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ギャッベって?
素材・染料・デザイン

毛糸を紡ぐ
ギャッベって?
イランの砂漠の周辺に暮らす遊牧民族
カシュガイ族の女性達が、
羊毛で織る草木染の絨毯を
ギャッベ(ギャベ)と呼びます。
草木で染めた手紡ぎの羊毛(ウール)で、
彼女達の暮らしの中にある風景を即興で
ギャッベに織り込んでいくため、素朴な
自然の色とデザインが生かされています。
「ギャッベ」の意味
「ギャッベ」とは、ペルシャ語で「粗い」という意味があり、ペルシャ絨毯と比べると粗く、毛足も長く厚めに織られています。
ギャッベは遊牧民がテントの床に敷いて
いるラグで、固い土の床から
彼らを守ってきたのです。


カシュガイ族の暮らし

ギャッベを織る

カシュガイ族のテント

カシュガイ族のテント

スピンドルで羊毛から毛糸を紡ぐ

素材
ギャッベを織る毛糸は、カシュガイ族が遊牧している羊の毛(ウール)です。その毛を手で毛糸に紡いでいくので、糸は太いところ、細いところなど違いができます。その太さの違いがギャッベの素朴な味を引き出します。
ギャッベはウール100%なので夏にはモコモコ、べたべたとして暑そうというイメージがありますが、毛は意外にさらりとして快適に使えます。なぜかというと、羊毛自体が呼吸しているからです。動物の毛にもあるキューティクルは、開いたり閉じたりして毛の中の水分を一定に保とうとするのです。
暑い夏には
寒い冬には
乾燥した冬には、ふんわりと暖かな肌触り

子羊達

色
ギャッベを織る毛糸を染める色は昔から
草木や虫から採る天然染料で染めています。ギャッベには薄茶、青、赤、黄、緑が多く使われています。それぞれの色は、異なる植物を煮て摘出した煮汁の色で、その中に紡いだ毛糸を入れて煮ます。
そしてその色を染め合わせていろいろな色を出します。草木からとる天然染料は、太陽の光にさらされ、使い込むほど少しずつ色があせてきますが、その色もまた淡く優しい良い色です。

ギャッベを織る
- 青 ・・・・・インディゴ(藍)など
- 赤 ・・・・・アカネの根、コチニールなど
- 薄茶・・・ピスタチオ、クルミの殻や木の皮など
- 黄 ・・・・・ザクロの皮など
- 緑 ・・・・・ジャシールなど


デザイン
ギャッベの柄やデザインは、織り手さんが決めます。即興でいろいろな色に染められた毛糸を織り機に通し、一織り一織り慎重に織り手の世界を表現していきます。
広大な台地や砂漠をイメージした薄茶やグレーやオフホワイト、青は夜空とそこに輝く星もしくは水への憧れを表すオアシス、風に吹かれる草原がどこまでも続く緑、赤やオレンジの夕日に染まる大地、そこに木、動物達、人などが小さく織り込まれます。
ギャッベのデザインは、カシュガイの人々が今もなお広大な自然と共に暮らし、その環境と共存しているからできるものではないでしょうか。ギャッベには、遊牧民の素朴な生活や、彼女達の生き方や思いが自然と織り込められているのです。
