2022年11月、「私のとっての素晴らしい旅が終わりを迎えた」の言葉を残し、衝撃的なかたちでビッグメゾンを去ったアレッサンドロ・ミケーレの後を継ぎ、2024年春夏コレクションより新たなクリエイティブ・ディレクターとしてデビューしたのが、プラダやドルチェ＆ガッバーナ、ヴァレンティノなどでキャリアを重ねてきたサバト・デ・サルノ。 「グッチ、アンコーラ（グッチをもう一度）」を提唱し、前任者の装飾主義から離れることでより伝統的メゾンのレガシーに回帰した24SSコレクションからは、高貴かつ官能的なグッチの本来的な魅力がより強調されたものとなっています。 そして「GG」モチーフやホースビットといったアイコンと同時にシンボリックなかたちで強く打ち出されたのが、ボルドーに近い深い赤の「アンコーラ レッド」。 伝統と革新、その両立性が内外から求められていく彼の今後からますます目が離せません。

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「TOM FORD（トム・フォード）」前夜、その創業者であるトム・フォードがクリエイティブ・ディレクターを務めていたGUCCI（グッチ）において、1998年にキャリアをスタートさせたピーター・ホーキングス。以来トムの右腕として四半世紀にわたり辣腕をふるってきた彼が昨年、創業者の退任と同時に2024年春夏シーズンより「二代目」に就任することが発表されました。 デビューコレクションではトムに対する敬意、その魂の継承が遺憾なく発揮されており、ブランドの歴史はもちろん、トム時代のグッチをオマージュしたかのような新作には、トムという人物そのものへのリスペクトに満ち溢れています。 根幹は揺るがず、安定感あふれる船出となった新トム・フォード。 さらなる可能性の広がりをも心待ちにさせながら新シーズンが始まります。

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「RUDE」を旗印に革新性を説いた前任のルイージ・ビラセノール時代から一転、スイスブランドとしての原点回帰とも言えるデビューコレクションで喝采を浴びたのが、新たに「BALLY（バリー）」のデザイナーに就任したシモーネ・ベロッティ。数々のラグジュアリーメゾンを巡り、グッチでは16年のキャリアを誇るベテランが示したのは、安定感ある生真面目な一面と、それとは一見相反する予期せぬ遊び心のようなデザインやアレンジの数々でした。 1851年の創業以来、1976年のトータルブランド化、2001年のグローバル展開への転換など、多くの「転機」となるターニングポイントを繰り返してきたビッグメゾンですが、今回の新デザイナー就任もそれに比肩する物語性が待ち望まれています。 2024年春夏新作のバリーにぜひ、ご注目ください。

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1992年、ロンドン芸術大学の名門セントラル・セント・マーチンズの学生であったリー・アレキサンダー・マックイーンが、同校の卒業コレクションにおいて雑誌「VOGUE」で高く評価されたことを機に、自身の名を冠したブランド「ALEXANDER McQUEEN（アレキサンダーマックイーン）」を創設。 翌1993年にロンドンコレクションで華々しいデビューを飾ると、当時26歳の若さでブリティッシュ・オブ・ジ・イヤーを受賞するなど、そのアバンギャルドなクリエイションが「モードの反逆児」の異名とともに世に広く知られることとなります。 その後も順調に成長を続ける中、2010年にリーが急逝。以来、彼の右腕的存在であったサラ・バートンがその遺志を継いできましたが、昨年惜しまれながら勇退。同時に、2024年秋冬より新クリエイティブ・ディレクターとしてショーン・マクギアーの就任が発表されました。ブランドとして「第三章」を迎える新たなるクリエーションに期待が高まります。

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