〜SONY Cyber-shot DSC-RX10M4 試写レポート〜

便利すぎて危険なネオ一眼『SONY Cyber-shot DSC-RX10M4』
※画像はオリジナルから縮小しています。
SONY Cyber-shot DSC-RX10M4 焦点距離:220mm(35mm換算:600mm) / 絞り:F4 / シャッタースピード:1/1600秒 / ISO:100 / 使用機材:SONY Cyber-shot DSC-RX10M4


SONY Cyber-shot DSC-RX10M4



ソニーの人気ネオ一眼カメラ"RX10シリーズ"に新モデル「Cyber-shot DSC-RX10M4」が加わりました。
先代の「RX10M3」同様、幅広い焦点距離域をカバーしつつ、世界最速0.03秒の高速AFとAF/AE追従で最高約24コマ/秒の高速連写を実現したハイスピードカメラです。
優れた描写力に定評のあるZEISSレンズがあらゆる画角をカバーし、AFも連写も超高速。まさに非の打ち所のないスペックと言って良いのではないでしょうか?早速実力を検証すべく撮影に出掛けてきました。

まずは羽田空港で600mm相当の超望遠撮影に挑戦です。
展望デッキに上がると、ちょうど飛行機が滑走路の隅で離陸の待機中。すぐにカメラを取り出し、飛行機の方向へカメラを向けると、315点像面位相差AFセンサーが、驚くほど速いスピードで被写体を捉えてくれました。そして捉えたら離さないAFも流石です。空港の滑走路には照明灯用のポールが等間隔に立っていて、飛行機の動きに合わせてカメラをスライドさせると、これらが横切るのですが、AFは迷うことなく機体を捉え続けてくれました。
撮影後、画像を確認したらさらにビックリ!600mm相当の超望遠にも関わらずこのクリアな画質です。機体を鮮やかに描くだけでなく、肉眼では捉えられなかったジェットエンジンの排気の様子までしっかり捉えてくれました。


SONY Cyber-shot DSC-RX10M4 焦点距離:143.15mm(35mm換算:390mm) / 絞り:F8 / シャッタースピード:1/250秒 / ISO:100 / 使用機材:SONY Cyber-shot DSC-RX10M4


35mm換算で24-600mm相当をカバーする高倍率ズームレンズはとても便利です。4.5段分の手ブレ補正もあいまって、広い空港の狙った所を自由に切り取ることができます。レンズ交換式カメラで同様の事をしようと思ったらレンズが何本必要になるのでしょうか? トータルの重さを想像するとゾッとしますね。
次の飛行機が離陸のために、トーイングカーに押されていきます。その様子も迫力満点で捉えてくれました。細部まで捉える高い解像力のおかげで、機体に反射するタイヤや誘導ラインがはっきり見てとれます。


SONY Cyber-shot DSC-RX10M4 焦点距離:220mm(35mm換算:600mm) / 絞り:F4 / シャッタースピード:1/320秒 / ISO:100 / 使用機材:SONY Cyber-shot DSC-RX10M4


撮影に夢中になっていると足元にスズメが飛んできました。カメラを向けるとすぐに飛んで行ってしまいましたが、そんな一瞬でもカメラは被写体をしっかりキャッチしてくれました。


SONY Cyber-shot DSC-RX10M4 焦点距離:124.94mm(35mm換算:341mm) / 絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/800秒 / ISO:100 / 使用機材:SONY Cyber-shot DSC-RX10M4


「RX10M4」の進化は速いAFだけではありません。画像処理エンジンの高速化を図ることで、最高約24コマ/秒の高速連写が可能になりました。さらに、バッファメモリーも大容量化され、連写ができる枚数も向上しています。 実際に離陸のシーンをRAW+JPEGの保存で連写をしてみると、100コマ以上安定したスピードで撮影ができ、前輪が浮いて飛び上がる瞬間をしっかり捉えることができました。 また連写したカットはモニターで再生する際、一つのグループとして再生されるので、シーン毎の確認も便利。細かな配慮が嬉しく感じました。


SONY Cyber-shot DSC-RX10M4 焦点距離:21.32mm(35mm換算:58mm) / 絞り:F3.5 / シャッタースピード:1/60秒 / ISO:400 / 使用機材:SONY Cyber-shot DSC-RX10M4


背面液晶モニターには、便利なフリーアングルのチルト式に加え、タッチフォーカス機能を搭載。折り重なる構図でも任意のポイントを簡単に選択できます。


SONY Cyber-shot DSC-RX10M4 焦点距離:97.49mm(35mm換算:266mm) / 絞り:F4 / シャッタースピード:1/500秒 / ISO:100 / 使用機材:SONY Cyber-shot DSC-RX10M4


