バイクキャンプを始めよう!

近年盛り上がりを見せる“バイクキャンプ”。
デビューする女子ライダーが増えています。

キャンプができるようになると、自然がグッと身近になるだけでなく、行動範囲が広がり、新しい仲間も増えてバイクライフがよりいっそう楽しくなります!
でも、「私もやってみたいけど、相談できる女子ライダー友だちがいなくて何からどう手をつけていいかさっぱり…」と困っている人もきっと多いはず。
そんなあなたのために、キャンプデビューの準備についてわかりやすく解説します。

さあ、憧れのバイクキャンプを始めよう!!

第1章 何からそろえたらいいの? ~ギア選び編~









1. キャンプ三種の神器


ひと口にキャンプと言っても、ワイルドな野宿からおしゃれでゴージャスなキャンプまでいろいろなスタイルがあります。まずは、どんなスタイルにしても最低限必要な道具、”キャンプ三種の神器”をそろえましょう。調理器具や椅子・テーブルなどは必要に応じで少しずつ加えていっても問題ありません。
(C)tent-Mark DESIGNS
テント
(C)NANGA
(C)ISUKA
寝袋+マット
(C)milestone
ヘッドランプ

テント


テントはキャンプの荷物の中でも一番の”大物”になるので特にしっかりと選びたいアイテムです。

(1)テントの種類

バイクキャンプに適したテントの種類にはおおまかに、自立式の「ドーム型」と、支柱を立てて張る「とんがり型」の2タイプがあります。
テント
(C)tent-Mark DESIGNS
長所
・ペグ(※1)を打てない状況でも使える(ペグを忘れた、地面にペグが刺さらないetc.)
・設営したあと場所を変えたいとき、移動が簡単にできる
・インナーテント(※2)が標準装備されていることがほとんどで居住性がよい(寒さや湿気が和らぐ、虫が入りにくいなど)

短所
・高さが100cm前後のものが多く、室内では座るかかがむ姿勢になる
・とんがり型に比べて組み立て部品が多いぶん重くなり収納サイズも大きくなる
とんがり型
(C)LOGOS
長所
・1本の支柱と外幕だけで設営するので少ない手間で設営ができ、収納も軽量コンパクト
・支柱周辺では直立姿勢での行動が可能(着替えなどに便利)
・インナーテントを併用できるものを選べば、収納重量は増すがドーム型と同様の居住性

短所
・ペグが打てない状況下では使えない
・側面が斜めで部屋の中心に柱もあるので、床面積がそのまま居住空間の広さとはならない
・インナーテントは標準装備されていないことが多く、虫が苦手な人には不向き
※1「ペグ」…テントを地面に固定するための杭  ※2「インナーテント」…蚊帳
それぞれの得意なこと、苦手なことを知っておくと、より自分に合ったものが選べます。 とはいえ、バイク選びと同じように、女子にとっては色や形などのデザインが好きかどうかの”ときめき度”も、長くつき合うためには大事なポイントになります。バイクの色とおそろいにしたり、「アメリカンに乗っているからテントもティピ型」なんて決め方も楽しいですね。 キャンプに出かけるのがうれしくて仕方なくなるようなお気に入りを見つけてください。

(2)サイズ

テントには、広さの目安になるように「1人用」「2~3人用」などという表記で大まかなサイズが示されています。 初めてテントを選ぶときは、「小さくたためるほうがいいんだし、一人で使うのだから当然1人用でいいよね?」と思いがちですが、バイクキャンプの場合、テントの中には自分が横になるスペースに加えて、ヘルメットやジャケットなどのライディングギアを置く場所もないといけませんし、特に女性は着替えやお化粧品など何かと荷物が多くなるので、1人用では手狭になることがほとんどです。したがって、「2人用」あるいは「2~3人用」か、「1人用」でも前室(※3)が広いタイプのテントを選ぶと安心です。

※3「前室」…インナーテントの外にできる、外幕に覆われた土間のような空間。前室がないテントもある。

寝袋+マット


バイクキャンプは往復のツーリングも含めて安全に楽しんでこそ充実感を得られるもの。そのためには質のよい睡眠は欠かせません。それに、キャンプを好きになれるかどうかは、快眠できるかどうかにかかっている部分が実は大きいのです。上手に選んでぐっすり眠れれば、大地からたっぷりパワーを充電できて目覚めもスッキリですよ!

