LLFK-vol02

Season1「時間」精神と時の部屋の作り方2020年4月24日

「家ですごそう」この文字を今月は何回見たことでしょう。インドア派の僕もさすがにちょっと窮屈な気持ちになる瞬間も。でも子供達はもっとかな、と思うと自分がしっかりしなきゃ、と奮い立たされます。皆さんもあの手この手で、気分転換をされている事と思います。そんなステイアットホームな時間の中で、ちょっと見つけた事があります。特に今回は家で仕事をされている方に是非読んでいただきたいお話です。

そう上手くはいきません

前々回にもお伝えしましたが、事務所を畳み、5畳ほどの部屋を模様替えをして3月から自宅兼事務所として活動をし始めました。通勤時間も削られて、食事も店選びをしなくて済む。出だし好調だったのですが、それも長くは続かず2人の子供達にもろくも打ち砕かれる事となります(笑)。

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普段家にいない父親が家にいる=休み、と次女(3歳)は認識しているらしく、Webミーティング中だろうがお構いなし。「キャー!」と叫びながら部屋に飛び込んできます。子供達にとっては嬉しい事なのだろうから、あんまり叱るわけにもいかず、でも行き過ぎた時にはピシャリと一喝。小学生の長女(7歳)も勉強でわからない事があるとノックをして入ってきます。でもその頻度が高すぎて、まぁ仕事が途切れる途切れる。でもこれも自分の許容の無さだと、できる限り心を静めて張り紙で対応。

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開店ランプ

ずっと家にいると、当然同じ空間にいるのでメリハリがありませんよね。ご飯の時も、仕事の時も、なーんかユルユルっと時間だけが変わっていく。どこかで線を引きたいなと思い、身の回りの物を利用して試してみることにしたのです。写真の照明は IKEAで購入したもの。樹脂製ですごく軽いのでどこにでも飾れます。非現実的な印象が気に入り、仕事部屋の一角に飾っていました。毎日仕事を始める時に点けて、終わったら消す。そんな事を何日か続けていると「なんかお店の開店ランプみたいで、いいぞ。」と思い始めました。

これが点いている間は「営業中」というのが一目で分かります。だから、途中でなんかダラけてきてもこのランプが点いている間は「いかんいかん、営業中だ」と自分を少し奮い立たせることができる。飲食店をやられている方なんかはこんな感覚でお店をやられているのかな?と感じたり。灯りというのも多分ポイントなんだなと。それこそ、どんな照明でも良いと思います。今は持ち運べるLED照明などもありますからね。

困った時のヘッドフォン頼み

音に関しては、三者三様好みが分かれます。僕は通常業務の時は少し音楽を流し、集中する時は無音派。普段はスピーカーを通して音楽を流しながら仕事をしていますが、耳障りな時は敢えてヘッドフォンをして仕事をしています。長年愛用しているのはBose QC35というノイズキャンセリングヘッドフォン。付け心地も柔らかく、耳の外側に被せるので圧迫感もない。ノイズキャンセリング機能をオンにすると、その場の雑音がシュンという感じに一気になくなり無音のようになります。言葉で説明するのは難しいのですが、四方を一枚透明なガラスで囲まれるような、そんな感覚。

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最初は気が散る時に使っていたのですが、何回も使っている内にこれも様相が変わってきまして。これを付けると集中できる気がしてきて、逆に集中したいとき、よしやるぞという時にヘッドフォンをするようになったのです。スイッチをオンにして周りの音を消し、音楽は流さない。精神と時の部屋へダイブイン!それからというもの、このヘッドフォンは僕の験担ぎ的な役目に。これをすると良い文章が書けるとか、良い企画書が作れるような気に。事実このヘッドフォンをすると打率が上がったので、まんざら音の効果というのはあるよなと今でもお気に入りなんです。

サンジェルマン

生活のメリハリを作るものとして、もうひとつ「香り」があります。夕方、家中に香ばしい香りがしてくると食欲が湧きますよね。昔から家の香りというのは重要だと思っていました。布団を何日も干していない空間の匂いでは、新鮮な気持ちで仕事に取りかかろうとも、何だかやる気が起きません。