空港を離れる際、モノレールを利用するとホーム先端に「撮影スポット」と書かれた見晴らしの良い場所がありました。早速カメラを構えるとカーブしながらモノレールが接近してきます。
ここでも広いAFカバー範囲を持つ315点の像面位相差AFの凄さを再確認です。左右に移動しながら接近する車両の前面を常に捉え続けてくれました。α6500譲りの「高密度AF追従テクノロジー」は伊達ではありません。


SONY Cyber-shot DSC-RX10M4 焦点距離:8.8mm(35mm換算:24mm) / 絞り:F8 / シャッタースピード:1/250秒 / ISO:100 / 使用機材:SONY Cyber-shot DSC-RX10M4


見晴らしの良い場所からワイドな画角で撮影すると、ZEISSレンズならではのコントラストの高いクリアな描写が確認できました。
画面のほぼ中央部、向かいのビルの上層フロアで窓清掃の様子が確認できます。


SONY Cyber-shot DSC-RX10M4
焦点距離:220mm(35mm換算:600mm) / 絞り:F8 / シャッタースピード:1/250秒 / ISO:160 / 使用機材:SONY Cyber-shot DSC-RX10M4


上の写真で見つけた清掃用ゴンドラにズームアップ。広角端から望遠端にシフトするだけで、同じ位置からの撮影でもこれだけの画角差が確認できました。24-600mm相当の25倍ズーム。スペックだけでは、なんとなくのイメージでも、実際にズームしてみると、高倍率ズームの凄さが改めて分かります。


SONY Cyber-shot DSC-RX10M4 焦点距離:25.61mm(35mm換算:70mm) / 絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/320秒 / ISO:100 / 使用機材:SONY Cyber-shot DSC-RX10M4


浜松町のランドマークでもある貿易センタービルでは、すぐ側に別棟のビルを建設中。40階の展望フロアのほぼ正面にその工事の様子を見る事ができました。
2010万画素のセンサーが周囲に張り巡らされた薄いネットの様子までしっかり描いてくれます。あまりによく伝わりすぎて、見ているだけで怖くなります


SONY Cyber-shot DSC-RX10M4 焦点距離:16.92mm(35mm換算:46mm) / 絞り:F3.2 / シャッタースピード:1/8000秒 / ISO:100 / 使用機材:SONY Cyber-shot DSC-RX10M4


ビルの窓には飛散防止のフィルムが貼られているため、太陽の周りに反射が生じましたが、逆光でもクレーンの細部がしっかり確認できます。薄く広がる雲の様子も綺麗に再現してくれました。


SONY Cyber-shot DSC-RX10M4 焦点距離:10.38mm(35mm換算:28mm) / 絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/30秒 / ISO:400 / 使用機材:SONY Cyber-shot DSC-RX10M4


幅広い焦点距離域を持つズームレンズは近接撮影も得意です。ワイド端で3cm、望遠端でも72cmまで近づくことができます。ZEISSレンズの優れた色再現はそのままに、被写体に寄ることでより質感も伝わるようになりました。


SONY Cyber-shot DSC-RX10M4 焦点距離:8.82mm(35mm換算:24mm) / 絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/400秒 / ISO:12800 / 使用機材:SONY Cyber-shot DSC-RX10M4


コンパクトなイメージの1.0型センサーですが、積層型構造と画像処理の向上により常用感度ISO:12800まで対応しています。 実際に使用したところ、若干のザラつきは感じられるものの偽色の発生は抑えられており、優れたノイズ抑制が確認できました。実用範囲は人それぞれだと思いますが、個人的にはISO:3200位まで下げれば低感度時とさほど変わらない印象を受けました。


SONY Cyber-shot DSC-RX10M4

旧モデルの「RX10M3」の登場が約1年半前の2016年5月。似た外観に同じ質量の1095g。外観からは何処が変わったのか分からない新モデルですが、中身は大きく進化していました。
一眼カメラに搭載された新技術を惜しみなく採用し、あらゆる面でスピードアップ。大きなレンズを動かすことで、機敏性に劣るイメージのネオ一眼カメラの苦手イメージを見事に払拭しています。あらゆる焦点域の被写体を瞬時に高画質で捉え、画素加算の無いプロ仕様の4K動画にも対応してると聞けば、他に足りないものを探す方が難しく思います。
この便利さを知ってしまったら、他のカメラが使えなくなるのではと心配してしまうほどの完成度です。よく「便利すぎて人をダメにする」という言葉を耳にしますが、そんな言葉がピタリと当てはまる危険なカメラと感じました。

Photo by MAP CAMERA Staff

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