
S.60.2.19 基発第90号 |
「林業における刈払機使用に係る安全作業指針」の周知徹底について 刈払機の刈刃破損、反発、及び転倒による災害を防ぐ。 |
S.60.4.5 基発第185号の3 |
ストラドルキャリヤーによる労働災害の防止について 夜間にストラドルキャリヤーの稼動区域内で作業させる場合は、夜光塗料を塗布した保護帽を着用させる。 |
H.5.3.2 基発第123号 |
清掃事業における総合的労働災害防止対策の推進について ごみの積替え作業、焼却時の撹拌作業等。 |
H5.5.27 基発第337号の2 |
建築業における総合的労働災害防止対策の推進について 木造家屋建築工事等小規模建築工事における墜落、木造加工用機械、飛来・落下物による災害を防止するため。 |
H.8.11.11 基発第660号の2 |
木造家屋等低層住宅建築工事における労働災害防止対策の推進について 高所作業に従事する作業者に対しては墜落用保護帽を着用させること。 |
H.25.3.25 基発0325第1号 |
「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」の策定について 墜落・転落の危険のある作業においては、墜落時保護用の保護帽を着用すること。 |
H.26.3.10 基安安発0310第3号 |
足場の設置が困難な屋根上作業等における墜落防止のための作業標準マニュアルについて 高所作業では墜落時保護用の保護帽を使用するものとする。 |
保護帽の「労・検」ラベルは、以下の項目を明記しております。
※検定ラベルの表記については、商品により異なる場合がございます。
①検定取得(更新)年月
②検定番号
③製造会社名
④製造年月
⑤使用区分
⑥帽体に使用している材料名
⑦検定を受けた時にミドリ安全が付けた番号と記号
⑧製造日
⑨その他 JIS規格等の表記