〜SIGMA A 20mm F1.4 DG HSM 試写レポート〜

唯一無二の超広角レンズ『SIGMA A 20mm F1.4 DG HSM』
※画像はオリジナルから縮小しています。
SIGMA (シグマ) A 20mm F1.4 DG HSM 絞り:F11/ シャッタースピード:15秒 / ISO:100/ 使用機材:Canon 5DsR + SIGMA A 20mm F1.4 DG HSM

SIGMA (シグマ) A 20mm F1.4 DG HSM
新しい3ラインのレンズシリーズやQuattroシリーズなど新生シグマになってからは、毎回その常識を超えた性能やデザインの製品に驚かされ続けています。そして今回も驚くべき性能を持ったレンズがシグマより発売されました。『SIGMA A 20mm F1.4 DG HSM』、開放F値1.4の明るさを持つフルサイズ用超広角レンズの登場です。
F1.4という明るさは高性能単焦点レンズの代名詞のような数値ですが、今までその明るさを持つフルサイズ用広角レンズは24mmというのが常識でした。カメラファンとしてそれ以上の広角でF1.4の明るさはコンシューマー製品では無理なのではと私は思っていたのですが、さすがシグマです。その思い込みを見事に裏切ってくれました。今まで経験したことのないスペックを持つこのレンズはいかなる描写を見せてくれるのか。早速試写へと出かけました。
SIGMA (シグマ) A 20mm F1.4 DG HSM 絞り:F1.4/ シャッタースピード:1/6000秒 / ISO:100/ 使用機材:Canon 5DsR + SIGMA A 20mm F1.4 DG HSM


日が照っている時間帯はF1.4開放での使いどころが難しいのですが、試しに美しく紅葉したイチョウの葉をパシャリ。フォーカスを合わせた葉まで1mくらいでしょうか、いろいろとレンズは試してきたつもりですが、この画角でこれほど後ろがボケるレンズは初めての経験です。ピント面の解像力はAラインレンズの名に恥じないキレの良さ。周辺部の流れや減光は多少あるもの、この焦点距離でF1.4ですからね。本レンズの完成度の高さをうかがわせる写りです。


SIGMA (シグマ) A 20mm F1.4 DG HSM 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/3000秒 / ISO:100/ 使用機材:Canon 5DsR + SIGMA A 20mm F1.4 DG HSM


ぽっかり天井が空いたエスカレーターをF5.6で撮影。太陽を真ん中に入れた構図だったのですが、広角レンズの弱点である逆光特性も目立つフレア・ゴーストなど発生せずとても優秀な描写です。


SIGMA (シグマ) A 20mm F1.4 DG HSM 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/750秒 / ISO:100/ 使用機材:Canon 5DsR + SIGMA A 20mm F1.4 DG HSM


続いては遠景をF5.6で撮影しました。周辺部を見ると像の流れや減光は、ほぼ気にならないレベルまで改善しています。ディストーション久々に20mmのレンズを使用したのですが、やはり広いですね。大地から空までダイナミックに切り取ることができます。


SIGMA (シグマ) A 20mm F1.4 DG HSM 絞り:F1.4/ シャッタースピード:1/180秒 / ISO:100/ 使用機材:Canon 5DsR + SIGMA A 20mm F1.4 DG HSM


紅葉シーズンということで多くの方がカメラを持って美しく色づいたモミジやイチョウを撮影されていました。ほとんどの方が望遠ズームの中、超広角単焦点の私はレンズを近づけて撮影。最短撮影距離は27.5cmで最大倍率が1:7.1ありますので小さな被写体も寄って大きく撮ることが可能です。


SIGMA (シグマ) A 20mm F1.4 DG HSM 絞り:F4/ シャッタースピード:1/1500秒 / ISO:100/ 使用機材:Canon 5DsR + SIGMA A 20mm F1.4 DG HSM



SIGMA (シグマ) A 20mm F1.4 DG HSM

焦点距離20mmのフルサイズ用超広角レンズでF1.4という世界初のスペックを実現した本レンズ。私自身、普段広角レンズをほとんど使わないのですが、この『SIGMA (シグマ) A 20mm F1.4 DG HSM』は今まで経験したことのない描写を見せてくれることで非常に楽しみながら撮影することができました。遠景になればいくら明るくてもパンフォーカス気味になるのですが近距離・中距離では、『広角なのに、ものすごくボケる』という独特の描写を見せてくれます。毎回試写レンズを渡されたとき、「このレンズの撮影に向いているのは?」とあれこれ考えるのですが、超広角で明るいとなると夜景や天体撮影はもちろんのこと、低照度下での屋内での撮影やボケ味を生かした超広角ポートレートなども面白いかもしれません。


