拡大鏡メーカー紹介

「ルーペの選び方」のページの中でご案内した、おすすめ製品のメーカー・ブランドについて、こちらで簡単にご紹介いたします。(スタッフの思い込みが入っている部分も多々ありますが...)

レンズ製造やルーペ設計などといった本質的な製造メーカーについてというよりは、ここでは皆さまのお手元に届く製品に印字されている「ブランド名」について主にお伝えできればと思います。

メーカーによって製品に特徴があります
メーカーによって製品に特徴があります

メーカー(ブランド)によって得意な商品傾向が違いますので、同じ系統の道具でもメーカーにより「使いやすい」「使いにくい」が出てくることもあるかと思います。メーカーの傾向を知ったところで使ってみないと分からないことも多いですが、情報を提供することで使いやすい道具との出会いを少しでもお手伝いできましたら嬉しいです。(^^*)

日用品ルーペ (老眼/読書用がメイン)

池田レンズ工業(I.L.K.) /日本(当店)

池田レンズ

まずは自己紹介を(^^*) 当店ルーペスタジオの母体メーカーである「池田レンズ工業株式会社(I.L.K.)」は、創業90年以上の歴史を誇る、国内(大阪)の老舗拡大鏡メーカーです。

大正12年(1923年)に初代レンズ加工業「池田レンズ製作所」を設立、昭和27年には教材用拡大鏡(ルーペ)の製造・販売を開始しました。(実は、レンズ製造は大阪の地場産業として戦前から盛んだったんですヨ)

虫メガネ製造メーカー・専門店というのは今も昔もちょっと珍しいので、テレビで紹介していただいたこともあります。

得意分野は、小学校のお道具箱の中に入っている昔ながらの 「虫眼鏡」や、職人さんのご用達である作業・検品用の「メガネルーペ」など。昭和レトロな雰囲気を持つアイテムたちは、未だに町工場で作られているものもあります

アイデアルルーペ17点ディスプレイセット
こんな感じのルーペ製品をつくっています

ニッチな道具ばかり作っているイメージはありますが、案外虫めがね業界では高いシェアを誇り、身近なところでこっそりお目にかかっている可能性も高いかと思います。(Wikipediaに載っている虫眼鏡の代表例の写真も弊社の「エボ柄ルーペ」だったりします。)

気付いていなかっただけで「幼少時に持っていた虫眼鏡は、実は池田レンズ製だった」という方はかなり多いのではないでしょうか。

池田レンズの場合はルーツが高倍率ルーペではないので、弱視の方に向けた福祉用高倍率ルーペや、顕微鏡などの特殊な大型装置についてはメーカーとして専門ではありません。しかし、ルーペの小売「ルーペスタジオ」としては、レンズの知識を生かして幅広い種類をお取り扱いさせていただいています。

ここが特徴

  • 大阪の老舗拡大鏡メーカー
  • 読書用や理科の授業などで使われるいわゆる低倍率の「虫めがね」、特殊な業種での作業用・検品用ルーペ製造がメイン

NIKON (ニコン) /日本

ニコン

ご存知!カメラなど幅広いレンズ製品で日本を代表する老舗大手光学機器、またその元となる光学ガラスのメーカー「ニコン」です。そう、実はルーペも作っているんです!(※当店での取扱い製品はルーペジャンルに限られます。)

レンズのクオリティに関しては、やはり世界のNikonだけあって「さすが」の一言です。解像度が高く、見やすく明るいレンズは多くの方の助けになってきました。高品質かつプレゼントにも喜ばれるおしゃれなデザインの製品群は(ちょっと高額ではありますが)一級品です。

一般の方に向けたシンプルな手持ちルーペが多め
一般の方に向けたシンプルな手持ちルーペが多め

ただ、重度の弱視の方に向けたライト付の高倍率ルーペについては商品レパートリー自体がありません。(弱視の方に向けた製品群はエッシェンバッハなどの海外メーカー製が主になります。) ライト付きとなると2倍(日本標準表記だと3倍)が上限となり、ライトなしルーペではポケットタイプやハイグレード読書ルーペの5倍(日本標準表記だと6倍)が上限となります。

