表面加工のバリエーション

シンプルなオイルライターに大きな魅力を与える、精巧な表面加工。

元は同じライターでも表面処理の違いによって様々な個性が誕生します。


Zippoを彩る表面加工の数々

ZIPPOには星の数ほどの種類があり、それがZIPPOの魅力のひとつにもなっています。デザインの背景を飾る表面加工方法はそれぞれ別の狙いがあり、どんな意図で製作されたかを知ると、ライターの扱い方(例えば傷が付きやすいから丁寧に使う、傷が目立たないから遠慮無く使う、など)がわかってきます。

ブラッシュド加工

真鍮の本体にクロムメッキが施され、ブラッシュ加工と呼ばれる左右に流れるような研磨後があります。縦長であるにもかかわらずどっしりとした印象を受けます。またある程度光沢を落としてあり、傷が目立ちにくい加工です。

ハイポリッシュ加工

クロームポリッシュと呼ばれる表面加工で鏡面仕上げの加工法です。傷が目立つと思われがちですが、クロームメッキは防食、美観、硬質などの特徴があり、長い間美しさを保つことが出来ます。

シルバーメッキ

メッキの中では定番の加工法です。他にもゴールドメッキ、プラチナメッキなどがあります。ZIPPOでは銀の質感が好まれるのか、これらの中では一番多い加工法です。シルバーメッキモデルの中には10μの厚さのメッキを施した物もあります。

バレル加工

バレル加工とは、容器(バレル)に被研磨物(ここではZIPPO)と研磨材をいれ、バレルの運動により研磨する加工法です。これにより、ブラッシュド加工やメッキ加工には無い、独特の石ころのような表情が出ます。

古美仕上げ

メッキした金属を化学的に酸化させ、表面を布バフ研磨します。すると少しくすんだ感じのアンティーク調に仕上がります。照明器具などのインテリア商品、装飾品などにも広く利用されています。真鍮いぶし仕上げとも呼ばれ、保護コーティングされています

クラックル加工

第2次大戦中、材料難から苦肉の策として生まれたのが、ブラッククラックル(ひび割れ)塗装です。メッキ仕上げが出来ない為、スチール製のライターに特殊ペイントを塗り、それを焼き、ひび割れたような仕上がりにしたことでこう呼ばれます。現在流通しているのはそのレプリカです。

オールドフィニッシュ加工

ライターを長い間使い込んだ風合いを表現するために、意図的に塗装を剥いだり、メッキの下の真鍮を部分的に露出させたりします。この加工法の多くは職人の手作業による物ですので一つひとつ仕上がりが異なります。

ユーズド加工

薬品を用いて表面に化学変化を起こさせ、使い込んだ感じを表現しています。焼け焦げたような印象は、過酷な条件下におかれた通常の使用では考えられないほどの傷や凹み、表面の変色を再現し、主にミリタリー物のデザインに使われています。

蒸着メッキ

#250をベースに蒸着メッキと呼ばれる方法を用いて独特の虹のような輝きを持ちます。モース硬度(耐ひっかき傷)は高く、傷は付きにくい表面加工法です。仕上がりは一つひとつ微妙に異なります

いぶし銀仕上げ

いぶし銀とは硫黄をいぶしてすすで銀を黒く変色させた後、表面を磨くと凸部は磨かれて光り、凹部はすすけた黒が残ります。このようにして立体感を出すのがいぶし銀と呼ばれる手法です。ライターに絵柄を彫り込み、銀メッキの後、いぶし銀仕上げを施して絵柄をはっきりさせたりするのに用いられます。

チタンコーティング

金メッキの後にチタンを膜として堆積させた物です。処理温度により色が変化するチタンの特性を生かして、ブラック、ブルー、ブラウン、パープルなどのカラーを表現できます。塗装やメッキなどと違って透明感があるのが特徴です。

PVD加工

PVDとは(Physical Vapour Beposition) の略で、成分物質を蒸発・イオン化しすることで被膜を形成させる方法です。表面は鏡面で、傷が付きにくく、透明感があります。近年ZIPPO社に取り入れられた加工方法で、その色合い、透明感、高級感から人気の高い加工方法です。
参考文献:
ジッポー大好きマガジン マルカイコーポレーション株式会社 小学館スクウェア
ジッポー完全読本 今井今朝春 株式会社ワールドフォトプレス