有松絞りとは
有松絞りは愛知県名古屋市の有松地方で生産される絞り染めで、江戸時代始め頃から現代に至る400年以上の歴史を持つ伝統工芸です。
農地として向かない土地で、生活の糧を得るため絞り染めに着目し、商品として売り出したのが始まりで、やがて東海道を行き来する旅人がお土産にと競って買い求めるようになり、東海道一の名産品となりました。
1975年、国の伝統工芸品として認定されています。
昔も今も、ひとつひとつが手作業です
世界に例を見ないほどの多種多様な技法を有する有松絞り。
職人さんの手によって一粒一粒丹精込めてくくられ、自然な風合いを大切に手染めを繰り返し、一年余りをかけ丁寧に仕上げられています。
手作りの持つやさしさと伝統が誇る格式の高さがみごとに調和した逸品です。
近年では「くくり工程」は殆ど海外で行われています。
日本ではくくりの後継者がしだいに少なくなっており、有松絞りの技術を廃れさせないよう、日本の職人たちが海外にその技術を伝授しておられます。
すべての工程を国内で行った場合、とても手の届かない価格となってしまいます。この点につきましてはどうぞご理解くださいませ。
繊細さと素朴さ ふんわりと優しい肌心地
絞りの浴衣生地は、一般のゆかた生地より薄く、軽くてふんわり。
独特の凹凸で肌にべとつきにくく、肌触りも優しい肌心地です。
また絞りの浴衣はクリーニングもアイロンも不要、ご家庭でお手軽に洗濯していただけます。
凹凸があるためシワも目立ちにくく、気軽に着ていただけるのも魅力のひとつです。
色とめ・湯のし・巾だし
絞り浴衣は、出来上がりの反物の状態のままでは、お仕立てができませんので、地の目を整え、糊気を落とし、色落ちを防止し、巾を出します。
当店での加工をご希望される場合、お仕立て寸法をご注文の際の備考欄、もしくは、別途メールにてご連絡いただいて巾を出す際の参考にさせていただきます。(特にご記載、ご連絡のない場合は、一般的な寸法に巾だしいたします。)
※身長の高い方、ふくよかな方の寸法に合わせました場合、絞りのシボ感が失われることがございます。
お手入れ方法について
絞り浴衣はクリーニングに出していただく必要はございません。
ご自宅の洗濯機で簡単にお洗濯していただけます。
- 浴衣を畳んで洗濯ネットに入れます
- 洗濯機の「ソフト」や「手洗い」コースで短時間洗います。
手洗いの場合はたっぷりの冷たい水で優しく押し洗いしてください。(つけ置きはしないでください)
すすぎは十分に行ってください。
※色落ち・色移り防止のため必ず単独で洗ってください。
※洗剤はおしゃれ着洗い用の中性洗剤(漂白剤の入っていないもの)をご使用ください。
- 大きめのバスタオルを敷いた上に浴衣をのせ、さらにバスタオルで挟みくるくると巻いて軽く脱水します。
- 物干しざおに通して軽く叩いて形を整えて陰干しします。
※アイロンは必要ありません。
- 手でのばしながら畳んで、たとう紙などに入れて保管してください。
お洗濯後、絞りの技法によってはシボが戻るため縮んでしまったように感じる場合がございます。
絞りの特性ですので、ぜひその風合いをお楽しみいただければと存じますが、どうしても気になる、着付けにくいなどございましたら、軽くアイロンをかける、重しをしてのばすなどの方法をおためしくださいませ。
ご注意ください
絞り浴衣は、一般のゆかた生地より薄く繊細な生地に、職人が括りや染めなど、ひとつひとつ手作業で制作しております。
そのため、ご注文の際は以下の点につきましてご理解いただきますようお願い申し上げます。
- 染めムラが見受けられる場合がございます。
絞り染めの技法による特性としてご理解ください。
- 生地に茶色いシミのようなものが見受けられる場合がございます。
こちらは生地を染める際に付着する「アク」です。お洗濯いただくととれます。
- 生地に小さな穴がある場合がございます。
こちらは生地を糸でくくる際にできる針穴です。
- 生地に、白い糸が残っている場合がございます。
こちらは生地をくくる際に使用する糸です。結び目を持ってそっと引き抜いていただければ大丈夫です。
- 生地に、横スジがある場合がございます。
これはくくり糸をほどく糸抜きをする際にできるものです。
検品の際あまりにひどいものははねさせていただきますが、ある程度はご理解くださいませ。