YANUK

L.A.発のデニムブランド、ヤヌーク。
目下、カイタックインターナショナル(東京都目黒区)が日本の技術を駆使し、新しいデニムブランドとしてプロデュースしています。そしてついに、2016SSコレクションよりメンズラインがスタート。


このヤヌークのデニムが、すごくいいんです。
第一に、穿き心地がいい。
第二に、シルエットがいい(脚を細く長く見せるタイトストレートのシルエット)。
例えばジーンズを選ぶとき、私たちはウエストのインチで合わせるのが普通です。今まではそうでした。 でもヤヌークの登場で、これからは違うかもしれません。体型に合わせたウエストではなく、いちばんキレイなシルエットでデニムを穿く。そんなデニムの新時代がひたひたと到来しています。
今そんなヤヌークが、デニムファンいかんにかかわらず支持を集めています。
人気の裏にひそむ秘密を、カイタックインターナショナルの佐光拓人さん(写真)に訊いてみました。

ヤヌークの売りって、穿き心地ですかね?
そうですね、はい。
デニムに関する悩みは、リアルなヴィンテージ加工のような格好良いデニムを穿きたいけど、硬くでゴワゴワしているのが嫌だ、という声が非常に多い。
そんな悩みを解決できるようにと作ったのがヤヌークのデニムで、穿き心地を徹底追及しました。
だから「ヤヌークってどんなブランドですか?」って訊かれたら、「いちばん穿きやすいデニムですよ」って説明してもらうのがいちばん良いと思っています。
具体的にどこがどう穿きやすいんですか?
例えば、そうですね。
…普段、おいくつのサイズを穿かれてますか?
31です。...けど、ヤヌークだと30かな。
今日はちょっと、あえて28を持ってきたんですね。
あっ、ほんとですか。
ウエストが伸びる仕様を説明するために。もし28が入れば、それが証明できるかな、と。
ちょっとばらつきはあるんですけど、基本、2インチダウンまでは穿いていただけるので。
あっ、穿けるなあ。
あっ、穿けた。
ウエストはね、、、、ぜんぜん大丈夫。
大丈夫? 深夜番組みたいになってるけど(笑)
(笑)
変わんない。
確かに変わんないね。
2インチダウンだとふつう、こう(フロントが開いてジップ見える感じに)なるでしょ。
そうですね。
変わったといったら、...太ももかな。
28だと太ももがタイトで、シルエットはスキニーのようにきれいに見えます。
あと、生地感が一般的なインポートデニムと比べると厚いので、しっかりしたフィット感はあるかと思います。
ウエストがね、ほんと、変らない。モモまわりは締まってるのに。
今日は、30も持ってきたので。
これを穿いてもらっても、たぶん、変るのはモモまわりだけかなと。
ほんとだ。ウエスト、一緒だ。
こういうストレッチ系のデニムで気になるのは、ピッタリしてるから膝抜けしちゃうんじゃないかっていうことですよね。
そうですね。生地が薄いと膝抜けしやすいですね。
ただヤヌークの場合、生地をしっかりさせてるぶん、問題ないです。
お店でも、普段30インチ穿いてる方に、2インチまではいかないけど、「1インチダウン穿いてみませんか?」っていうおすすめをしてもらってます。
あとお店をヒアリングしてけっこう言われるのは、「子連れの方も買ってますよー」って。やっぱりお子さんがいるとどうしても可動域が広いので。
奥さんがレディースのヤヌークを知っていて、奥さんからのおすすめで、というように、ご家族でご購入していただくケースも増えてきています。
僕、お腹がすごい出てきちゃって。
今いちばん困ってるのは、ウエストに合わすべきなのか、シルエットに合わすべきなのかっていう…。ウエストに合わせるとシルエット崩れちゃうでしょ。
ウエストで合わせるのが今までのデニムの常識だったんですけど、ヤヌークの場合、「ウエストはさげても大丈夫なので、脚のシルエットで合わせてください」っていうふうに勧めています。
洗ったら?