SIGMA (シグマ) A 20mm F1.4 DG HSM 絞り:F2.8/ シャッタースピード:1/125秒 / ISO:100/ 使用機材:Canon 5DsR + SIGMA A 20mm F1.4 DG HSM


螺旋階段を下からしゃがみこんで撮影しました。F2.8くらいに絞れば周辺減光は若干残るものの、四隅の収差などはかなり改善されます。光の当たり方が一本一本違う線の描写が実に見事です。


SIGMA (シグマ) A 20mm F1.4 DG HSM 絞り:F1.4/ シャッタースピード:1/8000秒 / ISO:100/ 使用機材:Canon 5DsR + SIGMA A 20mm F1.4 DG HSM


秋から冬へ一歩一歩近づく今の季節。「秋桜」と書くコスモスも今年は最後かなと思い撮影しました。大口径超広角レンズが見せる薄い被写界深度を周辺減光はこの『SIGMA (シグマ) A 20mm F1.4 DG HSM』ならではの味。暖色の太陽光も相まって少しノルタルジーを感じる1枚です。


SIGMA (シグマ) A 20mm F1.4 DG HSM 絞り:F1.4/ シャッタースピード:1/750秒 / ISO:200/ 使用機材:Canon 5DsR + SIGMA A 20mm F1.4 DG HSM


歩くとたくさんのドングリが落ちていたので思わず拾ってしまいました。こちらはスジダイのドングリ、数多いドングリの種類の中でも昔から食用にされてきた種類です。


SIGMA (シグマ) A 20mm F1.4 DG HSM 絞り:F1.4/ シャッタースピード:1/500秒 / ISO:200/ 使用機材:Canon 5DsR + SIGMA A 20mm F1.4 DG HSM


サザンカの木の下は落ちた花びらでピンク色の絨毯のようになっていました。露出は少しアンダーにし、色の深みと散りゆく儚さ意識して撮影。「写真が暗い」と上司に言われる私ですが、『SIGMA (シグマ) A 20mm F1.4 DG HSM』の描写はアンダー気味の露出にもぴったりハマる描写を見せてくれます。


SIGMA (シグマ) A 20mm F1.4 DG HSM 絞り:F4/ シャッタースピード:6秒 / ISO:200/ 使用機材:Canon 5DsR + SIGMA A 20mm F1.4 DG HSM


絞り値F4でもこのクリアでシャープな描写力。本来は三脚でがっちり固定し、もっと絞り込んで撮影するのが夜景の鉄則かもしれませんが、状況に応じてF値を1.4まで変えられるのは非常に安心感があります。この撮影は橋の上からだったのですが、車が通るとグワングワンと揺れるんですよね。揺れが収まり、次の車が通るタイミングの約10秒間を狙いF4で6秒という設定で撮影しました。
SIGMA (シグマ) A 20mm F1.4 DG HSM


『SIGMA (シグマ) A 20mm F1.4 DG HSM』は他の超広角レンズでは表現することのできない、広さとボケ味を両立させた写りをする一本でした。F1.4という数値以上に実際にボケて出てくる超広角写真のインパクトは大きく、今まで見たことのない世界を切り取ってくれます。しかしながら開放での描写はシグマのArtラインレンズにふさわしいキレ味の良さとクリアな描写力。うるさくなりがちな超広角レンズのボケ味も実に滑らかに表現してくれるので撮影の幅も広がり、新しい作品を生み出してくれるレンズになってくれると思います。単焦点ながら重量は950gあるのでフルサイズ一眼レフへ装着するとずっしりとした重さにはなりますが、全長は思いのほか短くて取り回しもの良く、唯一無二のスペックも考えれば、広角レンズを必要とするユーザーにとって価値ある一本と言えるでしょう。ぜひ『SIGMA (シグマ) A 20mm F1.4 DG HSM』が写し出す新たな世界を体感してみてください。


Photo by MAP CAMERA Staff
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