心斎橋みや竹 我が再生の記

心斎橋みや竹 kasaya.com 我が再生の記 【第七話】『扉 を あ け て』
傘屋の和ちゃん、我が再生の記「そして老舗は甦った・・・」

- 第 7 話 『扉 を あ け て』-






 何がいけないのか冷静に考えてみた。  

 そして目が覚めた。
 ただ傘を売っていたのでは、
 よくあるネット通販となんの差別化も図れない。

 つまり場がインターネット上だと
 いうだけで、
 老舗がすべきこと、
 できることがたくさんあるのではないか、

 サイバーショップだからなおのこと、
 人間の息づかいを感じさせる必要があるのだ、と。 

 それからは、
 実際に店でお客さまに接していたように
 コミュニケーションを大切にしていった。

 心斎橋の頃に、
 毎朝早くに置きて品出ししていたのと
 同じように、
 こまめに更新するようにした。

 自分の略歴や家族構成まで公開し、
 売る側の顔を知っていただくように心掛けた。
 もちろん傘に関する情報も盛り沢山だ。
 
 また、マウスをクリックする回数が多いほど、
 購買意欲は減退するらしいことにも気づいた。

 だから
 入りやすさ、買いやすさということにも
 工夫を凝らした。

 月商は実店舗時の三分の一以下だが
 店を構えていた頃とは経費が全然違うから
 まずまず採算は取れている。

 在庫もアイテムを抑え、
 管理しやすくする一方で、
 直接メーカーから
 発送することもできるから、

 実際のアイテムは
 無限ともいえるかもしれない。
 ようやく軌道に乗ってきたといえると思う。

 片手間でなく、
 老舗のすべてを
 サイバー空間に甦らせたことがよかったのだろう。 (最終回へつづく)




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