〜SONY FE 28mm F2 試写レポート〜

可能性の広がる単焦点『SONY FE 28mm F2』
※画像はオリジナルから縮小しています。
SONY FE 28mm F2 絞り:F4/ シャッタースピード:1/80秒 / ISO:200 / 使用機材:SONY α7R + FE 28mm F2

SIGMA A 24mm F1.4 DG HSM


CP+2015でサプライズ出展されていたFEレンズがついに発売となりました。今回のkasyapaは広角単焦点『SONY FE 28mm F2』と、専用のコンバーターレンズ『FE ウルトラワイドコンバーター』『FE フィッシュアイコンバーター』をご紹介します。コンパクトなα7の機動性を生かす為、レンズは単焦点のみというユーザーも多いかと思います。いままではアダプターを使用してレンジファインダー用の広角レンズを付けると色かぶりのリスクがあり、一眼レフ用のレンズを使用すると大きさと重さがα7の軽快性をスポイルさせてしまうという、単焦点派には何とも悩ましい選択肢しかありませんでした。今回の『SONY FE 28mm F2』はミラーレスα用に設計されたAFレンズということもあって使いやすさはもちろん、光量もF2と十分な明るさを持っているレンズです。そしてコンバーターレンズを使用すれば3つの焦点距離をカバーする事が出来るユニークな作りにも注目です。

SONY FE 28mm F2 絞り:F2.8/ シャッタースピード:1/1250秒 / ISO:160 / 使用機材:SONY α7R + FE 28mm F2


レンズの大きさは全長60mm、フィルター径49mm、重量は200gとZeiss 55mmと35mmの中間くらいのサイズ。広角レンズという事もありAFは静かに素早くピントを合わせてくれます。
ハイライトとシャドウのトーンも豊かでドレスの質感を見事に表現してくれました。最短撮影距離はAF時に0.29m、被写体にグッと近づけば広角ながらボケ味を写真に生かすことが出来ます。


SONY FE 28mm F2 絞り:F2/ シャッタースピード:1/800秒 / ISO:250 / 使用機材:SONY α7R + FE 28mm F2


絞り開放での撮影。フォーカスを合わせたレースカーテンの部分をご覧いただけるでしょうか、編み込まれた糸の一本一本まで確認する事が出来る非常にシャープな解像力です。2重ボケなど広角レンズが比較的弱いとするアウトフォーカスも滑らかさを感じる優秀なボケ味と言っていいでしょう。使用しながら「Zeiss銘のレンズではないよな?」と本レンズの性能に驚きました。


SONY FE 28mm F2 絞り:F2/ シャッタースピード:1/250秒 / ISO:4000 / 使用機材:SONY α7R + FE 28mm F2





SONY FE 28mm F2 絞り:F2.8/ シャッタースピード:1/1000秒 / ISO:100 / 使用機材:SONY α7R + FE 28mm F2


晴天時の逆光撮影ですが、派手なフレアが出る事もなくフォーカス部の解像力も高いままです。筆者はかなりの逆光好きなのですが、このフワッと広がるフレアと、破綻する事なくしっかりと芯のある描写力はかなりの好印象なものでした。


SONY FE 28mm F2 絞り:F2/ シャッタースピード:1/4000秒 / ISO:200 / 使用機材:SONY α7R + FE 28mm F2


海辺にいた若い猫。舌をペロリと出したかわいい瞬間を撮る事が出来ました。近づいた事もありますが28mmとは思えない深いボケ味が魅力的です。猫の柔らかな毛並みまで見る側に伝わってくる一枚です。

SONY FE 28mm F2 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/250秒 / ISO:100 / 使用機材:SONY α7R + FE 28mm F2


28mmと言えばスナップシューターとしても活躍してくれるレンズです。少し絞ればパンフォーカスで街中の風景を素早く切り取る事ができます。
カメラ本体で確認した時には気づかなかったのですが、RAWデータをPCで開くとタル状のディストーションが気になりました。JPEGならばカメラ内で補正をかけてくれるので心配いりませんが、RAW現像をされる方は少し補正が必要かもしれません。


SONY FE 28mm F2 絞り:F2/ シャッタースピード:1/2500秒 / ISO:100 / 使用機材:SONY α7R + FE 28mm F2


港に置かれたロープの束。アンダーな表現も得意なレンズで、重厚感のある色を表現してくれます。


SONY FE 28mm F2 絞り:F2.8/ シャッタースピード:1/640秒 / ISO:100 / 使用機材:SONY α7R + FE 28mm F2





SONY FE 28mm F2 絞り:F2.8/ シャッタースピード:1/250秒 / ISO:100 / 使用機材:SONY α7R + FE 28mm F2


約50年前に発売された名車、シェルビー・マスタング。錆びれた車庫と艶やかな車体のコントラストが雰囲気のある画になっています。 本レンズは良い意味でクセのない描写をします。それは被写体と撮影者の間にある空気感や意図をそのまま写真に表現してくれるもので、解像力だけでは語れない味わい深い一本です。


