さまざまなミネラルを溶かし込んでいる海水の中で育まれる海藻は、いうまでもなく、豊富なミネラルを含んでいます。ヨウ素もその一つです。 しかも、ヨウ素を含んでいるのは、海藻、魚類など海の産物がほとんどですから、それを食べる以外に、ヨウ素を体内に取り入れることはできないのです。
さて、ヨウ素は私たちの体にとってどんな重要な働きをするのでしょうか。 ヨウ素は甲状腺から分泌されるホルモンの大切な成分です。 ですから、ヨウ素が不足すると、甲状腺ホルモンの分泌が悪くなり、いろいろな障害を来すことになります。
甲状腺ホルモンの最も重要な働きは、新陳代謝の調節、促進です。 私たちの体は食物を取り入れ、その栄養分を吸収したり、蓄えた栄養分をエネ
ルギーに変えて体を動かすことに使ったりします。
あるいは、細胞の新旧交換、不必要な物質の体外排泄といった機能も働かせています。簡単にいえば、こうしたメカニズムが新陳代謝です。
ヨウ素が不足して、甲状腺ホルモンが十分に分泌しないようになると、新陳代
謝がうまく行われないようになります。 その結果、体に必要な物質がうまくつくれなくなったり、エネルギーの供給量
が不足したり、細胞の生まれ変わりがスムーズにいかなくなったりします。
肌の艶がなくなり、カサつく、疲労感が強く、気力が充実しない、脱藻が目立つなどの状態があらわれるのは、新陳代謝が停滞している証ともいえます。
甲状腺ホルモンは、脂質代謝、すなわち、体の中に蓄えられた脂肪をエネルギ
ーに変えることにも大きな役割を果たしていますから、その不足は脂質代謝を妨げることにもなり、結果として、体の中に、エネルギーに変わり難い脂肪を皮下脂肪としてため込むことにつながります。
つまり、肥満しやすくなるわけです。
また、新陳代謝が悪くなることは老化現象に直結します。 このように新陳代謝が活発に行われるためになくてはならないヨウ素ですが、
かつての日本人の食生活の中では、自然に必要な量が供給されていました。
食事の中心が主に魚であり、海藻類だったからです。
ところがその後、食生活は急激に変化を遂げました。
欧米の食文化が入り込み、肉や動物性脂肪食品が食卓に並ぶようになったわけです。
そうした食文化の欧米化によって、ワカメやコンブ、ノリなどのヨウ素をたっ
ぷり含んだ海藻類が食卓にのぼることは、めっきり少なくなりました。
ワカメの酢の物に代わって、フレンチドレッシングのサラダが、みそ汁に代わって、コーンスープが幅を利かせるようになったのが、現代の食卓事情です。
海藻をはじめとする海産物に恵まれていながら、それを食生活から締め出してしまったことで、ヨウ素不足は深刻になってきています。
子供たちの中には生まれつき甲状腺ホルモンが不足しているケースも見られます。
それが最近の少年少女の心身の発育、発達に重大な障害を及ぼしているという
学説、データもあります。
日本の食文化を見直すという傾向が次第に顕著になってきた今、再び海藻が食
卓を賑わせる時代に戻ることは明らかです。
皆様には、その先駆けとして、ヨウ素たっぷりの海の恵みを積極的に取り入れ
、その新陳代謝活性化作用で、健康と若さを手に入れてほしいものです。
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