Tecnifibre 編



第7回
ブリヂストンスポーツセールスジャパン株式会社
テニス企画部
テニス商品企画課

“柴本 竜” さん

  

テクニファイバーの由来は、「technical」と「fibre」の造語から!

 今回は一つのアイテムにフォーカスするのではなく、ブランドそのものにスポットを当て、
テクニファーバー社のhistoryやこだわりから新商品まで、「テクニファイバー」について
ブリヂストンスポーツで商品企画を担当している、柴本さんに徹底的に語っていただきました!




元々は多くのテクノロジーを搭載した、ストリングのスペシャリストブランド!

Q. 先ずは、“テクニファイバーとは何ぞや?”という事で、簡単にブランドヒストリー的なものをお教えいただけますでしょうか?
A. 先ずは「テクニファイバー」(以下:TF)という名前の部分からですが、もともとストリングメーカーとしてスタートしているわけですが、「テクニカル」+「ファイバー」という、いわゆる“技術”をストリングに結集させているというところが由来となっています。経緯としては、もともとフランスの「メジャースポーツ」という会社あり、そこが登山用の「ザイル」を作っていた会社だったのですが、そこがその技術を生かしてテニス用のストリングを作ったらどうなるか!?というところから始まり、約40年弱といったところが、会社としての歴史となります。
現状ではシューズ以外の、ラケット・ストリング・ストリングマシーン・ボール・アクセサリー・アパレルといった、テニス用品の製造・販売を、世界約80ヵ国で行っています。(日本ではボール・アパレルの展開はありません)






Q.
今でこそトータルブランドの「テクニファイバー」となっていますが、やはり一番の特徴はストリングだと思います。
そのストリングで、ここは他のブランドには負けない!これぞテクニファイバー!といった特徴を教えてください。
A. 大きくは2つあります。
1つ目は、マルチストリングに“ポリウレタン”(以下:PU)を入れた最初のブランドで、現在のマルチストリングのベースを作り上げたという事なのですが、ポイントはそのPUの「使い方」で、他社はPUはストリング表面へのコーティングのみに対し、TFのマルチストリングはストリングの内部まで浸透・含浸させているというのが、一番の特徴です。そうする事で、切れる直前までそのパフォーマンスを体感できるというわけです。
更に、中まで浸透する事でPUが1本1本の繊維を繋ぐゴムのような役割を果たし、伸縮性が向上します。その結果テンション維持力も向上します。


MADE IN FRANCEは、ノウハウやデータの蓄積が最大の強み!
2つ目の特徴は、TFのストリングはフランス国内の自社工場で全て開発・製造しているという事です。
これについては、品質が安定し高品質という事と、全てノウハウ・データが蓄積されており、製品開発や品質維持に関して大きなアドバンテージと言えるし、セールスポイントだと思います。



Q.
先ほど特徴として挙げられた。「テンション維持について」伺います。
TFのPUストリングは以前、テンションロスを避けるために「プレストレッチ」と言って、張る前にストリングを引っ張って1度伸ばしてから張ったりしていた時代があったと思います。逆に言えば、それをやらないと緩みやすいとも取れますが、その辺りの見解をお聞かせください。
A.
実際にTFのストリングで「X-ONE バイフェイズ」 は、出荷前にプレストレッチをかけている(バイフェイズ加工)商品ですが、そういった意味ではそういった事を行う事で、テンション維持力が上がる!という事は言えます。ただそれに関しては、他のストリングも全て一緒で、プレストレッチを行う事でテンション維持力が若干上がるという事は言えると思います。実際に発売当時から製造方法を変えていない商品もありますが、数値上では他の商品と比較して、テンション維持力が低いという事もないし、PUを浸透・含浸する事によってパフォーマンスが落ちるという事もありません。




ポリエステルの比率は上がっているが、まだナイロンマルチの方がシェアは高いんです!

