第四日目その3 2001年11月6日(火)

リーフマンス醸造所へ


いよいよリーフマンス醸造所

リーフマンス醸造所へは15分遅れの2時45分頃到着。同行のカトリーンさんととても親しいというシャールック・サウス氏が出迎えてくれた。

サウス氏は名古屋グランプラス立ち上げの際もコンサルタントとして来日しており、現在はここリーフマンスのコンサルティングを行っている。ベルギー国内ではビールの専門誌などにも登場する有名人だ。

醸造所の中はブルワーのフィリップ・デボルデル氏が案内してくれた。リーフマンス醸造所は1679年頃には既に醸造を開始している。1990年にリヴァ醸造所の傘下に入り、現在は発酵、熟成、ブレンド、瓶内発酵を行っている。

他の醸造所と同じように、かつて使われていた醸造器具と現在使われているものが混在している。古いものは1930年頃から使っているらしい。マッシングタンクほか、すべて銅製で味わいに少なからず影響を与えていたと思われる。

現在は使われていない設備を一通り見学した後はいよいよ発酵槽へ。なんとここでは開放式の発酵槽を使用している。ベルギーでも開放式の発酵槽を使用しているところは他に無いのではないだろうか。

聞いてみるとここでは3種類の酵母、それに野生酵母の力も借りるというのだ。もうわくわくしてくる。ランビックの冷却のように窓もすべて開け放って野生酵母を呼び込む。

発酵終了後、熟成タンク(15℃)で4〜8ヶ月熟成。その後1℃まで冷却し1時間。クリークの場合は15℃のままで横向きのタンクに入れられ半年〜1年間熟成させる。横向きのタンクにいれるのはもちろんビールと果実の接触部分を多くするためだ。※グリュークリークについてはこちらへ

熟成タンクは巨大だった。1本のタンクに約8000sのクリークが漬け込まれる。ランビックと同様、クリークの場合種のキャラクターを大切にしているため、本当に手をかけて造られている。

ここでうれしいことに漬け込んでいる最中のものを試飲させてもらえた。これはオード・ブライン(この醸造所のメイン商品)の1年もの、2年ものをブレンド、さらにクリークを漬け込み2年間熟成させたものだ。「酸っぱい!」思わずそう言ってしまう。色は美しく鮮やかなピンク、酸味は強いがフレッシュでとてもすばらしい味わいだった。普通はここから味を調えるために砂糖が加えられる。(※実はこの砂糖無しのドラフトを飲むことができるところが1軒だけあります。行ってみたい方は店主まで。内緒でお教えしましょう。)

その後瓶の紙巻の工程へ。リーフマンスといえばあの紙巻の瓶が有名。紙巻は驚いたことにすべて手作業で行われている。実際に見せてもらったが恐ろしく手際が良く、早い。良く巻く人は一日に3000枚〜4000枚の紙を巻くそうだ。ここでリヴァ醸造所社長のデスプレンテル氏が現れた。

その後醸造所併設のレストランへ。醸造器具がところどころに使われているとてもすばらしいレストラン。ここでありとあらゆる同社のビールを試飲させてもらった。

なかでも印象的だったのが、奥様自ら開けてくださった「グーデンバンド」の1987年もの。ピクルスのような心地よい酸味のある香り、味わいはなぜか現在の新しいものより酸味があり、丸く、ポートのようなフレーヴァーも感じられるすばらしいものだった。またグーデンバンドを使った"Pate met Liefmans Goudenband"というパテもごちそうになった。これもまた素晴らしくビールに合うものだった。社長はまだ日本に輸出したことの無いビールに関して熱心に私の感想を聞いてくれた。7人で楽しく過ごしていると外はもう真っ暗。名残惜しかったが醸造所の皆さんにお礼を言ってゲントへ。

希望のホップデュベル(カフェ)へ。ここはすごい品揃えのカフェだった。オード・ベールセルやドゥリー・フォンティネンの素晴らしいグーズとおいしい料理をいただいて今日はご満悦。

しかし早朝から3軒の醸造所訪問、本当にくたくたに疲れて早々と寝てしまった。

 

 


釜とホップでつくられている

開放式の発酵槽

これがグリュークリークに投入するスパイスだ

漬け込まれたクリーク


紙巻の職人さん


デスプレンテル社長、右端は店主

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