(1)寝袋の種類

寝袋はその形の違いから「マミー型」と「封筒型」、また中綿の素材の違いから「ダウンタイプ」と「化繊タイプ」に分けられ、それぞれに異なる特徴があります。
マミー型
(C)NANGA
長所
・無駄を省いた形状で隙間なく体を覆えるので保温効果に優れる
・無駄のない形状なのでコンパクトに収納ができる。
・コンパクト収納=携帯性に優れるので登山などのアウトドアにも使える

短所
・あそびが少ないぶん多少の圧迫感がある(ただしストレッチ素材のものもある)
封筒型
(C)LOGOS
長所
・マミー型のような圧迫感が少なく、快適な寝心地
・サイドジッパーで一枚に広げて使うこともできるので温度調節が簡単
・マミー型に比べてシンプルな形状なので安価なものが多い

短所
・体に密着していないぶんマミー型に比べて保温性は低い
・面積が大きいぶん重くなり、収納サイズも大きい
“軽量コンパクト”の観点からすると「マミー型」が圧勝ですが、最近ではサイズと重量を抑えたバイクキャンプ向きの「封筒型」も出ています。また単純に価格を比べると「封筒型」に軍配が上がるものの、小さくたためるマミー型はキャンプ以外のアクティビティにもより気軽に持ち出せる点でコストパフォーマンスに優れています。迷ってしまったら何を優先させたいかを再考しましょう。
ダウン
(C)NANGA
長所
・軽い
・小さくたためる
・ふわふわした触感
・氷点下に対応するタイプも多い

短所
・水に弱い(ただし撥水素材のものもある)
・専用の洗剤が必要など、手入れや保管に多少の手間がかかる
・高価
化学繊維


長所
・水に強い
・洗濯など手入れが簡単
・収納した状態のまま保管ができる
・安価

短所
・重い
・収納サイズが大きい
・ダウンに比べて氷点下に対応するタイプが少ない
安く済ませたいなら断然「化繊」ですが、「重い」「かさばる」などバイクキャンプに不向きな点が多くあります。 一方「ダウン」は高価なぶん“軽量コンパクト”とふわふわの寝心地が得られます。一度買ったらなかなか買い換えないギアでもあることを考慮して選びましょう。

(2)寝袋のサイズ

バイク同様、寝袋も、成人男性の体格を基準にして作られています。そのため、せっかくのマミー型でも足元が余ってしまってスースーしたり、「この分をなくしてでも荷物を減らしたいのに!」なんて思うことも。ですがメーカーによっては、「ショートサイズ」や「Women’sサイズ」など標準サイズより短いものを作っていますし、標準サイズしかなくても、足元の余った部分をドローコードで縮めて隙間をなくせるような工夫が凝らされた寝袋もあります。 「全長」または「適応身長」をよく確認して選びましょう。

(3)寝袋の適応温度

季節やキャンプ場の立地などによって、朝晩の冷え込みは様々です。そこで寝袋も、中綿の量を違えた様々な暖かさのものがあります。ざっくりと、「3シーズン用」「夏用」「冬用」に分けられ、初めての寝袋には最も活躍頻度が高い「3シーズン用」がおすすめです。冷え性の人や、季節問わずキャンプをしたい人は、0℃以下にも対応するものを選ぶとより安心です。適応温度領域を確認して、迷ったら販売店やメーカーに問い合わせて教えてもらいましょう。

(4)マットの種類

いくら暖かい寝袋があってもマットがなければ、地面からの冷気をもろに受けてしまいますし、体が痛くなって疲れも倍増。寝袋とマットはセットと考えましょう。マットには、空気を注入して使う「エア注入」タイプと、そのまま使う「ウレタン」タイプ、自動で膨らむ「インフレータブル」タイプがあります。
エアマット
長所
・軽い
・小さくたためる
・ふわふわした寝心地

短所
・準備と収納に手間がかかる
・穴が開く、裂けるなど、破損の可能性あり
ウレタンマット
(C)CAPTAIN STAG
長所
・そのまま広げて使えるので準備と片付けが簡単
・穴が開くなどの心配がない
・遮熱効果が高い(地面からくる冷気を体に使えにくい)
・銀マットなど安価なものもある

