【家庭用ミシンの種類/選び方】

ミシンの購入をご検討中の方から、どのミシンがよいだろうかとご相談を受けることがあります。
初めて購入する時など、種類がたくさんあり、また価格も色々あってどれがよいか悩まれる方も多いかと思います。
ここでは、ミシンの種類や選ぶポイントをご紹介しています。
参考にしていただければと思います。

◎種類はいくつあるの?

ミシンは一般的な家庭用ミシンとして3種類、用途別に専用の縫い目を提供してくれる専門ミシンが4種類あります。

種  類

販売価格

電動ミシン

針の上下運動を内蔵モーターにより行うミシン。ミシン速度はフットコントローラーの踏み込み加減で調節。ミシン自体には針の上下運動及びミシン速度を電子回路で制御していないため、縫い終わりの針停止位置が不規則になる。

1万円前後〜3万円程度

電子ミシン

針の上下運動を電子回路により制御するミシン。手元スタート・ストップが行え、ミシン速度も電子制御スピードコントロールが可能。また、針停止位置は固定。

3万円〜6万円程度

コンピュータミシン

針の上下運動、振り幅と縫い目長さをマイコン制御しているミシン。ワンタッチ、または番号を合わせるだけで縫い模様が選択でき、縫い模様の種類も豊富。キャラクターなどの大型刺しゅうができるものもある。

5、6万円〜数十万円

ロックミシン

余分な布端をメスで切り揃えながら、布端をかがり縫いで縫う。電動、電子、コンピュータミシンにも裁ち目かがりという模様があり、布端のほつれ止め効果があるが、ロックミシンは縁かがり専用ミシンであるため、より美しく丈夫に縫うことができる。また、二枚の布の縫い合わせ、特にニット地の縫い合わせにも使う。ロックミシンの種類毎の用途としては、以下の通り。
 ■1本針2本糸…布帛生地を中心とした1枚布の縁かがり縫い
 ■1本針3本糸…布帛生地を中心とした二枚の布の縫い合わせ、巻き縫いなど
 ■2本針4本糸…ニット生地を中心とした二枚の布の縫い合わせなど 
 ■2本針5本糸…布帛生地などで縁かがりと縫い合わせを同時に行う事が
         できる縫い目(袖、脇などの伸縮性が必要な部分に)
 
その他の機能として、差動送り装置(ニット生地や裏地などの伸縮素材を伸び縮みなく縫うための送り装置)の有無により、以下用途が分けられる。
 ■差動送り装置なし…布帛生地を中心としたロックに最適
 ■差動送り装置付き…ニット生地などの伸縮素材を中心にしたロックに最適
           また、任意にギャザー寄せ縫いや袖山のいせ込みなど
           もこの装置があれば、簡単に行える。

3万円〜
数十万円

職業用ミシン

洋裁ユース向け高速直線専用ミシン。工業用ミシンより耐久性に劣るが、工業用1本針本縫いミシンと同じ釜の機構を使用しているため、高速スピードで縫え、綺麗な縫い目が実現できる。また、工業用本縫いミシンで使用の各種押え、アタッチメントの使用が可能。

6万円〜
数十万円

カバーステッチミシン

Tシャツ・トレーナーなどの裾、袖口、衿などで見かける片面飾り縫い(表面は複数本の直線縫目、裏面はロックミシンの様な縫目)を行う専用ミシン。この縫い目は伸縮性に秀でているので、ニット・メリヤス肌着などの補修及び飾り縫い目的に用いられる。

6万円〜
数十万円

スクイ縫いミシン

スクイ縫い(単糸環縫)とは、表面生地には縫い目が点しか見えず、裏面生地と折り返し生地を縫っている縫い方のこと。別にまつり縫いといわれる場合がある。スラックス・スカートの裾上げなどに用いられる。

十万円以上

 
◎どんなミシンを選べばいいの?
 
選ぶポイントは、お客様がミシンを使う目的や用途、そして使用頻度です。
ミシンを使って何をしたいのか、どのくらいの頻度でミシンを使用するのか、この2点をまずはっきりさせましょう。
目的や用途、使用頻度を明確にすると、必要な機能なども見えてきます。
 
目的………趣味/仕事
用途………お子さんの入園・入学準備/キャラクター刺繍/簡単な繕い物/洋服作り/パッチワーク・キルト
使用頻度…年に数回程度/月に数回程度/毎週/毎日
 
