猫の身体の事
どこまで知ってますか?

自由で気まま、ツンデレぶりも魅力のひとつ。いま甘えているかと思えば、なでている途中にプイッといなくなる。そんな自由気ままな猫。
高いところにも軽々と登り、細いところも悠々と歩く、高い身体能力とバランス感覚を持っています。
猫の身体の特徴について、外観やライフステージなどによってどういう特徴や違いがあるのでしょうか?

目次

猫の身体

外観の特徴

  • 猫は、ほかの動物に比べて頭の大きさのわりに眼が大きい動物です。
    猫の瞳孔は、縦長で、光の明暗によって大きくかわり、暗い場所でもよく見えるようになっています。
    また、視角は広く、約120度まで見ることができます。
  • 聴覚は非常に発達しており、小さい音(5dB程度)でも聴き取ることができます。
  • 猫は、成猫で上顎16本、下顎14本の合計30本の歯があります。
    生後6ヵ月齢ほどで、すべての歯が乳歯から永久歯へ生えかわります。
  • 被毛は、上毛(オーバーコート)と下毛(アンダーコート)があります。猫は季節によって毛の抜けかわり(換毛)が起こりますが、ライフスタイルによって換毛の状況には差が見られます。外で活動する猫は、一年のうち、4月から9月の半年間で年間の換毛の約3/4が起こるなど、夏季と冬季での換毛量に大きな差が見られます。一方、外に出ない猫では、年間を通した換毛量に大きな差は見られません。

猫の食事の好みに影響を与える要因

  • 嗅覚・味覚

    犬ほどではありませんが、猫もまた人と比べて嗅覚がするどい動物です。そのため、猫にとっては味覚よりも嗅覚のほうが食事の好みを決めるための重要な感覚です。
    猫が食事を食べる時はまず匂いを嗅ぎ、その後に口に入れて食感や形、硬さを確認し、最後に味を感じます。
    このように、猫では嗅覚が食事を選ぶ最初の評価基準となるため、食事の匂いは猫の好みに大きく影響を与えます。
  • その他の要因

    猫は犬と異なり、環境、経験、生理的な特徴や本能的な要求などのさまざまな要素が食事の好みに深く関わり、それぞれの要素が好みに与える影響の度合いは常にかわります。
    このため、猫によって好みが異なるだけでなく、同じ猫でもその時々によって好みが異なることもあるのです。
    「猫は食事の選り好みが激しい」というイメージの背景には、このような猫の特徴が関係しているのです。

猫のライフステージ

ライフステージ

  • ライフステージとは?

    猫に限らず、すべての動物は誕生した後、成長・成熟し、やがて歳をとって一生を終えます。
    このような動物の一生における各段階を「ライフステージ」と呼び、猫では大きく4つに分かれます。
    猫のライフステージ

猫のライフステージによる必要な栄養の違い

  • 猫の成長期は体重が顕著に増加する生後4ヵ月齢までと、成長がゆるやかになる生後4ヵ月以降の2つの時期に分けられます。
  • 猫の成長期(生後4ヵ月齢まで)

    子猫の身体は急速に発達します。ただし消化器は未熟な状態で、子猫が食べることができる食事の量は少なく、消化吸収能力も十分ではありません。そのため、この時期の子猫の食事には、消化が良く、高カロリー・高栄養であるものを選びましょう。
  • 猫の成長期(生後4ヵ月齢以降)

    子猫の身体の発達はゆるやかになり、歯は乳歯から永久歯に生えかわります(猫は永久歯の生えかわりが犬よりも早い傾向があります)。消化吸収能力は発達しますが、その分食事の量が増えて、カロリーオーバーによって太ってしまうことがあります。子猫を太らせないために、食事の与えすぎには気をつけましょう。
  • 成猫期

    成長が終わって体重や体型が安定する時期であり、それぞれの猫の品種、ライフスタイル、体質などの個体差が、もっとも顕著になる時期です。そのため、それぞれの猫の特徴に合った栄養バランスの食事を与えることが重要です。
  • 中・高齢期

