〈まずZODIASとは〉

“コスパロッド”というワードが最初に思いつく方が多いのではないでしょうか?
価格面で見ると、中級クラスの中でも手の届きやすいモデルでありながら悪くない…。
確かに、ゾディアス発売当初、エントリー級の価格帯でありながら、触れてみてそのクオリティー高さに驚愕したことを覚えています。シマノ、恐るべし、と…。
その発売から約5年の歳月を経て、フルモデルチェンジを果たしたのは2020年のこと。
この時も、同機種がカーボンモノコック化されたことに驚かされた方は少なくないのではないでしょうか。というのも、良い竿であるのにその価格とのバランスのアンマッチによる、“コスパ”では表現ができない違和感が、ゾディアスというモデルにある…。
更に、2021年秋にリリースとなったゾディアス・パックロッド。果たしてコンパクトロッドのブームに便乗しただけなのか、または新たな市場確保を目的とされたモデルなのか?
この誕生を機に、そもそもゾディアスとは何なのか?というところから再考してみたいと思います。


〈真相:世界に誇る名刀!?〉

近年の多くの日本製品にありがちな性格は、高品質・無難・比較的安価。
この3点を満たすことができる製品は、優秀であることは間違いないでしょう。誰にとってもニーズを問題なく満たしてくれる、安心して購入できる製品です。しかし、時としてこの安定感は洗練さの欠落…つまり退屈とされる世界があります。それは、スポーツやレジャーの分野などです。実は、ここにゾディアスの隠された内なる魅力があったのです!

ブラックバスフィッシングといえば、本家本元はアメリカ
本土ではバスフィッシング=スポーツフィッシングであり、対峙する魚のサイズのみならず、その姿勢も真剣勝負そのものです。当時、世界のシマノは本場アメリカで本気で渡り合えるバスロッドの開発を目指していました。本土のプロアングラーとのセッションを重ね、妥協なき開発プロセスを経て完成したのがゾディアスでした。
その本気度が生み出した日本のアメリカンロッドは、以後国内外の多くのアングラーやトーナメンターに愛用されています。さらにはブラックバスの枠を超えて、世界の様々なフィッシングシーンで活躍する、正に世界が認める日本の名刀の如き竿なのです!

ZODIAS全機種


〈世界市場が待望〉

国内では他の上位機種の陰に隠れがちなこのモデルは、実は世界で鍛えられたつわもの黒田健史プロや佐々一真プロ、深江真一プロが同機種で結果を残していることからも、その実力の揺るぎなさが伺えます。やがて世界に各地で販売されるようになったゾディアスは、その生産量の多さが価格維持にも貢献しているのです。地域に合わせた限定モデルなども世界各地に存在するほどのモデルは、ゾディアス以外にそう多くはないでしょう。
2020年のモデルチェンジで、バットエンドのカーボンモノコック化+ブランクスのカーボン含有率向上により大幅軽量化を成し遂げ、リールシート周りの設計も見直されています。しかも、これまでの“粘って獲る”ゾディアスのアメリカンな個性を損なうことなく。
今や、北米バスフィッシングシーンにおけるゾディアスの位置づけは上位機種とされるほどで、見掛け倒しが通用しない実力社会の北米大陸での評価には、大きな意味があります。そこからさらに、現地からの熱いリクエストを受けて実現したのが、ゾディアス・パックロッドの誕生なのです!

ZODIAS PACK全機種


〈稀有な進化〉


改めてゾディアスのキャッチコピーを見てみましょう。

“時間と場所にとらわれず、自由に持ち運べるひとつ上の“感度”を備えたパワフルロッド。

高い感度を実現するカーボンモノコックグリップ搭載で、世界中のバスアングラーからの称賛を集めるゾディアスが、本場北米からのリクエストに応えてコンパクトなパックモデルとなって日本のマーケットに登場。本格的なバスフィッシングシーンから、アウトドアレジャーの中でのフィッシングシーンまで幅広く対応。”

現在、アウトドアブームの到来もあり、ますますパックロッド・コンパクトロッドへの注目が高まりをみせます。しかしその背景とは別に、世界を見据えて開発されたワールドシャウラクラスを含め、シマノにおけるパックロッドづくりの歴史は既に長く、言わばお家芸の域といえます。
これらのことから、“バスロッド・ゾディアス”という印象から、別の姿が見えてきませんか?
本格的なバスロッドとして開発され、ワールドクラスのフィールドでもその性能が実証され、更にパックロッドとなったことで、パワフルかつマルチパーパスなモバイルロッドが完成したのです!
黒田プロも、S70M-Sはシーバスやチヌ、小型青物にも対応できると語っており、事実、メーカーサイトにも示唆されています。つまり、ゾディアス・パックロッドは、コスパなバスロッドがモバイル化されたわけではなく、モバイル化されたことでフリースタイルロッドとしての要素を得たバスロッド、と表現しても過言ではないのでしょうか。

ZODIAS PACK全機種


〈ゾディアス+ヴァンフォード〉

既に、多くのサイトでも注目されていますが、ブラック基調の本体にレッドのディテールがアクセントの、ゾディアスにベストマッチとされるスピニングリール・ヴァンフォード。その相性の良さは見た目だけではありません。意のままに操れる「超感度・軽量」を誇るヴァンフォードは、モノコック化により一つ上の感度を得たゾディアスの性能を引き出す素晴らしきパートナーです。

HAGANEギア

マイクロモジュールギアII

新設計ベール開閉機構

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新形状ラインクリップ

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VANFORD 2500Sバス用スタンダードモデル


その他シマノバス用スピニングリール


〈広がる世界〉

これまでは、数本継ぎの竿はサブ的なイメージを抱きがちだった釣り人は少ないのかもしれません。継ぎ数が増えることで重量が増し、曲がりのバランスや感度の弊害になっていたからです。
しかし、時代とともに技術も劇的に進化してきました。世界のファンが渇望して誕生したこのゾディアス・パックロッドは、現代の進化の象徴的な竿なのかもしれません。
アングラーなら旅先で「ここに竿を持って来ていたら…」と後悔の念を抱いたことはあるはず。そこにもし、思う存分に力を発揮できるパックロッドがあれば、全てが変わるはずです。
このゾディアス・パックロッドは、バスという括りを超えて、世界を広げてくれるロッドです。