出かけていた飼い主が自宅の近くまで帰ってきたら、足音と臭いで飼い主が返ってきたことを察知する。
こういった話はよく聴きますよね。
このように、犬が聴覚と嗅覚に優れていることはよく知られています。
では、その他についてはどうでしょうか?
犬の身体の特徴について、外観の特徴、ライフステージ、サイズなどによってどういう特徴や違いがあるのでしょうか?

重要なのは、人と犬では食事に対する感覚が異なるという点です。
犬にとっての良い食事とは、必要とする栄養バランスを
満たしている食事であることはもちろんですが、どれほど優れた内容の食事であったとしても、犬が食べてくれないと意味が
ありません。よく食べるように匂いや形状などが調整されていることも、犬にとっての本当に「良い」食事の条件のひとつなのです。
犬に限らず、すべての動物は誕生した後、成長・成熟し、やがて歳をとって一生を終えます。このような動物の一生における各段階を「ライフステージ」と呼び、一般的に犬では大きく5つに分けられます。

犬は身体の大きさ(サイズ)によって各ライフステージの長さに違いが出るのが特徴で、小型になるほど平均寿命が長い傾向があり、成長期が短く、高齢期のはじまりも遅くなる傾向があります。また、成長率や成長する部位の違いによって、いわゆる成長期は、生後2ヵ月齢までの「哺乳・離乳期」と、2ヵ月齢以降の「成長期」のふたつに分けて考えることができます。

生後1ヵ月齢ごろまでは母乳から必要な栄養を摂取しますが、その後親犬と同じ食事を食べはじめ、身体は急速に発育します。消化機能が未熟なため、少ない量の食事しか消化吸収できませんが、急速な発育のために多くのカロリーが必要な時期です。そのため、高カロリーな食事を与える必要があります。また、この時期には主に骨が成長するため、骨の成長に適した栄養バランスの食事が必要です。
歯は乳歯から永久歯へ生えかわり、身体の発育もゆるやかになる時期です。この時期になると、骨の成長が一段落し、主に筋肉が成長します。そのため、筋肉の成長に適した高タンパクで栄養バランス良い食事に切りかえることが必要です。また、4~5ヵ月齢ごろからは脂肪組織が発達しはじめるため、食事を与えすぎないよう注意が必要です。
成長が終わり、体重や体型が安定して性成熟を迎え成犬期となります。それぞれの犬のサイズ、品種、ライフスタイル、体質などの個体差が、もっとも顕著になる時期です。そのため、それぞれの犬の特徴に適した栄養バランスの食事を与えることが重要です。
中・高齢期になると、加齢の影響で犬の身体は気づかないうちに少しずつダメージを受けはじめます。そのため、「健康な状態を維持する」ことに配慮された、中・高齢期の犬に適した栄養バランスの食事が必要となります。
オオカミを家畜化して生まれた犬は、人との長い歴史のなかで、さまざまな大きさや体型の品種を持つ動物へと進化しました。現在、地球上の動物で、同じ種にもかかわらず約50倍以上の体重差がある動物は犬だけです。

サイズごとに犬を比較すると、エネルギー要求量や健康管理上の留意点など、さまざまな違いがあります。この違いは、それぞれの犬にとって最適な栄養管理を考えるうえで重要なポイントです。
犬が生まれてから成犬になるまでの体重増加率は、大型犬になるほど高くなります。成犬時の体重は、超小型犬・小型犬では生まれた時の体重の20倍程度ですが、超大型犬では約100倍にまで達します。
超小型犬・小型犬の成長期は約8~10ヵ月齢までですが、超大型犬の成長期は約18~24ヵ月齢です。大型犬になるほど成長期は長くなります。
犬の体重1kgあたりに必要な代謝エネルギー量を計算すると、超小型犬・小型犬は超大型犬の約2倍です。小型犬になるほど、体重1kgあたりのカロリー要求量は高くなります。
それぞれのサイズに適した栄養バランス、カロリー密度の食事を与えましょう。
身体のサイズが小さいほど、中・高齢期が始まる年齢が遅くなります。超小型犬・小型犬は8歳ごろから、大型犬・超大型犬は5歳ごろから中・高齢期に入ります
大型犬では、より早い時期からの中・高齢期対策が必要です。
寿命はさまざまな要因に影響されますが、小型犬ほど平均寿命が長い傾向があります。 犬が健康で長生きするためには、それぞれの犬に適した健康管理が必要です。そのためにはワクチン接種やフィラリアの予防、定期的な健康診断だけでなく、サイズごとの犬の違いを考慮し、それぞれの犬にもっとも適した栄養バランスの食事を与えることも重要です。