ご縁を大切に染織との出会いや、この道に進まれたきっかけをお教えください。幼いころから絵を描くことが好きでしたし、染織に携わっておられる方が近所に大勢いらっしゃって、この道が選択肢の一つとして自然とそこにありました。ただ、自分の意志を決定付けたのは「色の魔力」によるものがいちばん大きいかなと思います。 「光章」はどのように命名されたのでしょう。若手のものづくり仲間との談議の中で、知り合いに「名前を付ける人」がいるというのでお願いして、1箇月程してからいただいたのが「光章」でした。初めて聞いた時、「コウショウ」という響きがとてもきれいで良いなと思いました。 ![]() 「布アート」とはどのようなものでしょうか。あるお客様から、「陶器の下に敷く個性的なものが欲しい」とオーダーをいただいて麻素材を見せていただいたんです。それまで扱っていたシルクと違って、麻にはざっくり感があって、筆を落としてみても今までと「あたり」が違っていて面白くて。そのまま魅力を感じて、のめりこんでいきました。 ![]() 五感に訴えて、心に響くものづくり京都商工会議所の「知恵ビジネス推進事業第1回創造的文化産業(クリエイティブ産業)モデル企業選定事業」へのご選出、誠におめでとうございます。選出されたことで、お心持ちの変化などありましたらお教えください。創り手として、「クリエイティブ」という言葉を使って評価していただけることは、非常にありがたいです。多数の応募がある中「工房」というくくりでは唯一の受賞ではないか、という点も嬉しかったです。 国内だけでなく、海外でも高い評価を得ていらっしゃいますね。言葉が無くても通用するというのは、デザイン性とかオリジナリティを感じ取っていただいているのだと思います。これは、「五感に訴えて心に響くものづくり」を目指している私にとってはものすごくうれしいことです。 「(外国の方に言葉が通じなくても)商品が営業をしてくれるようなものづくり」と、日頃積み重ねていることが結果として出てきているのかな、とみんなで話しています。 ![]() デザインを生み出す苦しみ繊細なタッチの絵や大胆な墨絵など、様々な雰囲気の作品を制作されていらっしゃいます。普通、作家さんというと、ひとつのものを追求して何かを完成される方が多いですよね。私の場合、本当に色々な方向性の作品があります。しかし制作にあたっては、筆のタッチや筆を下ろす時の息遣いまで感じていただけるよう、そして心地良い緊張感を漂わせるような空間を目指して作っています。ですから、抽象であろうが具象であろうが染料や墨を用いようが、それはただ技法の違い・モチーフの違いということで、私の中では常に一貫性があるんです。 全工程の中で、最も難しいところをお教えください。いちばん難しいのは発想をデザインに落とし込むところです。ここが決まらないと、技法もどれを使うかってところが決まらない。私は自分を追い込んで、新しいものをぐーっと絞り出すタイプなんです。とことん追い込んだらデザインがふわっと降りてきてその瞬間は救われますが、やはり毎回苦労する、難しいところですね。 ![]() 噛み砕いて、消化して京もの専門店「みやび」で販売されています
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