Q. ではそのストリングとラケットとの関係について伺います。
現在はゴールデンスペックと言われる、中厚のラケットが多くのシェアを占めている状況で、そのようなラケットは高反発・衝撃・フィーリングと言った部分で、いろんな意味で「硬い」ラケットだと思います。あくまでも私個人の見解ですが、その背景からマルチストリングのような、ソフトタッチのストリングがもっと支持されても良いと思うのですが、そのあたりはどうお考えでしょうか?
A.
実際に現在の日本市場で考えると、「ポリエステル」が40%強、「ナイロンマルチ系」が45%という事で、思っているよりはマルチのシェアは落ちていないと思います。ですが、かなりのスピードで「ポリエステル」のシェアが拡大しているのも事実です。
そもそもポリエステルは、身体への負担も少し大きくなりますし、テンション維持力も低いので、本来であればあまり長持ちしないストリングですが、実際は「切れにくい!」というところから、耐久性が非常に良く見えてしまうということろはあると思います。TFとして推奨してるのは、300g以上のラケットにはポリエステルを張っても問題ないが、それよりも軽いラケットを使用する方には「ナイロンマルチ」をお勧めしています。その理由は、300g以上のラケットを使う方はある程度身体が出来上がっている方で、その衝撃や多少強引なスイングにも身体がついていくが、そうでない方には負担が少ない「マルチ」をお勧めしたいのですが、ラケットの販売比率とイコールになっていないのが現状です。つまりオーバースペックの方が多いと思います。



Q. そんな中、TFからも多くのポリエステルストリングが出ていますが、どんな特徴があり、どんなところを重要視していますか?
A.
そうですね〜、ポリエステルを否定するつもりはないんです。ポリエステルも必要なんです!
先ほどのラケットの話でもあった通り、フレームの進化によってパワーが増した分、飛び過ぎを抑える為にポリエステルが増えてきたという背景があると思います。
そんな中で、TFの中では最も認知していただいているのが「ブラックコード」だと思いますが、今市場に出ているポリエステルストリングの中で、最も柔らかいストリングだと認識しています。

Q. その「柔らかい」とは、何をもってして柔らかいのでしょうか?
A.
それは数値的な部分で、同じ条件で一定の負荷をストリングに与えた場合の、伸縮率などを数値化したときの比較となります。

Q. それはフィーリングもイコールですか?
A.
イコールではありません。そこが非常ポリエステルの難しいことろではあり、「ブラックコード」は数値上すごく柔らかいストリングなんですが、一方で「レッドコード」はすごく硬めの数値が出るのですが、スイングスピードが速い人には非常に柔らかく感じたりします。
感覚的な部分にはなってきますが、球の乗りだったりの影響もあり、一概には言えず数値だけが全てと言いうわけではないと思います。


多角形のストリングは、角数が少ないほど「エッジ」が効いている!

Q. それでは少し視点を変えて、同じポリエステルのストリングでも、スピン系と言われる種類のものがあると思います。
ブラックコードに代表される、ボールとの引っ掛かりや摩擦力を上げる「多角形」のストリングと、ストリング同士の摩擦を少なくし、ストリングの運動量を上げる、「ROUGH加工」されたストリングがありますが、スピン関するTFとしての見解は?
A.
TFの中で言うと、いわゆる「異形断面」と言われる4角形・5角形ということろで、エッジを聞かせてスピンをかけよう!という考え方をしているのが、「ブラックコード」・「ブラックコード4S」です。当然角数が多くなればなるほど、断面が円に近くなっていくので、そういった意味では角数が少ない方がエッジが効いていると考えています。
一方で、「レッドコードWAX」という商品がありまして、こちらは潤滑成分の高い素材を含浸させて、スナップバックを起きやすくしてスピン性を高めていてます。







テクニファイバーのモノづくりは、ボトムアップが基本!

