ネックの基本はトラスロッドの調整で、これはアコギもエレキも同じです。只、ヘッド側から見るのとブリッジ側から見るのでは見え方が違います。より弦高を低くするエレキでは、両方から確認し最適な位置を見つけます。



ネックが良い状態になったら(入荷時点で正しくないものが結構あります。木材だから湿度・温度の影響で仕方ありませんけどね)何時もの全ポジションチェックです。ここはどう言った作業が必要なのかを判断する部分で、結構重要です。ナット高、ブリッジ高、ネック角度、テンション、鳴り具合、フレットバランス、人間の感覚がやっぱり大事です。ついでに塗装も一回りチェック、セッティング終わってからクラック見付かると結構悲しいので・・。



あ、ちょっと指にささくれが・・(笑)。冬はどうしても指先も荒れたりします。ここでフレットに問題が無ければ次のナット・ブリッジに行くのですが、入門機や低価格の楽器は問題が見付かる事が多々あります。通常フレットファイリングは9千円前後を工賃として頂くのですが、こうした場合は当然ながら0円です。アウトレットも同様なので、よ〜〜〜〜〜く考えるとギターによってはマイナス?メーカーさん、もう少し精度上げて・・・・(涙)。弦が錆びていたり(入荷直ぐなのに!)不良の場合も、もちろんこちらで交換しています。で、フレットバランスが良くない場合はファイリングです。狭い範囲ならこの小さめのファイルでOKです。弦を外すとネックは逆ソリとなるので、トラスロッドはもう一度調整する必要があります。



長年の使用で大きくフレットが減っていたりハイ起きや大きくバランスを崩している場合は、こう言ったサンディング・ブロックで全ポジションを調整します。最も新品の楽器に使うことはありません。これが必要な新品は不良品なので、調整以前の問題となります。指板のアールにより何種類かを持っています。



さてと、フレット面が揃ったので次は整形です、専用ファイルでフレットを丸く整えます。これはダイアモンド・ファイルなので削り跡がスムーズとなり、仕上げが楽です。とは言っても最終的にはペーパー等で仕上げる必要があります。




最終的には金属磨きでピッカピカ!よし、これでフレットはバッチリです。ここがきっちりしていれば音もスムーズなものです。最も手間がかかるのですが、この工程が必要なのは低価格帯の2〜3割と言った所です。次はナットとブリッジの高さ、最初のチェックでどの程度下げるのかは決まっています。弾き易さと鳴りのバランス、やはり人間の判断が最も正しく重要です。



弦を張り再度トラスロッドを調整してチューニング、ナットは削り過ぎるとアウトなので(笑)、慎重に慎重に・・・。毎日結構な数の調整をするので、この専用ヤスリも細い方は一年くらいでダメになります。



USAはフローティングが基本なのですが、入門機は精度と弾き手を考えてノンフローティングです。その状態で弾き易く鳴りのバランスの良い位置にセットします。当然振幅の大きい低音側に向かって高くなって行きます。ついでにボディ裏のスプリングも適度な強さに調整します。ノンフローティングと言えども、強すぎるスプリングは良くありません。ネジ全部締め込んでる中国製のギターも良く見ます。これじゃアーム動かないでしょ・・と突っ込みいれたくなったりして・・。



あ〜、やっといい感じかな。ここでもう一度ポジションチェックです。全部のポジションでスムーズに弾ければOK、初心者が続くか行き詰まるかはギター自体にも大きく影響されます、特にアコギは・・・。



ハイポジもスムーズ!次はオクターブですが、大体合っていません(笑)。輸入高級機でも全く合っていないメーカーもあります。Fender USAやPRS、ドイツのメーカー等は結構生真面目にやっていますけどね。チューニングに関わる重要な部分ですが、ミニギターでは調整し切れないメーカーもあります(当店では合うものだけにしていますけどね)。



やれやれ、やっとアンプに通してサウンドチェック!ところがここで問題が発覚する場合もあります。全部終わってPUやプリアンプが不良だと悲し過ぎ・・・。無事に全てのピックアップ、ヴォリューム、トーンが作動したら完了!でもここで大丈夫でも輸送中に問題が発生する事もあり、油断は出来ません。半田不良は見た目では分かりませんからね。



ま、兎に角アンプからもしっかり音が出れば一安心です。弾き易く音の良いエレキは楽しく、上達も早いものですよ!ちょっと写真が多過ぎた?でもエレキの場合は調整項目が多いので、これでも少な目です。入門機でも(入門機だから?)ここまできっちり完了、挫折せずギターリストになれる方が一人でも多く誕生しますように!