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香り系の製品は色々試しました。現状で最終的に行き着いているのは、ルームスプレー。ずっと香るディフューザーも良いのですが、だんだん香りが弱くなって替え時がわからないので辞めました。ルームスプレーを部屋に置いてある布や紙にシュッとかけます。今のお気に入りは、diptyqueのサンジェルマンというルームスプレー。このブランドの本店パリ・サンジェルマンの店舗で使用していた香りをそのまま再現した物らしいです。まさに外国の店舗の中のような香りがするので直感的に「これだ」と思い購入。毎日仕事を始める際、先程の照明をオン、そしてこのルームスプレーをシュッと振ります。この組み合わせが僕の「開店のサイン」になりました。

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20分

嗅覚とは変化を求める器官なのでしょうか。毎日同じ香りがあまりに続くとちょっと「今日はちょっといいかな」と思う瞬間が訪れたのです。もう少しスッキリ系もいいなと思っていた矢先に、面白い物を発見。@aromaのkōというモバイル型のディフューザー、よく調べてみると結構小さくてお手頃な値段。使い勝手も良さそうなので導入してみることに。ついでにC07ピュアグリーンのオイルもゲット。

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使い始めて数週間、今では妻も「ちょっと貸して」という人気者に。良いポイントとしては、まず「軽い・ケーブル不要・音が静か」。電池を入れれば20分間香りが続きます。付属のUSBケーブルを繋ぐと連続運転ができるようですが、僕は20分で十分。音もめちゃくちゃ静か。なので寝室で使うのには向いているかも。次に、「20分ずっと同じ強さで香ってくれること」。ルームスプレーは、振った瞬間は凄く香るのですが10分もすると弱くなっていきます。kōの場合は、ファンが内蔵されていて一定の風量で出続けてくれるので20分間香りが変わらないのです。僕の場合は、3回位使って、弱くなってきたかなと感じたらオイルを足すようにしています。

一番のお気に入りポイントは「交換パッドで香りが変えられること」。付属で1枚付いていますので、蓋を開けパッドを取り、アルコールで湿らせたティッシュ(直接噴射はダメ)で機械を軽く拭き取り、交換パッドを取り付けます。僕の場合はそこにルームスプレーを掛けてスイッチオン。(メーカーの方にお聞きした所、香りの特性からもできればオイル推奨だそう。僕は自己責任の元、ルームスプレーを掛けてみましたが、全く問題ありませんでした。)アロマディフューザーによっては、香りが染みついてしまって結局1種類の香りでしか使えない物もありますが、これは何種類も入れ替えが出来る点がかなりポイント高いです。

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自分だけの空間

気持ちの切り替えというのは、そんなに毎日パンパンとできるものではありません。やる気が出ない事もある。僕はそんな時は思いっきり道具に頼ってみていいんじゃないかなと思うのです。小学校の頃、新しい筆箱を買ったら俄然勉強がやる気が出たように、自分の気持ちが切り替わるものを持って仕事をしてみると、自分だけのリズムの作り方ができてくると思います。僕のケースが何かお役に立てればと思うのですが、照明と音楽と香り、すなわち視覚と聴覚と嗅覚を自分好みにすると、そこに「自分だけの空間」が出現するような気がしています。3つはやり過ぎかもしれませんが、毎日の在宅勤務で何かやる気が出ないなと思ったら、そのうちのどれか1つを足してみてはどうでしょうか?意外にあなただけのスイッチが入るかもしれませんよ。

つづく

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和田 健司 オランダDesign Academy EindhovenにてDroog Design ハイス・バッカー氏に師事、コンセプチュアルデザインを学ぶ。 同大学院修士課程修了。大手広告代理店勤務の後、2011年 “what is design?”を理念とする(株)デザインの研究所を設立。研究に基づく新たな気付きを、個人から企業まで様々な顧客に価値として提供し続けるコンセプター。