洗ったらじゃっかん縮みます。だからさっきの感じだと29がいいのかなあと。
28だと、ご飯を食べた後とかにちょっと窮屈かもしれない。
素材にリヨセルを含んでるでしょ?
これは、どんな違いがあるんですか。
リヨセルっていうのは、高級素材のTシャツとか下着とか、ドレープ感のあるテロテロっとした生地感のものによく使われている素材なんですけど。これが何にいいかっていうと、穿いたときに肌触りがゴワゴワしないんですね。
今はタイトに穿く方が多いので、「これが普通のデニム生地でしかもヤヌークみたいに厚手のオンスでってなると、たぶんゴワゴワして嫌だろうな。じゃあ開発しよう」っていう話になって。
なので、ヤヌークは完全にオリジナルの生地なんです。
へえー。テキスタイルから。
生地からすべて作ってます。
オンスは増やして厚くしたけど、穿き心地を追求するためにリヨセルを入れたと。
そうですね。ほかのデニムにはない肌触り。ごわつきがない。
あと、ヤヌークのもう一つの特徴としては、これ、すべて岡山の自社工場で作ってます。なので、加工にもほかのデニムと大きく違う箇所がありまして。
インポートデニムの加工っていうのは、“ハリガタ”といって、脚の形をしたものにデニムをズボッと入れまして、そこからレーザービームで削っていくんですね。前が終りましたらガシャッと後ろ向きに換えて同じことをやる。
でもヤヌークは職人が手作業でやっているので、それを見極めてもらうには、このサイド。ここもけっこうリアルな加工が施されている。この脇線のところ。
レーザーだとサイドはできないんですか?
そうです。サイドは面積が小さすぎて後ろにレーザーがいってしまうので、できないんです。一般的なデニムだと前と後ろで加工が終わっているはずです。それが、サイドまで入っている。
そこを見れば丁寧な仕事かどうかが、わかると。
そうです。あと手作業でやってるかどうかっていうのは、ここを見ればわかります。
へえー
豆知識です。
これも試着していただいていいですか。すいません。
はい。
これがもうヤヌークの代名詞になっているくらいの。
そうですね。
特にレディースのヤヌークでは代名詞ともいえる、デニット素材です。
例えばインディゴ染めしたスウェットだと1万円位で売られているんですけど、それに対してヤヌークは2倍以上する。「それって何が違って何が売りなんですか?」っていう話になるんですけど、まず、スウェットは編物なので膝抜けも縮みもすべてします。それに対して、デニットは穿き心地自体はスウェットなんですけど、織物です。デニムと一緒なんです。なのでまず、膝抜けはほぼしないと考えていただいていいと思います。
しかも緯糸にポリウレタンが入ってますので、キックバックして戻ってくる。もしちょっと伸びたかな、と思った時は洗っていただければ、すぐ元に戻ります。
織物?
織物です。編物はどんどん伸びていっちゃって膝抜けになるんですけど、織物は膝抜けも型崩れもしにくいという点が特徴です。
それと、編物は物性的に弱くて加工を施すと糸が切れたりダメになってしまうんですけど、織物の場合は、それがない。
それは、ディーゼルのジョグも一緒?
ディーゼルさんも一緒です。なので、あそこまで加工ができるのかなと。
これはたぶん海外のトレンドなんでしょうけど、ディーゼルさんの場合は基本的にはトルコの生地を使ってます。生地が薄めなんです。
ディーゼルはもう少し穿き心地が粗い感じがするんだよね。
そうですね。
その点、ヤヌークは裏がしっかりとタオルのようなパイル地になっているのが特徴です。
ヤヌークのデニットは二重織というちょっと特殊な織り方をしてまして、1本の経糸に対して緯糸を2本打ちこむんですね。
通常、デニムは1本の経糸に対して1本の緯糸なんです。そこに緯糸を1本多くすることで、多い緯糸が、経糸と経糸の間から出てくるんですね。 これが、このパイル地になる。
へー。
2本打ちこんでるとなると、厚くなりませんか?