    中・高齢期になると、加齢の影響で、猫の身体の中で気づかないうちに少しずつ変化がはじまります。そのため、「健康な状態を維持する」ことに配慮された、中・高齢期の猫に適した栄養バランスの食事が必要となります。
    ※「中高齢期」と「高齢期」を合わせて「中・高齢期」と表現しています。
  • それぞれのライフステージごとに、それぞれの猫に適した栄養バランスの食事を与え、猫の生涯を通して適切な栄養管理を行いましょう。

肉食動物としての猫

独特の栄養要求

  • 猫は真性の肉食動物です。
    そのため、必要な栄養素の量やバランスは、人や犬とは大きく異なります。
  • 高いタンパク質要求量

    猫は、摂取したタンパク質の25~30%を皮膚や被毛の生成に使用します。そして、脂肪や炭水化物を摂取していても、身体の中で常に一定量のタンパク質をエネルギー源として利用します。そのため、猫は多くのタンパク質を必要とします。
    タンパク質
  • デンプンの消化が苦手

    猫はもともと、炭水化物であるデンプンの分解酵素の分泌量が少なく、そのうえ、デンプンの摂取量に合わせて消化酵素の分泌量を増やすことが苦手です。そのため、食事に含まれるデンプンの量を少なく調整する必要があります。
    でんぷん
  • タウリンは必須の栄養素

    猫は、必要とするタウリンを体内で十分に生成することができません。そのため、タウリンを必ず食事から摂取する必要があります。
  • ビタミンAが必要

    猫は人や犬とは異なり、体内で植物中のβベータ-カロテンからビタミンAを作り出すことができません。そのため、食事からビタミンAそのものを摂取する必要があります。
  • アラキドン酸も必須の栄養素

    人や犬は、脂肪酸のひとつであるリノール酸からアラキドン酸を体内で作り出すことができますが、猫は、リノール酸からアラキドン酸を体内で作り出すことができません。そのため、食事からアラキドン酸を摂取する必要があります。
  • 猫が肉食動物である理由

    前述のタウリン、ビタミンA、アラキドン酸は、植物性の食品にはまったく含まれていないか、非常に限られた量しか含まれていません。そのため、猫は植物だけを摂取していると必要な栄養素を十分に満たすことができません。猫が、動物性の食品を必ず一定量摂取しなければならない肉食動物であるのはこのためです。

猫種の違いと栄養管理

猫種について

  • 猫種

    猫種とは、「ネコの中で、ほかのネコとは異なる特徴を共通して持っている個体のグループであり、この特徴は次の世代にも受け継がれる」と説明することができます。すべての猫種には、「スタンダード」(猫種を定義する特徴)があります。
  • 遺伝的に受け継がれる特徴

    それぞれの猫種は猫の選択的な交配を行った結果生まれ、猫種ごとにさまざまな特徴や体型を持っています(一部の猫種は自然発生したものもあります)。そのため、それぞれの特徴や体型を維持するとともに、特徴や体型に合わせた健康管理が必要です。

猫種ごとの栄養管理の意義

  • 猫種ごとに最適な栄養管理

    猫は猫種によって特徴があるので、猫種ごとにそれぞれ違った栄養管理を行うことが理想です。そのためには、猫種ごとの特徴について詳しく知る必要があります。そして、その特徴に応じてさまざまな栄養素の量を調整し、猫種ごとに最適な栄養バランスの食事を与えることが、個々の猫の健康を維持するために重要です。
    • 猫種ごとの栄養要求に合った食事
    • 猫のライフステージごとの栄養要求に合った食事
    • 猫の栄養要求に合った食事
  • 猫種ごとの栄養管理に必要なポイント

    猫種ごとに最適な栄養管理を行うには、ふたつのポイントがあります。
    • ポイント① 猫種ごとのスタンダードな体形を維持するための栄養バランス
    • ポイント② 猫種ごとの特徴に応じた、健康を維持するための栄養バランス
  • 単純に猫種ごとのスタンダードの体型を維持するだけでは、最適な栄養管理ができているとは言えません。このふたつのポイントを実現することではじめて、猫種ごとに最適な栄養管理を行うことが可能になるのです。

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