〜Panasonic LUMIX G9 PRO 試写レポート〜

渾身のフラッグシップ『Panasonic LUMIX G9 PRO』
※画像はオリジナルから縮小しています。
Panasonic(パナソニック)LUMIX DC-G9 PRO 焦点距離:12mm(換算24mm) /絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/500秒 / ISO:200
使用機材:Panasonic LUMIX G9 PRO + LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm F2.8-4.0 ASPH. POWER O.I.S.

Panasonic LUMIX G9 PRO


パナソニックのフラッグシップ機といえば2017年春に発売されたGH5が記憶に新しいと思います。従来機よりAFや連写性能などの基本性能が進化しただけでなく、一番の強みとも言える動画機能も大幅に強化された機種で、スチルとムービーのハイブリッドカメラという表現がピッタリのフラッグシップ機です。しかし今回新たに発表された『Panasonic LUMIX G9 PRO』はスチルカメラとしてのフラッグシップ機として登場してきました。今までプロ向けの動画機能や動画向けアクセサリーを充実させた反面、ユーザーからは動画カメラのイメージが強くなりすぎた というのが正直なところでしょう。そこを払拭すべく、パナソニックが本気でスチルカメラを作ったのが『Panasonic LUMIX G9 PRO』だと言えます。果たしてどのような撮影性能を持つカメラなのか、そして名前についている“PRO”の意味は感じられるのか、早速撮影に向かいました。

まず初めて『Panasonic LUMIX G9 PRO』を手にしたファーストインプレッションは「よく研究して考えられているな」ということ。マイクロフォーサーズ機なのでもっとボディを小さくすることは可能だと思いますが、握りやすいグリップ、親指が引っかかるホールド性の良さ、両手でカメラを構えた時のボタンの配置、バランス、本体の厚みなど相当考えて作られた印象を受けます。ミラーレス機ではありますが、目指したのは究極の一眼レフの操作性とカメラサイズというところでしょう。
そして撮影した画像も見て驚きました。色彩、立体感、シャープネスなど、今までのパナソニックと全然違うのです。今までのパナソニック機の写真の傾向は、基本の色味があっさりで、ちょっと強調したいと思ってフォトスタイルを変更するとデジタル色が強くなる印象でした。その点から言うと『Panasonic LUMIX G9 PRO』の色には深みがあり、JPEG撮って出しで作品になる色彩表現です。解像感やディテールの表現もより繊細さが増し、上質な写真が撮れるカメラである感じました。


Panasonic(パナソニック)LUMIX DC-G9 PRO 焦点距離:29mm(換算58mm) /絞り:F3.7 / シャッタースピード:1/800秒 / ISO:200
使用機材:Panasonic LUMIX G9 PRO + LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm F2.8-4.0 ASPH. POWER O.I.S.


海辺に停まっていたオープンカーを撮影した一枚。ボディに反射する空と影のグラデーション表現が見事です。今回撮影した写真は全てJPEGでしたが、撮って出しでここまで色とディテールを綺麗に表現できるとは思いませんでした。


Panasonic(パナソニック)LUMIX DC-G9 PRO 焦点距離:25mm(換算50mm) /絞り:F4.5 / シャッタースピード:1/1250秒 / ISO:200
使用機材:Panasonic LUMIX G9 PRO + LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm F2.8-4.0 ASPH. POWER O.I.S.


立体感だけでなく、素材それぞれが持つ微妙な色合いまで写し出しているのがわかります。少し失礼な言い方になるかもしれませんが「今までのパナソニックのカメラと全然違う」というのが私の印象です。『Panasonic LUMIX G9 PRO』はメカや機能の強化だけでなく、写真として美しいか否かにまでこだわったカメラです。


Panasonic(パナソニック)LUMIX DC-G9 PRO
焦点距離:36mm(換算72mm) /絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/2500秒 / ISO:200
使用機材:Panasonic LUMIX G9 PRO + LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm F2.8-4.0 ASPH. POWER O.I.S.


斜光が顕著に現れる季節になってきました。印象的な光になる分、難しさも増します。こちらの写真は一方から強い光を浴びるタワーを撮影した一枚ですが、レンガの一つ一つが確認出来る解像力とシャドウ部の写りに驚きました。この表現はマイクロフォーサーズというセンサーサイズを超えているように思えます。


Panasonic(パナソニック)LUMIX DC-G9 PRO 焦点距離:60mm(換算120mm) /絞り:F8 / シャッタースピード:1/1250秒 / ISO:200
使用機材:Panasonic LUMIX G9 PRO + LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm F2.8-4.0 ASPH. POWER O.I.S.


キットレンズである『Panasonic LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm F2.8-4.0 ASPH. POWER O.I.S.』も素晴らしい写りのレンズです。使いやすい倍率というだけでなく近接撮影も得意なので、まさにオールマイティーに使えるレンズと言えるでしょう。本機の性能も相まって、綿毛の繊細な描写など実に見事に表現してくれました。


Panasonic(パナソニック)LUMIX DC-G9 PRO 焦点距離:12mm(換算24mm) /絞り:F4.5 / シャッタースピード:1/800秒 / ISO:200
使用機材:Panasonic LUMIX G9 PRO + LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm F2.8-4.0 ASPH. POWER O.I.S.