ニコン製品の倍率表記について

日本式の表記(低倍率の場合実際の倍率に+1して表記[日本では1倍と表記すると拡大されないのではと誤解を生むため+1して2倍と表記する]) ではなく世界標準に合わせた表記(世界標準では1倍のまま表記)になっているので、当店ではスペックなどの倍率表記では2倍(3倍)といった表記の仕方をしています。

ここが特徴

  • 高精度のレンズに定評がある大手光学メーカー
  • 高品質かつデザイン性の高いルーペはプレゼントに最適
  • 重度のロービジョンの方に向けては商品レパートリー自体が存在しない。

ロービジョン(弱視) ・ 眼病 ・ 老眼

ESCHENBACH (エッシェンバッハ) /ドイツ

エッシェンバッハ

1913年ドイツ・バイエルン州ニュルンベルグ市に会社創設以来、一世紀の歴史を持つ「ルーペ」「ロービジョンレンズ」「メガネフレーム」を三本柱としたドイツ屈指の老舗光学機器メーカーです。高品質で優れたデザインを持つ光学製品は、世界中で高く評価されています。

視力の衰えをカバーする補助具や弱視の方への特殊な視力補助具の代表的なメーカーであり、 当店でも「老眼鏡ではもう難しい」「眼科ではどうにもならなくなってきた」と悩まれているお客様には、エッシェンバッハのLEDライト付高倍率ルーペシリーズをまずお試しいただいています。

easypocket使用イメージ。うーん、スマート!
easypocket使用イメージ。うーん、スマート!

また、ロービジョン向けという括りだけでなく、一般の方に向けたシャープでおしゃれなデザインの低倍率ルーペなどはプレゼントに最適です。 easypocket(イージーポケット)というスライド式のポケットルーペは通常の老眼の方に向けたヒット商品です。エッシェンバッハの低倍率ルーペは百貨店や大手家電量販店などでも取扱っている場合がありますよ。

ここが特徴

  • 世界有数の有名光学(ルーペ)ブランド
  • 高品質でデザイン性の高いルーペメーカーで、弱視の方に向けた視力補助具、ルーペ製品の品揃えが豊富

SCHWEIZER (シュバイツァ) /ドイツ

シュバイツァ

エッシェンバッハと同じく、ドイツの老舗光学機器メーカーです。(1840年設立)エッシェンバッハよりも視覚障害を持つ方、弱視の方向けの製品に特化しているイメージのブランドで、最高倍率14倍までをどのシリーズでも網羅しているという特色があります。14倍はなかなかに扱いづらい倍率であり、あまり実用性はないバリエーションではありますが...

シュバイツァの手持ちルーペ
倍率のバリエーションがとても多いのが特徴です

10倍以上の高倍率ルーペの見え味については、検品用ルーペのような鮮明さはありません。しかし、レンズ径と視野・レンズ品質・LEDライトなどのバランスが良く、弱視用ルーペとして扱いやすい製品になっています。

丸みを帯びた白と緑を基調としたシリーズ、黒を基調とした四角のルーペシリーズ、持ち歩くのが楽しいカラフルなポケットルーペシリーズなど、シリーズごとに扱いやすさを考慮した独特のデザインとオシャレなカラーリングがなされています。

ここが特徴

  • ドイツの視覚障害を持つ方に向けた製品がメインの老舗メーカー
  • 医療向け高倍率ルーペ、LEDライト付きルーペの品揃えが豊富

COIL (コイル社) /イギリス

コイル

コイル社(英国)は半世紀以上の歴史がある(1936年に創業)、英国を代表する老舗光学メーカーです。

高度な技術と数々の世界パテントを有する同社は、ルーペを必要とする人々の立場に立って設計し、今後ますます必要とされるロービジョンケアの観点から世界中で高く評価されています。

LED付きの高倍率ルーペや、弱視の方用の簡単な筆記対応の置き型ルーペなど、単純なつくりながらもアイデアに溢れた商品があります。 弱視用LEDライト付の7倍のルーペでは他社と比べても他にない大きさのレンズ径の商品があり「これでないと」という方もいらっしゃいます。 デザインとしては、シンプルでシャープなイメージでしょうか。

