製パン技術講習会レポート

BLUFF BAKERY- 栄徳 剛 氏 -

「食感をデザイン」

横浜の人気ベーカリー店BLUFF BAKERYより、オーナーシェフの栄徳剛氏をお招きして「食感をデザイン」をテーマに製パン技術講習会を開催しました。今回、講習会の一部をママパン店長の井上がレポートさせていただきます。

Technical lecturer

BLUFF BAKERY

栄徳 剛 氏

1976年横浜のパン屋の息子として誕生。
東京製菓学校卒業後、横浜本牧の「ラミ・デュ・パン」にてドミニク・トレモロ氏に師事。 「ホリデイ・イン」(現「ローズホテル」)シェフ就任。「グランカフェ新橋ミクニ」の立ち上げを行い、東京三宿の「ブーランジェリー ラ・テール」、「アルティザン・テラ」統括シェフに就任。
2010年地元横浜にアメリカンスタイルの「ブラフベーカリー」をオープン。
2017年6月「ブラフベーカリー日本大通り店」をオープン。
同年9月予定「アンダーブラフコーヒー」を開店準備中。

【講習会レポート】
テーマ:「食感をデザイン」

2017年6月14日に横浜の人気ベーカリー店のオーナーシェフである栄徳剛シェフをお招きして製パン技術特別講習会を開催させていただきました。 ずっと前からこの方に講習会をしていただきたいと考えていた栄徳シェフ。 しかし直接お会いしてお話をさせていただく機会が無く、昨年ある講習会にてようやくお会いさせていただき、今回の開催に至ったと言う経緯です。
想いは通じるものですね!

6月14日(水)当日。
ガチガチに緊張した私、井上の司会で10:00スタート。

「ハニーグレインライブレッド」
ライ麦=酸味と言うイメージがあると思うのですが、サワー種+パネトーネ種と砂糖とはちみつ。そしてナッツ&ドライフルーツが合わさり、ほのかな甘みと酸味、噛めば噛むほど美味しさが口いっぱいに広がります。
生地の中には秘密が一杯です!
パネトーネ生地(活性タイプ)、弊社がドイツより輸入しているサワー種のスタートグート(BIO-RとBIO-W)。
そうです!栄徳シェフはBIO-Wのユーザーなんですよ!

スタートグートBIO-R の計量中のBULUFBAKERY の荻野さん。
弊社スタッフが起こした種の出来上がりを栄徳シェフに絶賛していただきました。大変光栄なことです。

前日仕込んで冷凍にて保管した生地をみんなで成形。左から助手の荻野さん、栄徳シェフの奥様の友紀さん、栄徳シェフ、ブレッドスタイルソプラノオーナーシェフの宮田シェフ、ブレッドスタイルソプラノ寝屋川店代表の斉藤さん。

赤ワインとシロップで煮込んだ有機いちじく黒(ダイスカット)を生地に合わせています。

「グラノーラバー」

ローズマリー、有機レーズン、ピーカンナッツ、ヒマワリの種、ブラックペッパーあらびきを生地に合わせています。

「アップルパイ」
このアップルパイにはフレッシュな紅玉りんごを使用。 市場関係者にお願いして、昨年採って備蓄していたものを譲り受けてご用意しました。 もちろんりんごプレザーブでもアップルパイは作れますが、フレッシュな紅玉りんごの酸味が味の決め手となります。

ざく切りにした紅玉りんご。
サクサク、しっとり、ブラウンシュガーのほのかな甘みと、紅玉りんごのほのかな酸味。
やさしい味。素朴なアップルパイです。

「ミルクフランス」
栄徳シェフのスペシャリテの「ミルクフランス」。
準強力粉と薄力粉を7:3にてブレンド。フランスパンの旨味を残しつつ、歯切れの良さを表現。 準強力粉100%で作るとパンの引きが強くなりすぎて、サンドするミルククリームとの食感が合わない為、薄力粉を3割ブレンドされているんです!「食感のデザイン」。
そこにバターと練乳、グラニュー糖で作るミルク感たっぷりのクリームをサンド。

ポイント!
パンに挟むミルククリームはホイップする。ふわふわと軽い食感♪

窯入れの前にクープを入れる栄徳シェフ。

バゲットの様な旨味。もちろんミルククリームを挟むとおいしいのですが、あんバターなどにも相性がよさそうなパンです。

「ベーグル」
この生地は結構固く、業務用の縦型ミキサーでのミキシングは不向きで、スパイラルミキサーで仕込むのがベスト! また生地が固めなので、ご家庭やカフェなどでミキサーが無くても、手ごねでも作りやすいとおっしゃっていました。

ポイント!
歯切れを良くさせる為に、粗目の小麦粉を使用されています。
伸ばした生地を巻き込みながら(ねじり)成形するのは、見た目の無骨さと噛み応えを出す為です。
そうです!「食感をデザイン」です。

ポイント!
ケトリングの湯温は、グツグツ沸いてきたらOKです。ケトリングはパン生地の表面をアルファ化させるためなので、様子を見ながら時間の調整を。
今回は綺麗な色目とほのかな甘みを出すために、お湯にはちみつを入れています。
また、硬度が高い水を仕込み水で使用してすると、皮がパリッと仕上がります。