普通のよりちょっと厚手ではあります。
決して安価ではないですし、どのくらい売れるか見当がつかなかったんですけど、蓋をあけてみたら毎月完売という状態が続いていて。
デニットは、みんな上下セットで買っていくんですか?
いや、ばらばらだと思います。「セットアップも格好良いですよ」とおすすめしているのですが、ちょっとハードルが高いみたいです(笑)。
リラックスして穿いていただきたいということもあって、デニットのシルエットは、モモ周りがけっこうゆったりしてます。
というのも、ヒアリングをしていて「デニム穿かない」っていう方がけっこう多いんですね。
あー…
「デニムは穿かないけど、インディゴ染めのものはほしい」みたいな。
うんうん。
穿かないの?
穿かないですね。
僕も穿かない。
歳取ると、あんまり穿きたくなくなってくる。
そうなんですか(笑)
それこそ、ごわつきがイヤになってくる。
そうなんです。そういうお客さんが多いっていう話を聞いて。
で、できたのがこのデニットっていう素材だったんですけど。
ただ、ヤヌークに関していうと、デニムもかなり柔らかくしたので、「デニットもデニムも穿き心地に大きな差はない」っていう意見も言われたりしまして。
じゃあ明確にシルエットでわけようと。
よりリラックスして穿いてもらうときには、このデニット。
ただ、そこまでスウェット感が強くないので、ちょっと出かけるとき、こじゃれた感じに見せられると思います。
“ワンマイルウェア”っていう紹介もされましたね。
「ちょっと仲間内でホームパーティー」や、デニットのセットアップを着て犬の散歩みたいなシーンで。
そういう場面でも活躍すると思います。
それは誌面で紹介されたんですか?
誌面ですね。
デニットについては、「LEON」や「SAFARI」に大きく掲載されたのですが、お問合せを多数いただきました。
あとは「OCEANS」とか「FINE」とか。
ああいった海を感じさせる雑誌でも好評です。
デニットを着用してみる、“デニム穿かない派”のふじもん。
たしかにこの加工感は、小なれ感がすごいね。
(笑)
オジサンが着てたらさらにこなれてる感、出るね。
(オジサンとなれば...)
やまてさん、着てみますか?
…。
ふじもんに言われるままデニットを着用してみる、やまてさん。
このパーカならフードかぶりたくなるね。
あー…スポッといきたいんだ。
サーファー、スポッといくでしょ。
はい、はい(笑)。
…でも、それ、そのままやっちゃうと、ヤヌークがサーファーブランドになってしまいますので(笑)。
これで佐光さんとの話はおしまいです。
お読みいただきありがとうございました。
最後に、お話に出てきたヤヌークに関するポイントを以下にまとめてみたいと思います。
独自のストレッチ素材でウェストが伸びるヤヌーク。普段30インチのデニムを穿いている人が28インチを違和感なく穿けるので、1インチ、2インチダウンして脚に合わせて選んだりと、スキニースタイルを楽しむこともできるのがポイントです。
オンスのある厚めの生地を採用しているので、型崩れしにくいヤヌーク。ストレッチが効いているのでタイトに穿いても膝抜けがしにくいのがポイントです。
生地からすべて作っているヤヌーク。独自技術で高級素材に使われるリヨセルを混紡、厚手でもごわつかない生地を作りだしているのがポイントです(ホワイトデニムを除く)。
デニムは岡山の自社工場で作っているヤヌーク。職人による手仕事、その証は前後のみならずサイドまで続いている加工の痕を見るとわかるそうです。
スウェットのようなデニムで人気のデニット。実はこれは編みではなく、織りでできています。つまり織物なので、膝抜けも型崩れもしにくく頑丈。多彩な加工ができるのもそれゆえです。
着心地を追求したデニットの裏地は、二重織という特殊な織の技術により、ふわふわのパイル地になっています。