SONY FE 28mm F2 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/500秒 / ISO:100 / 使用機材:SONY α7R + FE 28mm F2


続いてはコンバージョンレンズを装着して撮影をしたいと思います。まずこちらの写真はレンズそのままの状態の28mmでの画角です。


SONY FE 28mm F2 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/500秒 / ISO:100 / 使用機材:SONY α7R + FE 28mm F2 + FEウルトラワイドコンバーター


広角21mm相当になる『FEウルトラワイドコンバーター』装着時の画角です。28mmに比べだいぶ広さと奥行きを感じる画になります。


SONY FE 28mm F2 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/500秒 / ISO:100 / 使用機材:SONY α7R + FE 28mm F2 + FEフィッシュアイコンバーター


16mm相当の魚眼レンズになる『FEフィッシュアイコンバーター』を装着し撮影をしました。広さはもちろんですが、下に写り込んでいるボートが魚眼レンズらしく大きく歪曲しているのが分かります。


SONY FE 28mm F2


コンバーターレンズの装着はFE28mm前部に専用の溝が彫られていて、ボディにレンズを装着するように指標を合わせて回し込みます。するとカチッとロックが効き、FE20mmにしっかりと固定される仕組みになっています。全長51mm、重量は267g。もう一本レンズを持ち運ぶより遥かにコンパクト。レンズの光量はウルトラワイドコンバーターを装着すると絞り開放時F2.8となります。


SONY FE 28mm F2 絞り:F2.8/ シャッタースピード:1/200秒 / ISO:400 / 使用機材:SONY α7R + FE 28mm F2 + FEウルトラワイドコンバーター


F2.8から使用できるので風景だけでなく室内撮りでも活躍しそうなレンズです。写真からは可愛らしい子供部屋の雰囲気が伝わってきます。


SONY FE 28mm F2 絞り:F2.8/ シャッタースピード:1/80秒 / ISO:400 / 使用機材:SONY α7R + FE 28mm F2 + FEウルトラワイドコンバーター


コンバーターレンズを装着してもフォーカス部の解像力は十二分にあり、写真全体を見てもコントラストや色合いも良好。本レンズの高い完成度を感じる事が出来ます。28mmでは少し広さが足りないというシーンで大いに活躍してくれるだろうと思いました。


SONY FE 28mm F2


続いては『FEフィッシュアイコンバーター』を装着しての撮影です。FE28mmには『FEウルトラワイドコンバーター』と同様のバヨネット 式で素早い脱着が可能になっています。レンズ光量はフィッシュアイコンバーター装着時、絞り開放F3.5。全長は58.5mですが最大径が89mmあり、レンズに装着すると迫力のあるルックスになります。 重さは418gとFE28mmの2倍の重量ですが、撮影時のバランスが良いためレンズ先端の重さは気になりません。


SONY FE 28mm F2 絞り:F3.5/ シャッタースピード:1/500秒 / ISO:160 / 使用機材:SONY α7R + FE 28mm F2 + FEフィッシュアイコンバーター


コンバーターレンズとは思えないクリアで発色の良い描写は見事。フィッシュアイらしい描写を手軽に楽しむ事ができます。空間の広さを伝えるだけでなく、写真を撮る面白さを再認識させられました。


SONY FE 28mm F2 絞り:F3.5/ シャッタースピード:1/350秒 / ISO:160 / 使用機材:SONY α7R + FE 28mm F2 + FEフィッシュアイコンバーター


美しい色のチューリップ。少し離れて見えますが、実際は花に触りそうなくらい近づいて撮影をしました。最短撮影距離は0.22m。被写体に寄れば寄るほどデフォルメの掛かった写真を撮る事が出来ます。


SONY FE 28mm F2


『SONY FE 28mm F2』は描写力が優れているだけではなく、コンバーターレンズを使用する事で三者三様の使い方のできる魅力あるレンズでした。同じようなシステムはAPS-C用レンズ『E16mm F2.8』でもありましたが、よりハイクラス向きと言ったらいいでしょうか、描写性もレンズの作り込みもα7のユーザーが納得できる完成度の高いものです。
今回はローパスレス3600万画素機・α7Rを使用しましたが、『SONY FE 28mm F2』は絞り開放からセンサー性能をフルに生かせる性能があり、驚くほど解像力のある写真を撮る出来ました。また、本レンズとコンバーターレンズには防塵防滴に配慮した設計となっているので、荷物を軽くしたい登山や海外旅行等で使用する際には利便性と共に安心感も与えてくれることでしょう。
『SONY FE 28mm F2』と2種類のコンバーターレンズは小さなカメラバッグに全て納める事が出来るコンパクトなシステムなのですが、実際に使用してみると撮影の幅と表現を大きく広げてくれる魅力あるものでした。α7ユーザーには是非一度使っていただきたい一本です。


Photo by MAP CAMERA Staff
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