〜Leica Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH 試写レポート〜

※画像はオリジナルから縮小しています。
LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH 絞り:F4.0 / シャッタースピード:1/4000秒 / ISO:320 / 使用機材:LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH



最新の『Tri-Elmar16-18-21mm/f4.0 ASPH.』、現行のLEICAレンズでは最大画角を誇る16mmを持ちながら、更に3焦点の切り替え式となっている本レンズ。近接撮影時にはフローティングでの補正機構が搭載されるなど、そのスペックも実に豪華な1本だ。以前M8で試用した際には「使い勝手の良いレンズだなぁ。」位の印象であったが、『M Monochrom』にも負けないその描写には脱帽だ。

上のカットはフレアが出ているが、完全逆光での開放という点は考慮して欲しい。バイクの金属の質感や重み、存在感の素晴しさは文句の無い描写だ。人間の視覚より圧倒的に広いそのパースペクティブは、見慣れた風景をも別世界にしてしまう。

余談だが、このカットではRAW現像時にパラメータの変更を強めに行っている。『M Monochrom』ではアンダー目にカットを撮影し、急激に明度を上げると美しいノイズがのってくれるのだ。特に金属質なバイクのきらめきが一層際立ち、美しい描写をしてくれる。アンダーにしっかりと情報が残り、トーンの美しい『M Monochrom』ならではのちょっと強引なやり方だが、幅広いポテンシャルがあるからこそ、無理をしてもついてきてくれる。実に頼もしいボディである。




LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH 絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/1500秒 / ISO:320 / 使用機材:LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH

周辺光量落ちも少なく、優秀な描写である。レンガブロックの1つ1つも精緻に描き分けている。




LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH 絞り:F4.0 / シャッタースピード:1/15秒 / ISO:800 / 使用機材:LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH

光線状態しだいでは強いコントラストがつくが、光を選べば幅広いグレートーンを描き分けるレンズでもある。どの焦点でもF4通しというのはこうしたシチュエーションではありがたい。




LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH 絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/90秒 / ISO:320 / 使用機材:LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH

『Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH』にはブライトフレームに視野枠切り替え、近接補正まで内蔵した立派なファインダーが付属してくる。このファインダーの見えは素晴しいものだが、せっかくの広角レンズである。装着せずに素のままでスナップ、というのも一興ではないだろうか?実に軽快、画角と感覚が一緒になる様な気分で撮影が出来るのである。




LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH 絞り:F4.0 / シャッタースピード:1/125秒 / ISO:320 / 使用機材:LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH



建物の中でも、これだけ広い画角があると便利である。当初、個人的には『Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH』よりも、より標準の画角に近い『Tri-Elmar 28/35/50mm f4.0 ASPH』の方が使い勝手が良いかと感じていたが、これは間違いだったかもしれない。

『Tri-Elmar 28/35/50mm f4.0 ASPH』は広角から標準まで1つに揃った、旅行などでも使い勝手の良い"3本が1本になったレンズ"と言う印象だった。

一方、『Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH』は3本が1本、という印象より"押し、引きの効く超広角レンズ"という印象なのである。レンズは焦点距離によってパースや空気の入り方が異なるものだが、それによって被写体との間合いも変わってくる。撮影もそこを意識して行う訳だが、その間合いが変わりすぎると落ち着いて撮影が出来ない。
しかし『Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH』は全てが超広角域の焦点距離である為、被写体との間合いが似ているのである。『常に広角で撮っているぞ』という落ち着きがあり、1本のレンズで調整をかけている印象だ。
その事からか、広角の抜ける様なパースペクティブのおかげか、今回の撮影も実に心地よく進める事ができた。




LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH 絞り:F4.0 / シャッタースピード:1/250秒 / ISO:320 / 使用機材:LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH






LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH 絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/750秒 / ISO:320 / 使用機材:LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH






LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH 絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/180秒 / ISO:320 / 使用機材:LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH

景色をおさめる時に、「もう少し広く!」もしくは「もう少し狭く!」と思う。その一押しの余裕があるレンズである。水面の反射も、西日の複雑な陰影も、見事に1枚におさめてくれる。



LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH 絞り:F4.0 / シャッタースピード:1/350秒 / ISO:320 / 使用機材:LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH






LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH 絞り:F4.0 / シャッタースピード:1/180秒 / ISO:320 / 使用機材:LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH

このレンズは距離計連動はしないが、0.5mまでの近接撮影が可能である。グッと近づいて大きく広がる様な描写を楽しめるが、そのクォリティもさすがのもの。近接時の補正機能も搭載との事だが、葉脈まで描き出す実力はさすが。超広角だけあり、非連動でも想像以上にしっかりピントを捉える事が出来た。




LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH 絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/90秒 / ISO:320 / 使用機材:LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH

重厚な被写体は、重厚に。砂岩の表面の凹凸まで見事に描写する。




LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH 絞り:F4.0 / シャッタースピード:1/350秒 / ISO:320 / 使用機材:LEICA M Monochrom + Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH







別売ではあるが、このフィルターアダプターを介してフィルタを装着するとなかなかコンパクトでとり回しの良いセットとなる。ノーフィルターであれば同梱のフードが使用可能だが、被写体に近接する事も多い本レンズ、今回はフィルターを使用しての撮影とした。ボディも今回は『M Monochrom』としたが、『Tri-Elmar 16/18/21mm f4.0 ASPH』は負けず実に良い仕事をしてくれるレンズである。16mm単体での撮影では単調になる場合もあるが、この3焦点のチョイスはなかなか秀逸。広角が好きなユーザーであれば、その予想外の使い易さに驚く事うけあいである。



Photo By T.Kimura


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