〜OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II 試写レポート〜

革新のフラッグシップ機『OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II』
※画像はオリジナルから縮小しています。
OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II焦点距離:100mm(換算:200mm相当) / 絞り:F8/ シャッタースピード:1/320秒 / ISO:400/ ピクチャーモード:Natural
使用機材:OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II

今年9月にドイツ・ケルンにて行われたフォトキナ2016。各メーカーが注目の新商品を発表する中、オリンパスより発表されたある機種が世界中のカメラユーザーを驚かせました。今回のKasyapaは約3年ぶりにフルモデルチェンジを果たしたフラッグシップ機『OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II』をご紹介します。

コンパクトなカメラシステムと強靭な防塵防滴性能を誇るオリンパスのマイクロフォーサーズシステム。しかしその反面、最大の特長がその2点であって、画質やAF性能はフルサイズやAPS-Cのセンサーを積んだ高性能一眼レフには及ばないというのが多くの方の感覚だったと思います。ところが今回登場する『E-M1 Mark II』はその常識を打ち破る、驚くべき性能のカメラに進化しています。

まず、AF追従で最大約18コマ/秒の超高速連写ができるということ。これは各メーカーのフラッグシップ機を超えるスペックではありますが、少し詳しい方なら「電子シャッターだからでしょ」と思う方もいるはずです。今までの電子シャッターの画作りでは速い被写体の像がグニャリと歪むネガティブな面があり、かく言う私もそのイメージがあったため、カメラの電子シャッターはいつもOFFに設定にして撮影をしていた人間です。しかしこの『E-M1 Mark II』は動体撮影のプロが使えるレベルにまで電子シャッターの像の歪みを抑えた仕様になっているとのこと。試しにカメラを大きく振ったりして試し撮りをしたのですが、電子シャッターなのに歪みの違和感を感じない写真が撮れることに驚きました。

さらにその連写性能を最大限に生かすため、AFシステムも動体撮影に強化された121点オールクロスの像面位相差AFへと進化していますから、もはや「ミラーレス機は動体撮影に弱い」という時代は終わって「ミラーレス機の動体撮影性能は、一眼レフを凌駕する」という時代に突入したと言ってもいいかもしれません。


OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II焦点距離:61mm(換算:122mm相当) / 絞り:F4.5/ シャッタースピード:1/200秒 / ISO:200/ ピクチャーモード:Natural
使用機材:OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO



さらに『E-M1 Mark II』で驚いたことがあります。いつも撮影後に会社で撮り溜めた写真を確認するのですが、今回の写真はどれもこれも非常に解像力が高い!今までも様々なマイクロフォーサーズ機を試してきましたが、間違いなくNo.1だと思います。これはセンサーや画像処理エンジンが最新になったということもありますが、今回使用したレンズ『M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO』の光学性能も優れているからのことでしょう。 古びた木のざらっとした質感が写真を見ているだけで伝わってくる描写です。


OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II焦点距離:100mm(換算:200mm相当) / 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/80秒 / ISO:400/ ピクチャーモード:Natural
使用機材:OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO


厩舎に居た美しい馬。『E-M1 Mark II』は解像力が増したこともあり、ヒゲやタテガミの繊細な描写だけでなく、立体感のある画を表現してくれます。


OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II 焦点距離:80mm(換算:160mm相当) / 絞り:F8/ シャッタースピード:1/400秒 / ISO:200/ ピクチャーモード:Natural
使用機材:OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO


西日に照らされる廃墟。建物の側面を覆うツタが時の流れを感じさせます。これも良く写っていますね、今までのマイクロフォーサーズ機の写真では潰れてしまうような細かな表現も『E-M1 Mark II』なら写し出してくれます。


OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II 焦点距離:100mm(換算:200mm相当) / 絞り:F8/ シャッタースピード:1/160秒 / ISO:400/ ピクチャーモード:Vivid
使用機材:OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO


様々な建物や人工物がありますが、人の手が入らなくなった途端に巨大な自然の力に飲み込まれ、朽ち果てていきます。無常という言葉が思い浮かぶその姿に私はとても魅力を感じてしまいます。


OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II 焦点距離:75mm(換算:150mm相当) / 絞り:F8/ シャッタースピード:1/2500秒 / ISO:400/ アートフィルター:ドラマチックトーンII
使用機材:OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO


フラッグシップ機ではありますが、オリンパスが得意としている「アートフィルター機能」も搭載しています。「写真をおしゃれに加工する機能」だけでないフィルター効果は、写真をより印象的にしてくれるスパイスとして使用できるはずです。


OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II 焦点距離:70mm(換算:140mm相当) / 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/1600秒 / ISO:400/ ピクチャーモード:Natural
使用機材:OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO


散り積もるイチョウの落ち葉をローアングルで撮影しました。ファインダーでしか写真は撮らない!と思っていても、こういうローポジションでは可動式の背面液晶はとても便利ですね。タッチパネルでの操作も可能ですから、マクロ撮影などでも使えそうです。


OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II焦点距離:44mm(換算:88mm相当) / 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/200秒 / ISO:400/ ピクチャーモード:Vivid
使用機材:OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO


水面を流れる真っ赤なもみじの葉。ただそれだけあったらつまらない日の丸構図なのですが、反射している木々のコントラストと斜め左右にある落ち葉がアクセントになっていますね。


OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II焦点距離:14mm(換算:28mm相当) / 絞り:F4/ シャッタースピード:1/1600秒 / ISO:400/ ピクチャーモード:Vivid
使用機材:OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO


OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II

撮影データにも記載していますが、今回は基本的にJPEG撮りをした写真をベースに掲載しています。その理由としては、手持ちのソフトがまだRAW対応していないというのもありますが、フラッグシップを謳うカメラの素の画質性能を見るには丁度いい機会だと思ったからです。そして実際に撮影した画像を確認すると『E-M1 Mark II』は期待値を超える高解像力な画を写し出してくれました。
上に載せてある古いレンガ調の建物。開放撮影にもかかわらず、レンガをくっきりと写し出し、なだらかなシャドウの階調表現も見事です。しかしこの写真で注目して欲しいのは、その上部。補修工事のためにネットが掛けられているのですが、『E-M1 Mark II』はその細かな網目までも繊細に写し出しているのが分かります。

正直いままでのマイクロフォーサーズ機の写真は拡大表示やシャドウ部を持ち上げた時、センサーサイズなりの粗が見えていました。まぁ、それは本来当然のことで、センサー判が大きいほど写真の中にあるデータ量に余裕があり、「フォーサーズ < APS-C < 35mmフルサイズ < 中判」というのが常識です。しかし『E-M1 Mark II』の画は今までのフォーサーズセンサーを超える表現力を持ち、ワンランク上のセンサーサイズを確実に喰っている解像力を持ち合わせています。

また、AFの反応速度や再生画面の表示、各種操作系のレスポンスも非常に早くて快適ですね。そのレスポンスの良さはEVFファインダーにも影響されていて、連写時のブラックアウトがとても短く、動く被写体を光学ファインダーを覗いている時のように追いかけることができます。


OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II焦点距離:100mm(換算:200mm相当) / 絞り:F4/ シャッタースピード:1/30秒 / ISO:400/ ピクチャーモード:Vivid
使用機材:OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO


自転車のタイヤの隙間からジッとこちらの様子を伺っていたネコ。この撮影では手ぶれ補正機能の凄みを感じることができました。まず換算200mmを手持ち1/30秒でぶらさないように撮るのは至難の技です。『E-M1 Mark II』には約5.5段分の強力な手振れ補正機構が内蔵されているのですが、今回使用したレンズ『M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO』を合わせるとその効果は約6.5段分という驚異的な補正性能になります。もうこれで止まらないのは被写体が動いている時くらいなのではないでしょうか。


OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II焦点距離:29mm(換算:58mm相当) / 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/50秒 / ISO:400/ ピクチャーモード:Vivid
使用機材:OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO


数年前までバックパッカーだった身としては、アジアの雰囲気を感じられる場所は本能が目覚めるというか、普段では入らないスイッチがポチっと入る気がします。


OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II焦点距離:47mm(換算:94mm相当) / 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/500秒 / ISO:400/ ピクチャーモード:Vivid
使用機材:OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO


ピクチャーモードをVividに設定したのでインパクトの強い色で写しだしていますね。解像力にも驚きますが、奥に写っている屋根瓦の階調表現も見事な一枚です。


OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II 焦点距離:70mm(換算:140mm相当) / 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/50秒 / ISO:400/ ピクチャーモード:Vivid
使用機材:OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO


許願帯と呼ばれる赤い布。願いを書いて奉納するもので、日本の神社でいう絵馬と同じような役割をしています。布の質感もしっかりと写しだしていますね。


OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II焦点距離:29mm(換算:58mm相当) / 絞り:F8/ シャッタースピード:1/4秒 / ISO:3200/ ピクチャーモード:Vivid
使用機材:OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO


続いては高感度性能はどの程度のものかと思い撮影したスナップ。低輝度でのISO3200でも全くノイズを感じない素晴らしい写りに驚きました。今までのマイクロフォーサーズ機とは格の違う高感度性能です。そして約6.5段分の手振れ補正が超絶的に効きますね。手持ち1/4秒でも全く問題なしです。


OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II 焦点距離:75mm(換算:150mm相当) / 絞り:F4/ シャッタースピード:1/80秒 / ISO:6400/ ピクチャーモード:Vivid
使用機材:OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO


常用感度の上限に設定されているISO6400でイルミネーションを撮影したのですが、こんなにも余裕のある画を出してくれるとは思いませんでした。多少のノイズは感じますが、街路樹やライトの質感が全く損なわれていません。センサー判が小さく、高画素化が進めば画素ピッチが狭くなり、高感度が不利になるのではと思っていたのですが『E-M1 Mark II』にその心配は不要のようです。


OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II


『OLYMPUS (オリンパス) OM-D E-M1 Mark II』は期待と想像を超える素晴らしいで性能を持ったカメラでした。今年はフラッグシップイヤーと言えるほど各メーカーから力の入った機種が発売されてきましたが、今年の最後に登場してきた『E-M1 Mark II』が最も私の印象に強く残ったカメラかもしれません。それほど『マイクロフォーサーズのフラッグシップ機はここまできた!』と思わせる性能の進化を感じた機種です。
私もそうなのですが、使用しているカメラのセンサーサイズから小型のセンサー機に買い換えるのは若干抵抗があるもので、 画質が悪くなるのではないか?とネガティブに思っていました。しかしこの『E-M1 Mark II』はそのイメージを覆す画質性能を持っており、その他にも高性能なAF性能、手振れ補正、高感度、防塵防滴性能を搭載しています。今までのE-M1ユーザーだけでなく、他のマウントユーザーにも是非一度試していただきたいカメラですね。きっとその性能に驚くはずです。理想のカメラというのは人それぞれかもしれませんが、その一つ具現化したのが『E-M1 Mark II』かもしれません。そう思わせてくれる一台でした。


Photo by MAP CAMERA Staff
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