モッチリしながら、歯切れが良い。小麦の味をしっかりと感じられるベーグルです。

「いちごのブランマフィン」
以前に栄徳シェフにお教えいただいてママパンでもおなじみの「いちごのブランマフィン」ことファーマーズマフィン。
栄徳シェフよりのリクエストで小粒で酸味があるいちごを探して欲しいとご依頼いただいたのですが、ちょうど時期が早かったようで、市場に無く……。
それでも市場にある一番小さいサイズの「さがほのか」を用意しました。
栄徳シェフがおっしゃるには、7月頃より北海道のサマーいちご(小粒)が出回るので、それを使うのがベストとの事です!
当日は栄徳シェフのお店で使用されているふすまを使用。ママパンで販売しているふ「ファイバーファイト焙煎ふすま」でもお作り頂けます。

ふすまを使っているのに、ふすま臭さを感じない。いちごの酸味とほのかな甘み。 口に頬張ると、しっとり、ほろほろとほどける食感。アメリカンサイズなのに、いくつでも食べれる軽さのあるマフィンです。
BLUFF BAKERYさんが近くにあれば、おやつの時間に買いに行きたくなる逸品です。

「バターミルクスコーン」
作っているときにすぐそばで見ていたのですが、あっ!これ簡単なのかな?って思ったのですが、ポイントを押さえないと作れないスコーンです。

ポイント!
冷水で仕込まないとバターが生地に馴染んでしまいます。ホロホロとした生地。
無糖のヨーグルト使用。ヨーグルトに含まれる乳酸菌の力を生地作りに活用している。
手でグルテン切りながらドライクランベリーと合わせていく。
成形は手で”にぎにぎ”しながらラフな感じで手早くまとめる。

頬張ると、さっくり、ほろほろとほどける食感。
鼻から抜けるバターの香りと粉の旨味。甘酸っぱいクランベリーの味がいいアクセントに!
成形をきれいにしすぎてしまうと、この食感・味・見た目にはなりません。アメリカンなスコーンですが、作り方を日本語で表現すると「いい塩梅」で成形するってことですね!

「NYCドーナッツ」
私が大好きなドーナッツ。以前BLUFF BAKERYさんに行った時、色鮮やかなドーナッツを目の前にして乙女のようにときめいた40代のわたくし……。
いつもよく食べているドーナッツと何かが違う!
口どけが良く、ドーナッツなのに旨味が強い!秘密が一杯の「NYCドーナッツ」。

ポイント!
出来上がった生地は冷蔵でしっかりと冷やしてから天板1枚分ぐらいの大きさに伸ばす。
生地温度3℃ほどになれば抜き型で冷凍する(1週間程度の冷凍であれば、USイーストでも可能)。
生地冷凍は活性する前にイーストの働きを止めるのが鉄則です!
生地をあえて冷凍することで、ボリュームを押さえることが出来ます。
酵母はもちろん止まります。止まりにくい乳酸菌もしっかり止めます。

フライする前のポイントは!生地の表面が乾いてからフライをする!

フライ後、ラズベリーグレーズ、パッションフルーツグレーズで仕上げを。

さくっ!つやつや、きらきら。フルーツの酸味が、ドーナッツの甘さを中和。

「バインミー」~ランチ~
講習会のお楽しみのランチボックス。今回は栄徳シェフが最近研究しているベトナムのバインミー。
見た目はバゲットのような感じですが、まず持ってみてびっくり。大きさの割に軽く、さらに食べてびっくり。
ヒキが強いと思いきや、サンドした具材と一緒に噛み切れる。「食感のデザイン」。
しかし、この食感は、製パン改良剤/酵素剤を使わないと表現できません。
講習会で栄徳シェフが……
「製パン改良剤=ナチュラルではないと考える方がいると思うのですが、最近はナチュラルな酵素がベースの物が出てきたので、自分が思い描く食感をデザインするために使っています」と!

栄徳シェフは、頭の中で描いているパン・お菓子を作る為に、トラディショナルな製法をしっかりと押さえつつ、現代のベーカリー店に必要な多様性、唯一無二の個性を最大限に発揮されている方だと感じた日でした。
オリジナリティー。
見た目のデザイン性、「食感のデザイン」性。
笑顔。PEACEFULL
アメリカ(多様性文化)=栄徳シェフ(BLIFF BAKERY)

BLIFF BAKERY 全開な講習会!!!
栄徳剛シェフ、奥様の友紀さん、助手の荻野さん。
そして当日お手伝いをしてくださいましたブレッドソプラノオーナーシェフの宮田シェフ、ブレッドソプラノ寝屋川店代表の斉藤さん。 ありがとうございました。
会場にいた皆さんの笑顔あふれる良い一日でした。

栄徳シェフお話されていたポイントエトセトラ
レシピの焼成は戸倉商事のトーラックスオーブンを使用した場合の設定です。
お使いのオーブンに応じて温度設定や焼成時間は調整をお願いします。
様々な働きをする酵素が選べる時代になってきたので乳化剤などの添加物がお好きでない方は効果に応じた酵素の使用がオススメです。基本的に酵素は表示が不要です。
製氷機をお持ちでない場合は粉や水をしっかり冷やしておくと良いです。
生地の伸展性がそのまま歯切れにつながります。
活性する種、不活性の種、発酵風味液、生地やパンの仕上がりや発酵時間に応じて使い分けるのも良いです。
イーストが働いて発酵すればするほど糖分が飛んでしまい甘みが失われます。
生地を1週間以上の冷凍にかける場合はUSではなくVFイーストなどに置きかえます。
アメリカのベーグルは1個あたり200gと大きめのものが主流です。
冷凍いちごを使用する場合は水分が邪魔をするためカットしないで使います。

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