LLFK-vol24

Season3「食べること」だれにでも、手に食2021年4月2日

自分に得意なことがひとつ増えると、ちょっと自信がつきます。得意なことで誰かが喜んでくれるともっと嬉しくなります。そしてまたやってみようと思う。その繰り返しが仕事になったりしていきます。今世の中では「本当に今のこの仕事のままで良いんだろうか?」と悩んでいる人達が急増しているそうです。そして、一度は諦めた、自分の本当に好きなことで生きていきたいと思い、行動に移そうとしている人もまた、増えているようです。

まだまだ

前回「手に食」というテーマから、調味料や食材を買うことで料理が好きになるきっかけをと、エッセイを綴ったのですが、その後「手に食って何だろう?」と改めて考えていました。日本は外食文化が色濃く、昔に比べれば男性がキッチンに立つ機会は増えたものの、まだまだ料理をしない男性も多い。ジェンダーレスな世の中になっていく中で、もっと男性がどんどん料理を作れば、世の奥様方は嬉しいはずです。(ここを読んでくださっているのは女性の方が多そうですし)そう考えると、食材を紹介しただけでは全然力及ばずなんだろうな、と。

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テレビで「家事ヤロウ」という番組(テレビ朝日系)が流れていました。これまで家事に向き合ってこなかった家事初心者の3人が、基礎中の基礎から今すぐ役立つテクニックまで“狭く・深く・ユルく”家事をイチからではなくゼロから徹底的に学んでいく番組とのこと。<番組公式HP概要から抜粋>深夜枠の放送を見たのですが、出演者の3人が料理に対してあんまり好きじゃないような態度を終始取っているのが面白くて、「えー!?」とか「これ僕がやるんですか?」など、できればやりたくないというのが前面に出ているんですね(笑)。嫌そうに調理するレシピは数ステップの簡単な工程で、あっという間に完成するのに、写真映えがして、おいしい。最初は後ろ向きだった3人も食べるときには「めちゃめちゃうまい!」と大騒ぎ。結構楽しくて見入ってしまいました。

おいしいかどうか

ここで気づいたことがあります。料理にそこまで興味のない男性にとって大切なのは「おいしいかどうかだけ」なのかもしれないと。おいしい方かまずい方どっちがいい?と聞かれてまずい方を選ぶ人はいないはず。料理はしなくとも外食はするでしょうから、おいしいものはちゃんとわかっている。確かに僕も昔はレシピを読むのが嫌でした。そして、自分なりにやるとあんまり上手にいかなかったような。

LLFK-vol24 おいしすぎてメニューを撮影してしまうことも。

超簡単でネタ性があって見栄えがしておいしい。これを自分が作ったと自慢できればチンするだけでも全然OK。これは料理じゃないと言われようがおいしければそれでいいのだ。そう考えると僕が前回紹介した料理なんて、あまり興味を示してもらえなさそうだなぁと。もっと簡単で、腕の良し悪しは関係なくおいしければ、旦那さんに「これ作ってみて」と薦められるのかもしれません。道具や調味料を気に入るのはそれからなんだろうな。

タコライス

僕にそんなことができるのかと、昔の写真を眺めていたら、なぜかタコライスの写真が何枚もあるのを発見。大学時代にいつも通っていたカフェのお気に入りメニューで、そればっかり食べていまして。正確なレシピはわからなかったのですが、見よう見まねで留学時代に良く作っていたのが写真で残っていたんでしょうね。

LLFK-vol24 LLFK-vol24 LLFK-vol24 当時の写真なのでピンボケばかりですいません。

外食がかなり乏しかった(コンビニもない)オランダでは、一人暮らしは自炊がマスト。生きるためには食べなければいけません。できることなら、そこそこおいしいものがいい。料理をしたことがなかった自分にとってのおいしいもの=よく食べていたメニュー。とりあえずこれさえ作れれば最高の毎日が送れそうだ、と安直な発想で作り始めたのがきっかけです。

3ステップ

それから20年余り経った今も、基本的な作り方は変わりません。用意する物は、タコススパイスに牛豚合い挽き肉にご飯、あとは乗せたい野菜を。レタス、トマト、チーズ、アボカドくらいでしょうか。上にクリームチーズを乗せると少しリッチな感じになります。

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作り方は

  • 1.ご飯を炊きます。(レンチンご飯でOK)
  • 2.フライパンで挽き肉を炒めます。その間に野菜を小さくて全て同じ位の大きさに切ります。
  • 3.挽き肉が炒まってきたら、タコススパイスを水に溶かして入れ、水気がなくなるまで炒める。
  • 4.ご飯を平たく盛り、野菜→肉の順で乗せ、最後にチーズをかける。

炒めて、切って、盛る。全3ステップで完成です。

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お好みでタバスコをかけても良いし、ケチャップやマヨネーズを使って好きなように召しあがれ。タコライスの個人的に好きな点は、冷めてもおいしくて、皿ひとつにスプーンひとつで食べられるので洗い物が少ない。すごく堕落的なポイントですが、これに尽きます(笑)。

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思い出はつづく

誰にでも「思い出の味」というのがあると思います。外食も立派な思い出の味。自分のために作り始めたこのタコライスも、時が経って今では子ども達の好物のひとつに。まさかこんな展開になるとは思いもしていませんでした。ただ好きなメニューなだけだったのに不思議なものです。今後は、お袋の味ならぬ父親の味みたいな時代になっていくんでしょうかね。いつか「レシピを教えて。」と聞かれるのがちょっと怖くもあります(笑)。

つづく

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和田 健司 オランダDesign Academy EindhovenにてDroog Design ハイス・バッカー氏に師事、コンセプチュアルデザインを学ぶ。 同大学院修士課程修了。大手広告代理店勤務の後、2011年 “what is design?”を理念とする(株)デザインの研究所を設立。研究に基づく新たな気付きを、個人から企業まで様々な顧客に価値として提供し続けるコンセプター。