コイルの置き型ルーペ
軽くて丈夫なコイルの置き型ルーペ

デメリットとしては、日本法人がなく輸入品の販売のため、外箱や説明書は翻訳されておらず、英語のままというところでしょうか。 また、シンプルな作りであるが故に電池の挿入部分など日本製のものとは違う使用感があるのは確かです。海外製品を初めてご使用になられる高齢の方には、扱いづらい可能性はあるかと思います。 ただ、このシンプルさ・高倍率での大きなレンズ径はなかなか他社製品に代わるものがなく、愛用者は多くいらっしゃいます。 使用する方によって好みが分かれるメーカーかもしれません。

ここが特徴

  • イギリスの老舗ルーペメーカー
  • 弱視の方に向けたルーペ製品の品揃えが豊富

工業用検品・測定用ルーペ (高倍率) / 小型~中型

PEAK (東海産業) /日本

PEAK

大正3年に設立された、検品業界では有名なPEAK(ピーク)ブランドを擁する日本の光学メーカーの老舗です。日本が世界に誇る「測量、検査用工具としてのルーペ」の一流メーカーです。

スケール付のルーペなど工業用の測定用・検品用ルーペで信頼の置けるブランドで、視野の広い大型、小型どちらのバリエーションもあり商品タイプが豊富です。比較的手の届きやすい価格帯でしっかりとした性能を持つ製品には定評があります。

ただ、高倍率のルーペを使用する際に必須になるライトについてはまだ得意ではありません。(ライトが必要ない程度の倍率の製品がおすすめです)

ここが特徴

  • 工業系検品用ルーペの老舗メーカー
  • 手頃な価格で手に入る高品質なルーペには定評があり、種類も豊富。

杉藤 / 日本

杉藤

創業1906年(明治39年)、100年以上の歴史を持つ光学メーカーです。 硝子の研究・製造からスタートし、光学ガラス製品、さらにマクロズームレンズ、マイクロスコープ、各種スコープ、検査機器等の光学製品・部品を製造・販売されています。

ちょっとお値段は張りますが、ライトの性能がよく(調光OK)、高倍率のマイクロスコープは精度が高くハイクオリティな視界を得られます。

ここが特徴

  • 工業系光学レンズの老舗メーカー
  • 高額ではあるが、精細な解像度を誇るライト付検品用マイクロスコープなどの製品群に定評がある。

顕微鏡

VIXEN (ビクセン) /日本

ビクセン

創業65年以上になる、 埼玉県に本社を置く光学機器総合メーカーです。

今回こちらでは学習用の「顕微鏡」の話題で商品を紹介させていただいていますが、本来のメイン商材は「天体望遠鏡」や「双眼鏡」などです。

それぞれの分野で、学習用~プロご用達の製品までしっかりと信頼のおける商品を作られています。 (中でも天体関係、「天体望遠鏡」の「架台」についてはすごいんです。良かったらビクセン社のホームページにも行ってみて下さいね。面白いコンテンツがいっぱいありますよ!)

ここが特徴

  • 光学機器 の国内老舗メーカー (メインは天体)
  • 玄人向けはもちろん、初心者向けの商品群でも手を抜かずしっかりとしたクオリティを保っており、学習用としても信頼できる

おわりに

研磨前のレンズ
研磨前のレンズ

こちらでは「ルーペスタジオで多数の製品の取り扱いがある」光学製品メーカーについてご紹介させていただきました。ボシュロムなどは今の所少数のみの取り扱い、カール・ツァイスやスピーゲルなどの有名どころは当店での取扱いがないのでここではご紹介しませんでした。

当店ルーペスタジオでは、「弱視の方」に向けた高倍率ルーペについてはヨーロッパ製の製品が多く(ドイツのレンズは有名ですよね)、軽い老眼の方向けの広い視野の読書用ルーペや職人さんに向けた高倍率の検査用ルーペ・顕微鏡などは国内のメーカーの品揃えが多くなっています。

メーカーの得意不得意の背景には意外な歴史が隠れていたりして面白いので、興味のある方は調べてみて下さいね(^^*)