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不老長寿の薬は昆布だった!

福伝説というのがあります。

 今から2200年前、秦の始皇帝が「東の国に不老長寿の薬あり」と徐福に命じて探しに行かせたのですが、長旅の果てに徐福がたどりついた場所が、紀伊の熊野浦だった、というものです。

 秦の国が滅び、徐福のその後の事情についての記録は何も残っていません。

 徐福は中国にはもどらず日本の地に長くとどまったと言う説があり、和歌山県新宮市にある徐福の墓がその根拠となっています。

 権力の座に登りつめた始皇帝にとって、最後の望みは不老長寿でした。
ですから、その薬を手に入れようと四方八方へ人をやり探させたのですが、 ことごとく失敗に終わります。

 徐福は斉という国で生まれた「方士」でした。  方士とは、呪術を操る人や仙人のことで、始皇帝は全国でも名のある方士300名を宮廷に抱えていました。 徐福もその一人です。

 徐福は始皇帝に進言します。 「はるか東方の海に・・三神山(という名の山)があり、そこに住む神仙(仙人) が最高の不老長寿の薬をもっていると聞きます。 私はそこにおもむいてそれを求めたいと思います」

 三神山は不老不死の仙人の住むユートピアといわれていましたので、さっそく 始皇帝はそれを探しにゆくよう徐福に命じました。

 その徐福が探し求めた「不老長寿の薬」こそ、じつは海藻のコンブだったというのです。

 たしかに、日本人の祖先である縄文人はコンブをはじめとする海藻を好んで食べていました。
そして、東インド諸島の住民や、南アフリカ、南アメリカなどの沿岸地方の住民も盛んに海藻を食べる風習があり、みな統計的にみて平均以上に長寿だという結果が出ています。

 徐福も沿岸の海藻を食べる住民が長寿であることから、それこそ「不老長寿の薬」 だと思ったのでしょうか。

 中国人や朝鮮人が海藻を食べるのが一般化したのは近世になってからです。
中国人のコンブ好きの原型は、遠い昔の秦の始皇帝のエピソードにあります。