Q. 続いてラケットについてお伺いします。
日本市場でラケットの展開が始まり来年で10年となりますが、ラケットを開発するに当たり、大事にしているポイントなどはありますか?
A.
本来はストリングメーカーらしく、ストリングのパフォーマンスを最大限に発揮するラケットと言いたいところですが、スイングのタイプやスピードが本当に千差万別なので、コレとソレがベストマッチとかはなかなか言えないところです。というよりは出来ないといった方が正しいところです。その中でTFとしては、良くも悪くもそこまでクセ(特徴)のあるラケットではなく、比較的オーソドックスなラケットをご用意させていただき、その中でストリングで使い分ける!という事が出来るラケットになっていると思います。
モノづくりという点では、他社さんはトッププロの意見を取り入れて、トップダウンのモノづくりが多いと思いますが、TFは若手選手やユーザーの意見を吸い上げてモノづくりをしている、ボトムアップのモノづくりという点が特徴と言えると思います。


Q. ではそれを踏まえて、最新作のラケット(T-FLASHシリーズ)について、どんなラケットなのか教えてください。
A.
TFのラケットは大きく分けてT-ファイト・T-フラッシュ・T-reboundの3シリーズになります。そのうち、T-reboundは女性専用モデルという位置づけとなり、メインはT-fightT-flashが2本柱となります。そのうち今回新しく送り出したのが「T-FLASH PS」となります。
そもそもT-flashは中厚のパワー系のラケットの中で、「一番コントロール性が高いものを目指します!」という考えのもとモノづくりをしており、そんな中で今回のモデルには4つのセールスポイントがあります。

先ず一つ目が「パワー」で、中厚系のラケットの中でもパワフルなラケットを目指しました。2つ目は「打球感の柔らかさ」で、硬めのイメージがあった過去のモデルに比べ、かなり柔らかくなっています。3つ目は「デザイン!」手前みそですが、デザインがカッコいいという点です。そして4つ目が「コストパフォーマンス」です。
具体的に、先ず1つ目の「パワー」ですが、スロート部の形状を台形のような形にすることで、センターのストリングを長く使うことが出来、その結果同じフェイス面積のラケットと比較して、パワーアップに成功しています。2つ目は、フレームのたわみで、打球時にフレームが内側にたわむように設計しており、それにより抜群の柔らかさとホールド感を生み出しています。三つ目は好みもあると思いので省きます・・・(笑) 

4つ目は「価格」です。今回メインとなる「T-フラッシュ300」が定価で¥30,240で、前作が¥35,640ですから思い切って¥5,400価格を落としました。少しでも多くの方に試していただきたいという思いから、「ラケットは進化して価格はお求めやすく!」を実現しました。是非、新しい「T-フラッシュ」をお試しいただきたいです。






キーワードは、“ALL IN ONE CARRYING SYSTEM”

Q.
ではもう1つ新製品で、バッグが発売になっていると思いますが、少し今までと違うカタチをしていますね?
昔の「ドラムバッグ」を思い出しますが、どんなバッグなのかお聞かせください。
A. こちらは「RACK PACK」という商品で、バッグ内に脱着可能なセパレーターを配置し、荷物をすっきり収納できる構造になっています。更にバックパック・ショルダー・ハンドルと、様々な持ち方が出来るのもこのバッグの特徴です。ストラップをよく見ていただくと、センター部分が細くなっていて、ショルダーやハンドルで持つ際に、非常に握りやすくなっているのも、非常に使いやすいと思います。
素材は一見ターポリンのように見えますが、基布は違うものを使いコーティングをしているので、軽量かつ防水性と耐久性を兼ね揃えた素材を使っています。

では実際にどの程度の収納力があるか、画像に収まっている品物をピックアップしてみます。
ラケット4本・ボール・ストリング(ロール)・グリップテープ(30本入り)・ウエア・ポーチ・シューズ・ペットボトルがすっきり収納されています。移動中に中身がゴチャゴチャにならないのも、うれしいポイントです!
更にシューズスペースは、ラケットのグリップ部分にできる「デットスペース」をうまく利用して、無駄のない作りになっているのも見逃せません。


既に販売も開始していますが、非常に好評をいただいております。
是非、こちらのバッグを手に入れて、「smart tennis life」も同時に手に入れてください!




ちなみに、「RACK PACK」とは、
「racketBAG」と「backPACK」が1つになった造語だそうです!
たしかブランド名もそうでしたね!



「テクニファイバー」特集!いかがだったでしょうか?
使ってみたいと思った商品がたくさんあったのではないかと思います。

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