ライバルは、全フラッグシップ機。



前半は表現力について語りましたが、『Panasonic LUMIX G9 PRO』はあらゆる点で驚くべき性能を持つカメラです。まずスライドで出している新幹線の写真ですが、無音・無振動・ブラックアウト無しのAF追従で最大20コマ/秒の高速連写撮影をした写真になります。このスペックを見て「おや?」と感じられた方もいるでしょう。そう、本機にはソニーのフラッグシップ機であるα9と同等の機能が備わっているのです。
そして、ファインダー越しに感じる強力な手ブレ補正機能は約6.5段分。これはライバル機であるオリンパスE-M1 MarkIIと同スペックなのですが、『Panasonic LUMIX G9 PRO』の凄いところはボディ内だけでそれを実現しており、全てのレンズで6.5段分の補正を行えるのです。それは純正レンズだけでなく、マウントアダプターを介して他メーカーのレンズやオールドレンズを付けた時でも強力な手ブレ補正が効くことを意味しており、全てのカメラの中で最強とも言える手ブレ補正機能を搭載しています。
ここまで凄い機能を詰め込んできた事に驚きましたが、実際に使用してみて一番感動したのがファインダーの見易さでした。『Panasonic LUMIX G9 PRO』は約368万ドット有機ELに加え、倍率がなんと0.83倍。アイピースも非常に大きく、見易さは他のフラッグシップ機と比べても最高峰だと断言できます。
他にも約0.004秒の世界最速AFや、8枚の画像を合成して8000万画素相当の高画質写真を撮影出来るハイレゾモード、メカシャッター(電子先幕時)で最大約12コマ/秒の連写性能なども備わっており、『Panasonic LUMIX G9 PRO』は全てのフラッグシップ機を意識して、それを越えるべく作られた一台だと言えるでしょう。


Panasonic(パナソニック)LUMIX DC-G9 PRO絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/2500秒 / ISO:200
使用機材:Panasonic LUMIX G9 PRO + LEICA DG ELMARIT 200mm F2.8 POWER O.I.S.


マイクロフォーサーズの画質は新機種が出るたびに大幅に向上しているように思えます。センサーサイズで言うとフルサイズの1/4ほどの大きさなのですが、写真を見ただけではもう分からない域にまで達してるように思えます。


Panasonic(パナソニック)LUMIX DC-G9 PRO
絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/1600秒 / ISO:200
使用機材:Panasonic LUMIX G9 PRO + LEICA DG ELMARIT 200mm F2.8 POWER O.I.S.


夕日の光を浴びるE6系。この光も冬の時期ならではです。


Panasonic(パナソニック)LUMIX DC-G9 PRO
絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/6400秒 / ISO:400
使用機材:Panasonic LUMIX G9 PRO + LEICA DG ELMARIT 200mm F2.8 POWER O.I.S.




Panasonic(パナソニック)LUMIX DC-G9 PRO
焦点距離:60mm(換算120mm) /絞り:F7.1 / シャッタースピード:1/4000秒 / ISO:200
使用機材:Panasonic LUMIX G9 PRO + LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm F2.8-4.0 ASPH. POWER O.I.S.


噴水の水しぶきを撮った一枚ですが、圧巻の解像力です。パナソニックは機能・性能・画作り、全てにおいて隙の無いカメラを送り出してきました。


Panasonic(パナソニック)LUMIX DC-G9 PRO 絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/800秒 / ISO:12800
使用機材:Panasonic LUMIX G9 PRO + LEICA DG ELMARIT 200mm F2.8 POWER O.I.S.


最後は高感度性能を見るべく撮影したカット。ISO感度12800での写真です。拡大すれば多少の潰れはあるものの、全体で見た印象は非常にクリアで立体感も損なわれていません。


Panasonic(パナソニック)LUMIX DC-G9 PRO

Panasonicの超本気。



2017年を振り返ってみると、各メーカーから力の入ったカメラが数多く登場した年でした。デジタル技術の進歩に合わせ、カメラの性能も一段上に上がったように思えます。そして、全ての撮影性能が詰め込まれたパナソニックの渾身一台、『Panasonic LUMIX G9 PRO』で2018年の幕が開けます。
今までのLUMIXにGシリーズがありましたが、この『Panasonic LUMIX G9 PRO』は全く別物です。そしてG9の後ろに付いた“PRO”の意味を本機を使って確かに感じることができました。プロやハイアマチュアが納得出来る一台、任せられる一台として十分な性能を持ったカメラです。
2018年1月25日に発売を予定している『Panasonic LUMIX G9 PRO』ですが、来年は世界初のミラーレス一眼カメラであるLUMIX G1の誕生から10周年という節目の年になります。きっと『Panasonic LUMIX G9 PRO』はその記念すべき年に発売される特別なカメラとしても開発されたのでしょう。メーカーの本気を感じた素晴らしい一台でした。

Photo by MAP CAMERA Staff
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