ものづくりって楽しいんやなあ「鏡師」とは、どのようなお仕事でしょうか。神社やお寺に納める青銅鏡(金属の鏡)を作っています。鋳造(ちゅうぞう)から鏡の裏の模様の制作、仕上げなど、すべての工程を私たちの工房で手作りしています。 この道に進まれたきっかけをお教えください。大学生の頃に、アルバイトで家の仕事を手伝ったことがきっかけです。鋳造の工程に携わったのですが、自分が作った物が仕上がってくるのを見るのが楽しみでした。ものづくりって楽しいんやなあと感じて、この仕事をやりたいと思ったのがきっかけです。 鏡師の修業は、どのようなことから始まるのでしょうか。最初は、一番の基礎の鋳造ですね。砂で型を作って、金属を溶かして流し込むという作業で、京都市南区の工場で6年間働きました。それから、三代目にあたる祖父(注:無形文化財保持者の山本凰龍(おうりゅう)氏)が「鏡を勉強してみるか」と言うので、京都市下京区の工房で仕上げの修業をすることになり、ひたすら炭研ぎを繰り返しました。炭研ぎは、どれだけやれば良いのかが分かりにくいんです。当初は祖父に何度も見てもらいながら調整しました。経験を積んで分かってきた頃に、削りの修業を始めることになりました。どれだけいいものを仕上げてくるか、次のステップに進むタイミングを祖父なりに見ていたんだと思いますね。 ![]() 鏡1枚の仕事をいただいたら、1人前の職人なら、作っても2枚。
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