当ショップでは、下表のようにご提案しています。

目的・用途

使用頻度

種類の目安

繕い物やぞうきんぐらいしか縫わない
入園・入学準備しか使う予定がない

年に数回程度

電動ミシンや電子ミシンのベーシックなタイプ

入園・入学準備以外にも色々使いたい
洋服なども作ってみたい

月に数回程度

電子ミシンやコンピュータミシン、あるいは職業用ミシン、ロックミシンなど

仕事で洋服を作ったり、リフォームで使いたい

毎週、毎日などよく使う

職業用ミシンやロックミシン、あるいは工業用ミシン

ニットを中心に縫いたい

ロックミシンやカバーステッチミシン

パッチワークやキルト作成に使いたい

ステッチ刺繍豊かなコンビュータミシンあるいは職業用ミシンでのフリーステッチ

キャラクター刺繍を縫い付けたい

刺繍機能付コンピュータミシン


こちらはあくまで目安です。
お客様が何をされたいかを確認しながら打ち合わせし、ご予算とご要望に適った商品をご提供させていただくことが
重要であると考えております。
 
◎ミシンの価格はなぜこんなに違うの?

それは素材や操作方法・作業の仕方、仕様、モーターの違いなどがあります。
 
@素材の違い
 ミシン外装に使用のプラスチック材料の厚み、内部の使用部品の材質の違いなどが挙げられます。
 低価格のミシンは内部部品をプラスチック製の物を多く使用し、外装材の材料の厚みもないため、ミシン重量も
 軽くなっています。
 高価格のミシンは内部の部品に金属(アルミダイキャスト)を多く使用し、外装材の材料の厚みも十分なため、
 ミシン重量も重くなっています。
 
A操作方法、作業の仕方の違い
 模様選択方法は、低価格ミシンだと選択ダイヤルを回しながら、切り替えます。これはミシン内部のカム
 (歯車)が切り替わるというメカ的制御によるものです。
 高価格のミシンはボタンひとつでダイレクトに選択して切り替えます。こちらはミシン内部では電子及び
 コンピュータ制御により切り替わっています。

 また、実際の作業の例として、ボタン穴かがり縫いでは低価格ミシンはひとつの穴かがり縫いで2つから
 3つの縫いパターンを使用し、ボタンの大きさにあわせて縫う→止める→模様選択の切り替えを1回から
 2回行う作業が必要となりますが、高価格のミシンは必要なボタンをセットし、直接模様選択ボタンを
 押すだけで、そのボタンに合った穴かがりを一度で行えます。
 
B仕様の違い
 低価格ミシンは各模様の縫いは縫い目長さ、縫い目幅が機械で決められた固定のもので、変更できません。
 スピード調節も早い&ゆっくりの2段階などです。
 高価格ミシンは、各模様の縫いは縫い目長さ、縫い目幅が固定のものから任意に変更できます。
 スピード調節も最低値と最高値は決められていますが、その間は無段階に調節することができます。
 
C使用モーターの違い
 ミシンの縫うパワーの違いとして比較されるのが、駆動源であるモーターがあります。
 モーターのパワーを比較する値として出力ワット数があります。
 低価格ミシンに使用のモーターは大体60ワット位が多く、高価格ミシンに使用のモーターは80ワット位です。
 また職業用ミシンは95ワットあります。
 ちなみに工業用本縫いミシンなどは、250ワットのモーターを使用しています。
 
 なぜこんなにモーターパワーに違いがあるのでしょうか。
 実際に洋服等を縫っていく時に、いつも同じ条件ではありません。
 同じ縫い部分でも薄い部分、厚い部分があり、特に厚い部分を低速で縫う余裕が必要となるのです。
 低価格ミシンはパワーがないため、低速で縫うと途中で止まってしまうことがあります。
 止まらないためには、ある程度高速で縫う必要がありますが、高速で縫うと厚み部分の生地乗り越え時に針に
 負担がかかり、折れてしまうといったことも起こります。
 
Dその他
 ミシン収納時のカバーが低価格ミシンはビニール等のソフトカバーが多く、高価格ミシンはプラスチック製の
 ハードカバーとなります。
 ミシンスタート・ストップは高価格ミシンは手元スイッチで行い、別売などでフットコントローラーによる
 操作もできます。
 低価格ミシンは手元スイッチかフットコントローラーかのどちらかで、両方を選択できないことが多いです。 
 また、その他にはステッチパターンの種類の数の違いや、作業能率を高める各補助機能の有無、刺しゅう
 機能(特にキャラクター刺しゅうなど)の有無により、ミシン価格は変わってきます。
 
 
ミシンの種類や選ぶポイント、また、価格の違いなどについてお分かりいただけたでしょうか。
皆様の楽しいソーイングライフに少しでもお役に立てましたら幸いです。