短所
・エアマットに比べて収納サイズが大きい
・寝心地が固い
インフレータブル
(C)ISUKA
長所
・エアマットの寝心地とウレタンマットの遮熱性を両立
・自動で膨らんでくれるので準備が簡単
・小さくたためる

短所
・小さくたたむのに時間がかかる
・穴が開く、裂けるなど、破損の可能性あり
収納時のコンパクトさと寝心地を優先するなら「エアマット」か「インフレータブルマット」、らくに使いたいなら「ウレタンマット」を選びましょう。

(5)マットのサイズ

長さと幅
100cm前後~180cmくらいまで、用途や体格に応じて様々なサイズ展開があります。マミー型の寝袋に合わせたスリムな形状のものもあれば、横幅をたっぷり取ったものも。安眠を確保できる最小限のサイズを選びましょう。

厚さ
厚みがあるほど寝心地がよくなる半面、収納時の嵩が増します。とにかく小さく収めたいなら2cm台、ある程度の寝心地を求めるなら3cm以上を選ぶとよいでしょう。

ヘッドランプ


(C)milestone
自然の中にあるキャンプ場は、陽が落ちてしまったらあとは真っ暗。せっかくテントを設営できても、手元が見えなければ着替えられませんし、足元が見えなければトイレにも行けません。ヘッドランプはキャンプの夜に欠かせない小さな巨人! 忘れずに持って行きましょう。

選ぶときのポイント①「軽さ」

両手を自由にできるヘッドランプは名前の通り、頭(おでこ)に装着して使います。ところが電池重量を含めたヘッドランプ本体が重いと、徐々に下がってくるなど煩わしく感じがちです。ハイスペックになるほど重くなる傾向にありますが、ビギナーキャンプに多くの機能は必要ないので、ポイント②と③をふまえつつシンプルなものがおすすめ。

選ぶときのポイント②「防水性」

キャンプ場は山や高原など自然の中にあることが多いので天気の変化はつきものです。突然の雨に濡れても問題のない防水タイプなら安心。

選ぶときのポイント③「バッテリーの持ち」

電池の持ちがよいに越したことはありません。最近はバッテリー充電タイプもあるので、バイクから充電できるのであれば、バッテリー切れの心配がなく予備電池が不要なぶん荷物を減らせるそちらがおすすめ。


ライダーデビューのとき、初めてのバイクをどれにしようかと悩んでいた時間は、今思えばとても楽しかったですよね。キャンプも同じで、デビューに費やした時間はのちのちかけがえのない思い出になります。また、すべての道具にはそれぞれに長所、短所があり、使い方や好みも人それぞれなので、ギア選びに正解はありません。肩の力を抜いて、思い切り楽しんでくださいね!



バイクキャンプを始めよう!目次へ



第2章 どうやって積んだらいいの? ~積載編~



第3章 どこへキャンプしに行ったらいいの?
~キャンプ場選び編~







ライフスタイルエッセイスト 小林 夕里子(コバユリ)

執筆、イベント・メディア出演などを通じてオートバイのある暮らしの喜びを女性の視点から発信しています。アウトドア×モーターサイクルブランド「nomadica」をプロデュース、キャンプイベントやワークショップなど、女性とビギナーにやさしい癒し系のアクティビティーと、オリジナルアイテムを展開しています。日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。日本キャンプ協会認定キャンプインストラクター。




nomadica ノマディカ

余暇のひとときを、もっと"active & natural" に。

『ノマディカ(nomadica)』は、モンゴルの大草原で暮らす遊牧民(nomad)の、たくましくてしなやかな姿にインスパイアされて生まれました。自然を愛し、ときにその厳しさと対峙しながら、アクティブに、ナチュラルに、馬と旅を続ける彼らの姿は、四季を愛しみ、ときに雨に打たれながらも、オートバイで走り回ることを楽しむライダーの姿と重なります。

「オートバイで自然の中へと出かけること、太陽の下で遊ぶこと、人とつながっていくことを、もっともっと楽しみたい!」

ライフスタイルエッセイスト小林夕里子の、そんな願いから生まれた『ノマディカ』は、ライダーが発信するアウトドアブランドです。”アクティブ&ナチュラル”をコンセプトに、女性やバイクビギナーでも安心して、自分らしく、新しい世界へ扉を次々に開けていけるような、アウトドアアイテムおよびアクティビティーを展開しています。
 
 

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